っポイ!(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『っポイ!』とは、この物語の主人公である、背が低く可愛らしい顔立ちからよく女の子に間違われる天野平と、頭が良くスパーツ万能な幼馴染の日下万里を中心に繰り広げられる中学3年生の学園青春ストーリーである。甘酸っぱい恋心・受験・友情関係・親子関係の悩みなどの思春期の複雑な心以外にも、自殺やイジメなどシリアスな場面も多く描かれているが、コメディーを織り込み誰もが楽しんで読めるように工夫されているため、同世代の子供たちの心に響く作品である。

『っポイ!』の概要

出典: ameblo.jp

『っポイ!』とは、1991年に白泉社「LaLa」で連載が始まった、やまざき貴子の漫画である。途中、「MELODY」での連載に変わり、2010年8月28日発売の10月号で最終回を迎えた。
単行本は全30巻が発売されている。

また、日本テレビ系で、1999年5月9日~1999年6月27日(日曜日昼11:40~12:00 全8話)に、山下智久主演でドラマ化もされた。VHSやDVDの発売はされていないが、2008年7月17日にアイディアファクトリー(オトメイト)から、PlayStation 2用のソフト「『っポイ!』 ひと夏の経験!?」が発売されていた。
その他、「LaLa」と「MELODY」で連載中に、応募者全員サービスとしてドラマCD化や、ゲームの予約特典としてもゲーム内のキャストによるドラマCDが制作されていた。これらは非売品である。

東第一中学校3年D組の天野平は、身長150cmと小柄なため女の子に間違われることは日常茶飯事の男の子。3歳の時に自宅の隣に引っ越してきた日下万里は、同じクラスに通う幼馴染。学校生活でもプライベートでもいつも隣にいるのが当たり前の存在の平と万里だったが、中学3年生になった二人には大きな違いがあった。それは、学力である。万里は常に学年トップを争う優秀さだが、平は勉強は苦手で万里とは正反対の成績だった。
お互いにレベルが違う高校を受験しなければいけない現実の中で揺れ動く二人を取り巻く学校生活の中で、恋愛や友情関係、イジメや登校拒否など様々な問題が次々と起こる。平と万里はこれらの問題に巻き込まれながらも、受験という大きな壁に立ち向かっていく。同級生に誘われて入部したバスケ部では、勝ち負けにこだわる気持ちやバスケの楽しさに気付きながら、部活を通して知り合った友人たちと様々な経験を重ねていく。
『っポイ!』は、中学3年生から高校入学までの1年間を描いているが、中学3年生という多感な時期の子供達の複雑な感情や抱える悩みなど、シリアスな内容も冗談を交えながら、笑いあり涙ありの作品である。

『っポイ!』のあらすじ・ストーリー

『っポイ!』第1巻

出典: www.amazon.co.jp

『っポイ!』第1巻 表紙

第1話「15年の軌跡」

ある日の昼休み、3年D組では、一人の男子生徒がクラスの男子達から「かわいっポイツラ。加えて全国の中学3年男子平均身長をはるかに下まわった上背」とバカにされていた。
その名は天野平。東第一中学3年生で、この物語の主人公である。

放課後、平の隣に住む親友の日下万里は調理実習で作ったというクッキーを複数の女子生徒から受け取っていた。その様子に呆れた平が帰ろうとした時、3年A組の花島田英達がやってきた。花島田は長身の万里をバスケ部に勧誘に来たのだ。
万里を置いて先に帰ろうとした身長150cmの平に、花島田は「生まれてから15年間の人生をムダに過ごした」と言い切った。怒った平は花島田と言い合いを始める。
その時「うるさい」と怒鳴りながら、平とクラスメイトの相模真がやってきた。「やかましい」と相模に言われた万里は、相模と一緒にいたクラスメイトの一ノ瀬雛姫に話しかけた。突然万里に話しかけられた一ノ瀬は、うつむきながら相模の後ろに隠れてしまった。この一ノ瀬の行動を見た平はなぜか苛立っていた。

翌日以降も、うつむいたり相模の後ろに隠れる一ノ瀬の様子が気になる平。
そんなある日、平が邪魔で教室に入れなかった一ノ瀬は、平と目があった瞬間「ごめんなさい」と謝って逃げてしまった。なぜ一ノ瀬を見るとイライラするのかが分からずにモヤモヤしている平は、受験勉強にも身が入らずにいた。

