砂時計(漫画・テレビ・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『砂時計』は、漫画家・芦原妃名子による少女漫画、およびそれを原作としたドラマ、映画である。単行本全10巻、文庫全5巻からなる。主に本編は8巻までで、9・10巻はオムニバス集になっている。
両親の離婚により、島根に引っ越してきた主人公・杏と、島根で育った大悟の切ない14年間の大恋愛を描いた少女漫画。舞台は主に島根と東京で、遠距離恋愛を経て、再度2人は再会し結ばれることになる。
ドラマ化・小説・映画化され、様々な形で作品に触れることができる。島根の方言が印象的で、方言ブームに火をつけた。

杏「星の数ほど人はいて、毎日、数え切れないほどの人とすれ違うけど、こんなに優しい手はない、こんなにあたしを大事に想ってくれて、あんなに大事に想える人は、絶対どこにもいない」

杏が藤と別れることを決めたときの杏のセリフ。藤は優しく抱きしめてくれた。
藤君ファンとしては悲しいシーンだが、藤のやさしさが最も伝わるシーンでの心中の言葉。

杏の祖母「もしこの先、誰かと出会ったなら、その人のために苦もなく頑張れるかどうか考えなさい」

杏の祖母・美佐代が入院中、お見舞いに行った杏。大悟や藤、椎香にとっても自分の祖母のような存在だった。
杏は父親から、美佐代からの贈り物を受け取る。それは、杏にあてた手紙だった。この手紙のシーンでは涙がこぼれた人が多数。(ドラマ)

『砂時計』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『砂時計』の舞台・ロケ地

仁摩サンドミュージアム

杏が母親と訪れ、砂時計を買ってもらう場面や、母の自殺により形見である砂時計を壊した杏に大悟が渡した砂時計もここで買ったもの。島根出身の建築家・高松伸の設計で建てられた、ピラミッドのような外観が特徴的な建物。中に入ると、ピラミッドの頂点から「1年計砂時計」が見られる。これは「砂歴」といい、1トンの砂を1年かけて落とす世界最大の砂時計である。この「1年計砂時計」の前で杏と母親はお互いの1年への印象に差異を覚えており、母は精神を病んでいる様子がうかがえる。
ドラマの中でオリジナルで作られたネックレスを販売していたり、実際に使われていた砂時計の販売もあった。

住所:島根県大田市仁摩町天河内975

波根駅

両親の離婚をきっかけに島根の村に引っ越してくる杏。そのさきが「江田駅」と作中で描かれている「波根駅」である。懐かしさの残る雰囲気の駅で、線路は海沿いにあり、車窓からの眺めはきれい。行き違いが可能な古い木造駅で、無人駅。ホームは1つだけで、乗車人員は1日に40人ほど。

住所:島根県大田市波根町中浜

琴が浜

砂の上を歩くと音が鳴る不思議な海岸。音は「キュッ、キュッ」というような音で、原因は砂同士の摩擦。ごみの少ない、粒度が小さく均一など細かくたくさんの条件がそろわないと砂が鳴ることはない。ドラマの第1話で、杏と母・美和子が手をる内で歩くシーンに登場する。また、漫画では大人になった杏が海に行こうとし、到着。心を病んでいた杏は自殺未遂をしてしまうシーンでの登場が印象的だ。

住所:島根県大田市仁摩町馬路

大森町

杏や大悟、藤や椎香4人が暮らした町、大森町。町並みは懐かしいレトロな感じで、ドラマ版の大悟の商店のモデルとなったのは町の一角にある「玉留屋」、ここで撮影が行われた。

住所:島根県大田市大森町ハ185

『砂時計』は全10巻からなるが、本編は8巻で終わり、9・10巻はオムニバス集となっている。

「カナリヤ」は杏の母と大悟の母のエピソードとなっている。2人は高校時代の同級生だが、部活もコーラス部で同じ部に所属していた。美和子の高校時代がわかるエピソードとなる。
「佐倉と千衣」では、佐倉が海外勤務になったその後のエピソードが描かれている。千衣が夏休みにアメリカで働く椎香の所へ遊びに行き、佐倉と出会う。佐倉は作中、冷徹で自分を曲げない性格のように書かれるが、そのルーツや新たな1面を見ることができる。
また「time letter」では大悟が教師を目指すきっかけになった先生とのエピソードが紹介されている。杏と大悟が結婚した後の話になっていて、藤も茉利子と結婚している。50歳になった大悟もみられる。

作者も実際に「仁摩サンドミュージアム」に訪れている

作者・芦原妃名子も「仁摩サンドミュージアム」に訪れていた。大みそかの1年計をひっくり返すイベントに参加したらしい。翌日は島根のホテルで缶詰め状態だったとか。

『砂時計』の主題歌・挿入歌

ドラマ版主題歌:柴咲コウ『ひと恋めぐり』

映画版主題歌:いきものがかり『帰りたくなったよ』

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