王様ランキング(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『王様ランキング』とは、十日草輔によるファンタジー漫画である。
最初はweb漫画投稿サイト『マンガハック』で毎週土曜日に更新されていたところ、徐々にその人気が認められ、現在は様々なweb媒体で読むことが可能であり、KADOKAWA書店(ビームコミックス)より書籍化もされている。絵本のようなやさしいタッチが魅力の作品。
主人公の耳が聞こえず、話すこともできないボッジ王子と友人のカゲが『王様ランキング』で1位になることを目指して奮闘する物語である。

『王様ランキング』の概要

『王様ランキング』は、十日草輔による日本の漫画。漫画投稿サービス『マンガハック』にて2017年5月20日から毎週土曜日に更新されているのである。「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2019」6位。発行部数は30万部。
この作品は人を選ぶであろう画風である。絵本チックな絵に、登場人物の一人「デスパー」が美男という設定も普通の漫画からしたら首を傾げてしまうかもしれない。
あらすじは、耳の聞こえない非力な王子「ボッジ」と「カゲ」と呼ばれる不思議な生物の出会いから物語は始まり、だんだんと王子の謎や王様を取り巻く人物たちに関わっていくことになる。
主人公は耳が聞こえない上に木剣すらも持てないほど非力な存在だ。だが、それに負けないほどの大きな器も持っているのである。彼を取り巻く人々も一様に自分の信念を持っているのである。主人公ボッジ王子と友人のカゲはもちろん、ライバルにあたる第二王子の弟ダイダ、義母ヒリング、ボッスとミランジョ、そのキャラクターが織りなす物語がすべてつながっていく。王様ランキングとは一体何なのかその謎はまだ解き明かされない。

『王様ランキング』のあらすじ・ストーリー

『王様ランキング』

しゃべれない王子と孤独なカゲ

一代で王国を築き上げたボッス王が死去し、次代の王を決めることとなる。候補は共にまだ幼い長男のボッジか次男のダイダのいずれかだが、ボッジは生来耳が聞こえずしゃべることもできないというハンデの持ち主だった。「ボッジに王の激務は務まらない、どこかでのんびり暮らしてくれればいい」との王妃ヒリングの配慮から、次代の王にはダイダが選ばれる。
王には選ばれなかったボッジだが、他人の痛みのために涙を流す優しい性格で、王宮内外の少なくない人々に恩義と敬意を抱かれていた。中でも暗殺者としての悪名を轟かせた「影の一族」の生き残りであるカゲはボッジの人柄に惚れ込み、「いついかなる時もボッジの味方になる」ことを誓う。

次代の王となったダイダだが、「ボッジを生かしておいてはあなたの王位も危うくなる」と魔法の鏡に唆され、兄を謀殺することを決意。王国の重臣たちがボッジ派とダイダ派で揺れる中、自分の派閥に就こうとした者に命じてボッジを谷底に突き落とさせる。
しかし密かに行動を共にしていたカゲにより、ボッジは命拾いする。王宮の中の誰が敵で誰が味方なのか分からない今、ボッジ自身が自分の身を守れる強さを手に入れるべきだと考えた2人は、冥府の国にいるという伝説の武術師範に会うための旅に出る。

王国に忍び寄る悪意

魔法の鏡の助言により王宮内での足場を固めていくダイダだが、「強くなれる秘薬」だと称するものを飲まされて、父であるボッスの魂に肉体を奪われてしまう。自身の魂だけがどことも知れぬ暗闇の中に閉じ込められたダイダは、自分が魔法の鏡に利用されていたことを悟り、ボッジたちへの罪悪感に苛まれる。同時に暗闇の中でミランジョという不思議な少女と出会い、凄惨な責め苦を負わされる彼女を見兼ね、これを助けようと足掻いていく。
息子の体を奪う形で復活したボッスだったが、これは彼にとっても予想外の事態だった。それでも自身の復活が魔法の鏡の暗躍によるものだと知ると何も言わずに受け入れ、再び王座に座る。ボッジは行方不明となり、ダイダまで奪われたヒリングは黙っていることができず、必ず息子たちを助けてみせると誓ってボッスと敵対する道を選ぶ。