万里に待ち合わせ場所に指定された店に向かっていた平は、トラックにひかれそうになった老人に出会う。「娘夫婦の家に遊びに来ていて散歩をしていたら迷った」という老人に、住所が書かれたメモを見せられた平が道順を説明するが、道順通りに向かおうとした老人は再び車にひかれそうになり、平が住所の場所まで付き添うことになった。
その時、どこからか「おじいちゃん」という声が聞こえてきた。声の主は一ノ瀬だった。平が出会った老人は一ノ瀬の祖父だったのだ。平に気付いた一ノ瀬は逃げるように「ありがとう」と背を向け帰ろうとする一ノ瀬の腕を、とっさに掴み「言いたい事言えばいいだろ!上向けよっ上向いた方が」と大声で訴えかける平。その瞬間、一ノ瀬は涙を流し走って行ってしまった。
平と一ノ瀬のやり取りを見ていた一ノ瀬の祖父は「あれくらいいわにゃあ、あの子の赤面症は治らん」と平に伝える。一ノ瀬が赤面症であったことを知らなかった平は、一ノ瀬に言ってしまったことへの後悔をするのだった。

次の日、昨日泣かせてしまったことを一ノ瀬に謝ろうと決意した平だったが、一ノ瀬と相模が好みのタイプの話をしているところに遭遇してしまう。一ノ瀬が自分よりも背が高い方がいいという気持ちを聞いた平は、なぜかショックを受けてしまう。平が落ち込む理由を「小さいより大きい方がいいってあいつが言ってた」と聞いた万里は、放課後校庭裏で待つようにと平に伝えた。

放課後万里に言われた通り、校庭裏で待っていた平の元に、相模が「何の用だ」と現れる。そう、万里は平が言っていた「あいつ」を相模だと勘違いし、相模に果たし状という名の手紙を渡していたのだった。勘違いだと説明したい平だったが、相模に「チビ」呼ばわりをされたことに腹を立て、相模と言い合いになってしまう。
二人の様子を陰から伺っていた万里が大笑いをしながら現れる。平から人違いだったということを聞かされた万里。

相模や万里よりも大きくなると心に決めた平は、万里を引き連れて花島田の元に向かった。平は万里のオプション付きでバスケ部に入部することを花島田に許可されたのだった。

第2話「Born Free」

背を伸ばすためにバスケ部に入部した平だったが、バスケ部の練習中はなぜか1年生と一緒にボール磨きをさせられていた。同じ新入部員のはずの万里だけが、試合形式の練習に混ぜてもらっていることを不満だと花島田に抗議する平。花島田は「フリースローが成功したら考えなおす」という条件を提示する。平はリングに向かってボールを投げる。放たれたボールはリングを飛び越え壁に当たってバウンドして戻ってくる。予想外の平のバカ力に大笑いする部員達。平は大人しくボール磨きの続きをするのだった。

下校途中、突然「最近一ノ瀬が男子から評判いい」と言い出す万里にドキッとする平。万里は「彼女うつむかなくなった。そしたら見た?けっこうかわいいんだよ」と続けた。平は「見えてたよ」と答える。一ノ瀬よりも背が小さかった平はすでに一ノ瀬が可愛いことを知っていたのだ。さらに平は、一ノ瀬に恋心を抱いていると気付いてしまっていたのだった。
家族について書く宿題のプリントを握りしめ続ける平に「破きたくなる気持ちもわかる。もらわれっ子の平には酷な課題だ」と語りかける万里。
平は、17歳の兄の和、14歳の妹の成、母の昭、父の正、祖父の大と一緒に暮らしているのだが、誰も平と同じ黒髪の家族はいなかったのだ。

帰宅した平は、和と成と共に、自分の部屋で趣味であるパソコン操作に没頭し、異様な雰囲気を醸し出す正に挨拶を済ませる。その時、大が祖母の治と一緒に帰ってくる。治はホラー小説を書く作家で、仕事場でもある別宅に一人で住んでいた。
夕食後、母の昭から、治に頼まれた戸籍謄本を翌日に取りに行って欲しいと頼まれた平。「同じ受験生なのにズルイ」とわめきながら、勉強中の和の背中を蹴る平。怒った和が「オレは4時間しか寝てないんだ」と怒鳴ると、平の上に乗っかったまま眠ってしまった。そこに万里がやってきた。寝ぼけ眼で万里を見た和は、万里に「まりちゃん」と抱きつく。万里のお陰で平は無事生還することができたのだった。

翌日の放課後、昭に頼まれた戸籍謄本を受け取りに役所に向かった平。係の人から「戸籍謄本は除籍しない限り全員の名前が記載されますから」と治へ伝言を頼まれた平は、役所からの帰りに初めての戸籍謄本を見たくなり封筒を開けてみてしまった。封筒の中には、祖父母の戸籍謄本と一緒に、平の家族の書類も入っていた。しかし、家族分の書類には、なんと平の名前は記載されていなかったのだ。本当にもらわれっ子だったのかと落ち込みながら平が自宅に戻ると、和から治が倒れて病院に運ばれたと聞かされる。

