TARI TARI(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『TARI TARI』とは、2012年にP.A.WORKS制作によって放送されたオリジナルテレビアニメ及びそれを原作とした漫画。神奈川県藤沢市や鎌倉市などの江ノ電沿線を舞台に、音楽科が有名な高校に通う男女5人の生徒が、それぞれ悩みを抱えながら自分の夢を叶えるために合唱部を発足し、高校生活最後の夏を笑って、悩んで、時には喧嘩をして、そして恋もしながら親友たちと共に成長していく物語である。彼らの青春に多くの感動や称賛を得て、発売されたBlu-rayは放送終了後の週間BDランキングの総合首位となった。

『TARI TARI』の概要

『TARI TARI』は、P.A.WORKSによって『true tears』、『花咲くいろは』に続く第3作目の青春作品として制作されたオリジナルテレビアニメ作品であり、2012年7月1日から9月23日までに全13話の構成で放送された。代表作に『レイトン教授と永遠の歌姫』、『劇場版クレヨンしんちゃんシリーズ』を持つ橋本昌和が、本作で初のテレビアニメ監督とシリーズ構成を務めた。また、キャラクター原案は『AKIBA'S TRIP』を代表作に持つtanuが、本作で初のテレビアニメのキャラクター原案を務めた。そしてキャラクターデザインと総作画監督を関口可奈味が、音楽を浜口史郎が担当するなど同制作会社の大人気作品である『花咲くいろは』のスタッフが数多く関わり制作された。舞台が、神奈川県藤沢市や鎌倉市の江の島および江ノ電沿線であり、作中では風景を忠実に再現されており、モデルとなった場所はファンの間で聖地として放送終了後も人気が高く、多くの観光客が訪れ地域の発展に貢献している。そのため、地元放送局であるtvkが先駆けて最速放送し、製作にあたっても江ノ島電鉄や湘南藤沢フィルムコミッションといった公的機関や地元の企業など、藤沢市や江ノ島地域各方面から多大な協力を受けた。
物語は、音楽科と普通科のある高校で、あるトラウマから音楽を離れ普通科へ転科した坂井和奏と、顧問から音楽の才能は無いから諦めるよう言われ声楽部を退部したが、どうしても歌うことを諦めきれない宮本来夏と、そんな親友のために心優しく力を貸し協力する沖田紗羽と、廃部寸前のたった1人のバトミントン部の田中大智と、帰国子女の転入生ウィーン(前田淳博)の5人全員を主人公として、高校生活最後の夏に合唱時々バドミントン部を発足する。それぞれの夢と叶えるために合唱を通して共に笑い合い、悩んだり、恋をしたり、時には喧嘩をしてぶつかり合いながら少しずつ成長していく感動の青春群像劇だ。作中の挿入歌で、作品の見所でもあるオリジナル合唱曲は非常に完成度が高く、今も尚世間一般でも多くの人に親しまれ実際の合唱祭等で合唱されている。

『TARI TARI』のあらすじ・ストーリー

合唱時々バドミントン部発足まで

出典: imatre.exblog.jp

顧問の教頭から「あなたに人を動かす特別な何かがない」と言われ「じゃあ辞めます!」と退部した来夏。

物語の舞台は神奈川県の江の島周辺で、そこにある音楽科が有名な白浜坂高校に通う宮本来夏は声楽部に所属している。歌うことが大好きな来夏は、本来は歌いたいと強く願っているが、昨年の発表会で緊張し過ぎて声が出なかったという失敗が原因で、ピアノの譜面捲りを担当していた。次のコンクールでは歌いたいことを教頭であり顧問の高倉直子へ直談判しに行くが、そこで顧問から「あなたには人を動かす特別な何かがない。ステージで歌うことは諦めなさい。音楽を愛することは誰にでもできる。しかし音楽から愛されることは…」と言われ、憤りを感じた来夏は「じゃあ、辞めます!」と啖呵を切り退部した。

