【トリビア・伏線】ファイト・クラブの徹底解説・考察まとめ【ネタバレ】

『ファイト・クラブ』とは1999年公開のアメリカ映画。鬼才と呼ばれるデヴィッド・フィンチャーが監督を務めた。不眠症の”僕”は自分とは正反対の自信家でマッチョな男タイラーと出会い、男同士が素手で殴りあう「ファイト・クラブ」と言う組織を結成していく。殴り殴られることで自分の存在意義を確認するが、やがて組織はテロリズムに傾いてき、”僕”は衝撃の事実を知ることとなる。
巧妙に張り巡らされた伏線とサブリミナル効果、ラストシーンの解釈、製作時のトリビアなどをネタバレ解説していく。

睾丸ガン患者の会のシーン

睾丸ガン患者の会にも患者の肩に手を載せるタイラーの姿が映る。

睾丸ガン患者の会に参加しているときにもタイラーが映りこむ。

結核患者の会でマーラを見送るシーン

結核患者の会の後、マーラに覆いかぶさるようにタイラーが映りこむ。

結核患者の会をマーラが立ち去ろうとしたときに僕が悪態をつく。その時マーラに覆いかぶさるように一瞬タイラーが映る。

ホテルのテレビでCМが流れるシーン

ホテルのCМにもタイラーが映る。

ホテルのテレビCМで白い服を着た男たちと同じ衣装を着たタイラーがようこそと両手を開いたポーズで映り込む。

ビルが崩壊するラストシーン

ビルが崩壊した後、一瞬男性器が映る。

ラストで崩壊していくビルを僕とマーラが手を繋ぎながら見るシーンで画面が乱れた後、男性器が映し出される。
日本公開時やDVD版は男性器にモザイクがあったらしいがBlu-ray版は無修正である。

ラストシーンの解釈

ラストシーンで崩壊するビルを見ながら佇む僕とマーラ。

『ファイト・クラブ』のラストシーンは、映画史上最も悲しいハッピーエンドと言っても過言ではない。
このラストシーンをどう捉えるか?僕が自分の顎に銃を放った後死んだと考えるのか、まだ生きていたがビルの崩落で死んだと考えるのかの2パターンの解釈があるように思える。

銃を撃った直後に死亡説

僕が顎に銃を撃ったと同時に死んだと考えるのであれば、銃を撃った後の物語は死後の世界と考えられる。
崩落してくビルは資本主義システムの中枢ともいえる、クレジット会社や銀行などの金融系企業ビルだ。
タイラーは僕との対決の前に、バーでこんなことを語っている。
「我々は消費者だ。ライフスタイルに仕える奴隷。殺人、犯罪、貧困も誰も気にしない。それよりアイドル雑誌にマルチチャンネルTV、デザイナー下着、毛生え薬、インポ薬、ダイエット食品、ガーデニング……。何がガーデニングだ! タイタニックと一緒に海に沈めばいいんだ! ソファなんか忘れちまえ!」消費社会に対する嫌悪感、危機感をを高らかに謳っている。
僕はブランドボーイと揶揄されるほど消費社会の沼にはまっていた。
ファイトクラブは消費社会にはまっていた僕が、真の精神的自由を獲得するために戦いを挑む物語である。
崩落していくビルを眺めながら、僕はマーラにこんなことを言う。
「これからはすべて良くなる」
資本主義システムの中枢が破壊されたとき、やっと世の中はよくなるのである。
逆説的にいえば、この世の中の消費社会はもう手が付けられないほど腐敗していて、壊さなくてはよくならなかった。
さらに続けて、僕はマーラに、「出会いのタイミングが悪かった」と言う。
これは現世では幸せになれなかった後悔の表れではないか。消費社会の奴隷になっていた僕はマーラを幸せにはできなかった。とらわれるものがない自由を手に入れた僕ならマーラを幸せにできる。
精神的自由を手に入れる戦いは現世ではつかず、死後僕は本当の自由を手に入れることができたのだ。

ビルの崩落で死亡説

僕が銃で顎を撃った際、タイラーの口からはドーナツ型の煙が立ち上がり、タイラーの姿も消えている。その次のカットでは僕の口からも同様のドーナツ型の煙が出ており、二人は同一人物であったことの確認がこのドーナツ型の煙に託されている。
タイラーが消えたことで、タイラーは僕によって統一されたと考えることができる。
僕の人格はタイラーと同化し、理想人格であったタイラーのたくましさや自信を持ったさらに一段高い人格に至った。
僕はマーラに「これからはすべてよくなる」という。この時の僕の目には自信と優しさが表れている。
もともと持っている僕の優しさとタイラーの持つ自信とたくましさが合体した状態であるといえる。
そして「出会いのタイミングが悪かった」と言う僕にあの神経質だったマーラは優しい穏やかな表情を浮かべる。
僕とマーラの心が通じ合った瞬間である。
生きている実感を持てずもがき苦しんでいた僕とマーラが死を目の前にして、やっと生きているという実感を感じ、至福の時を迎える。程なくして、ビル群が崩壊し、画面が乱れて映画はラストを迎える。
この画面が乱れるというのは僕とマーラがビルの崩壊によって死んだということを指している。

『ファイト・クラブ』のトリビア

撮影には通常の2時間映画の3倍以上のフィルムが使われた

『ファイト・クラブ』の撮影には132日間かかり、300を超えるシーンが撮られ、72のセットが組まれた。1500缶以上のフィルムが使われ、これは通常の2時間映画の3倍以上の量である。
これはデヴィット・フィンチャー監督の撮影場所、衣装、小道具を含む<美術>へのこだわり故である。

僕とタイラーが階段から転げ落ちるシーンがは最も撮影が早く済んだシーンである

映画の中で最も早く撮影が進んだのは、エンディング近くで僕とタイラーが喧嘩をし、階段から転げ落ちるシーン。
これはエドワード・ノートンとブラッド・ピットのスタントマンが頑張ったからともいえる。

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