和と成とともに病院に向かった平。病院に着いた平たちと既に待っていた昭が話していると、昭が正がいないことに気付く。正は、事務室で勝手に病院のパソコンを操作していたのだった。その時、やってきた主治医から治の状況が「絶対安静」と平たちに伝えられた。医師から一度帰るよう促された平たちは、病院のパソコンを勝手に操作している父を連れて自宅に戻る。

自宅で治の体のことを心配する家族の中で、戸籍謄本のことを考えていた平だけ上の空だった。平が戸籍謄本を渡すため大の部屋を訪れると、部屋の中では大が治の写真を手に涙を流していた。大の様子から治の死を感じとりショックを受ける平が部屋へ戻ろうとした時、成が「おばあちゃんはさ、大丈夫だよ、平」と言いホットミルクを手渡す。成の優しさに触れた平は自分のことばかり考えていたことを反省する。

次の日、一日がかりでも家族についてのアンケート文をかけずにいた平は、放課後、担任の二下に監視されながらアンケート文を書くことになった。治が危篤だと訴える平の言葉を全く信じようとしなかった二下に、平は「ばあちゃん死んだら恨みます」と伝えながら書き上がったアンケートを提出し家に急いだ。ダイニングテーブルの上に病院から電話があったとのメモがあることに気付いた平は、慌てて治が入院する病院へ向かった。

治が危篤だと思い込んでいた平は、病室に入るなり「おばあちゃん死んじゃやだあっと泣きながらベッドに飛び込む。すると「平、何やってんだいおまえは」と治が話しかける。我に返った平は間違えてしまった患者の家族に大慌てで謝り、治の元にやってくる。
平は「オレ血ィ繋がってなくてもうちの子だよね」と治に聞いた。突然の平の言葉に驚く治だったが、平が戸籍謄本を見てしまったことを説明すると大爆笑する。治は「謄本には養子と書く欄はあっても空欄はない。謄本はいじれないから、お前達の抄本で遊んでみた」と平に伝えた。「ばばあ、オレの2日間を返せ」と大暴れする平に、治は「今でこそ白髪だけど、若い頃は美しい黒髪の持ち主だったんだよ」と自慢するのだった。
無事、この日治は退院することができた。

家族との誤解も解けた平が普段通り元気いっぱい友人達と過ごす中、平が書いた家族と血が繋がっていないという内容のアンケート文を読んだ二下は大号泣するのだった。

第3話「0×0(ラブ・オール)」

バスケ部の練習前、部室で手や足の大きさを比べる平と万里。万里は体育館のギャラリーに一ノ瀬が来ているかを賭けないかと、万里は平に話を持ちかけた。一ノ瀬の名前に焦り出す平は、一ノ瀬が来ていない方にかけることになってしまった。
平と万里が体育館に向かうと、花島田から「来週の日曜日燕ノ巣中学と練習試合をする」と伝えられる。花島田の話をそっちのけに一ノ瀬の姿を探す平と万里。万里が指を指した2階のギャラリー席に一ノ瀬の後姿があった。平の負けが決定する。

翌日の日曜日、平と万里はバスケ部の練習をサボり、新作のパズルを買うため出かける。昨日の賭けで負けた平のおごりで昼食を取る平と万里。楽しそうに話す平の姿に見惚れる男性が一人店内にいた。店を後にした平と万里の後を追う男性。男性が角を曲った瞬間、万里と平が待ち構えていた。平に「ボクと付き合いましょう」という男性に、万里は「根本的に間違っている」と言い、平の胸を触らせた。男性がショックを受ける間に逃げた平と万里であった。

