異世界居酒屋「のぶ」(蝉川夏哉)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『異世界居酒屋「のぶ」』は、蝉川夏哉によるライトノベルを原作とし、コミカライズ・スピンアウト・アニメ・ドラマと多岐にわたるメディアミックス化をしている。異世界転移というジャンルではあるが、経営している居酒屋の入口が異世界に通じ現代日本の料理と酒で異世界の人々を癒すという異世界転移にグルメジャンルを取り入れた異色のストーリーだ。帝国の古都アイテーリアにある居酒屋「のぶ」。そこはアイテーリアの人々が見たこともないようなお酒や料理を出し訪れた客を暖かく癒やしてくれる不思議な居酒屋だった。

ゴドハルト

こう見えて詩とか物語が好き。

CV:置鮎龍太郎
演:渡部龍平

アイテーリアで最も大きい水運ギルド水竜の鱗のマスター。古都参事会会員で三大水運ギルドマスターの一人。
ラインホルトとエレオノーラとは揉め事があったが、タイショーのウナギの蒲焼きをキッカケに仲が良くなる。特にラインホルトはタコの流通に関して資金の出資をし、彼の才能を認めている。
アルヌと同じく食の吟遊詩人であるクローヴィンケルに尊敬と憧れを抱いている。アルヌがクローヴィンケルに詩を見てもらうという展開になった時、大層うらやましそうであり、彼の歌が直接聞けた際も貴重だっ!と、とても嬉しがっていた。

エレオノーラ

母親とは違い実は男性に対して奥手である。

CV:植田佳奈
演:八木アリサ

アイテーリアで金と権力をもつ水運ギルド鳥娘の舟唄のマスターである女性。母親と一緒にギルドを運営している。古都参事会会員で三大水運ギルドマスターの一人。
エレオノーラの母親は「女の美しさ」という武器を使い、鳥娘の舟唄の規模をアイテーリアで2位の規模にまで大きくした。その分男性と奔放に遊び歩いているようで書類仕事がエレオノーラに回ってくることもしょっちゅうだが、決して母親を嫌っているわけではない。
だが、その母親のせいで男性を見る目に偏りを持つようになってしまう。子供の頃は男性嫌いだと言っていたようだ。
美しいものが好きだが、それは誰かのための美しさでなく自分のための美しさを持つというのがエレオノーラの考え方である。
ニコラウスのような品のない髭でいかにも女タラシな雰囲気な男性が1番嫌いだったが、秋刀魚の塩焼きが美味く食べれなかった時、酔っ払ったニコラウスからまだ食べれる身があることと見た目は悪いがとても美味しい秋刀魚ご飯にしてもらい、見た目で判断してはいけないと考え方が変わる。酔っ払っていたせいでその出会いをしばらく忘れていたニコラウスだったが、その出来事を思い出してからは彼女と一緒に居酒屋のぶで食事を楽しむようになり、鳥娘の舟唄に就職しエレオノーラの側にいるようになった。

イングリド

酒と甘いものが大好きな美魔女。

元々はブランターノの森で暮らしていたが、開墾に伴いアイテーリアに越してきた薬師の女性。
新月になる日魔女がやってくる。そんな噂の通りに彼女は居酒屋のぶにやってきた。魔法について語り、のぶの面々が引き込まれたたころに弟子の少女・カミラが、迎えにやってきて魔女ではなく薬師であると事情を説明する。甘いものを食べればお酒が一旦止まるということだったのでシノブ特製のプリンを食してすっかり気にいる。リオンティーヌからもらった出会いの護符を渡してでももう一つ食べようとするぐらいに気に入った。
その後も何かと居酒屋のぶに通い酒と甘いものを食べにくる常連客になっていたが、居酒屋のぶが魔女の店と噂されてしまっていることに心を痛めているところにダミアンの策略によってやってきた教導聖省にて一緒だったロドリーゴと出会うことになる。ずっとイングリドを探していた彼と出会えたことにより、出会いの護符は役目を果たしたように壊れた。
弟子であるカミラに仕事を任せて飲み歩いていることが多いが、それはカミラのことを信頼しているからでありとても可愛がっている。

カミラ

イングリドを迎えに来るカミラ。

イングリドの弟子の少女。同じ年の頃のエーファとは居酒屋のぶにイングリドを迎えに行く度に話をするようになったせいか仲良くなる。
幼い頃、森の廃墟に置いて行かれたところをイングリドに拾われた。生きる術を教えるというイングリドの言葉のもと、薬師の技術を教えてもらっている。
酔っ払っているイングリドを迎えに行くのも彼女の大事な仕事の一つである。
美味しいものを食べている時もこの味は師匠が好きそうな味だと考えてしまうぐらいイングリドのことが好きであることがエーファから指摘されていた。

