隣人13号(隣13)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『隣人13号(隣13)』とは井上三太原作の日本のサイコホラー漫画である。通称『隣13(りんじゅうさん)』と呼ばれている。いじめと解離性同一障害(二重人格)をテーマにしており、カリカチュア化された描き方や個性的な脇役などが特徴な作品である。後に小栗旬(十三)・中村獅童(13号)の主演で実写映画化された。建設作業員の村崎十三は小学生の頃いじめられていた。同級生の赤井トールに硫酸をかけられ、顔を焼かれた。その瞬間から臆病な十三の中に凶暴な別人格「13号」が誕生した。13号は赤井に復讐を目論んでいた。

『隣人13号(隣13)』の概要

『隣人13号(隣13)』とは井上三太原作の日本のサイコホラー漫画である。1993年から漫画雑誌『コミックスコラ』に連載される。しかし翌年1994年には同誌が休刊になってしまい、連載は一時中断された。その後はインターネット上で続編が掲載され、ソニーマガジンズによって無事単行本(全3巻)が発刊された。
本作はいじめと解離性同一障害(二重人格)をテーマにしているが、リアリティのある描写ではなくカリカチュア化(誇張や歪曲)された描き方がされている。井上三太の作品の特徴とも言える個性的な脇役も多数登場する。
本作の舞台は神奈川県藤沢市であり、主人公・十三が虐められていた小学校は東京都内の設定である。
2004年には主にMVなどを手がけている井上靖雄監督によって実写映画化された。主人公の村崎十三役に小栗旬、そのもう一つの人格の13号役を中村獅童が演じた。

建設作業員の村崎十三は小学生時代にいじめられていた。当時同級生の赤井トールに硫酸をかけられ、顔を焼かれてしまった。その瞬間から臆病な十三の中に凶暴な人格「13号」が宿るようになった。13号は硫酸をかけられたことを復讐しようと、赤井のいる職場に就き、赤井の住むアパートの隣に引っ越した。赤井は十三を忘れていたが、ここでも相変わらず十三をいじめた。
13号はいつまで経っても復讐に消極的な十三に対して、次第に苛立ち人格を乗っ取ろうとする。そしてある日、13号は些細なトラブルから隣居の中年男を殺してしまった。事件は金銭関係のトラブルとして捜査が進められたが、孤高の老刑事・ビデだけは最初から13号が怪しいと目をつけていた。
ある日、13号はいじめに耐えられなくなり、赤井に閉じ込められた簡易便所の扉を破壊した。それを見た赤井は十三の暴挙に驚いた。そして同じくいじめを受けていた作業員・関肇の心をひどく感動させた。関と親しくなった十三は赤井との過去や、13号の目論む恐ろしい復讐の計画を関に明かしてしまう。
そして、順調に見えた復讐計画は次第に狂い出していった。