月曜日、学校内ではバスケ部が次の日曜日に学校の体育館で練習試合をするという話で持ちきりだった。一ノ瀬は相模に「次の日曜日学校に付き合って欲しい」とお願いする。

そして、東第一中学と燕ノ巣中学のバスケの練習試合の日。
平と万里が着替えを終え、体育館に向かうと、体育館のギャラリーは大勢の人で埋め尽くされていた。その人数驚いている平の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。なんとそこには、平に交際を申し込んだ男性がいた。思わず平が「チカンヤロー」と呼んだ相手は、オフェンスキングの鷹丘虎雄だった。
そして試合が始まった。
噂どおりバスケの腕がピカイチの鷹丘に叶わないと感じた万里は、試合中に鷹丘の耳元で「チカンヤロー」と呟く。ショックからフリーズしてしまった鷹丘からボールを奪ってゴールする万里を見た平は、万里をカッコイイと思う。
万里は「チカン」という言葉で鷹丘をメンタル面から崩していくようチーム全員に伝達する。メンタル崩壊寸前だった鷹丘は、チームメートからの「正気に戻れ」という言葉で本来のプレーをし始める。立ち直った鷹丘に点差をつけられた状況を見た万里は、花島田に平を試合に出すよう要求する。
メンバーチェンジで試合に出された平を「とうとうチアガールまで試合に出すのか」とバカにした鷹丘は、試合中にも関わらず平と言い合いになる。その隙に万里と花島田はどんどん点差を詰めていく。
ハーフタイム中、万里が「ゲームは勝たなきゃイミがない」とつぶやいた時の悔しそうな顔を見た平は、幼い頃の万里を思い出していた。
後半戦が始まった時、平の前にドリブルした鷹丘が近づいてきた。とっさに平は鷹丘からボールを奪う。
それからの平は、体の小ささを利用しボールを奪い、ゴールへと繋げていった。残り時間が僅かというタイミングで、平はフリースローを獲得する。
1本目のフリースローを見事決め、2本目を外した瞬間、万里は平に走るように叫ぶ。
残り10秒。万里はゴールでリバウンドをすると平にパスする。
シュートをしようとする平の前に立ちはだかる相手の二人の選手。シュートが打てないと思った平は、床に落下しながら渾身の力を込めて、右手でボールを放り投げた。
ボールはゴールリングを回るようにネットの中へ落ちていく。その瞬間、ゲームセットのホイッスルが鳴った。東第一中学の勝利が決まった。
応援に来ていたギャラリーは歓喜で沸いた。呆然とする平のところにはチームメイト達が続々とやってきて、勝利を分かち合った。

その時、同級生のプレーに感動する一ノ瀬と相模の後ろの方で、拾った一ノ瀬の生徒手帳に挟まれた写真を覗く男子生徒の姿があった。

試合を終えた鷹丘は、平を侮辱するようなことを言ったことを謝り、花島田に「首を洗って待っていろ」と告げ帰っていった。

第4話「レディゴー!」

一ノ瀬が制服を脱ごうとする夢を見て悲鳴をあげた平は、和に起こされて目が覚める。
万里と共に登校すると、万里宛の大量のプレゼントの中に「くさかコロす」と書かれたカードが入っていた。特に脅迫される心当たりがないと言い切る万里は、中学生活は残り半年だから問題ないと考えていた。進路の話をしながら教室に向かっていた平と万里は、一ノ瀬と相模に遭遇する。
一ノ瀬が平に声をかけてくるが、平は今朝見てしまった夢のことを思い出してしまう。一ノ瀬への対応に困っていると、予鈴がなり、平は万里を連れその場から逃げるように教室に行ってしまった。

英語の授業中、突然右手をケガした万里を見た女子生徒が悲鳴をあげる。万里の右手からは大量の血が流れ出し、慌てた英語教諭が万里を保健室に連れていった。休み時間になっても教室に戻ってこない万里を、平は保健室に迎えに行く。次の体育の時間がフォークダンスの練習をすることを平から聞いた万里は、ベッドから飛び起き保健室を出ていってしまう。
校庭までの移動中、平から「どうやって切ったんだよ」と聞かれた万里は「机の中の辞書を取ろうと、机の中に手を入れたら」とケガをした状況を答えた。
体育の時間に、以前泣かせてしまったことを一ノ瀬に謝ろうと気合を入れる平だったが、一ノ瀬とのペアのタイミングで担任の二下に邪魔をされ、一ノ瀬と手を繋ぐことも謝ることもできなかった。一方、平とペアになった相模は、普段と変わらず背の高さで言い合いになる。平が相模から離れる際に言った「ヤな女」という言葉に傷ついた自分に違和感を感じていた。

視聴覚室での授業のために、教室移動していた平と万里。近道になるホールを突っ切ろうとした時、万里の頭上から地球儀が落下してきた。割れた地球儀からは「くさかコロス」と書かれたカードが出てくる。命を狙われているにも関わらず落ち着き払っている万里に、平は「少しは真剣になれよ」と怒鳴る。

下校時、万里にケガを負わせた犯人は誰なのかと話していた平と万里だったが、突然万里が「相模と一ノ瀬どっち好きなんだよ」と平に問いかけた。そんな二人の姿を教室から眺めていた一ノ瀬に、相模は「日下が好きなんだろう?私、天野好きっポイ」と声をかけていた。