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寄せ集めで結成した合唱部での初ステージ

だが、来夏の歌への思いは強く諦めきれずに新たに合唱部を発足することを決めた。そして新しく作る合唱部には部員が最低5人必要なため、親友で弓道部に所属する沖田紗羽と弟の誠を誘った。さらに元音楽科だったが、母の他界をきっかけに音楽に対してトラウマを感じ、音楽から離れてしまい普通科に転科していた坂井和奏も誘った。しかし「今更歌ったって…楽しめるわけない」と断られる。来夏は新しい合唱部で合同発表会に出場することを目標に残り2人の部員を必死に探していたがなかなか見つからず、そんな来夏を配慮した紗和は「合唱部を作るのに名前だけ貸してほしい」と和奏を自宅に招き頼み込み、名前だけならと和奏は入部を承諾した。そして和奏がピアノが弾けることを知った来夏は「練習に付き合ってほしい」と頼み、合唱はせずに伴奏という形で発表会へ参加することになった。紗和と弟の協力もあり、なんとか寄せ集めの合唱部が完成し、発表会当日、顧問の骨折や会場へ向かうバスの渋滞などのトラブルがあり、また失敗するのではないか、と弱気になり俯いていた来夏に、親友の紗和は叱責して気合を入れ直し、ステージに立った。

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バドミントン部と合併し、発足した「合唱時々バトミントン部」。

無事に発表会が終わると、弟や他の部員達も辞めてしまい、また3人に戻ってしまい合唱部として認めてもらえなかった。そしてある日、教頭に呼び出された来夏と、現在部員が1人だけのバトミントン部の田中大智はこのまま部員が5人以下ならどちらの部活も廃部と告げられた。だが諦めきれない来夏は合唱部に大智と、帰国子女の転入生ウィーンこと前田淳博を勧誘する。大智もバトミントン部を諦めきれず、お互いの意見を尊重し「合唱時々バドミントン部」を発足した。

ワールドミュージックフェスティバルでの出会いと母の願い

出典: imatre.exblog.jp

和奏の母まひるの墓石の前での追悼演奏の様子。

合唱部時々バトミントン部の最初の活動として、地元の商店街のイベント「ワールドミュージックフェスティバル」へ参加することになる。だがそこに有力なライバルであり、来夏の憧れのバンドであるコンドルクインズが現れた。コンドルクインズと和奏の間には、予想外の関係性があった。それは、まだ彼らが路上でライブをしていた頃に和奏の母まひると出会い、音楽についてまひるから様々なことを教えてもらったということだった。コンドルクインズもまひるが他界していたことに驚き、悲しみ、まひるの墓地で追悼演奏をした。そして母まひるの死からトラウマになり音楽から離れていた和奏に対し「音楽はやめられない。やめるとかやめないとかじゃない。音楽はいつも共にあるもんだ」と温かい言葉を伝え、手紙を渡した。

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受験のストレスで母まひるに冷たい態度を取ってしまっていた中学3年生の和奏。

その後、大智のバドミントンの全国大会への出場を賭けた大会に、合唱部一同で応援へ行き、来夏やウィーンは応援歌を歌いながら盛り上がっていたが、和奏だけは気が乗らず、体調が悪いと帰ってしまう。和奏は先日のワールドミュージックフェスティバルでコンドルクインズから渡された手紙を読み返す。手紙には、「これからは娘と、和奏と一緒に歩きたいの。その健やかなる時も、病める時も、喜びの時も悲しみの時も。そんな歌が和奏と一緒なら作れる気がする。私にとって歌とは、愛を伝える言葉だから。そして和奏が私に、大切なことを教えてくれたから。和奏に伝えたい言葉が歌になって、それを一緒に歌うことができたら…そして和奏の歌を聴くことができたら…私の人生は、百点満点です」と書かれており、母との記憶を思い出す。それは和奏が中学三年生の時、思春期真っ盛りで受験のストレスもあり、病気がちだった母へ強く当たってしまう事が多く、「一緒にピアノで歌を作りたい」という母の願いに耳も貸さず冷たく振る舞い、その願いは叶うことなく母は帰らぬ人となってしまった記憶であった。

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生前に和奏への想いを旦那へと託す、母まひる。

そんな母との思い出が詰まったピアノを見ることも辛くなり、後悔ばかりの和奏は父に「お父さん…部屋のピアノ、片付けようと思うんだけど…。私、もう使わないし…誰かほんとに音楽好きな人に使ってもらった方が、お母さんも喜ぶと思うから」と言い、母との思い出の品を全て捨てようとしていた。当時入院していた母はなぜ病気のことを詳しく自分に教えてくれなかったのか、もし教えてくれていたらもっと母に優しくできて、一緒に歌を作るという約束も守ることが出来たのに。と母の考えが理解出来なかった和奏に、父は「一緒に歌を作るとね。自分を相手の心の中に残せる気がするの。だから悲しみじゃなくて、母親としての優しさとか強さとか…もし私がいなくなっても、その歌が私の代わりにずっとあの子と一緒にいてくれる。和奏が音楽を好きになってくれて、本当によかった。大事な大事な宝物だから。私、絶対あの子を独りにしない」という生前の母の言葉を伝えた。もしも、和奏に病気のことを全て打ち明け、それを知った上での同情の優しさから一緒に歌を作ったとしても、悲しい別れの歌になる。だから、和奏には病気のことを黙っていて欲しいというのが母の本心だった。