『隣人13号(隣13)』のあらすじ・ストーリー

十三と13号の復讐計画

「十三くえよっ」と三人組の子供の一人が、チリトリに入ったゴキブリの死体を差し出してきた。それを嫌がったいじめられっ子・村崎十三(むらさきじゅうぞう)を、いじめっ子たちは掃除のロッカーに閉じ込めた。震える十三は、ゴキブリを食べるか閉じ込められるかの選択を彼らに迫られた。
大人になった十三はある建設会社に就職した。そこにはかつての級友・赤井トールがいた。十三の名前を聞いても全く覚えていない赤井は散々「やんちゃ」をした後落ち着き、妻子を持っていた。十三は会社の飲み会の後、自宅アパートの前で、女がチンピラ三人に絡まれているところに遭遇した。気弱な十三はチンピラへの恐怖に、もう一つの人格・13号へと入れ替わった。十三とは正反対な凶暴な13号の目つきや腕力の迫力に、絡んできたチンピラたちはたじろぎ逃げて行った。無事逃げ出した女は十三と同じアパートの上階・23号室の赤井トールの妻・赤井のぞみだった。
十三と13号にはある計画があった。それなのに未だにウジウジとした性格の十三に13号は苛立っていた。自宅で一人十三を責める13号は苛立ちのあまり苦情を言ってきた隣人・12号室の金井という中年男を滅多刺しにした。その傷は130ヶ所にも及んだ。捜査に来ていた刑事の一人・定年間近の「ビデ」は、金銭トラブルだと片付けられそうになっている本件に納得していなかった。
赤井は会社で気弱そうな大男・関 肇(せき はじめ)をいびり、退職に追いやろうとしていた。そこに十三も加わり再び赤井からいじめられることになった。その現場で膝を負傷した十三は、逃げ込んだ簡易トイレの扉を赤井に外から押さえられ閉じ込められた。その時、パニックになった十三に変わり13号が思い切り扉を蹴り飛ばした。赤井はその威力に吹っ飛び、唖然とした。その十三に関は関心し、二人は親睦を深める。翌日、再び赤井に怪我を負わされた十三は関に付き添われて病院に行った。そこで関が「やすらぎの家」という宗教に入っていることを知り、訪れた関の自宅では、関にはアニメーターという夢があり、故郷で心配してくれている母がいることが分かった。そんな関に心を開いた十三はとうとう13号と自身にまつわる秘密を打ち明けた。
学校の理科室、同級生に羽交締めにされた十三は赤井に「コレ飲めよォ」とにじり寄られていた。赤井が持っていたのは硫酸の瓶だった。赤井は脅していただけだったが、床のコードに足を取られ、硫酸を十三の顔にかけてしまった。硫酸を浴びた十三の顔は煙を立てて焼けていった。とてつもない激痛に十三は叫び、のたうち回った。それを見た赤井と同級生はダッシュでその場から逃げた。十三が苦しみもがいていると、どこからか誰かの声が聞こえた。「十三よォ復讐したくねーのかバカヤロウ」と聞こえ、パニックになっている十三は「ダレ!?ダレ!?」とその声に聞いた。声は「オレか?…オレは13号だ」と言った。
十三の話を聞いた関は、その話に酷く心を痛め、十三に同情した。打ち明けたことに13号は気づいていなかった。
十三の自宅・平和荘へ捜査に訪れている刑事のビデは、金井殺しの犯人が「村崎十三」だとほぼ確信していた。ビデは十三の周りをうろつき、十三にプレッシャーをかけていた。13号はビデの行動に勘づきイラついていたが、その間も赤井の復讐への準備は進められて行った。13号が赤井の自宅に不法侵入したあと、自宅の13号室に帰ると立て続けに二人の訪問者がやって来た。一人はビデで、要件は案の定事件の聞き込みだった。その後やって来たのは新聞の勧誘をしにきたチンピラの新聞拡張員の男だった。13号はしつこい勧誘に腹を立て、包丁で男を惨殺した。その真夜中、13号は十三がぐるぐる巻きにした死体を車に運び、川に投げ捨てた。
13号は頻繁にアパートの外から、赤井家の窓に石を投げつけるという嫌がらせをしていた。赤井はそんなことを知らずにのぞみの留守中、3歳の息子の勇気のいる自宅へ十三を招き入れ酒を飲んだ。その時自宅にいる関は嫌な予感がし、十三のアパートに計画の実行を心配する置き手紙を貼った。そこに書かれていた「13号」と「復讐」という文字から、十三が関に秘密を打ち明けたことは明らかだった。13号は全てを知っているであろう関を消すことにした。
ある晩、13号は十三のふりをして電話で関を会社の事務所に呼び出した。同じ頃、川から死体が上がりビデは十三の犯行を確信し、急いで十三を探しに向かった。暗がりの事務所で、13号は社長のコレクションである日本刀でやって来た関を串刺しにした。十三は最後まで「関くんを殺さないで」と13号を説得したが、その願いは叶わず関は後からやって来たビデと一緒に串刺しになり命を落とすことになった。

