映画刀剣乱舞(継承)のネタバレ解説・考察まとめ

『映画刀剣乱舞(継承)』とは日本刀ブームを巻き起こした大人気刀剣育成ゲーム『刀剣乱舞ONLINE』を原作に、監督に耶雲哉治、脚本に小林靖子を迎えた作品。歴代名刀を擬人化させた「刀剣男士」と歴史改変を目論む「時間遡行軍」との熱い殺陣が楽しめる。舞台は本能寺、織田信長を守り歴史を変えようとする敵を無事撃破。歴史通りと思われた矢先、信長の生存を知る。果たして彼らは正しい歴史を守れるのか、敵の真の狙いとは。キャストは若手舞台俳優を、主題歌には西川貴教と布袋寅泰がタッグを組んだ豪華な布陣となっている。

『映画刀剣乱舞(継承)』の概要

『映画刀剣乱舞(継承)』とは日本刀ブームを巻き起こし、『刀剣女子』などの新しい言葉を生み出した大人気シミュレーションゲーム『刀剣乱舞ONLINE』が原作の実写映画。
制作プロダクションは東北新社。
監督は数々の映像作品や上映前のマナーCM「NO MORE映画泥棒』のディレクターを務める耶雲哉治、脚本は『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズや特撮ドラマ『仮面ライダー電王』など数々のヒット作を手掛けた小林靖子が担当した。主題歌は西川貴教と布袋寅泰がオリジナル曲を描き下ろすという豪華ラインナップである。
映画公開前の宣伝表記では『映画刀剣乱舞』のみだったが、エンドロール、またDVDやBlu-rayの表題では『映画刀剣乱舞-継承-』となっている。
原作である「刀剣乱舞ONLINE」はアニメ化、ミュージカル化、舞台化などあらゆる分野で展開されているコンテンツであり、今作はファン待望の実写映画化である。
舞台版刀剣乱舞にて刀剣男士を演じた若手舞台俳優たちが、それぞれ舞台版と同じキャラクターとして多く出演している。
また公開当時、その人気の高さから、数々の映画館で*応援上映が行われた。
(*応援上映とはその名の通り、キャラの応援、サイリウム、うちわの持ち込みなどが可能な映画放映回のことである。)
ファンの中では通称『刀シネ』と呼ばれている。

遠い未来、タイムスリップし過去の歴史を変えようと暗躍する謎の集団、歴史修正主義者が出現。それに対抗しようと時の政府は審神者と呼ばれる人々を招集した。
審神者とは眠っているモノの力を呼び起こし擬人化する力を持つ人々のことであり、彼らは歴代の名刀を呼び起こすことに成功。こうして生まれたのが『刀剣男士』である。
審神者は刀剣男士達を率い過去の歴史を守るため、歴史修正主義者とその手下である時間遡行軍と交戦するのであった。

今作の舞台は天正十年、本能寺。
時間遡行軍の狙いは織田信長を本能寺の変より救い出し歴史を変えることだった。
審神者に任命された刀剣男士達は本能寺へ向かい、時間遡行軍を撃破。
本能寺は延焼、信長の自害も見届け、全てが歴史通り、かと思われた。
本拠地である本丸に帰った刀剣男士達は自害したはずの信長が生きていることを知る。
何故生きているのか、どうやって燃え盛る本能寺から逃げおおせたのか。
数々の疑問を胸に、刀剣男士達は再び本能寺へと舞い戻るのだった。

ドラマや映画、小説など様々なメディアで題材にされてきた本能寺の変をベースに、『刀剣男士』という新しい要素を加え、時代劇とSF要素を同時に楽しめる作品となっている。
また、キャストのスピーディで疾走感のある殺陣も見どころの一つだ。

『映画刀剣乱舞(継承)』のあらすじ・ストーリー

歴史改変を目論む歴史修正主義者を阻止せよ

出陣の儀を執り行う三日月宗近

京都、本能寺。
深夜、眠っていた織田信長は目覚める。
寝室を出ると既に城には火が放たれていた。
側近の森蘭丸により、明智光秀が謀反を起こした事を知る。

遠い未来、過去の歴史改変を目論む歴史修正主義者が出現。彼らは時間遡行軍と呼ばれる戦士を操り、歴史を遡り過去への攻撃を始めた。
時の政府はそれを阻止しようと、審神者と呼ばれる者たちを招集する。
審神者とは古来より伝わる数々の名刀を呼び起こし、人の形を持つ戦士として目覚めさせる力を持つ者たちのことである。また、そうして刀より生まれし剣士たちを『刀剣男士』と呼ぶ。
あるべき正しい歴史を守るべく、刀剣男士は過去へ遡り、時間遡行軍と交戦するのだった。

