まもって守護月天!(初代/解封の章)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『まもって守護月天!』とは1996年から『月間少年ガンガン』にて連載を開始した桜野みねねによるハートフルコメディ漫画及び、漫画を原作としたアニメ作品のことである。幼少期より家族の不在によって心に寂しさを抱えて過ごしてきた少年が、父からの贈り物によって呼び出された精霊たちと生活を共にして賑やかな日々を送るようになる。日常のドタバタ劇だけではなく、登場人物たちの恋模様や頼りなかった少年が徐々に成長していく姿も見どころだ。

その他の用語

俺作すごろく

太助を立ち直らせるため、すごろく大会を計画したキリュウ(上)

たかしが企画して花織がイラストを描いた自作のすごろく。各自のコマは消しゴムを使っており、シャオは水族館に出かけた時翔子にクリオネの消しゴムをプレゼントしている。那奈に無理やり連れだされジャングルでおなかを壊して寝込んだ汝昴を励ますためにたかしや乎一郎が太助の家を訪れて遊んだほか、シャオにフラれたと思い込み落ち込んだ太助を立ち直らせるため紀柳の計画によって使われたことがある。
すごろくの内容はたかしと花織が話し合いを重ねて作られているが、こだわり屋のたかしが花織が出した案をことごとく却下してしまうため製作はなかなか進まない。
過去汝昴とたかしの間で行われたすごろく勝負の結果は、8戦8敗1引き分けと汝昴が負け越している。おなかを壊して寝込んでいた際は心配する乎一郎をよそに自分のコマに陽天心を掛け勝負を挑んだが、最終的に負けてしまったため汝昴は陽天心を掛けたコマに文句を言っていた。

『まもって守護月天!』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

シャオ「だってかぐや姫も本当は月に帰りたくないんだもん」

『竹取物語』の劇を一所懸命に練習する乎一郎を見たシャオの言葉

文化祭で『竹取物語』を演じることになった太助たち。みんなが帰った後も一人屋上で練習をしていた乎一郎を見ていたシャオは、ある日乎一郎になぜそこまで頑張っているのかを訊ねる。
帝の役を演じることになった乎一郎は汝昴演じるかぐや姫に向かって「どうか月には帰らないで私の元へいてください」という言葉にすべてをかけていた。汝昴が好きなのは太助であり、自分がかなわないことはわかっているが少しでも自分の言葉で汝昴に心を動かしてほしいという願いを込めて、真剣に取り組んでいた理由をシャオに明かす。
いつか必ず別れる日が訪れることを理解しながらも、何年にもわたって文通を続けお互い想い会っていたかぐや姫と帝。それを聞いたシャオは乎一郎に「汝昴さんは必ずはいって言ってくれますわ」と笑顔で励ます。そして太助と別れたくないと心のうちで願っていたシャオは「だってかぐや姫も本当は月に帰りたくないんだもん」と続ける。役目を果たすことを考えていたシャオの思わぬ本音がこぼれ落ちた一言だった。

花織「どんなことだって絶対叶うって信じてるもん!!」

夢見がちでぶれない花織(画像上)に対して思わず才能だなとつぶやくたかし(画像下)

太助に恋する花織は、七夕に願いを掛ければ必ず夢が叶うと信じてひとり学校の屋上で七夕飾りの準備をしていた。一方太助とシャオの仲の良さを見て自分の入る隙はないと感じ、シャオのことを諦めようと考えていたたかしは、一人準備する花織を見ながら「なぜ勝ち目はないのにそこまで一途になれるのか」と困惑していた。七夕の伝説を信じ、願いを掛ければ望みが叶うと言い切る花織にたかしは「もっと現実を見て諦めろよ」と花織を諭すが、彼女から返ってきた答えは「どんなことだって絶対叶うって信じてるもん!!」という強い意志だった。たかしは「乙女チックもあそこまで行くともはや才能だよなぁ」とつぶやく。