その頃、ボッジはカゲと共に冥府の王デスハーと面会。彼の弟で、他人を教え導くことだけは抜群にうまい“伝説の武術師範”ことデスパーに師事し、王国の猛者たちすら軽く蹴散らすほどの実力を手に入れていた。修行を終え、王国に危機が迫っていることを知ったボッジは、それを救わんとカゲと共に故郷へ向けて出立する。
一方、デスハーは冥府に囚われていた重罪人たちが解放され、ボッス王国へ向かったことを知る。これがミランジョこと魔法の鏡の企てだと看破したデスハーは、冥府の兵士たちを従えてボッス王国に進軍。黒幕であるミランジョを殺し、逃げ出した重罪人たちを捕まえて、あわよくばそのままボッス王国を占領するのがその目的だった。

冥府軍の介入

まずはダイダを助けようと、部下と共にボッスに戦いを挑んだヒリングだが、魔法の鏡が使役する魔物の軍勢の前に追い詰められてしまう。ここにボッジが現れ、デスパーの下で鍛えた技でヒリングや彼女の部下たちを救う。自ら王国に乗り込んで片を付けるつもりだったデスハーだが、超常の力を持つ彼をしてもボッスには敵わないとのデスパーの助言を聞き入れ、方針を「ボッジとボッスを戦わせて漁夫の利を得る」ことに変更。デスパーと数人の部下だけを王国に向かわせて、自身はいったん引き上げていく。
一方、王国に入り込んだ冥府の重罪人たちは、それぞれが好き勝手に暴威を振るっていた。中でもすさまじい力を見せつけたのが、不死の力を持つ剣士オウケンである。彼はデスハーの末の弟で、かつては2人の兄と共に冥府のために力を尽くしたが、不死身の存在となったことで心が歪み、殺戮を楽しむ人の姿をした怪物と化してしまった。ボッジも、王国の猛者たちが束でかかってもミランジョに操られたオウケンを止めることはできず、戦禍は広がっていく。

同時に、謎に満ちたミランジョの正体が明らかとなっていく。彼女が生まれた国・ホウマは、全人類をその支配から解放するために神々との戦いを繰り広げていた。しかし同盟国の裏切りによってホウマは滅亡し、唯一の生き残りで当時まだ幼かったミランジョは見せしめとして嬲り物にされていた。彼女の一家と交流のあったボッスがこれを助け、共に旅をするようになり、ミランジョは次第にボッスへの依存と慕情を強くしていった。
そのボッスに“誰よりも強くなりたい”という夢があることを知ったミランジョは、どんな願いでも叶える魔神を探し出し、「寿命と自分の息子の力」を捧げることを条件として無敵の力を与える契約を取り付ける。ボッスにより強い力を与えるために、当時世界一強いとされた女性を彼の妻にあてがい、自身は死神と「死後自分の魂を冥府ではなく死神の所有物として捧げる」と契約して魔法の鏡に魂を移す。友人の遺した娘に、我が子のように大切にしていた女にそれほどの運命を背負わせていたことを後になって知ったボッスはミランジョに対して深い負い目を感じ、今なお「愛するボッスと共に旅を続けたい」と願う彼女の言いなりになっていたのだった。

内乱の終結と新たなる道

暴れ回るオウケンを止めたのは、いよいよ決着の時が来たと感じたボッスだった。不死の力でどんな傷も再生してしまうオウケンを「岩に埋め込む」という強引な方法で倒すと、今度はボッジたちの前に立ちはだかる。圧倒的な力を見せつけたボッスを、しかしボッジはあっさりと打ち倒す。オウケンとの相性が最悪だっただけで、ボッジの“技”はボッスの“力”を遥かに凌駕していたのである。
敗北を認めたボッスは、肉体をダイダに返して昇天していく。魔法の鏡を割られたミランジョは、死神との契約通り魂を奪われるも、ダイダとボッジがこれを助ける。この時同時に魔神が現れ、ボッスの魂を我が物にしようとするも、突如その首が落とされる。魔神はその程度では死なないが、これを奪って「返してほしければオウケンから不死の力を無くしてくれ」と要求するのが、今回の騒動を利用して果たそうとしていたデスハーとデスパーの真の計画だった。