西暦2205年、本丸。未来の特殊技術により、審神者は時空の歪みがある時代に起きている事を知る。それはすなわち歴史修正主義者の介入により歴史の改変が行われているという事だった。異変の起きた時代は天正10年6月2日、京都、本能寺。明智光秀が織田信長に反旗を翻した本能寺の変が起きた日である。しかし審神者の本丸では数多の刀剣男士達が別の時代に遠征に出ていた。
織田信長ゆかりの刀達を向かわせ、辛く悲しい記憶を呼び起こさせることに難色を示す審神者だったが、彼らも初陣ではないのだから心配は要らないと三日月宗近はそれを優しく労わる。

主である審神者から命を受けた今回の編成部隊は三日月宗近、山姥切国広、へし切長谷部、薬研藤四郎、不動行光、日本号ら六振。本能寺へと出陣した刀剣男士達は時間遡行軍と交戦する。明智光秀の命を狙う時間遡行軍とまたそれを阻止しようと応戦した山姥切国広、薬研藤四郎。彼らはその最中、交戦した際の手ごたえや気配から普段の時間遡行軍とは異なる違和感を感じていた。

一方、信長の死を見届けるため、また中に侵入した時間遡行軍を倒すために天守閣へ向かった三日月は時間遡行軍を撃破し無事に織田信長の自害を見届ける。
炎に包まれていく本能寺を見遣り、皆それぞれの想いを抱えた刀剣男士達は任務遂行の後、本丸へ帰城した。
しかし屋根の上には不気味に目を光らせる時間遡行軍の大太刀が一振残っていたのだった。

明智光秀の謀反、また本能寺にて織田信長の自害の報せは遠征に出ていた羽柴秀吉にも伝えられた。
崩れ落ち泣き叫ぶ羽柴秀吉。その眼前には澄み渡る青空が広がっていた。

帰城後、留守居役の鶯丸に迎えられた部隊。
鶯丸により新たな刀剣男士が顕現した事を伝えられる。
新しい刀剣男士は骨喰藤四郎。彼は薬研藤四郎の兄弟刀であり、三日月宗近ともゆかりのある脇差であった。しかしかつて大火事に見舞われた骨喰は過去の記憶を失っていた。

審神者に任務報告に行った三日月は、遠征に出た他の刀剣男士達がまだ帰還しない事を知る。
審神者は近頃の数多の歴史修正主義者の歴史介入を憂いていた。

自分たちの状況の悪さを憂うような審神者。
「ここまで頻繁に歴史介入してくるのは初めてだ」

「何か狙いがあるのかもしれんな…」
そう言うと考え込むような三日月に同意するように審神者も答える。
「私もそれを考えていた…。もし…と」

「まさか…」三日月は信じられないといった表情で呟く。

審神者と三日月はとある一つの懸念を抱いていた。
三日月と審神者がほかの刀剣男士たちにすら隠し立てしている事が敵である時間遡行軍に知れているとしたら。
三日月はその心配事を振り払うかのように振る舞い、働きづめな審神者の身を気遣うのだった。

一方残りの刀剣男士たちは、新入りの骨喰とお茶を飲みつつ閑談していた。
記憶が無いことを気にする骨喰だったが、それに対し不動は記憶があることが良いとは限らないと言う。不動行光の元主は織田信長の家臣、森蘭丸。本能寺の変で命を落とした人物であり、不動は記憶があるが故に、目の前のかつての主を救えない苦しみを味わっていた。
薬研は織田信長の自害の際に使われ、城やかつての主と共に焼け落ち当時の記憶があまり残っていなかった。へし切長谷部もかつて織田信長と所縁のある刀剣男士だったが、黒田家に下げ渡されたことが信長への遺恨を残していた。
話題を変えようとしていた刀剣男士達だったが三日月と主である審神者の話になってしまう。
最近主と会えない事が不服だった長谷部は三日月が他の刀剣男士と審神者を会わせないようにしているのではないかと疑っていた。
偶然、その話を聞いてしまった三日月は手にしていた団子をちゃぶ台に置き、長谷部の言葉にお茶を濁して去っていくのだった。

