Ori and the Will of the Wisps(オリとウィスプの意志)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Ori and the Will of the Wisps(オリとウィスプの意志)』とは、Moon Studioが2019年に開発したXbox one、NIntendo Switch、Windows向けのアクションゲーム。「ニウェンの森」で行方不明となってしまったフクロウの子供「クゥ」を探すため、心優しい精霊の男の子「オリ」が壮大な大冒険を繰り広げる。『Ori and the Blind Forest』の続編にあたり、前作よりもパワーアップしたアクションやグラフィックが高い評価を受けている。

灰に覆われた薄暗いその地にたどり着いたオリは、クゥの名を叫ぶ。何度も叫ぶが、応答はなかった。オリは落胆し、その場を後にしようとしたその時、オリの呼びかけに応える声があった。紛れもないクゥの声だ。オリは声のほうへと駆け出す。クゥも木の影からゆっくりと顔を出した。お互いがお互いの姿を見つけ、ともに駆け寄る。オリとクゥは、無事に再会することができたのだった。再会を喜び合うのも束の間、オリはクォルクが言っていた「滅び」の影響で石になってしまうという話を思い出し、早くここから出ようとするのだった。クゥの手を引き、走り出したその時、オリとクゥの間に割って入るようにしてシュリークが降り立つ。オリとクゥは、シュリークを挟んで二分されてしまったのだった。シュリークはまずオリを狙った。オリが逃げるより先にシュリークが追い込み、そして崖の下へとオリを突き落とす。シュリークはクゥのほうへと顔を向ける。クゥは逃げようと必死に翼を動かすが、生まれつきぼろぼろの右翼のせいでうまく飛ぶことができなった。シュリークはその間にもクゥにじりじりと詰め寄り、クゥもまた崖のそばへと追い詰められてしまう。何もできずに固まってしまったクゥに対して、シュリークはその鋭い爪をクゥへと振り下ろした。

クゥの亡骸のそばで泣き崩れるオリ

オリは何とか崖の上へと戻ってくる。しかしそこにはすでにシュリークの姿はなかった。オリは、近くにクゥが倒れているのを見つけ、駆け寄った。しかしその体はすでに冷たくなっていた。クゥは死んでしまったのだった。オリはモキたちの協力を経て、クゥを森の奥にある祭壇の上に寝かせる。最愛の家族を失ってしまい、オリは激しい悲しみに暮れ泣き崩れてしまう。モキたちもオリにかける言葉が見つからず、弔いの意を示していた。そこへ現れたのは、巨大なカエルであるクォルクだった。クォルクは、オリにある一つの提案をする。それは、「精霊樹」の光がもたらす奇跡を使い、クゥを生き返らせるというものだった。精霊樹は、森に命を与える存在、ならば、死んでしまったものにも命を与えることができるのではないかというのだ。実はクォルクはモキたちを使い、独自に「滅び」からニウェンの森を救う方法を探していた。そのカギとなるのが、「精霊樹」の力の源である「オーブ」と呼ばれる光の玉なのだそうだ。ニウェンの森の精霊樹は、枯れる寸前に「火の精霊」、「水の精霊」そして「光の精霊」にオーブを託し、森のどこかにある遺跡の奥に保管させたのだという。オーブを使えば、精霊樹を再び甦らさることができるかもしれないのだ。クォルクはその遺跡の場所も突き止めているが、遺跡に入るには、「火の精霊」、「水の精霊」、「光の精霊」の力が必要であり、その精霊たちも滅びによって別々の場所で長い眠りについているのだそうだ。クォルクはそれぞれの精霊が眠る場所をオリに伝える。最愛の家族を救うため、オリはまずは一番近くにある「火の精霊」が眠る場所へと向かうのだった。クォルクもまた、独自で「水の精霊」が眠る場所へ行くと告げる。

精霊を探して

雪に閉ざされた地にて眠っていたクマ「バウル」

「火の精霊」が眠る場所は、「滅び」によって深い雪に閉ざされた極寒の大地だった。この地の入り口にはクマの「バウル」が冬眠していたのだが、一向に目を覚ます気配はなかった。オリは迫りくる敵や複雑な通路に四苦八苦しながら、この地の奥のさらに奥にある、「火の精霊」が眠る祭壇へとたどり着く。オリは祭壇に、持ってきた松明を灯す。すると「火の精霊」は目覚め、その際に一気に周囲に火の力を解放する。これによってこの地の雪が解け始め、ついには大きな雪崩まで起きてしまう。オリは雪崩に飲まれないように全力疾走で入り口へと戻る。あわや雪崩に飲まれるといった間一髪のところを救ってくれたのは、入り口で眠っていたバウルだった。バウルはオリのおかげでこの地に再び暖かな光が戻ったことを感謝する。そのお礼にと、バウルはオリに何でも聞きたいことを教えてやろうという。オリは、シュリークのことについて聞いた。

幼いころのシュリーク

バウルの話によれば、シュリークは、すでに精霊樹が枯れ、「滅び」が始まったころに生まれたのだという。シュリークの両親は、自分たちの卵を守ろうとした結果、「滅び」の影響で死亡してしまい、体が石になってしまったのだ。そしてシュリークもまた、灰の下に埋もれた卵から孵った。「滅び」の影響で生まれながらに異形の姿をしていたシュリークは、親の愛情も受けられず、仲間であるはずのフクロウからは恐れられ、迫害された。そのせいでシュリークはすべての生き物を憎んでおり、特に同じフクロウに関しては並々ならぬ憎悪を持っているのだそうだ。シュリークもまた、悲しい過去を持っているのだと知ったオリは、複雑な感情を抱きつつも、次なる目的地へと向かい始めた。

