プロメア(PROMARE)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『プロメア』とは、『キルラキル』などで知られるアニメーションスタジオ・TRIGGERと『モンスターストライク』などバトルエンタメコンテンツを創出するXFLAGがタッグを組んだ、日本のアニメ映画。
30年前の世界大炎上により人類の半数が減り、今日まで炎を操るバーニッシュと人間は対立していた。ガロは「バーニングレスキュー」として消火活動に精を出していた。ある火災をキッカケに指名手配グループ「マッドバーニッシュ」のリオとぶつかりながら仲間たちとともに立場を越えて国の陰謀・地球の危機に立ち向かう。

バーニッシュに目覚めた彼らは、燃やすことで肉体を再生し生き続けることができる。
また、共鳴したプロメアにより本能的に燃やしたい衝動に駆られる。そんな宿命を突如背負ってしまったリオたちの思いが見える。

ガロ「燃えていいのは魂だけだ。はた迷惑な炎は消してやるよ、燃えて消すのが俺の流儀だ!」

出典: www.wowow.co.jp

「燃やさなければ生きていけない、それがバーニッシュだ」を受けてのガロの返答。
矛盾表現を使用した、プロメアという作品を最も表している代表的なセリフだ。

ガロ「お前だって頑張ってるよ、アイナはアイナだ」

氷の湖で頭を冷やしに来たガロとアイナの掛け合い。よくできた姉、エリスの妹というレッテルが付きまとい比べられたアイナ。そんなアイナにエリスの妹ではなく、アイナ自身に価値があり、ありのままでいいと励ますガロ。氷の湖と相まって、幻想的で甘酸っぱいシーンだ。

リオ「許さんぞ、クレイ・フォーサイト!!」

フェンネル火山から連鎖型絶対凍結弾を引き抜き潰したリオ。バーニッシュの仲間たちやゲーラ・メイスが捕まったことを察する。穏やかだった日常が失われ、理不尽な現状に怒りが頂点に。クレイに復讐を誓い、ここから火炎龍となりプロメポリスへ向かう。

ガロ「無闇に人は殺さねえ。バーニッシュの誇りってのがあるんじゃねえのか!」

ガロに邪魔をされクレイに復讐できず激昂しているリオに対し、ガロは拳を交える。熱く且つ冷静に相手に寄り添い、一旦頭を冷やせと説得する様は立派な消防隊員だ。

リオ「僕の全てを燃やすという衝動と」 ガロ「俺の全てを救って炎を消す、二つの意志が一つになる時」

バーニッシュであるリオと、火消しのガロの相反する二つの意思が共鳴、全宇宙を燃やし尽くす。
燃やして消すという矛盾。この矛盾は「違うものを認める」というこの作品にて一貫して描かれるテーマに即している。

『プロメア』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

3つの図形と設定

オープニング映像では、三角形が四角形に押し込められる映像が流れ、丸のイメージが現れる。
三角形、四角形、丸はこの映画で最も重要なモチーフだ。

三角形……プロメア・バーニッシュの象徴
四角形……火消し・クレイ側の象徴

三角形が使われた主な箇所は、プロメアの火の粉、バーニッシュの灰、リオを逃すための砲台、マグマ、リオが氷の池に落ちた際の蒸気、プロメティックエンジン、プロメティックエンジンにより開いたワープホール等。
全てバーニッシュやプロメアに関係するシーンで使用されている。
三角は鋭く、作中で度々登場するフェンネル火山の記号でもある。
『プロメア』のロゴも、大きい三角形から小さい2つの三角形をくり抜いたデザインだ。

四角が使われた箇所は、氷の表現、自治共和国プロメポリスの建物、フォーサイト財団のマーク、バーニングレスキューのメカニックデザイン、研究所のデザイン。
四角は、規律や世間体を重んじるクレイのキャラクターを表現している。
(作中・リオの「僕らよりも先にその凝り固まった頭を冷やせ!」など)

