ベヨネッタ(BAYONETTA)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ベヨネッタ』とは、500年前の封印から目覚めた美しく妖艶な魔女ベヨネッタが、天使達を華麗に叩きのめしながら失われた記憶の手掛かりを求めてヨーロッパの辺境ヴィグリッドを舞台に暴れまわるクライマックス・アクションゲーム。
少年少女、または成人した男性主人公が多い日本製のアクションゲームにおいて、フェミニンかつセクシーな大人の女性を主人公とし、その魅力を前面に押し出しながらスタイリッシュにまとめ上げたゲームデザインは発売当時話題となり、国内だけでなく海外に於いても多くのファンを生み出し続けている。

『ベヨネッタ』の概要

『ベヨネッタ』とは、2009年10月29日にセガからXbox 360、及びPlayStation 3用として同時発売されたクライマックス・アクションゲーム。
2機種同時発売したゲームソフトだが、より厳密にはプラチナゲームズがXbox 360版を開発し、それをオリジナルとしてセガが移植としてPlayStation 3版を受け持ったという経緯がある。
本作のディレクター・神谷英樹(以下、神谷D)が過去に手掛けた『デビルメイクライ』以降に培ってきたノウハウが詰まった、まるで映画のクライマックスがずっと続くような絶頂感ある演出と抜群の操作性、そして芯の通った美学として込められた徹底的なエレガントさが大きな魅力となっている。
本格的な3Dアクションゲームを基本としながら即死に繋がるQTE(Quick time event)も多く、ステージによってはレーシング、シューティングゲームをプレイする場面もある。また、BGMや演出からは『アウトラン』『アフターバーナー』『ファンタジーゾーン』『スペースハリアー』といった往年の名作ゲーム(特にセガのもの)へのリスペクトが神谷D曰く「ギリギリのライン」まで強く反映されており、他作品のパロディや小ネタが随所に散りばめられている。
その一方でキャラクターからエフェクト、体力ゲージやメニュー画面といったUI(User Interface)の隅々まで抜かりないハイセンスなデザインと美しい世界観、そして拘りのある美学とフェティシズムが徹底されており、その絶妙なバランス感と強烈な個性に魅了されたファンも多く、アニメ化、グッズ展開、続編の制作、他作品とのコラボレーション、そして最新プラットフォームへの移植が続いているタイトルである。

500年前、歴史の観測者であるアンブラの魔女とルーメンの賢者の間に起きた大規模な抗争を発端とした、恐れに駆られた人々による魔女狩りが起きた。
凄惨な抗争と魔女狩りにより、歴史の観測者たる一族は両者とも滅亡してしまったが、唯一湖の底に封印されることで生き延びた魔女がいた。
その魔女は20年前に何者かの手によって目覚め、ベヨネッタと名付けられた。
ベヨネッタは自分が魔女であること以外の全ての記憶を失くしており、空白の過去を抱えたまま人間の裏社会で天使を狩る日々を過ごしていた。
そんなある日、記憶に関する唯一の手掛かりである自らが所有している双子の宝石の片割れの情報を耳にする。

『ベヨネッタ』のあらすじ・ストーリー

PROLOGUE 序章

天使を迎え撃つ二人の魔女(500年前)

かつてヨーロッパの辺境には、時の権力者に仕えながら悠久の歴史を見守る二つの部族がいた。
闇の従者であり月の力を操る魔界側の一族アンブラの魔女と、光の従者であり太陽の力を操る天界側の一族ルーメンの賢者。
両者は互いを敬いながら不可侵の掟を守り、世界の観測者として力の均衡を保っていたが、ある日を境に反目し合い、ヨーロッパ全土を巻き込む凄まじい抗争を起こした。拷問、暗殺、惨殺…かつてない熾烈な戦いは開戦から数年後、隠密を旨とする闇の力に圧された賢者一族が滅び、アンブラの魔女の勝利で終結したものの、人々はその圧倒的な魔女の力を恐れ、「神の奇跡」を後ろ盾に凄惨な「魔女狩り」を始める。それにより、先の争いで生き残った魔女は捕えられ、徹底的に断罪された。
ルーメンの賢者に続きアンブラの魔女も滅びた今、歴史の観測者は滅亡したかに思われた。