その後成り行きで飾りの手伝いをすることになったたかしだが、まだ飾られてない短冊を見て「好きな人と一緒に星空を眺めたい」というささやかな願いをかなえるために花織に協力することを決意。太助一人を屋上に呼び出す計画を立てるものの、友人を危ない目にあわせることに躊躇して断念した。健気に屋上で太助を待ち続ける花織を心配したたかしは「関係ないけど心配だ」と夜の10時30分まで花織に付き添う。たかしは思わず「太助の代わりに俺と空を見よう」とつぶやき、花織も「それもいいかもね」とたかしに背中を預けていい雰囲気になっていた。

那奈「悩むくらいなら役目果たせよ」

明るい性格の那奈(画像右上)も自分に心を開いてくれない紀柳に悩んでいた

主を成長させるという役目を持っている紀柳は、試練の過程で主を危険な目に合わせなければならないという事情から主や主の身内から嫌われて数千年を過ごしてきた。太助の家にやってきてすぐの時にも、紀柳が現れると警戒する姿を見せるような太助を見て「自分はもう主殿に嫌われ始めているんだろうな」と感じている。屋根の上でシャオに愚痴を言っている紀柳の会話を聞いてしまった太助は、考えを改めて試練に自ら向き合い「紀柳ともっと仲良くなりたい」と笑顔を向ける。

自分を嫌わないでいてくれる主に出会えて安らぎや幸せがあることを知った紀柳は、表情も柔らかくなり楽しく日々を過ごしていたが、太助の姉である那奈が家に戻ってきた事によって生活が一変した。那奈は紀柳に笑顔で接し交流を深めようとしたが、特に主の家族から罵声を浴びせられながら過ごしてきた紀柳は戸惑う。
自分にかまってくる那奈をどうしたらよいかわからずにいた紀柳は「どうしてそんなに自分を嫌うのか教えてくれない?」と問うてきた那奈に対して「嫌っているのは那奈殿のほうだろう」と返してしまう。長い時を紀柳が超えられてきたのは、家族から嫌われて過ごすことでやがて来る主との別れの時を辛いと思わずに済んだからだった。
翌日那奈から「あんたのことなんてもう知らない」と宣告されてしまった紀柳は、ショックから家の中の様々なものに『万象大乱』を掛け出ていってしまう。翌日学校でも暴走する紀柳を追いかけてきた那奈は、逃げようとする紀柳に「悩むくらいなら役目果たせよ」と告げた。誰かに好かれ、誰かの役に立ちたいと思うほどの余裕がない時代を生きてきた紀柳は自分を必要としてくれる人の存在に気付き涙する。
それからの紀柳は一歩引いた人との付き合い方を辞めて、那奈とも良好な関係を築いている。

紀柳「あなたの人生に意味はあるか」

紀柳(右)の問いは塞がっていた太助(左)の心に響いた

どれだけシャオに好きだと伝えても伝わらない事にに心が折れてしまった太助は「これから先もシャオが自分を好きになってくれないのなら、生きている意味がない」と考えるほどに塞ぎこんでいた。シャオと太助の仲を進めるためにはお互いに考える時間が必要だと判断した紀柳は、シャオを小さくして翔子のもとに預け太助の心を立ち直らせる為たかしや花織、出雲などにそれぞれ協力を依頼し、試練を仕掛けた。
ある日たかしと花織が作ったすごろくを持って、たかし、花織、乎一郎、出雲が太助の家を訪れる。シャオが居なくなったことですごろくどころではない太助をよそに、紀柳の先導によってすごろく大会が開始された。最初は周囲の様子すらまったく目に入っていなかった太助だが、客をもてなすこともせず一人殻に閉じこもる太助の様子を見かねた出雲に「そうやっていじけた姿を晒し続けることが、あなたに今できる最大限のことなんですか」と言われ、徐々に表情を取り戻していく。紀柳の指示によってすごろくのコマを進めた太助は、紀柳から「あなたの人生に意味はあるか」と真剣な表情で問われる。太助は「意味のある人生にしなきゃダメだろ」と決意の表情でつぶやき、汝昴にすごろくの続きを任せてシャオを探しに外へ飛び出した。
太助が去っていった後のリビングでは、普段はクールな紀柳がめったに見せない柔らかな笑顔を浮かべ「ご協力を心より感謝する」と御礼の言葉を述べていたのだった。