オープニングの「四角が三角を押し込め、歪める映像」クレイの体制によるバーニッシュの抑圧を意味しているのだ。

三角と四角が共存する箇所も登場する。これは主にバーニッシュ/プロメア側と体制側の交錯(特にクレイ)を意味している。具体的には、プロメポリスの建造物の角が削られて青い三角が現れていたり、クレイの紋章は三角が組み合わさった四角となっていたりする。
また作中で用いられるアルファベットのフォントは四角から三角/四角を切り取ったデザインで統一されている。

次に、もうひとつの重要なモチーフ「丸」について。丸は以下の役割を担っている

丸……共存、物語の決着

つまり丸は物語が"丸く"収まっていくさまを表現している。
物語終盤、デウス博士の研究室で丸モチーフが多く現れる。
蒸発した池の形が丸で、研究室も球の形をしている。移動用のエレベーター、内部のライト、研究所の画面リオが乗るポットも全て丸のデザインだ。
また彼の作ったデウスエクスマキナも丸みをおびたシルエットをしており、丸が強烈に印象に残るシーンである。

序盤のニュースでバーニッシュの隔離政策と、それに反対するデウス博士が登場し、対立の解消を望んでいることが分かる。
だからこそ、ガロたちがデウス博士と出会うシーンを境に「共存」に向かって物語が収束に向かっていく。

物語の重要な鍵であるプロメティックエンジンは、3つの図形がひとつに合わさったものだ。回転部分は丸、フレームは三角、ボディは四角で構成されそれらが積み上がっている。初期状態ではセントラルポッドは三角形で構成された正八面体で、丸は使われていない。しかし、そこにコアとして球形ポットが加わることで3つの図形が揃い、解決策が見出されていく。
リオとプロメアが意思疎通し、「燃やし尽くす」という手段を見出すのだ。

平穏な生活を望むバーニッシュとしてピザ屋の青年が登場する。
ピザというのは三角形のピースが円を構成している。
つまりバーニッシュ(=三角)も共存(=丸)が可能である、ということを暗示しているである。

序盤からなぜ太陽の反射が四角なのか。
クライマックスで理由が判明する。
一惑星完全燃焼でガロデリオンの炎が丸を象徴する太陽に届くが、その際に太陽の表面に描かれる模様は三角。
このシーンでは太陽を中心に丸・三角、そしてレンズフレアの四角を揃えることで、物語の決着を表している。 そのため、一惑星完全燃焼の後のラストシーンのレンズフレアは四角ではなく「丸」で描かれている。
こうして、物語は大団”円"を迎える。

バーニッシュのインスピレーション

バーニッシュは、テッド・チャン作『あなたの人生の物語』に出てくる炎生命体からインスピレーションを受けた。
その炎に対して消防士(バーニングレスキュー)は、氷で消火をする。現実では水で消火するが、氷であるのは前述の3つの図形と関連している。

炎は三角、氷は四角と3つの図形を使用しながら対立を表現しつつ、本作のシンプルかつスタイリッシュなデザインに上手く落とし込まれている。

Q.発火能力のアイデアは、どこから出てきたのでしょうか。

中島「元々のアイデアは炎生命体なんですよね。テッド・チャンの小説『あなたの人生の物語』を読んでいる時、コミュニケーションのやり方が違うと難しいよねと思っていて、もし炎が生きていたら、炎は燃やすことでコミュニケーションになるわけで、人間にしたら迷惑だよねという思いつきがスタートでした。

それまでも服に命があったんだから、次は炎か水じゃないかと(笑)そこから『バーニッシュ』というアイデアが生まれ、それに対応するのは消防士ということで今の形ができました」

出典: otonanswer.jp

ストーリー・登場人物のモデル

ストーリー・登場人物の由来は、プロメテウスを主としたギリシャ神話がモチーフとされている。

ガロ・ティモス

メガロス:ゼウスの息子。デュカリオンと共に大洪水を生き延びた。
ティモス:ギリシャ語で光

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