翌日、相模の平への気持ちを知ってしまった一ノ瀬は、平の名前を聞くだけでドキドキしている相模を見て戸惑っていた。
放課後、バスケ部の休憩中、平は万里に犯人の目星がついたかを尋ねる。万里は、手を切った件はクラスメイト、地球儀落下の件はクラスメイト以外の3年男子という見解を語る。平が練習に戻った時、見学中の万里のそばを通った男子生徒のポケットから「くさかコロす」と書かれたカードが落ちるのを目撃した万里。
走って逃げていった男子生徒を追いかける万里が階段を上った時、階段の上から大量のボールが転がり落ちてきた。足を滑らせた万里は、階段から転がり落ちる瞬間、階段の上の方から女子生徒のスカートの一部が見え、かすかに女の笑い声を聞いた。万里はそのまま意識を失ってしまった。

万里は、左足とアバラ3本を骨折して入院することになった。
クラスメイトは万里を心配し、千羽鶴を折るなどお見舞いに行く準備を進めていた。万里が入院し見えない犯人からの攻撃はなくなったが、無意識に万里に話しかけようとしてしまう平は、万里と別々の高校に行くということは、毎日が今の状態なのだと寂しさを感じていた。

放課後、相模は「日下の見舞いに付き合ってやる」と部活を休んでまで一ノ瀬に気を遣っていた。慌てた一ノ瀬は、必死に好きな人が万里ではないと相模に訴える。その時、教室の外で誰かが立ち去る音がする。廊下に様子を見に行った相模は、修学旅行の写真が落ちているのに気付く。
一ノ瀬は咄嗟に相模から写真を取り返すと後ろに隠した。「修学旅行が楽しかったから。みんなで撮ったのが1枚しかなかったから」と弁解する一ノ瀬。一ノ瀬が生徒手帳に挟んでいた大切な物がこの写真だと分かった相模は「私も持ってる。他に人と写ってるのはいっぱいあるのに、天野と撮ったのは一枚しかないんだ」と、一ノ瀬に語りかけた。一ノ瀬は相模に「ごめんなさい」と何度も謝っていた。

その頃、病院にお見舞いに来た平と万里が「すき」と書かれたカードのことを話していると、クラスメイトの馬場と鹿須賀と三島がお見舞いにやってきた。右手の傷のことを気にする三人に「自分達で仕掛けた事だから?」と聞く万里。「オレらがやったのはカミソリだけ」と開き直る三人を、平は次々と殴り「冗談じゃ済まされない」と怒鳴りつけた。
暴れる平を押さえつけている万里の姿を見た馬場と鹿須賀と三島は驚く。そう、万里が足やアバラを折ったという情報は、入院という形をとり、見えない犯人から万里の命を守るための作戦だったのだ。
自分を狙った理由を尋ねる万里に、馬場と鹿須賀と三島は、一ノ瀬の好きな人が万里だと思ったからだと答える。しかし、一ノ瀬の好きな人が万里ではないということを聞き、お詫びにジグソーパズルを持ってお見舞いに来たのだった。

万里は、馬場と鹿須賀と三島に「すき」と書かれたテニスボールを見せる。「今回の事件は、オレ達+αのヒナキ隊、2年中心の日下君をひがむヒガミ隊、日下君に彼女を取られたとられ隊、日下ファンの好かれ隊の連係プレーだった」と説明する馬場と鹿須賀と三島。
納得した万里が、病室の壁を叩きながら「女とられてくやしいんなら実力でとり返してみろ。名前も名乗れないような事なら初めっからすんな」と怒鳴ると、病院中に響き渡るくらいの「すみません」の言葉と無数の足音がした。驚いた万里が廊下に出ようとすると、病院の廊下はプレゼントで埋め尽くされていた。
なおも犯人を探そうとする平に、万里は「ごめんなさい」と書かれたカードを見せ「もういいじゃん」と笑顔を見せた。

あらかじめ犯人の目星がついていた万里に怒る平は、好かれ隊なんかに好かれる万里はおかしいと怒鳴る。万里は「それでも好きって気持ちには変わりないんだぜ。お前は一ノ瀬のどこが好きなんだよ」と平に詰め寄る。誘導尋問に掛けられたことに気付いた平は、万里に「いつから気付いていたんだ」と問いかける。「初めからバレバレ」と答える万里だった。

翌日の放課後、平に呼び止められた一ノ瀬は、4ヵ月前に街中で平が「上を向け」といった時に逃げたことを謝りたかったと話し始める。平に謝ると同時にお礼も伝える一ノ瀬に「謝るのはこっちだ。ゴメン、ヒドイ事言った。そしてありがとう。一ノ瀬のおかげでバスケ始められた。背伸ばそうと思った」と伝える平。
そのまま、平と一ノ瀬は途中まで一緒に帰るのだった。