しかし暗闇の中でミランジョの悲しい人生を垣間見て、“彼女を救いたい”との思いを抱くようになっていたダイダが割って入り、「ミランジョを生き返らせてほしい」と願う。魔神はこれを叶えて消え去り、デスハーたちは大いに慌てるも、「ミランジョを自分の妻にする。誰にも手出しはさせないが、罪は必ず償わせる」と言い張るダイダの前についには折れ、相応の賠償金を差し出すことを条件に引き下がる。
捕えられたオウケンは再びどこかへと逃走し、弟を救うことを諦められなかったデスハーは王としての立場を捨てて冥府の国を出立。ダイダはボッジに王位を譲り、王国は復興への道を歩み始める。そんな中、「自分のような日陰者が王様の隣にいるわけにはいかない」と考えたカゲは、ボッジには内緒にしたまま王国を去っていく。

しかし、無二の親友であるカゲを1人ぼっちにはさせられないと考えたボッジは、せっかく譲り受けた王位をダイダに返して出奔。呆れるカゲと共に、一緒に新たな冒険に旅立つのだった。

『王様ランキング 勇気の宝箱』

ボッジの不思議な修行

ボッジがデスパーの下で修行中だった時のこと。弟子の資質と才能を正確に見抜き、それを育て上げることに関しては超一流のデスパーだったが、「顔にシミができた」と言っては美容に効くキノコを探してくるよう頼んだり、「金が無い」と言ってはボッジとカゲに金策を命じたりと時に妙なことを言い出す人物でもあった。
それでもボッジやカゲが律儀に従うと、キノコの正式な報酬を払ったり、金策中に2人が出会った貧乏な少女を救うために手を回したりと心配りも欠かさない。なんだかんだでデスパーは信頼できる人物だと、ボッジとカゲは安心して修行に励むのだった。

砂漠の旅路

冥府騎士団と共に王国への旅路を急いでいた頃のこと。砂漠に差し掛かったボッジたちは、そこで盗賊団を捕まえるなど活躍する一方、砂嵐に巻き込まれて不思議なオアシスを発見する。
疲れた体を癒そうとそのアオシスを訪れた一行は、不定形の不可思議な生き物たちと遭遇。彼らはボッジたちに対して非常に友好的で、「構ってほしい」とばかりに身をすり寄せてくる。その愛らしさにメロメロになるボッジたちだったが、同種の超大型個体に襲われ慌てて逃げ出す。

実はこの超大型個体はボッジが抱えていた小型の個体の親だったらしく、我が子を取り戻そうとして一行を追い回していたのだった。それに気づいたボッジが子供を返すと、超大型個体は安心したように引き返す。やがて彼らは空から現れたさらに巨大な同種の個体に吸い上げられ、どこへともなく去っていく。
気が付けばオアシスもどこかに消えており、一行は「幻でも見ていたのか」と首を傾げる。王国への旅路を急ぐために出発するボッジたちが立ち去った後、砂の中から超大型個体の子供がひょっこりと姿を現すのだった。

ヒディングの戦支度とダイダの魔法修行

ダイダの体をボッスが意図せず乗っ取ってしまった後のこと。「死にたくなければ出ていけ」と脅されたヒディングは、王国の四天王に数えられる騎士のドルシと共に、ダイダ奪還のための戦力を求めて旧友のアンという女戦士を訪ねていた。
アンは現在滞在している村に恩があり、近隣に潜む山賊の襲撃に備えているため今すぐは手伝えないと説明。ヒディングは「それならこちらから出向いて山賊を壊滅しよう」と言い出し、ドルシも含めて山賊の隠れ家を目指すこととなる。首尾よくこれを改心させると、ヒディングはアンやドルシと共にさらなる戦力を集めるために旅立っていく。

ヒディングが必死に助けようとしているダイダには、「母のような治癒魔法が使えるようになりたい」と考えている時期があった。治癒魔法を修得するには、「誰かを助けたい」という強い想いが大事だとヒディングからコツを教えられるが、なかなかうまくいかない。
しかしある時、ダイダはボッジと共に城の外に遊びに出掛け、そこで雨に降られて立ち往生してしまう。急いで城を目指す内にボッジが崖を転がり落ちてしまい、足にひどい怪我を負う。ダイダは「自分が兄を支えられなかったせいだ」と深く後悔し、ボッジを助けたいという強い気持ちで治癒魔法を発動。途中で体力を使い果たして倒れるも、この応急処置と駆け付けたヒディングの治癒魔法により、ボッジの足は綺麗に完治するのだった。