オリとの戦いの末、死亡してしまうクォルク

オリは「水の精霊」が眠る湿地へとやってきた。そこでも迫りくる敵や複雑な道に苦労しながらも、どうにか「水の精霊」が眠る祭壇までやってくる。「水の精霊」を目覚めさせたその直後、突然クォルクがオリの目の前に現れた。クォルクは独自で「水の精霊」の元へ行くと言っていたため、オリは別に驚くことではないと考えていたが、次の瞬間、クォルクは目覚めた「水の精霊」を飲み込んでしまう。よく見れば、クォルクの様子がどこかおかしい。実はクォルクは、「滅び」の際に生まれた異形の魔物に憑りつかれ、操られていたのだった。クォルクはオリに襲い掛かる。オリはクォルクの攻撃をかわしながら逃げ出すが、このままでは埒が明かないと考え、クォルクと一対一で戦うことになる。激闘の末、オリはクォルクに致命傷を負わせる。その際にクォルクに憑りついていた異形の魔物が離れ、正気に戻ったクォルクの最後の一撃によって魔物を倒すことに成功するのだった。「水の精霊」も取り戻し、周囲の湖や川がきれいに澄んでいくなか、クォルクはオリに感謝の言葉を告げ、死んでしまうのだった。モキたちがその場に現れ、クォルクの死を悲しんだ。モキたちは事情を知っているためオリを責めることはせず、クォルクを弔うためにその亡骸を運んでいくのだった。

最後の精霊を取り戻すために戦うオリと巨大グモ「モラ」

最後の「光の精霊」が眠っているのは、森の地下深くに広がる巨大な洞窟の奥だった。オリがその洞窟の入り口にやってくると、そこには一匹の小さなクモが待っていた。クモは、オリの森での活躍を聞き、頼みたいことがあるのだという。「滅び」によって暗闇にとらわれた洞窟に光を取り戻して、正気を失ってしまった自分の母親を救ってほしいというのだ。洞窟の中は「滅び」がもたらした暗闇で覆われており、暗闇に長居してしまうと暗闇そのものがオリを殺そうと迫ってくるのだった。オリは洞窟の中に点在する光を頼りに奥へ奥へと進んでいき、ついにその最深部の祭壇までやってくる。オリは、そこに眠る「光の精霊」を目覚めさせようと祭壇に近づくと、突然何者かに襲われる。この祭壇に巣をつくる巨大なクモ「モラ」だった。このクモが、入り口にいた小さなクモの母親だった。オリはモラの繰り出す猛撃を何とかかわしながら、隙を見て祭壇の「光の精霊」を目覚めさせる。その際に放たれた強烈な光が洞窟全体にわたり、洞窟を覆っていた暗闇をすべてはらったのだった。モラもそれにより無事正気を取り戻す。

オリとクゥを探すため、ニウェンの森へと向かうナルとグモ

一方そのころ、オリとクゥが行方不明になってしまったナルとグモは、寝る間も惜しんで2人を探し続けていた。そんな時、動物たちから聞いた話から、オリとクゥはニブルの森から遠く離れたニウェンの森にいるという情報を手に入れる。ナルとグモはいかだを作り、ニウェンの森へと向かうのだった。

ニウェンの森の真実

オリは遺跡の奥で、ニウェンの森の真相を知る

「火の精霊」、「水の精霊」、「光の精霊」をそれぞれ目覚めさせ、ついにオーブが眠る遺跡へとたどり着いたオリ。遺跡の中は、進めば進むほどに複雑な構造や仕掛け、強力な敵などが襲い掛かってくるが、それらを切り抜け、オリは遺跡の奥へとたどり着く。そこには、ニウェンの森から精霊が居なくなるまでの軌跡が壁画として描かれていた。精霊樹が枯れ、それによってもたらされた「滅び」により、オリと同じ姿をした精霊たちが苦しみ、そして消えていった。数々の壁画に描かれるこの森の歴史を通り過ぎていきながら、オリはついにオーブを手に入れることに成功するのだった。

クゥの亡骸を見て、肩を落とすナル

そのころ、ナルとグモはニウェンの森へとたどり着き、そしてそこで知り合ったモキたちに導かれながら、クゥの眠る祭壇へと訪れる。変わり果てたクゥの姿に、ナルとグモは肩を落とし、深い悲しみに襲われてしまうのだった。

最後の決戦

オリを狙い、襲い掛かるシュリーク

オーブを手に入れたオリは、そのまままっすぐに枯れた精霊樹の元へと急ぐのだった。精霊樹の元へとたどり着き、オーブの光を精霊樹に注ぐ。精霊樹がオーブの光を受け入れようとしたその瞬間、上空から現れたシュリークが、オリに襲い掛かってくる。オリとシュリークの最終決戦だった。お互いに一歩も譲らず、激しい攻防を繰り広げる。シュリークによって上空へとオリは投げ飛ばされるが、たとえ空の上でもオリはシュリークと互角に戦うのだった。お互いに傷つきながら、最後の一撃を制したのはオリであった。

両親の亡骸に埋もれながら、静かに息を引き取るシュリーク

オリの一撃を喰らい、満身創痍のシュリークが向かったのは、シュリークの生まれた場所であり、石となったシュリークの両親が眠るかつての巣だった。シュリークは両親の亡骸の中にうずくまり、静かに目を閉じる。シュリークはただ、誰かに愛してほしかっただけだったのだ。誰からも愛されずに育ってしまい、歪んだ感情を抱くようになってしまった。シュリークが最期に臨んだものは、両親からの愛の温もりだった。両親からのすでに無くなっているはずの温もりを、シュリークは確かに感じながら息を引き取った。

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