再びの任務、目的は織田信長の暗殺

主より織田信長が生きていることを知らされる三日月

次の日、再び審神者に呼ばれた三日月は織田信長が生き延びている事を知る。

細く光が差し込む洞窟の中、目覚めた信長は傍に「無銘」と名乗る戦士がいるのに気づく。
彼こそが刀剣男士達の目をかい潜り、信長を本能寺から連れ出し生き延びさせた張本人であった。
そして本能寺の顛末、蘭丸の死を無銘により知らされる信長。
信長は無銘に言われるがままあたりを見回すと、更に側には多くの時間遡行軍が新たな家臣として控えているのだった。

信長がまだ生きている事を知った刀剣男士。しかし確かに時間遡行軍は打ち破ったはず。疑念が残る中、刀剣男士たちは本能寺へと再出陣を命じられる。
しかしその部隊には不動行光の代わりに骨喰藤四郎が編成されていた。
そこには審神者の、かつての主を目の前で失った不動行光への配慮が含まれていた。

作戦を練る三日月と審神者。
審神者は信長が生きていた事に落胆していた。それを庇う三日月に審神者は「互いに守るべきものを守ろう。…三日月、私はいい刀剣たちに恵まれた」と伝える。

「それを言うなら我らの方こそ良い主に…」
と言いかけた三日月だったが、これではまるで今生の別れのようだと審神者と二人、笑い合うのだった。
そして三日月は審神者より後のこと、本丸のことを直々に頼まれる。

出陣の準備へと向かう三日月を鶯丸は廊下で呼び止めた。
三日月と審神者が隠してることを留守居役としてそろそろ教えてほしいと言う。
彼に何かを囁く三日月。それを聞いた鶯丸は驚く。そして三日月は更にそれを時間遡行軍に勘づかれた可能性があることを示唆した。
それならば審神者の元には三日月が残れと言う鶯丸に、今回が終われば刀剣男士たちを取りまとめるリーダー的役割である近侍を降りるつもりだと言う三日月。
彼は今回の件で審神者に謝らせてしまった事を悔やんでいた。
お前のせいではないという鶯丸に
三日月は「俺だ。俺なのだ…」
と悲しく呟き出陣の準備へと向かっていった。

その一連の会話を遅れて出陣へと向かっていた日本号が偶然聞いてしまっていた。

一方、三日月と日本号を待っていた刀剣男士達。
今回の戦で初陣を迎える骨喰は浮かない顔をしていた。「初陣が心配か?」と問われた骨喰はなぜ歴史を守らなければならないのか、なぜ戦うのかと問う。
「戦わなければ後の世が変わってしまう」
と答えた長谷部。
そこに遅れてやってきた三日月と日本号が合流。向かうは再び天正10年6月2日、本能寺へと舞い戻る。目的は織田信長の暗殺であった。

再任務、そして仲間との衝突

時間遡行軍と共に現れた信長は信頼できる家臣であった羽柴秀吉に文を送り連絡を取ろうと時間遡行軍を使いに走らせた。

それを見ていた偵察中の刀剣男士達は信長が時間遡行軍によって生き長らえていたこと、また山姥切と薬研は一人変わった時間遡行軍がいた事を思い出していた。
織田信長が生きていたことが知られてしまえば歴史が変わってしまう。今走って行ったのが伝達役の時間遡行軍かもしれない。早く手を打たなければ、と焦る長谷部に対し、それを牽制する三日月。
長谷部は三日月への疑念と不満から、「仲間に言えない意見は無いものと同じだ」と吐き捨て伝達役の時間遡行軍を追って行ってしまう。
「あいつの言うことも一理あると思うぜ。信じちゃいるが、話してくれなきゃわからねぇ事はある」そう言い残し日本号は長谷部を追いかけていくのだった。

残された刀剣男士達。
山姥切、薬研は明智光秀の動向を探ることに。
意味ありげに自分を見つめる山姥切に、三日月は「お前も長谷部と同じか?」と問う。山姥切は「俺は隊長の命令には従う」と答え、薬研と共に去っていくのだった。