汝昴「もしあんたが黒天筒を拾ったとしたら、きっとその中に太陽が見えるわ」

自分の迷いを晴らしてくれた乎一郎(左)の純粋さを認めた汝昴(右)

中学生の時に初めて見かけたときからずっと汝昴だけを見つめ続けていた乎一郎。汝昴が見ているのは太助だけだと理解しながらも乎一郎はただひたむきに、純粋に汝昴に接し続けてきた。乎一郎の想いは無意識ながら汝昴にも届いており、太助を幸せにする方法がわからず悩んでいた汝昴は「人間を幸せにする方法を教えなさい」と乎一郎に相談する。
難しすぎてすぐに答えが出てこないと悩む乎一郎だったが、乎一郎が幼いころ祖母から言われた「誰かを大好きって思えることが幸せなんだよ」という言葉を汝昴に伝えた。乎一郎の言葉を聞いた汝昴は後日「誰かを大好きって思えることが幸せなのだと思ってくれる人がいることは、本当に幸せなことね」と優しげな微笑みを乎一郎に向ける。どこか切なげな大人っぽい表情で「そうだね」と答える乎一郎に汝昴は「あんたもきっと見えるわよ。もしあんたが黒天筒を拾ったら、その中に気っと太陽が見えるわ」と乎一郎の純粋さや心の清さを認める発言をするのだった。汝昴からの意外な賛辞に驚きながらも、乎一郎は「それは光栄だな」と嬉しそうに言葉を返していた。

『まもって守護月天!』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

3精霊の衣装の違いから見るそれぞれの性格

ボーイッシュで動きやすいパンツスタイルが似合う紀柳

作中様々な衣装を披露して華やぎを与えてくれているシャオ、汝昴、紀柳。彼女たちは基本それぞれ支天輪、黒天筒、短天扇の中で過ごす際の基本コスチュームが決まっているが、それ以外でも服装の好みがはっきり分かれた私服を着用しておりそれぞれの精霊の性格の違いを垣間見ることができる。
まず全体的におとなしい印象を抱くシャオの基本衣装は落ち着いた長めのスカートである。デザインはどこか中国服を思わせるもので裾に房が付いており、頭には小さな珠をあしらったカチューシャのようなものを身に着けている。またシャオは守護月天として主を守るため戦闘をこなさなければならないが、チャイナドレスのように深いスリットが入っている為比較的俊敏に動くことができる。
私服はやはり丈が長めなスカートが多く、普段の買い物の際や旅行に出かけるときもスカートスタイルが多い。料理をするときはエプロンを着用している。そのほか度々水着姿を披露しているがシャオの水着はビキニスタイルだったり釣り紐がないタイプのワンピースなど露出度が高い大胆なもので、普段ダウンスタイルの髪を結いあげて活発に楽しんでいる。

積極的で勝気な性格の汝昴は、基本衣装も露出度がとても高く大胆なものである。袖にシースルー素材をまとっているがおなかを出したセパレートビキニのようなスタイルで、腰布を巻いている。学校の教師として仕事をしている汝昴の私服はスーツ系が多いが、ぴったりとした素材のミニスカートや派手なリボンが結んであるなど教師にしては派手な服が多い。スタイルが抜群な汝昴は海に遊びに行った際釣り紐が無く背中が大胆にあいた水着を着用していたが、バスタオル一枚で男湯に潜入したこともある。

沈着冷静でクールな印象の紀柳の基本衣装は、黄色やオレンジを基調としたボーイッシュなパンツスタイルである。作中での登場が遅かったためあまり私服は公開されていないが、基本すべてパンツスタイルである。扉絵のサービスカットとしてスカート姿が描かれたことはあるが、本編では登場していない。また寝起きが悪い紀柳は度々睡眠中の姿を描かれている。パジャマを着ていることが多いが、熱い夏の日にはタンクトップ一枚で夕方6時まで寝ていたこともある。寒がりな為出雲の家にみんなでかまくらを作りに行った際には、半纏を着込んでこたつで暖まりつつ皆の様子を遠くから眺めていた。

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