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和奏が立ち直り、初めて5人で合唱する様子。

母の真意と自分への愛を知った和奏は号泣し、思い出を捨て、音楽から離れてしまっていたことを後悔した。そんな和奏に父は、母と和奏が作った曲を聴きたいから、曲を和奏に作って欲しいと頼み、さらに「これ。お前いらないなら俺がもらうけど…思い出だから捨てられなくて」と和奏が捨てたはずだった母との思い出のキーホルダーを差し出した。そんな父の行動に驚いた和奏はふと我に返り、ピアノはどうなったかと尋ねると、「…捨てるわけないだろう。母さんが俺にプロポーズするときに使ったピアノなんだから」と父は言った。ピアノは捨てられることはなく、和奏は泣きながら父と母に感謝し、和奏はもう一度音楽の道へと戻ることを選び、合唱時々バドミントン部の部員たちの優しさにも触れ、ゆっくりと立ち直り、初めて5人全員で「心の旋律」を合唱した。

新たな目標「白祭」と新たな「将来」への壁

出典: imatre.exblog.jp

来夏たち合唱部へ冷たい言葉を浴びせる声楽部。

合唱部へ正式に入部してからの和奏は活動的になり、自ら進んで部員たちの練習に指導し、そんな日々を送る中で「一緒に歌ってくれる誰かがいるって素晴らしい」という根本的な音楽の楽しさに気付き、みんなで充実した活動をしていた。そんな合唱部の新しい目標が白浜坂高校の「白祭」という文化祭に決まり、声楽部に対抗意識を燃やす合唱部の部員たちだったが、生徒会役員である来夏の弟の誠から、当日合唱を披露するステージについて説明があった。それは声楽部の顧問である教頭が責任者を務めるメインステージ選考会を通過しなければならないという内容だった。未だ何を披露するかも決めかねている合唱部員たちは頭を悩ませたが、合唱部も無事にメインステージ選考会での発表権を獲得し、白祭に向け全校がますます活発になってきた頃、合唱部に対して嫌悪を示す集団があった。それは以前に来夏が所属していて、合唱部が敵対視する声楽部だった。声楽部は将来を見据えて、日々厳しい顧問である教頭の指導の下で、真剣に活動し過酷に音楽を向き合い活動している生徒が多く、そんな彼らにとって合唱時々バドミントン部のみんなで楽しんだり、楽しませたりするというスローガンは単なるお遊びにしか思えず、「よかったね。楽しく遊べるお友達ができて」という冷たい言葉を来夏に対して浴びせていた。

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競馬学校のパンフレットが見つかり、父に激怒される紗羽。

そんな様子を見ていた和奏は、市民ミュージカルが白祭の参考になればと考え、来夏と紗羽を誘う。大喜びの来夏だったが、紗羽は何か悩んでいる様子で元気がなかった。その理由は紗羽の家に届いた競馬学校のパンレットにあった。紗羽は騎手になることを小さい頃から真剣に夢見ていた。だが、そんな娘に父は猛反対。「競馬なんてギャンブルじゃないか。公務員でも何でも、ちゃんとした仕事をしながら、趣味で馬に乗りなさい。お前の飯も服も学費も、全部仕事をして稼いでいるんだ。働いて家族を養う。それが仕事だ。お前の馬乗りは仕事じゃない。遊びだ」と言い放った父に対し、紗羽は「何それ!頼んでないよ!だったら返すよ、こんなもん!売ってお金に換えてきたらいいでしょ!大っ嫌い!!」と感情的に反抗し、自分の意思を貫こうとするが、その結果、父との間に深い溝が出来てしまう。そして、本格的に競馬学校の応募条件について調べていた紗羽は、彼女にとって辛い条件を知ってしまう。それは、体重制限が応募資格としてあることだった。

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