ボーン・アルティメイタム(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ボーン・アルティメイタム』とは『ボーンシリーズ』の3作目で、2007年公開のサスペンス・アクション映画。記憶を失くした元CIAトップ工作員ジェイソン・ボーンは、CIAの極秘計画の暴露記事を書こうとする記者と接触したことで存在が見つかり、またもやCIAに狙われる。その一方、CIA内部の人間と協力し、極秘計画に絡んだ組織の陰謀を暴き、とうとう記憶を取り戻す。その場にいるかのような臨場感溢れる映像やスピーディなストーリー展開、スリリングな逃走劇など息もつかせぬシーンの連続で観る者を引き込む最高傑作。

『ボーン・アルティメイタム』の概要

『ボーン・アルティメイタム』とは、『ボーンシリーズ』の3作目で、2007年に公開されたサスペンス・アクション映画。原作はロバート・ラドラムの小説のシリーズ3作目『最後の暗殺者』だが内容は小説とは異なっている。映画の『ボーンシリーズ』は全5作で、1作目は『ボーン・アイデンティティー』、2作目が『ボーン・スプレマシー』、4作目以降は公開順に『ボーン・レガシー』『ジェイソン・ボーン』。シリーズのうち『ボーン・レガシー』のみ主人公が異なり、時系列で『ボーン・スプレマシー』と『ボーン・アルティメイタム』の間のスピンオフ的作品となっている。
監督は前作に引き続き、ポール・グリーングラスが担当。グリーングラスは1972年の北アイルランドで起きた「血の日曜日」事件を描いた社会派ドラマ『ブラディ・サンデー』で、2002年ベルリン国際映画祭金熊賞の受賞歴がある。主人公ジェイソン・ボーンを『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、『オデッセイ』、『フォードvsフェラーリ』などのマット・デイモン、ボーンを追う立場でありながらも彼と協力して陰謀を暴くCIAのパメラ・ランディを『ザ・コンテンダー』のジョアン・アレンが続投。出演は他に、『グッドナイト&グッドラック』のデヴィッド・ストラザーンなど。
グリーングラス監督は、前作同様、手持ちカメラを用いた撮影を行いており、沢山の短いカットを繋ぐ編集をしている。その場にいる人間の視線の落ち着かない動きを想定したドキュメンタリー的なこの演出方法により、観客がその場にいるかのように感じるのだ。今作は前2作よりさらにカット数が多く、上映時間105分の中に3200ものカットも詰め込まれていて、シリーズの中でもキレとスピード感、臨場感のあるシーンが満載となっている。アクションシーンも多彩で、特に土地や家屋の特性を活かしたモロッコのタンジールでの追跡と格闘や、大都市ニューヨークでのカーチェイスはスリリングな展開の連続で観る者を引き込んでいく。タイトルの『アルティメイタム(ultimatum)』は最後通牒を意味する。
北アメリカでは2007年7月にプレミア上映されたのち、8月に公開され、週末興行成績で初登場1位になった。日本では同年11月に公開された。第80回アカデミー賞では編集賞、録音賞、音響効果賞、英国アカデミー賞では編集賞、音響賞、ラスベガス映画批評家協会賞では編集賞など数多くの賞を受賞している。

CIAの元トップ工作員だったジェイソン・ボーンはアフリカ某国の元独裁者であるウォンボシの暗殺任務失敗が原因で記憶を失い、CIAに追われる身となった。ボーンを追っていたCIAの責任者コンクリンに「自分を追ったら殺す」と最後通牒を突きつけてから2年後、恋人マリーを殺されたボーンはなぜ自分を狙うのか知るため、CIAの情報を探るなか、自らの最初の任務の記憶を取り戻す。最初の任務で暗殺したロシアの政治家ネスキー夫妻の娘に会うため、ロシアのモスクワに向かったボーンは、暗殺者やロシア警察に追われるが振り切り、ネスキーの娘の家に行き、両親の死の真実を話し謝罪して去っていった。
その6週間後、イギリスのガーディアン紙の記者サイモン・ロスがCIAの極秘計画「トレッドストーン」のバージョンアップ版の「ブラックブライアー」についてCIA内部から証言を得て記事を書こうとしていた。ボーンはロスが自分について書いた記事を読み、ロスに近づき話を聞くが、直後ロスは記事を書かれることを恐れたCIAの対テロ極秘調査局の局長ヴォーゼンの指示で暗殺者に殺されてしまう。ロスに証言したCIAマドリッド支局のニール・ダニエルズはロスが殺されたことをニュースで見て慌てて逃げる。ボーンはダニエルズを追い、マドリッド支局に異動していた顔見知りのニッキーと出会う。ボーンはニッキーと共にダニエルズを追うが、彼は逃亡先のタンジールでCIAの暗殺者に殺される。ボーンとボーンに協力したニッキーも暗殺者に追われるがボーンが倒し、ニッキーはボーンと別れて逃げた。ボーンはダニエルズの所持品からCIAニューヨーク支部に向かう。そこで以前ベルリンの事件で知り合ったCIAニューヨーク支部のパメラから自分が暗殺者となった始まりの研究所の住所を教えられてそこに向かった。そこでヴォーゼンから連絡を受けてボーンを待っていた「トレッドストーン」の訓練発案者のアルバート博士と話すうちにジェイソン・ボーンとなった経緯を思い出した。追いかけて来た暗殺者やCIAから逃げるため、ボーンは10階建てのビル屋上から川に飛び込み逃走した。パメラはボーンがヴォーゼンの部屋に侵入し盗んだ「ブラックブライアー」の資料を世間に公表し、関係者は逮捕された。