アルヌ

八つ当たりでゴロツキをボコボコにした後、彼らの財布を回収して居酒屋のぶの飲み代として支払わせた。

アイテーリアに領地をサクヌッセンブルク侯爵の息子。
居酒屋のぶに初めて訪れた時は吟遊詩人を目指しており、ヘルミーナがガラの悪い客に絡まれていたところを助けお礼として出会いの護符をもらう。居酒屋のぶにて美味しい料理を食べたことにより、彼は食の詩人クローヴィンケルを目指すことを決めてしまった。
「酔眼」のアルヌという2つ名を持ち、数年前アイテーリアのゴロツキをしめて回ったという伝説の男。弱点は酒に弱いことと詩が下手ということである。
偶然とタイショーの好意により、クローヴィンケルから詩の指導をしてもらうが「何かから逃げている」と言われてしまう。
その逃げていることが家業のことだと自覚しているアルヌではあったが、家業は弟の方が向いているのではないかと思い家を出て放蕩していた。実際2年父親の下見習いをしたが自分の意見は取り合ってもらえず、基本基本ばかりで面白くなかった。言われた通りのことをやるのは出来のいい弟の方が得意だと彼は自嘲気味に言った。詩人になりたいのも事実だが、父親に対する当て付けもあったことを認めている。
しかしタイショーの出汁を飲みこの味を出すまでに14年かかったことを知り驚いていると、タイショーから「本当に詩人になりたいのならクローヴィンケル先生が言ったような迷いは出ないんじゃないですか」と言われ、自身が家督に未練があったことに気づく。
それでも毎日同じことの繰り返しなんて耐えられないと悩むアルヌにタイショーは言う。それこそ自分に才能があることを認めてほしくて焦っていたのではないか。自分にも経験がある。きっとアルヌの父も彼に期待をしていたから丁寧に基礎を教えていたのではないか?と。
そしてアルヌはタイショーから肉じゃがの試食をお願いされる。14年かけて出せるようになったタイショーの出汁の味とねっとりとしたじゃがいもがよくあった。そのじゃがいもはアイテーリアでとれるじゃがいもで、アルヌは思わずこのじゃがいもをアイテーリアの名物にしたいと考える。良い収入源になれば貧しい農家の人々も潤うことが出来ると生き生きと語るアルヌにタイショーはいい顔をしていると笑い、「本当にやりたい事はどんなに心にフタをしていても溢れ出てしまうもの」と伝える。
アルヌは自分が本当にやりたいことについて考え、まずは14年頑張って家業を継ぐことを決意する。それでダメなら弟に譲り、その後はまた14年今度は吟遊詩人の修行をすると彼は笑った。

クローヴィンケル

気難しそうな空気を醸し出していたがその後は気さくな様子でのぶに来訪する。

とても有名でファンが多い食の吟遊詩人。
居酒屋のぶへはブランターノと一緒に来訪。初めは居酒屋のぶに対して見下した態度だったが、ヒルデガルドが告げた「アンカケドーフ」を提供した店だと知り態度を改めた。タイショーの出した料理1品めを食べただけでタイショーの迷いを見抜き「今あなたが最も自信のある料理を食べさせて下さい」と注文をする。
それに対してタイショーはだしまき玉子を出し、それに対して「魔法だな…!」と満面の笑顔で答えた。
期待以上の料理に感動したクローヴィンケルは何かお礼に1つ願いを叶えると告げると、タイショーはアルヌの詩を見てやってほしいと言う。
その後何かとのぶに訪れるようになる。