憧れの先輩

翌朝、一人の従業員が事務所に入るとそこには凄惨な光景が広がっていた。それはすぐにニュースになった。それによると犯人は二人を日本刀で殺し、ビデ刑事が携帯していた拳銃を奪って逃走したと言う。十三はテレビを消し真っ暗な部屋の隅で震えていた。
関とビデの葬儀がそれぞれ執り行われた。ビデの葬儀には警察関係の人と、大泣きして取り乱す一人の男がいた。男はビデの一人息子で「大鷹組」の構成員・ヒデという。関の葬儀には関の年老いた母が参列し「やすらぎの家」の教祖・二階堂は関の仇を取ると、関の母に宣言した。そして二階堂は葬儀に来ていた十三に視線を送った。帰宅した十三は関を殺してしまった罪悪感に苛まれていた。その時ちょうどお裾分けのみかんを持ってきたのぞみを、十三は思わず強く抱きしめてしまった。その様子をある男が見ていた。
あるゲームセンターに「犬」という名の赤井が作った暴走族の連中が集まっていた。そこには今日から入った新入りの丈二(じょうじ)というヤンキーが、「犬」の総長で小柄な男「死神」に「チビ」と言ってしまい、指を噛みちぎられた。死神は元「犬」の総長・赤井と元レディースチーム「猫」ののぞみを崇拝に近いほど尊敬していた。死神はその夫婦の邪魔をしているように見える十三に、人知れず目をつけていた。
ビデオ屋でたまたま遭遇した十三とのぞみを見かけた死神は、我慢できずいつも一緒にいる相方で巨漢のバルーンと十三の跡を追った。追われている十三は13号だった。13号はのぞみに好意を抱いている十三を、計画のために利用しようとしていた。追ってきた死神に気づいていた13号は、襲ってきた死神を返り討ちにし逃走した。死神の顔にはかつて赤井に付けられた傷が大きく斜めに残っていた。そして今回は13号の手によって、その傷に対となる傷跡が付けられ、バツ印になった。逃げている最中十三は13号に「もう やめようよ13号ォオオ」と言ったが、13号は鬼のような形相で「こんなところでやめられるかぁぁぁぁ」と叫んだ。
いつものボーリング場で、死神は付けられた傷のことを考えていた。付けたそいつが、本当は強いのか弱いのか死神にはそれがわからなかった。そして死神は何かを思いつき、手下に十三を攫ってこさせた。十三を競艇場に連れてきた死神はそこで十三を拘束するが逃げられ、そこで13号と対峙した。13号をまともに前にした死神は13号が「本当に強い」ことを肌で知ることになり、ナイフで腹を切られ瀕死の状態になった。死神は赤井の身を案じ、病院には行かず赤井の元へ急いだ。命からがら、赤井の家にたどり着いた死神は必死に赤井に危険を知らせ、息を引き取った。
フジサワ署に父の遺品を取りにきたヒデはそこでビデの「捜査日誌」を見つけ、そこに「平和荘の村崎十三」という名前が書いてあることに気がついた。

復讐の結末

ある晩、赤井は「明日休みが取れそうだ」とのぞみに言った。それを聞いたのぞみはパァっと顔を明るくさせた。なかなか夫婦水いらずで出かけることのできなかったのぞみは喜んだ。そしてその日の子守りをのぞみは信頼している十三に頼んだ。デート当日、十三は勇気を連れて遊園地に行くことにした。勇気は両親とは違い、子供なりに十三が何かおかしいことに気が付いていた。そんな勇気に十三は優しく面倒を見ていたが、徐々に人格が13号に変わっていき勇気に手をかけようとする。13号は逃げる勇気を追い、遊園地の外れの工事中のエリアにある井戸の中に落とした。その時、十三を追っていたヒデが13号の目の前に現れた。ヒデは銃で13号を脅し観覧車に誘導した。その中でヒデは父親を殺した十三に復讐しようとするが、13号に返り討ちに逢い首を掻っ切られて絶命した。