『ボーン・アルティメイタム』のあらすじ・ストーリー

前作までのあらすじ

CIAの元トップ工作員だったボーンは任務失敗が原因で記憶を失い、CIAに追われる身となった。恋人のマリーが殺され、なぜ自分が狙われるのかを知るためにCIAの情報を探る。

ボーンはCIAの職員ニッキーからの情報で、自身にぬれぎぬを着せ暗殺者を仕向けた人物を見つける。相手は追い詰められ自殺してしまうが、ボーンはその過程で最初の任務の記憶がフラッシュバックしていた。記憶をたどり事件を調べ、暗殺任務を遂行したことを思い出す。思い出したボーンは、暗殺した夫妻の娘の元へ行くためロシアに向かう。暗殺者やロシア警察に追われるがたどり着き、娘に真実を話して去っていく。

ボーン逃走とCIA長官

病院で応急手当をするボーン

ボーンがロシアで暗殺者やロシア警察から逃亡し、姿を消した6週間後。CIA本部のエズラ・クレイマー長官の部屋に、ボーン捜索の指揮を執ったパメラ・ランディと部下のトムらの姿があった。クレイマー長官は、ボーンがCIAに復讐すると危惧している。ボーンが危険ではないという証拠が出るまで危険だと判断を下す。

その頃ボーンは、マリーの兄の家を訪れていた。マリーが殺されたこと、これを仕組んだ奴らを見つけ出すことを告げ、去っていく。

ボーンについて調べる新聞記者ロスとCIA対テロ極秘調査局ノア・ヴォーゼン

イギリスのガーディアン紙の記者サイモン・ロスは、ある男からボーンの情報とCIAの極秘作戦名「ブラックブライアー」の情報を聞き出す。しかし、すぐにCIAに探知されてしまう。対テロ極秘調査局局長のノア・ヴォーゼンは、「ブラックブライアー」の情報源を突き止めるため、ロスを徹底的に調べるよう指示する。

一方ボーンは、ロスが書いた自身に関する記事を読む。そしてロスに、ウォータールー駅に一人で来るように電話をする。駅に向かうロス。ロスを見張っていたCIA対テロ極秘調査局と暗殺者のパズも駅に向かう。

射殺されるロス

駅についたボーンは、CIAらしき男たちがいることに気づく。ロスを見つけて気づかれずに、上着のポケットに購入していたプリペイド携帯を入れる。その携帯に電話して指示し、CIAを撒いて接触する。ロスは情報源を話さず、ボーンがきっかけで作られた「ブラックブライアー」のことを教えようとする。しかし、追手が近づいていることに気づき、ロスから離れるボーン。監視カメラや追ってくるCIAから見つからないように、電話でロスに指示するボーン。指示通り動いていたロスだが、近づいてきた清掃人をCIAと勘違いして逃げ出してしまう。CIAに見つかり追われるロスだが、ボーンがCIAを倒していく。ロスを追っていたCIAを全員倒したボーンだが、監視カメラに映ってしまう。映像を見たヴォーゼンはロスの情報源がボーンだと考え、二人とも殺そうとする。

ヴォーゼンは暗殺者のパズに、ボーンとロスが隠れている場所を伝える。隠れているボーンは、周囲の様子が変だと感じる。しかしロスは、隠れているのは危険だと判断しボーンの制止を振り切って出ていく。その瞬間、パズに射殺されてしまう。ボーンは慌てるが、ロスの遺体に近づき資料を抜いて去っていく。

マドリッドに向かうボーン

ロスの資料を調べるボーンは、「シーウェル&マーベリー」という投資金融会社を見つけてマドリッドに向かう。

CIAではパメラとその部下のトムが長官の命令で、ヴォーゼンの対テロ極秘調査局チームに加わる。パメラはボーンの手強さを知っており、メンバーに檄を飛ばし的確に指示をしていく。そして、ロスが昨日イタリアのトリノの航空券を購入していたことから、情報源がボーンではなくトリノにいることを判断する。さらに調べていき、情報源がCIAのマドリッド支局長のニール・ダニエルズだとたどり着く。