光秀の元に到着した山姥切と薬研。
「隊長の命令には従う、か。山姥切らしい割り切りだな」という薬研に山姥切は当然のように答える。
「隊長の命令はすなわち主の命なんだから当然だ。だが、お前はそう簡単にはいかないだろう?」
明智光秀は薬研の元主、織田信長の仇だった。
自分を案じる山姥切に、薬研は「審神者から明智光秀も守るべき歴史の一つと言われ、ストンと腑に落ちた」と答える。しかし薬研にも三日月が何を考えているかはわからなかった。

多くの仲間たちが去り、三日月は骨喰と共にいた。
三日月は優しく骨喰に問いかける。「歴史を守る必要があるか、そう聞いたらしいな」気まずそうにする骨喰。
しかし三日月は何も考えずただ戦うよりずっといい。ただ戦うだけならそれは魔物だと答えた。
刀剣より生まれし刀剣男士は持ち手次第、また心持ち次第で魔物にもなる。しかし持ち手である主には恵まれた。三日月は骨喰に、戦う理由はそのうちわかると諭すのだった。

三日月は骨喰に一つ頼み事があると言う。二つ返事でうなずく骨喰。

三日月は歴史を守るということは難しい、と刀剣男士の誰かが踏んでしまったであろう萎れた花を切なげに見つめ呟くのだった。

山姥切と薬研は信長を追ってきた三日月と骨喰と遭遇する。
驚く彼らの目の前で信長は光秀を暗殺しようとしていた。

信長に追い詰められた光秀は懐の短刀を抜く。
その時、信長に仕えていたはずの「無銘」が光秀を庇うのだった。

信長に斬りかかる無銘。その時、助太刀に入ったのは三日月だった。
信長を襲う無銘とそれを食い止める三日月。
事態が飲み込めない刀剣男士達の前に、突如新たに追手が現れた。
それは禍々しい鬼のような風貌をした時間遡行軍の大太刀だった。
大太刀と交戦しようとした刀剣男士達だったが、三日月は信長を連れて馬で去ってしまう。失意の中撤退を決める刀剣男士達。

残された無銘に大太刀は何か術をかけるのだった。

その夜から明智光秀は消息を経つ。
自害したとも落ち武者狩りにあったとも伝えられている。

河原で薬研の手当てを受ける山姥切と骨喰。
三日月の真意が何もわからない彼らは三日月自身の事を何も知らないことに気づくのだった。

一方その頃、三日月と信長は山奥の朽ち果てた御堂にいた。水を差し出す三日月にお前も無銘と同じ、歴史を守るものなのか問う信長。
信長は無銘から自分が本能寺で暗殺される運命であった事をすでに聞いていた。
無銘は自分を守り、歴史を変える者、三日月は自分を閉じ込め、歴史を守ろうとする者ならなぜここにいるのか、その目的は何か。
そう聞かれた三日月は信長をただ安土城に連れて行きたいだけだと答える。
秀吉が来るまでお前を頼るしかない、と水をもう一杯望む信長に、三日月はただ従うのだった。

時間遡行軍を追って豊臣秀吉の元にたどり着いた長谷部(左)と日本号(右)

信長の書いた文を届けようとする時間遡行軍を追ってきた長谷部と日本号はその文の宛先が羽柴秀吉である事を知る。
時間遡行軍から文を受け取った秀吉は信長が生きている事を知るが、時間遡行軍の討滅に来た長谷部と日本号により嘘だと言いくるめられる。
しかし秀吉は安土城を放っておけないと、密かに戦の準備をしながらも文の通り安土城へ向かう事を決めたのだった。
そして秀吉の思いつきにより、長谷部と日本号も同行することに。
軍議の途中、山姥切により飛ばされた伝書鳩により、三日月が信長と共に去って行った事を知るのだった。

日本号からの文により、秀吉が安土城に向かっていることを知る薬研と山姥切。
信長も安土城にいる事を知った。
自分達だけでも主の命である信長の暗殺をすることを決意する山姥切。
「もし三日月が邪魔をしたら?」と問う薬研にもう一つの決意をする山姥切であった。