デートを終えた赤井とのぞみはなかなか戻ってこない息子を心配していた。赤井はそこで初めて勇気を預けたのが十三で、しかも十三が下の階に住んでいたことを知った。赤井は嫌な予感がし、管理人を叩き起こして十三の部屋に侵入した。真っ暗な部屋に入ったところで警察がやってきた。それは勇気が帰らぬ姿で発見されたことの知らせだった。

それから一週間後、赤井とのぞみは心身ともに憔悴し、半狂乱状態だった。その頃、サングラスをかけた謎の女・希津女(きつね)が中華屋料理店2階にある「宗教法人 やすらぎの家」の教祖・二階堂から招集されていた。彼らもまた、かつての同志・関の復讐のために十三を追っていた。そして警察ではこの事件を担当している刑事ホクロ田が捜査を進めていた。
赤井とのぞみは子供を殺されて尚、自分達を嘲笑っているかのように雲隠れしている十三に精神を蝕まれていった。そしてとうとうのぞみの親戚の空き家に引っ越すことになった。引越し当日、荷物を運んでいる赤井のもとにホクロ田がやってきた。ホクロ田は赤井とファーストフード店に行き、現在総力をあげて犯人を探していることを赤井に報告した。ホクロ田はこの事件はたまたま運悪くキ◯ガイに当たってしまったのだと、赤井を励ました。赤井はそれに対し「本当にそれだけなんでしょうか?」とホクロ田に問いかけた。ホクロ田はそんな赤井の肩をぽんと叩き「これからいい事たくさんありますよ」と言った。
のぞみと赤井は引っ越して来たばかりの家で徐々に平穏を取り戻しつつあった。それでも息子を亡くした事実は忘れられるものではなかった。そんな二人の元にも13号は忍び寄っていく。ある夜、のぞみを心配した赤井は風呂から駆けつけ全裸で外に出てしまい警察に補導されてしまった。
その留守中、のぞみの元へ13号がやってきた。13号は玄関のチェーンを引きちぎり部屋に侵入し、のぞみを脅し追い詰めた。のぞみが絶体絶命になり怯えているところへ、助けにきたバルーンが13号に張り手をした。そして赤井も家に帰宅し、13号は窓から逃走して行った。赤井がテーブルに目をやるとそこには小学校の卒業アルバムが置いてあった。アルバムには勇気のハンカチが挟んであり、そこを開くとクラス写真に大きく「殺」の文字が書かれていた。ちょうどその文字の左上がX印になっており、それは赤井の写真の上だった。赤井はそれをよく見ると、同じクラスに「村崎十三」という生徒がいることに気がついた。その瞬間に過去に十三をいじめた記憶が蘇りゾッとした。アルバムから一枚の紙切れが落ち、そこには当時の赤井の写真と共に「同窓会のお知らせ」と書かれていた。赤井はそれを握り潰し「上等じゃねーか」と声を上げた。
赤井が十三を思い出したと同時に、フジサワ警察署でホクロ田もその事実を掴んでいた。
ホクロ田が平和荘へ向かうと、そこには先に希津女が13号室の扉をノックしていた。希津女はホクロ田に気がつくと、何も言わずその場を去っていった。希津女もまた「同窓会」のビラを手に入れていた。
赤井はゴルフ用品店をやっている後輩を呼び出し、ゴルフバックに忍ばせたショットガンを持って来させていた。その晩、赤井は眠っているのぞみの横を抜け出し、車を走らせた。その途中、死神の仇を取りたいバルーンが同乗し、2人は「同窓会」会場の赤井の母校にやってきた。13号は屋上から2人がやって来たことを確認し「始まるぞぉ」と言いくくくと笑った。十三は心の中から13号を止めようとしたがもう制御できなかった。その体は今、ほぼ13号の物になっていた。
