岳(漫画・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『岳』とは2003年より『ビッグコミックオリジナル』にて連載が開始された石塚真一による漫画、および原作を基にして作られた映画のことである。山岳遭難救助隊の新人として配属された女性警察官と山を愛する山岳救助隊員との交流を中心として、山を愛する人々の想いや成長過程が細やかに描かれている。美しさだけではなく、時には人間に容赦なく襲い掛かる自然の驚異を体感させてくれる山愛に満ち溢れた作品だ。

ピートを支えながら命がけの救助を行う三歩の凄さを感じる草介

オスカーの救助に向かった三歩から、骨折しているピートのサポートを任された場面での草介のセリフ。三歩から「だめなら途中放棄していい」と言われるも、猛烈なブリザードの中を救助に向かった三歩を見た草介は、改めて命を救うことの大変さと三歩の偉大さを実感する。肺がつぶれそうなほどの苦しみの中歩き続けた草介は無事ピートをテントまで下ろし、命を救うという山を登りきることができた。

『岳』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

映画版『岳-ガク‐』は実際の山に入って撮影された

原作漫画で作中の舞台になっている長野県の北アルプス。映画版『岳-ガク-』の撮影も穂高岳や立山など北アルプスの山に入ってロケが行われた。そのほか八方尾根のスキー場や松本市内の建物なども撮影に使われている。撮影に使われたロケマップが公開されているので、映画の中で三歩達が通ったルートを歩くことができるようになっている。
撮影前に冬の穂高岳で3ヶ月間登山の技術トレーニングを行った小栗は登山経験はなかったものの次々技術を習得していき、50kgにもなる装備を身に着けてアイスクライミングを披露した。また小栗は高所恐怖症だったが「撮影中は三歩になり切っていたので恐怖心などはなかった」とインタビューで語っている。映画公開後のイベントで久美を演じた長澤と共にクライミングウォールを訪れた際には「今では怖くてとても登れない」と明かしていた。

三歩の収入源は県警による出動費とアルバイト

警察の仕事として山岳救助活動を行っている久美や正人、山岳遭難救助隊の隊長である山口や副隊長の宮本はロッジ、山荘の経営を行う傍らボランティアで救助を行っているため固定収入を得ている。一方の三歩は北アルプスの山の中にテントを張って生活し(冬季は雪洞)ボランティアで山岳救助を行っているため、給料という形の基本的な固定収入源は持っていない。
作中描写されている三歩の収入源は、県警から出動の度に払われている出動費とアルバイトによるものである。出動費は要救助者の生存・死亡に関わらず払われているが、三歩が助けられず亡くなった人の分のお金も入っている為、本人はあまり高級な食事や服など自分のためにお金を使いたがらない。また三歩が行ったアルバイトは東京都内のクライミングジムにおいてクライマーが登るための石の設置(ルートセッター)と、谷村山荘のオバちゃんが大切にしていた形見の椅子を壊してしまったときに行った高所でのビル清掃(窓拭き)である。

お金に困っている様子や節約に励む様子が度々描かれており、松本のスーパーで安売りを狙っていたところバスに間に合わなかったことや、370円のガスが現金不足で買えないということがあった。
登山道具のメンテナンス費用などが大きな出費となっており、東京の登山グッズ売り場でピッケルの刃を好感した際には1万7千円を支払って「すしは消えたな」とつぶやいている。コーヒー豆のショップや谷村山荘での食事代はつけ払いをしている。日本に戻る前はアメリカのティートンでレスキュー隊員として働いていた。

『岳』の主題歌・挿入歌

映画版主題歌:コブクロ『あの太陽が、この世界を照らし続けるように。』

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