三日月の真意

安土城天守閣に到着した織田信長

三日月と共に安土城の天守閣に到着した織田信長。豪華絢爛な天守閣は信長自らが指揮した天下を治めるための城だった。

正しい歴史とはなにか、自分が生きていると言うことが既に正しい歴史ではないかと問う信長に、正しい歴史とは常に誰かにとって、という事でしかないと答える三日月。
「ではこれは、間違いなく儂にとって正しい歴史じゃ」
そう答え、家臣、羽柴秀吉の到着を待つ信長だった。

そんな二人がいる天守閣を遥か遠くに見据え、無銘に信長の警護を任せ、大太刀の時間遡行軍は何処かに去っていくのだった。

一方本丸では、廊下を歩いていた不動行光が本丸の結界が壊れつつある事を目撃する。
審神者に報告しなければ、と止める鶯丸を振り切り部屋に入るとそこには審神者はいなかった。主は一体何処へ行ったのかと動転する不動に鶯丸は訳を話し出したのだった。

長谷部と日本号は秀吉の湯浴み中の警護を任されていた。目的地である安土城は目前だと焦る長谷部を宥める日本号。
その時秀吉から自分が信長から「猿」と呼ばれる所以を聞く。秀吉は密書が信長自ら書いたものであり、信長が生きている事を既に知っていた。秀吉はこのまま安土城へ向かい、信長を討つという。秀吉は信長の訃報を聞いた際、目前に広がる青空に天下統一を見ていたのだった。

安土城に到着する秀吉の軍。
それを天守閣から見ていた信長は秀吉の早い到着に満足していた。
自分の役目が終わったと去ろうとする三日月に「これがお前にとって正しい歴史か?」と問う信長の目前で家臣であるはずの秀吉が安土城に火を放つのだった。

安土城城下で合流した刀剣男士達は秀吉によって火の手が上がる安土城を目撃する。

それを見た薬研は一つの真実を思い出そうとしていた。

炎上する安土城を見つめる骨喰(左)、薬研(中央)、山姥切(右)

家臣秀吉の裏切りに茫然とする信長。三日月は歴史には誰にとっても正しいものが歴史だがそれは真実とは限らない。長い年月の中には墨で塗りつぶされ葬られた真の正しい歴史というものが存在するのだ、と言う。確かに信長は自害していた。しかしそれは本能寺ではなく安土城であった。

本能寺の変の起きたあの夜、家臣森蘭丸が用意された抜け穴から信長を密かに脱出させ、その退路を守って蘭丸は命を落とした。わずかな手勢と共に安土城へ到着し、信長は密書を家臣秀吉に送った。しかし秀吉はそれを無視、既に天下取りへと歩み出した秀吉は明智の残党狩りと称して安土城を攻め入った。それを受けた信長は天守閣にて自害。

つまり歴史は一つも変わっていなかったのだ。

その真実は信長が兼ねてから望んでいた刀、将軍家から秀吉へと下げ渡された刀であった三日月宗近のみが知る真実だった。

薬研藤四郎には信長と共に焼けた記憶はあれど詳細の記憶は焼け落ちていた。しかし真の歴史である安土城が戦火に燃える姿を見て思い出したのだった。

刀剣男士達は三日月が誰に知られても危険なこの真の歴史を誰にも言えなかった事を知った。

そこに天に赤い雷鳴がなり、無銘と共に時間遡行軍が出現する。

ここを逃せば今度こそ歴史が変わってしまう。刀剣男士達はそれを食い止めようと交戦するのだった。

無銘が到着した事を知った信長。三日月はそれを一人で止めてくると言う。
「あれを一人でか?」
「多少、骨は折れましょうな」
そう微笑むと三日月は部屋を出ていくのだった。

城下で次々と時間遡行軍を倒していく刀剣男士達だったが、そんな中、骨喰が壁を駆け上り一人で何処かへ行ってしまう。
追いかけようとした薬研だったがそこに無銘が立ち塞がるのだった。

一方天守閣の廊下では三日月が多くの時間遡行軍と交戦していた。そこに骨喰が到着、助太刀に入った。

「骨喰、来てくれたか」

「三日月、これ」

そういうと骨喰は三日月に一つの巾着を渡した。

「面倒な事を頼んですまんな。ここはもう良い。早く…」

振り返った三日月は骨喰が捕らえられた事を知る。骨喰の首には刀が突き付けられていた。捕らえていたのは信長だった。

信長は三日月にここから連れ出せという。
信長は歴史を変える事は悪であるとは思っていなかった。むしろ、本能寺や安土で自害するはずだった自分の歴史を変えたいと思っていた。