赤井とバルーンは校内に侵入し、十三を探した。赤井は13号が誘導する通りに理科室に向かった。理科室のロッカーの扉に「リュウサンアツイヨ」と書かれていた。赤井は連なるロッカーを一つずつ開けて行った。最後の一つを開けると、そこには13号が座って潜んでいた。ニヤリと笑う13号に赤井は驚き後ずさりした。13号は隙をついて走り出し、床に仕掛けたスイッチを足で踏んだ。すると床が爆発し、そこにいたバルーンが下の階に落ちていった。13号は追ってきた赤井を待ち伏せ、死角から殴りかかった。赤井は持っていた銃を13号に奪われ、13号は銃口をを赤井の口に突っ込んだ。13号は「少しはオレの気持ちもわかったかい?」と言ったところで、13号は背中を何者かに切り付けられた。振り返るとそこには希津女を連れた二階堂が剣を持って立っていた。二階堂は13号に切り掛かるが、13号はそれを難なく交わした。2人を退かし、13号は廊下を走り去った。二階堂と木津女は13号の跡を追う。下に落下したバルーンは音楽室で罠を仕掛けていた。グランドピアノとピアノ線を使い、13号がやってくるのを待っていた。そこに廊下を走る者の影が見え、バルーンは13号が罠にかかったと勘違いした。バルーンは仕掛けを作動させようとグランドピアノを押したが、ピアノの足が折れバルーンはピアノごと階段の下に落下した。二階堂はピアノが落下したことによって張られたピアノ線に上半身を切断されてしまった。その二階堂の姿を見て、二階堂を溺愛していた希津女は絶望し自ら手首を切った。
赤井は痛む体を引き摺り、十三を探していた。赤井は探してるはずの十三に見つかり、その恐怖から逃げ出した。13号は奪ったショットガンで赤井の足を撃ち抜いた。
夜中急に目覚めたのぞみは隣で寝てるはずの赤井がいないことに気づき、警察に電話しホクロ田を呼び出した。
赤井は左足の膝から下を失った。赤井は片足でなんとか車にたどり着いた。エンジンをかけたところで13号が車の目の前に向かってきた。赤井は意を決し思いっきり13号に向かって車を発進させた。ボンネットに13号を乗せたまま車は水飲み場に突っ込んだ。車と水飲み場に挟まれ13号が叫び、赤井はアクセルを踏み続けた。赤井は恐る恐るぐったりした13号の様子を見にいったが、13号はそれでも立ち上がった。赤井は化け物じみた13号に恐怖し、再び逃げ出した。赤井を追う13号に十三は止めるよう訴えかけたが、それでも13号は追い続けた。
屋上にたどり着いた赤井は、とうとう13号に追い詰められた。赤井は足から血を流し立てなくなっていた。13号は赤井ににじり寄り、顔を近づけた。赤井は咄嗟に13号の顔を押し返した。すると13号の顔面に貼られた偽物の皮膚が剥がれ落ち、中からミイラのような顔が現れた。13号は赤井にショットガンを向け、2人の間には真っ赤な太陽が昇っていた。「死ぬのが怖いか?」と聞かれた赤井は急に押し黙り「なんで生きてんだろう?」と呟いた。13号はその言葉に動きを止めた。赤井は「オレがおまえをイジメて オマエがゆうきを殺して… 悪かったナ ゴメンな…」と言った。13号は想定外の言葉に、手に持ったショットガンを落とし「ゆ ゆうな!ゆうな!!」と叫んだ。混乱し頭を抱えている13号に十三は中から13号を追い出そうとした。十三は「ボクは弱くない! ボクは強いんだ! 出てゆけ! 出て行け13号!」と叫ぶと13号は十三の体から抜け出し、石のように砕けていった。そしてそこには裸の十三が意識を失って倒れていた。赤井は息を呑んでその光景を見ていた。そこへパトカーがサイレンを鳴らしやって来た。赤井が眩しく光る太陽の方を見ると、こちらへ駆けてくるのぞみが見えてきた。
ある路地で1人の小学生が同級生に帽子を取られ泣いていた。いじめっ子たちは帽子をパスしあってからかっていた。そこへ横から帽子をひょいと誰かに奪われた。そこには笑顔で帽子を持ち主に差し出す十三がいた。