天使を見据える尼僧に扮したベヨネッタ

「The Gates of Hell」に向かう途中、天使と共に現れた謎の美女(右)

数百年後の現代。とある墓地で裏社会の情報屋エンツォが運んできたワケあり死体の葬儀中、天使が舞い降りる。葬儀を執り行っていた尼僧は、その天使を迎え撃ち、瞬時に皆殺しにした。
彼女こそが、20年前に湖の底に沈んでいた棺桶から蘇った魔女ベヨネッタである。「銃剣」を意味するその名は仮初であり、彼女は自分が魔女だということしか覚えていなかった。
魔女としての本能か、それとも契約の魔獣による囁きがあったのかは定かではないが、ベヨネッタは己が魔女として強大な力を振るえるのが自らの魂を担保とした悪魔との契約の賜物であること、そしてその契約が自分が死ぬ、若しくは魔界への「生贄」を一日でも絶やすことで破棄され、地獄に堕とされた後は未来永劫苦痛を与えられるということを理解しており、故に彼女はその「生贄」である天使を狩ることで命と魂の危機を回避しつつ、同時に過去を探し求める日々を過ごしていた。
天使を一掃したベヨネッタは、失われた記憶の唯一の手掛かりである自らが所有している宝石の双子の片割れの情報を聞くため、先の戦闘から一足先に戻った彼女の仮の名付け親である魔界の名工ロダンの経営するバー「The Gates of Hell」まで、天使や謎の銀髪の美女の襲撃を交わしつつ向かう。

ベヨネッタ達が「The Gates of Hell」で一息ついていると、ロダンは昨今の騒動について、人間界・天界・魔界の三位一体構造の世界の均衡が崩れ始めていると語り始める。
それはロダン曰く、ヨハネの黙示録をも超える天界と魔界の全面戦争の危機であるのだが、ベヨネッタは「仲良し同士勝手にすればいい」と興味無さげな態度をとる。
そんな彼女にロダンは「この騒ぎの目的はお前の記憶目当ての誘い出しだ」と続け、彼女のために作成した特別製の4丁の銃「スカボロウフェア」を渡し探るよう促す。
ベヨネッタは、約束の無い相手はお断りだと言いながら、「小物相手も退屈してきたし、そろそろもう少し上品な子たちとも遊んでみようかしら」とその誘いに乗るのであった。

CHAPTER I 天使の住む街

列車の中で奇妙な声を聞くベヨネッタ。彼女を「娘」と呼ぶこの声を、物語中度々聞くことになる

ベヨネッタが持つ宝石の片割れは「光の右目」といい、揃って「世界の目」なのだという。
「光の右目」は何百年もの間、人の手を渡り歩いた末に永らく所在不明であったが、先日ブラックマーケットで売りに出された。が、その法外な値段に買い手が付かず、再び闇へ逆戻りしたという。
その双子の宝石の片割れを闇競売にかけた者がヨーロッパの辺境にいるという情報を得たベヨネッタは、目的地ヴィグリッド行きの列車の中で眠っていた。
記憶の断片を夢見ながらふと目覚めたベヨネッタは、到着のアナウンスを聞いて下車しようと移動するが、その途中奇妙な声を聴く。
「やっと来てくれたんだね。我が愛する娘よ。これで“世界の目”が目覚める時は目前に迫った」と。
ベヨネッタは不審に思うものの追求せず、ヴィグリッドに到着したベヨネッタは普通の人間には観測・干渉できない世界の狭間「プルガトリオ」を経由して探索を開始した。
街の人間達は信心深く教義に則ったものなのか法衣のようなものを着用しており、至る所に天使がいた。
天使達を狩り天使の輪「ヘイロウ」を荒稼ぎしながら進むベヨネッタがある場所にたどり着いた時、過去に起きたらしい天使による凄惨な虐殺の現場の記憶が蘇る。