夜になり、シーウェル&マーベリーに侵入するボーン。金庫は空いており資料が散在していた。資料に写った二人の男を見て、ボーンの記憶がフラッシュバックする。研究室のような場所で拷問されている記憶、苦しむボーン。そこにヴォーゼンのチームの2人の男が近づいていた。シーウェル&マーベリーは、CIAマドリッド支局の隠れ蓑であった。ボーンは監視カメラで男に気づいていたので、瞬時に倒す。

そこにさらに侵入者が現れ、銃を向けるボーン。侵入者は、ボーンが「トレッドストーン」に特殊工作員として在籍していた頃の担当者であるニッキーだった。「トレッドストーン」とは、CIAが考案した工作員育成計画。ボーンはこの作戦の第一号要因だった。ボーンがダニエルズの所在を聞くと、ちょうどヴォーゼンからニッキーに電話が入った。ニッキーはヴォーゼンの電話を上手くやり過ごし、CIAの援護チームが来ることをボーンに伝える。さらにニッキーは、ダニエルズの居場所を知っていることを伝える。ボーンはニッキーと共に逃げる。

「ブラックブライアー」

パメラはヴォーゼンに「ブラックブライアー」について問う。ヴォーゼンによると、「ブラックブライアー」は本来監視作戦だったが、今は潜入工作や犯罪者引き渡し、実験尋問などの全機密作戦を包括しているという。自分たちの指示のもとに行い、面倒な手続きが不要の異例の作戦で、我々に必要な作戦であると話すヴォーゼン。その中でダニエルズは、南ヨーロッパと北アフリカの作戦を仕切り、関わるものを熟知している。ヴォーゼンはその情報をボーンが入手して、誰かに売ることを危惧していた。

ニッキーと逃げたボーンはカフェに立ち寄っていた。なぜダニエルズを追うのかを聞かれ、マドリッド支局で見つけた写真を見せる。ボーンはダニエルズと写る男に何かをされ、それを知れば自分の呪縛が解けると話す。ニッキーはダニエルズが行動修正の実験をしていて、新入りの諜報員の脳を組み替えていたことを話す。その実験の第一号がボーンだと教える。

一方CIA対テロ極秘調査局では、ダニエルズがタンジールにいることを突き止める。それを聞いたヴォーゼンは、自室の指紋と声紋認証の金庫を開け、「ブラックブライアー」の資料を取り出す。そして、誰かにダニエルズの所在がわかったことを報告した。

情報源を追うボーン

ニッキーの情報から、ボーンもニッキーと共にダニエルズを追ってタンジールに来た。同じ頃ヴォーゼンに送り込まれた暗殺者のデッシュもタンジールに到着した。
ニッキーがCIAのシステムからダニエルズの所在を調べようとするが、アクセスを拒否されてしまう。CIAが暗殺者を送っていると考えたボーンは、暗殺者と接触して尾行しようと考える。暗殺者のデッシュとニッキーが接触に成功し、ボーンは尾行する。

デッシュが本来取るべき行動と違う行動をしたことで、CIAはニッキーがデッシュに指令を送ったことを把握した。ヴォーゼンは、ボーンと裏切ったニッキーも殺すようデッシュに指示する。反対するパメラだが、ヴォーゼンは止まらない。

デッシュとの戦闘

ダニエルズは、デッシュが仕掛けた爆弾で殺されてしまう。爆風に巻き込まれてボーンも死んだと思ったデッシュは、ニッキーを殺しに向かう。デッシュを追うため急いで立ち去るボーンだが、怪しまれて警察に追われてしまう。
ニッキーはデッシュが近づいているのに気づき、その場を離れる。いるはずのカフェにニッキーの姿がなく、警察をまきながらニッキーを探すボーン。デッシュから必死に逃げるニッキー。ボーンはなんとか間に合い、デッシュと戦闘する。ボーンは死闘を制し、息絶えたデッシュの携帯から二人は死んだとメールする。

ヴォーゼンは、自身に歯向かったパメラを監視するよう指示を出す。デッシュからの二人の死亡報告を、ある人物に報告する。その人物はCIA長官のエズラ・クレイマーだった。クレイマーは、「ブラックブライアー」が失敗した時の責任を押しつけるために、パメラを参加させていた。

ニッキーとの別れ

金髪を黒く染め、短くカットしたニッキー(右)はボーン(左)と別れて逃げる

パメラは自室でボーンの資料に目を通していた。実験の初期段階で抵抗を示すストレスが認められたボーンは、拷問のような実験をさせられた。実験を行ったのは特別研究所の主任医師アルバート・ハーシュ博士だった。ダニエルズも特別研究所の訓練監督官であった。

ボーンはニッキーに逃げるように言い、ニッキーと別れる。その後ダニエルズの所持品を確認し、「CIA NY」の住所が書かれた紙を見つける。

パメラから情報を得るボーン

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