『っポイ!』第2巻

『っポイ!』第2巻 表紙

第5話「4センチの奇跡」

体育の時間、150cmから154cmに身長が伸びたことを万里に自慢する平。体育の時間が終わり、後片付けをしていた平は誰かに突き飛ばされ、体育用具に倒れ込んだ。万里が平を突き飛ばした男子生徒を追いかけた時、突然女子生徒の悲鳴が聞こえてきた。平が悲鳴の先をみると、一ノ瀬が倒れていた。
保健室に運ばれた一ノ瀬に付き添う相模は、一ノ瀬から食欲がなく最近あまり眠れていないことを聞く。ゆっくり眠るよう一ノ瀬に伝え保健室を後にした相模だったが、一ノ瀬の前で平のことを話題にしてはいけないと心に決める。一方の一ノ瀬も数日前に平と一緒に帰った事をヌケガケしたと思っていたのだった。

体育祭前日の夜、万里の部屋で宿題をやっていた平は、体育の時間に3-Bの梨野徹が平を突き飛ばしたところを見たと万里から聞き驚く。梨野のことをよく知らないと突き飛ばされた理由を考えていた平だったが、突然万里から「一ノ瀬とどうなってんの?」と聞かれ慌てる。平から「万里こそ誰が好きなんだよ」と聞き返された万里は、コッソリ教えると言い平の耳を舐めた。顔を真っ赤にして怒った平と万里がじゃれあう姿を、なぜか成の友人達が双眼鏡で眺めていた。

次の日の体育祭で、陸上部よりも速く走った平は、梨野から嫌味を言われる。何かと突っかかってくる梨野に万里は、体育用具に平を突き飛ばしたことを謝るよう促すが、梨野は「おまえも大嫌いなんだよ」と言い走り去ってしまった。
万里が出場する種目の場所に行くのと入れ替わりで、傷だらけで動けないクラスメイトの木村が平の近くに担がれてきた。すでに木村が出場する高跳びの集合アナウンスがかかっていた。平は木村の代役で高跳びの場所に連れて行かれてしまう。木村の棄権と平の代役を聞いた梨野は、「いい気になって何でもできると思うなよ天野」と平に嫌味を言い始める。平は「できないって自分で決めちゃ何もできない」と梨野に伝え、高跳びに挑戦し始める。踏切の足がどちらかも分かっていなかった平が、一段一段バーをクリアしていく姿は全生徒から注目され始める。
その頃、仮死状態の木村から梨野がタイムが伸びず悩んでいることを聞いた万里は、梨野に「どーでもいいと思ってできる事なんてどこにもないよ」と話しかけた。高跳び初心者の平が「今はバーしか見えていない。跳ぶことしか考えていない。たぶんバスケも忘れてる」と、万里が梨野に伝えている時、160cmのバーを平がクリアし、3位が確定する。平の姿を見た梨野は「一応謝っといてやる。スマンと言っとけ」といい、出場する種目の場所へ行ってしまった。

慣れない高跳びをやって眠っていた平に、フォークダンスが始まることを伝えた万里。体育祭最後のフォークダンスに気合が入る平だったが、一ノ瀬とあと4cmで手が繋げるというタイミングでフォークダンスが終了してしまい、またしても一ノ瀬と手を繋ぐという奇跡は起こらなかった。

第6話「She・Sea・See(シーッシーッシーッ)」

クラス委員の櫻井行子からの伝言を異常なくらいぎこちなく伝えてくる相模に驚く平。相模の平への気持ちに気付いている万里が、近くにいた一ノ瀬に理由を聞こうとする。一ノ瀬は平に見つめられていることに気付くと、慌てて逃げていってしまった。
相模は、一ノ瀬と平を目の前にし息がつまりそうになっていた。一ノ瀬とお互いに気遣い合う関係に危機を感じた相模は、一ノ瀬を一緒に下校しないかと誘った。何か約束を思い出した一ノ瀬に、相模は「付き合うよ」と言ってしまったことを放課後後悔することになる。一ノ瀬の約束は、クラスメイトに交際を断ることだったからだ。断ってしまったことに落ち込む一ノ瀬に相模は平のことを話すことができなくなってしまった。