500年前のベヨネッタ

CHAPTER II 奇縁の街 ヴィグリッド

再びベヨネッタの前に現れた謎の女

女は、ベヨネッタの中に眠っている500年前の記憶の断片にも登場した。名はジャンヌと判明した

天使の襲撃と過去の記憶のフラッシュバックに見舞われつつ探索を続行している最中、謎の銀髪の美女と再会する。
何処か記憶に引っかかるその姿と力に、ベヨネッタは「昔何処かで会ったか」と尋ねるが、女は「永い眠りで頭まで鈍ったようだ」と皮肉を返す。
ベヨネッタから取り上げたブローチを片手に「目覚めてから20年無駄に過ごしたようだ」と辛辣な言葉を吐く女に、ベヨネッタは「よかったら色々教えてくれないかしら?」と軽口で返し、情報を引き出そうとする。
女がそれに応えるように「二つの観測者。“世界の目”この世の全てを司る力」と言った途端、ベヨネッタは白昼夢のようなものに襲われる。
見知らぬ場所に、周りには魔女。一族の長らしき老女は、眼前の魔女に向けて言う。
「正当後継者ジャンヌよ。一族の長にふさわしい戦士か否か、その力を今こそ示すのだ」そして「組み手の兵団を選ぶがいい」と。
ジャンヌと呼ばれた女は「あの日陰者をここへ」とある魔女を指すが、老女は不浄の血を引く者との交わりはアンブラの崇高なる教義への冒涜となると拒否する。
だがジャンヌは「初めてではない」と言い、その「日陰者」もまた、正式な決闘の誘いに対し、ぬいぐるみでももらえるならと言って誘いに乗った。
二人が闘いに興じ始めたところでベヨネッタは現実に引き戻され、月の光の力を取り戻した。そして先程の女が白昼夢の中で見たジャンヌなのだと気づく。

ベヨネッタを追うフリージャーナリスト・ルカ

ルカは幼少期に目撃した父親の死に、ベヨネッタが関係していると信じている

ヴィグリッド市街地では、ベヨネッタを追うフリージャーナリスト・ルカが騒ぎを起こしていた。
追手を撒いたところで、ルカは甘い香りに気付き、同時にプルガトリオにいるベヨネッタの存在に気付く。
「フルール・ド・シレ(シレ―の花)」…フローラルブーケの名香であり、記憶・思い出の花言葉を持つローズマリーが織りなすその甘い香りを「お前には似合わない」と目には見えないベヨネッタを批判し、ベヨネッタは自分を追ってきたことを称賛するも「お利口になったじゃない。チェシャ」と軽くあしらう。ルカは天使が現れたことにも気付かず、尚も濃くなったローズマリーの香りが強まったことを受け、その香りは父が殺された日に嗅いだものと同じであると怒り交じりで詰るが、ベヨネッタは「私の香水にローズマリーは使われていないわ。だってあれは魔よけの香りだもの」と返し、天使と戦闘を開始する。
戦闘後、静まり返った広場で「後ろ暗いやつ程こんな風によく逃げる」と吐き捨てるルカの言葉を、ベヨネッタは複雑な表情で聞いていた。

突如現れた謎の少女。彼女の顔を見た瞬間、ベヨネッタは記憶の断片が呼び起こされた

高台にある古い建物に移動したベヨネッタは、謎の少女と出会う。信仰を感じさせない服装からこの街の子ではないと推察したベヨネッタは警戒を緩めることなく少女を注意深く観察する。俯いていた少女はやがて顔を上げ、目が合った瞬間ベヨネッタは白昼夢を見る。
冷たい格子の嵌った寂れた場所にそぐわぬ子守唄『Fly Me To The Moon』が優しく響く。だがすぐに現実に引き戻され、気づけば既に少女の姿はなく、入れ替わりのように敵の襲撃を受ける。

CHAPTER III 燃える大地

記憶の中でも圧倒的な力を見せつけていたフォルティトゥード

oshimoond7
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