『隣人13号(隣13)』の登場人物・キャラクター

主人公

村崎 十三(むらさき じゅうぞう)/演:小栗 旬・小笠原 隼(子供時代)

本作の主人公。臆病だが心優しいく穏やかな性格である。小学校の頃赤井や同級生にいじめられていた。当時小学生の赤井に硫酸をかけられたことによって、13号という凶暴な別人格を生み出してしまった。赤井に対して強烈な恨みを持っている13号と共謀して、復讐の計画を企てる。大人になった十三は赤井と同じアパートに引っ越し、同じ職場で働き、計画を実行させようとする。当初人格のほとんどが十三で、13号はたまにしか現れることがなかったが徐々に13号に人格の主導権を握られる。同じ職場で赤井にいじめられている関に対して初めて親近感を覚え、13号のことを打ち明けた。しかし、十三の友情をよそに13号は秘密を知った関を殺した。十三は他にも勇気や13号に殺された他の人間に対しても殺さないよう13号を説得することがあった。最後赤井が謝罪したことで13号の人格が消滅し、その後には裸の十三が倒れていた。その後どうなったかは不明だが、いじめられていた小学生を助ける十三の描写が描かれていた。

13号/演:中村 獅童

十三のもう一つの人格。とても凶暴で非情な性格である。十三が小学校の頃、赤井に硫酸を顔にかけられてことで生まれた。13号になった際には瞳孔が開いたような瞳で目つきも鋭くなる。戦闘能力や運動神経が並はずれていて、十三は困った時に13号を呼び出したりしていた。十三の赤井に対しての恨みや復讐心を象徴しており、それを果たすためなら手段を選ばない。気が短く、邪魔だと思った人間は躊躇なく殺していく。本作で殺された人間は1人の自殺を除き全て13号の手によって殺された。その中の何人かの死体の写真を撮っては自宅に飾っている。赤井をとうとう追い詰めたところで、赤井が謝るという想定外のことが起きた。それに13号は狼狽え、復讐を果たすことなく13号の人格は消滅してしまった。

十三(13号)に関わる人物

赤井 トール/演:新井 浩文・田中 匡志(子供時代)

十三の同級生。小学校時代からいじめっ子気質で、十三を仲間とさんざんいじめていた。大人になった十三と再会しても名前や顔を全く覚えていなかった。元暴走族でレーシングチーム「犬」の初代総長を務めていた。18歳でそれを引退し、建設会社で働き家庭を持った。本人は落ち着いたと言っているが、会社では相変わらずいじめや嫌がらせをしていた。一方で、妻・のぞみや息子・勇気に対してはとても良い関係を築いており、常に家庭を大切にしていた。息子を殺されしばらく経ち初めて、十三がかつていじめていた相手だと思い出した。息子の仇を取ろうと、同窓会と称して小学校に呼び出した十三に応じた。深夜の学校で散々13号の恐るべき強さを見せつけられ追い詰められた赤井は、13号にマスクの下の溶けた素顔を見せられた。それを見た赤井は観念したように今までのことを13号に謝罪した。謝罪を聞いた13号は狼狽えてその人格を消滅させた。ただ1人無事だった赤井の元へのぞみと、警察が到着した。

赤井 のぞみ/演:吉村 由美

赤井の妻で、勇気の母親。元暴走族でレディースチーム「猫」のメンバー。18歳で結婚し、勇気を産んだ。元ヤンキーとは思えないほど、明るく穏やかな性格でご近所さんの十三に親切に接していた。十三が急に抱きついて来た際には、困惑していたがまんざらでもなさそうな様子だった。十三を信頼して、留守に勇気を十三に預けた。勇気はそのまま13号に殺されてしまいそれからしばらく赤井と共に精神を病んでいた。母の勧めで赤井と一軒家に引っ越してからは少しずつ回復していったものの、すぐにまた13号に見つかってしまい怯える。ある夜眠っている間に夫がいないことに気づき、ホクロ田に通報した。最後は学校の屋上にいる赤井の元へ駆けつけた。

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