一方その頃、買い物ついでに喫茶店に入っていた平と万里は、参考書で顔を隠す和に出くわす。和に声をかけた平と万里を、友人たちに紹介し、すぐに平と万里の席に連れ戻す。和から「隣のガキ」と友人たちに紹介された万里は、涙目で「ショックだった」と訴えるが、その姿と女装した3歳の頃の万里を重ねた和は万里に抱きつこうとする。その機会を待ってましたとばかりに、和にお小遣いをねだる平と万里だった。
自宅に戻った平と万里は、成と成の友人がお互いの制服を交換しているところに遭遇する。燕ノ巣中学に通う成の友人の制服を無理やり着せられた平は、そのまま万里や成と記念撮影することになる。

次の日の部活中、突然左ひざに激痛が走る平。万里から成長痛であることを聞いた平は幸せを噛みしめていた。その頃、部活を終えた相模は、帰りを待っていた一ノ瀬と一緒に下校していた。相模は、平への想いを「私達お互いのことを気にしすぎている。今の自分の気持ちを大切にしよう」と一ノ瀬に伝えた。
部活を終え、自宅に帰った平と万里。背を伸ばすために必死に筋トレをする平に、背なんて一ノ瀬はあまり気にしないのではと聞く万里。「これはオレが自信つけるため。それに付き合うとかピンとこない。まだまだヤローとつるんでる方が楽しい」と答えた平に、万里も「オレも」と照れながら同意するのだった。

ある日の放課後、部活に行こうとした相模に「運動部に入る。元気にならなきゃ」と伝える一ノ瀬。相模は「正々堂々と行こうね」と一ノ瀬と握手する。そう、この約束は一ノ瀬と相模の二人だけの秘密になったのだ。

第7話「クライムザマウンテン」

ある日の夜、平が和と成と一緒にテレビを見ながら団らんをしている時、昭が治におはぎを届けて欲しいと頼まれた平が出かけようとすると、なぜか成も一緒に行くと言ってきた。治の自宅に到着すると、血だらけの被り物を被った治が出迎える。血が苦手で怖がりな平を心配して成はついてきたのだった。

翌朝、万里の自転車で登校していた平と万里。突然万里が、私服姿の成を見かけたと言い始める。成が制服で出掛けたところを見た平は万里を信じようとしなかった。
学校では、受験生にも関わらず運動部に入部しようとする一ノ瀬が、いくつもの部活から断られ落ち込んでいた。一緒に部活を探そうかと声をかける相模の好意を断り、一ノ瀬は何とか自分で入部できる部活を探そうと心に決める。
一方後輩の女の子に呼び出された万里は、以前平の自宅で成の友人と制服交換をした時に撮った写真を見せられ、燕ノ巣中学の制服を着ているのは誰かと問い詰められていた。万里は、正体が平だということを伏せて「燕ノ巣中学の一つ下のファンの子」とウソをつく。音楽室で歌のテストを受け教室に戻ってきた平は、万里から燕ノ巣中学の制服を着た時の写真が校内中に出回っていることを聞き落ち込んでしまう。
その時、花島田が「鷹丘からバスケの試合を申し込まれた」と万里と平に相談に来た。平と万里は勝ち逃げするようアドバイスする。

自宅に帰った平はおやつを食べながら、成が車に泥を撥ねられて制服を交換しに帰ってきていたことを昭から聞き、登校時に万里が私服の成を見かけたと言っていたことを思い出す。成の部屋に辞書を借りに行った平は、舞原優奈という女の子からの大量のラブレターを発見してしまう。さらに平は、お風呂上りに成に取り次いだ優奈からの電話で、成が優奈と付き合っているようなことを話しているのを盗み聞きし、複雑な気持ちになっていた。

次の日の下校時、万里に、昨日見かけた私服姿の成が学校に入っていったかを確認する平。成が学校をサボるわけがないという万里に同意する平。その時、和が女の子を連れて自宅に入っていくのを見かけた平と万里。なぜかワクワクする万里は、ちょうど帰宅した成と共に平の部屋で、和と女の子の様子をうかがうことにする。突然、女の子の色っぽい声が聞こえてきた。すると、どこからともなくやってきた正が慌てて部屋の仕切りの扉を開ける。和は眠ってしまっていただけだった。

和の事も成の事も勘違いだったと思って過ごしていた平が学校から帰ると、成の部屋にお菓子を運んで欲しいと昭から頼まれる。快く引き受けた平だったが、成の部屋を開けた途端、優奈と抱き合う成の姿を見てしまう。ショックを受けた平は、成の部屋に運んできたお菓子を落としたまま、慌てて万里の家に向かった。
「ただ抱き合っていただけでは証拠にならない」と言う万里に、平は電話で成が優奈と「付き合っている」と言っていたことを話す。「1番成ちゃんの事信用してない」と万里に言われ落ち込む平は、そのまま万里の家に泊めてもらうことにする。
その頃、平に部屋を汚され機嫌が悪い成は、フリルやレースがあしらわれたワンピースを見せられていた。フリルやレースがあしらわれた女子っぽいが苦手な成は、迷うことなく平のクローゼットに昭が買ってきたワンピースをしまってしまった。