「そういうものなのでございましょうな、歴史とは。しかしそれによって消滅する数多の名も無き人がございます」

歴史が変わる事で消えていく多くの人々は戦の兵と同じ。仕方がない事だという信長。

「信長公、歴史とは人、私はその人を守りたい」

「儂も人ぞ!」

そう憤る信長に三日月はかつての自分が知る信長の散り際が如何に美しかったか優しく諭すのだった。
かつての信長は裏切った秀吉を、天運を掠め取ったと笑い飛ばしていた。魔王と呼ばれるにふさわしい天晴れな死に様であった、と。

「それに比べると、今の貴方様は少々格好が悪うございますな」

そう言いのこし去っていく三日月の言葉を聞き、信長は骨喰を解放。一人残された廊下で高らかに笑い飛ばすのだった。

城下では刀剣男士達が多数の時間遡行軍に苦戦を強いられていた。あまりの数の多さに満身創痍の刀剣男士達をよそに、次々と天から現れる大勢の時間遡行軍。

そこへ三日月と骨喰が現れた。

「皆すまなかったな。後はこのじじいが責任を取る。本丸へ戻れ」

そういうと三日月は全員分の水晶を懐から取り出した。水晶は刀剣男士達の出陣、帰還を司る大切なものであり、三日月の手にするそれは密かに骨喰に頼み、それぞれの刀剣男士達の懐から盗んでいたものだった。

強制的に本丸に戻される男士達は桜吹雪の中で三日月が負傷していくのを成す術なく見るしかなかった。
山姥切や長谷部達が無事に帰るのを見届けた三日月は負傷しながらもたった一人で無銘ら多勢の時間遡行軍と戦うのだった。

本丸の危機

強制的に帰還させられた刀剣男士。そこに鶯丸が駆け込んできた。
「皆、始まったぞ!」
一体何が始まったのか、疑問に思う刀剣男士達。それは彼らの本丸の主である審神者の「代替わり」を示していた。
長く務めた審神者の力が衰えた時、新たな審神者を呼ぶ事がある。しかしそれと同時に本丸の力が弱まってしまうため、三日月も審神者も審神者が代替わりすることを絶対に外部に漏らすことはできなかった。
しかしそれを時間遡行軍に知られてしまった。

そこに不動が焦ったように駆け込んできた。
「鶯丸!時間遡行軍が!結界が破られる!」

時間遡行軍の狙いは本能寺の歴史修正ではなく、初めから彼らの本丸であり、本能寺以外の歴史改変が多く行われていたのは本丸の警護を手薄にするためだったのだ。

本丸の結界を目掛け、空から降り注ぐ禍々しい刃。時間遡行軍の攻撃がついに始まってしまう。

そこで三日月がいないことに気づいた鶯丸は「三日月はどうした?」と問うが、彼らは誰も答えなかった。

三日月は肩を切り裂かれ吐血しながらも孤軍奮闘を続けていた。

「…ははは…流石に…ここまでか…」

自らの終わりを悟りゆっくりと倒れる三日月。
それを支えたのは桜吹雪の中の長谷部だった。

「間に合ったか」

次々と桜吹雪の中から登場する刀剣男士。
自分が帰したはずの仲間達が戻ってきた事に驚きを隠せない三日月に薬研が小瓶の薬を渡す。
本丸の事を気にする彼に日本号は俺たちにとっては三日月も本丸だという。山姥切もここに帰ってきたのは三日月を迎えに行けという主の命でもあるのだ、と伝えた。

審神者は御簾の中から優しく語りかける。
「三日月、過去だけが歴史ではない。お前にはまだ守ってもらいたいものがある。私がこれから繋ぐ明日という歴史だ。護るべきものはまだあるよ。」

守りたいものは皆にある、これからはもう少し話せ。そういうと長谷部と山姥切はそれぞれ時間遡行軍に切り掛かった。今度こそカタを付けるべく、戦う刀剣男士達。

仲間たちに助けられ起死回生を図る三日月

「俺も焼きがまわったな」
そういうと薬研から渡された薬を飲んだ。桜吹雪の舞う中、回復した三日月はもう一度戦うのだった。

三日月の帰還、新たな仲間

本丸の危機を救うべく奮闘する鶯丸(左)と不動(右)

N1014
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