不死者オウケンの秘密

冥府の王デスハーとデスパーの弟で、不死身の力を持つオウケン。彼はかつては聡明で善良な人物だったが、自身が不死であることを知ってから精神に異常をきたし、デスハーによって捕らえられたという過去を持っていた。
そもそもオウケンが不死の力を得たのは、彼らの父サトゥンによる実験のためだった。サトゥンはもともと不死を得るための研究を繰り返しており、それは自身の三男を実験台として利用することで一定の成果を見る。研究のために非道な行いを重ねた父を許せなかったデスハーはこれを討つも、兄の力になろうと参戦したオウケンは、その中で自分が不死身の肉体を持つことに気付いてしまった。

周囲から化け物と恐れられ、自分が正常な生き物なのかどうかも分からなくなったオウケンは、「生き物が死ぬところをもっと観察すれば、自分を殺す方法も分かるかもしれない」と考え、殺戮を繰り返す中でそれ自体に酔い痴れていく。もはや他に手はないと考えたデスハーとデスパーは彼を捕らえ、厳重に幽閉することとしたのだった。
オウケンの不死を解除するには、魔人の力が必要になる。そのことを突き止めたデスハーとデスパーは、いつかその機会が来たら必ず弟を不死の宿命から解き放とうと誓い合う。

オウケンを救いたいと考えていたのは2人の兄たちだけではなく、彼の人柄を知る騎士団の多くの者も同様だった。副団長のフレンもその1人で、「どうか自分に魔人の捜索の許可を与えてほしい」とデスハーに頼み込む。“魔族は冥界から出てはならない”という掟によってこれは却下されるも、結局フレンは無許可で魔人捜索のために地上に向かい、死罪が下され追手が差し向けられる。
その追手たちもまた「オウケンを助けたい」という想いは同じで、彼らは一芝居打って“フレンは地上で処刑した”ことにして冥界に帰還。やがて王国に魔人が潜伏していることを突き止めたフレンは、死を覚悟してその情報をデスハーの下に届けるも、「フレンはすでに処刑されているから、お前はフレンを名乗る不届き者だ」と軽い処分だけで彼を許す。

かくして魔人の情報を手に入れた冥界の軍勢は、機に乗じて王国に介入する準備を進めていく。デスパーは騎士団長に預けていた愛馬を受け取りに向かうが、失恋のショックで暴食した彼女が目を疑うほどに肥え太っているのを見て、思わず唖然とするのだった。

ボッジを信じる者たち

ボッジの忠臣としてその冒険を支え続けたホクロには、「母を失った時、その苦しみに共感したボッジに必死に慰められた」という過去があった。これに感動したホクロは、「ボッジの力になりたい」と考えるようになり、兵士に志願して城で働くようになった。彼がボッジを送り出す旅に参加したのもそのためだったのだ。
そのボッジは王国を襲った争乱を退け、新たな王となるも、内心ではいずこかへと去った親友のカゲのことを案じ続けていた。部下にも民にも果てしない優しさを向けるボッジの姿は、王位継承を巡るイザコザの中で争ったダイダにとっても、いつしか理想として追い求めるものとなっていく。

やがてボッジはカゲを探すために王位をダイダに譲り、国を出奔。兄に後を託されたダイダは、自分にできる形で国を支えるべく奮闘する。先代の王ボッスへの愛のために黒幕として争乱を主導したミランダは、己の行いを悔いて今はダイダに仕えていたが、国には未だに彼女に憎悪を抱く者も少なくなかった。彼女にどう罪を償わせていくのかも、ダイダが考えなければならないことの1つだった。
老朽化した兵舎をどうするかというのも国の懸案事項の1つだったが、街中を視察したダイダは、ここに新たに学校を作ることを思いつく。様々な事柄に深い見識を持つミランダに教師になってもらうことで、国の中に未だ残る彼女への反感も和らげようというのも目的だった。力を合わせ、問題を1つずつ解決しながら、国は復興への歩みを進めていく。

四天王の軋轢

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