成と優奈の一件からすっかり女性への不信感が拭えなくなってしまった平。昼休み、平・万里・馬場・三島・鹿須賀は花島田から「一ノ瀬が新体操同好会に入った」と聞く。放課後、一ノ瀬のレオタード姿を見るために新体操同好会の活動を覗きに行った平たち。しかし、一ノ瀬はレオタードではなく、ジャージ姿だった。その時、突然二下の怒鳴り声が聞こえた。覗きをしようとしていた平たちを見つけた相模が、二下に告げ口をしていたのだった。
覗きの罰として二下に校庭10週を走らされた平が自宅へ帰ると、玄関にはまた優奈の靴が揃えられていた。たまたま通りかかった成の頬にある傷のことを聞く平。成は「転んだ」と答える。しかし、優奈が帰ろうとした時、平は、優奈の口から成が男に殴られたことを聞き驚く。
優奈が帰った後、優奈が付きまとわれているガラの悪い高校生から男と間違われて殴られたと説明する成に、平は「成の事を盾にするような子を好きなのか」と怒鳴ってしまう。そのまま成とケンカになってしまった平は、自分のクローゼットにフリルやレースがあしらわれたワンピースを見つけると、万里が来ているのも構わず怒って寝てしまった。

翌日の日曜日、平は万里に行き先も告げず街に繰り出す。突然隠れた平が様子をうかがっている先には、成と優奈の姿があった。成と優奈が立ち寄る場所で様子をうかがっていた万里と平は、たまたま通りかかった鷹丘から、バスケの試合の話を持ちかけられる。その時、喫茶店にいたはずの成と優奈がいなくなっていることに気付いた平は、急いで後を追いかけた。万里も鷹丘に警察を呼んで来るよう伝え平の後を追う。
その頃、優奈に言いよっていたガラの悪い高校生との待ち合わせ場所にいた成は、怯える優奈を守るように高校生3人を相手に言葉で応戦していた。成の態度に苛立った高校生が成に殴りかかろうとした時、平が高校生を殴り返した。
突然現れた平に驚く成の震える手を、万里は軽く握り「もう大丈夫」と伝え、平と共に応戦する。高校生3人相手に2人で対抗する平と万里を見た優奈は、以前平に「成の方がかっこいい」と言ったことを謝って欲しいと成に伝える。成はこれからは自分で伝えるよう優奈に語りかける。
その時、鷹丘の通報で駆け付けたであろう警察がやってきた。平と万里は、成と優奈を連れて一目散にその場を立ち去る。

帰り道、平と万里のおかげでもう付きまとわれることもなくなったことに安心する優奈は、成に「これからも友達でいてね。それ以上でもいいけど」と伝える。
優奈の言葉を聞いた平と万里は、ゾッとするのであった。

『っポイ!』第3巻

出典: www.suruga-ya.jp

『っポイ!』第3巻 表紙

keeper
keeper
@keeper

Related Articles関連記事

バトル・ロワイアル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『バトル・ロワイアル』は高見広春原作の小説を映画化作品で、アジア某国で施行の「BR法」により選ばれた中学生達のサバイバルゲームを描き、2000年に劇場公開。監督は映画『仁義なき戦い』シリーズ等の巨匠・深作欣二監督。また、藤原竜也や柴咲コウといった俳優が作品を彩り、演技を競う。この作品のキャスト・スタッフは「第24回日本アカデミー賞」「第43回ブルーリボン賞」等を受賞した。2001年には、『バトル・ロワイアル【特別篇】』が、2010年には3D映画版『バトル・ロワイアル3D』が劇場公開された。

Read Article

池袋ウエストゲートパーク(IWGP)のネタバレ解説・考察まとめ

『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』とは2000年4月から6月までTBS系で放送された日本の若者の日常をワイルドに描いたテレビドラマ。主演は長瀬智也、脚本は宮藤官九郎。その他渡辺謙や妻夫木聡など、多くの豪華俳優が出演している。池袋を舞台に、主人公マコトが池袋を舞台に友人やギャングたちとケンカや友情に明け暮れるストーリー。原作は石田衣良の小説『池袋ウエストゲートパーク』で、ドラマ以外にも、コミック、ミュージカル、舞台、アニメなど幅広いメディアミックスがなされた。

Read Article

目次 - Contents