ジャン

勘違いが勘違いを呼び勘違いばかりしていた。

CV:木村良平

オイリアの奇譚拾遺使の男。
アイテーリアの情報収集のために、居酒屋のぶに入店。生野菜は保存が利かず長距離の輸送も出来ないという理由で各国の飲食店では必ずサラダを食べる。それでその国の実力がわかるという彼の持論のもと、居酒屋のぶでもサラダを注文する。
普段彼がサラダを注文すると一種類しか出てこないのだが、居酒屋のぶでは様々なサラダが出てきてアイテーリアの豊かさに驚く。
例えばタラコのドレッシングを使っているサラダと聞けば、海の魚であるタラが使われていることに懸念を抱く。何故なら内陸であるアイテーリアでは気軽に水産物が口に出来るものではなく、ジャンが調べた限り海魚を流通させる大きな市場もない。帝国かアイテーリアの参事会が意図的に流通量を隠しているのではないかという疑いが彼の中で生まれる。
更にこの世界では高級食材であり一時期は砂金と交換されるほど貴重な食材である胡椒を気軽にポテトサラダのアクセントにかけられ、一般の酒場で日常的に高級食材が使われていることに恐ろしさを感じる。
最後にカルパッチョが出され何の肉かと尋ねれば鯨の尾の身だと言われた。海の怪物である鯨を獲る漁法まであることを聞いてジャンは汗が止まらない。
しかも居酒屋のぶは場末の小さな居酒屋。そんな場所でこれだけの豊かさを持っているとしたらアイテーリア全体ではどれだけなのか。そこまで考えたジャンは居酒屋のぶの面々がわざと自分達の豊かさを見せつけるために料理をだしていると勘違いし自分の身が危険だと判断をすると慌てて逃げ帰ってしまう。
だが実際は日本の食材で作られたサラダであり、決してアイテーリアが豊かというわけではない。
そんな彼の報告は到底信用されるものでなく、再度アイテーリアの調査をするように言われた彼は再び居酒屋のぶにやってくる。
その際他国の密偵にさえバレた事はなかった変装をしていくが、すぐさまシノブにサラダを注文していた客とバレた。
リオンティーヌに今日はクシカツがあると言われたジャンは聞き慣れない言葉に、クシカツとは何かを聞く。オイリア出身のリオンティーヌは「フリットみたいなものだよ。年越しに食べるだろ」と言い、ジャンはジャンでオイリアから来たと言っていないのに、オイリアの風習であるフリットを年末に食べることを言われ自分がオイリアの者か疑っているのではないかとギクッとする。
結局串カツを注文したジャンはリオンティーヌにソースは2度つけ禁止と言われ、何故2度つけはいけないのかを聞いた。リオンティーヌは子供じゃないんだからといった意味合いで「オイリアの幼王じゃないんだから目分量で一回にいるソースの量はわかるだろ?」と答える。ジャンはわざわざオイリアの幼王の名前を出されたことで自分が奇譚拾遺使であることがバレたのでは?と疑念を抱くが、ここで帰れば認めたも同然だと自分を奮い立たせて串カツを食べた。
ジャンは串カツをたっぷり堪能した後帰ろうとして立ち上がるがちょうど腕がソースの器に当たってしまいソースをこぼしそうになる。が、リオンティーヌがすぐさま器を持ちジャンには汚れなかったかと心配をする。そのリオンティーヌの女給仕にはありえない瞬発力にジャンは汗を流しつつも、ソースをこぼしてしまったことを謝った。リオンティーヌは笑顔で「いいんだよ、お客さん。この店は店員も客も″綺麗好き″だからね。掃除をするのはあたしらの仕事だよ」と言われる。″綺麗好き″を強調し、他にも掃除や仕事という言葉にジャンはぞわとしたものを感じてしまう。つまり自分の正体が気づかれていてこの店は薄汚いオイリアの密偵が近づくような場所ではないと、その気になれば簡単に掃除つまり始末するということかと慄くジャン。
恐怖と自身の失態により汗が止まらなくなったジャンは変装のメイクが溶け出してしまいまたしても慌てて居酒屋のぶから逃げ出した。そして今日の報告が済み次第暇を乞うことを誓ったのだが。
ちなみに彼は奇譚拾遺使の中で一目置かれる存在と呼ばれている。それは何故かというと彼があげる報告書の料理解説がとても巧く、読んでいると目の前に料理があるような想像をできるからである。それ故に彼がこの仕事を辞めることは出来ないのであった。

「先帝」コンラート四世

アジフライを手掴みで食べる美味しさ。

CV:立木文彦

前帝国皇帝。婿養子であり、海沿いの育ちだったため魚料理を好む。特に鮭の皮が好物である。
普段はとても温厚で心の広いお爺さん。だが政治に関してとても優秀であり、彼のおかげで今の安定した帝国がある。
いずれ帝国の特産物にするためラガーの製造流通を禁止にした張本人。居酒屋のぶにて他の種類のラガーが流通しているのなら意味がないということでラガーの流通禁止を解除した。
名王と呼ばれるほど政治的手腕に優れた偉大な人として人々は彼を尊敬している。

omiyasan77
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@omiyasan77

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