ゼロから始める魔法の書(ゼロの書)のネタバレ解説まとめ

『ゼロから始める魔法の書』とは、電撃文庫より出版された、虎走かける著・しずまよしのり絵のライトノベル、およびそれを原作としたマンガ、アニメ、ゲームである。「獣堕ち」と呼ばれる半人半獣の主人公「傭兵」と、世間知らずの魔女「ゼロ」が、世界を滅ぼすほどの力を秘めた魔法の指南書「ゼロの書」を探す物語。1~10巻までの本編と、後日談である短編集を合わせた全11巻まで刊行されている。2018年より講談社ラノベ文庫から続編である『魔法使い黎明期』のシリーズが開始された。

『ゼロから始める魔法の書』の概要

『ゼロから始める魔法の書』とは、電撃文庫より出版された、虎走かける(こばしり かける)著・しずまよしのり絵のライトノベル、およびそれを原作としたマンガ、アニメ、ゲームといった作品群である。2013年に行われた第20回電撃小説大賞にて、最優秀賞である「大賞」に選ばれた作品。本編は終始、主人公である獣の「傭兵」視点で描かれており、地の文はいわゆる一人称視点である。2014年12月発売の『電撃マオウ』2015年2月号より、いわさきたかしによるマンガ版の連載が始まり、同誌の2015年12月号からは、安岳によるデフォルメされたキャラクター達のスピンオフマンガ『ゼロから始める魔法の書 なの』が連載された。マンガ版は全6巻、スピンオフ版は全2巻まで刊行されており、いずれも完結している。2017年春よりテレビアニメ『ゼロから始める魔法の書』が放送を開始し、2017年初夏よりTVアニメ版を原作としたソーシャルゲームのサービスが開始した。2018年2月にサービス終了。
本編完結後、自作小説投稿サイト「小説家になろう」にて本編の後日談にあたる「魔女と野獣の極めて普通な村づくり」を連載。物語終了後のゼロと傭兵が暮らす村の復興に焦点を当てた作品となっている。また10巻、および11巻のあとがきにて、この村を舞台とした続編を書きたいと宣言しており、その後2018年8月からは講談社ラノベ文庫にレーベルを移し、魔法が比較的一般に広がった世界を舞台にした『魔法使い黎明期』のシリーズを開始。本作には『ゼロから始める魔法の書』の登場人物も出てくるが、本作だけでも楽しめるように配慮がなされている。
魔女がいて、魔術があり、しかし魔法を知らない世界を舞台に、「獣堕ち」と呼ばれる半人半獣の主人公「傭兵」と、世間知らずの魔女「ゼロ」が、使い方を間違えれば世界を滅ぼしかねないほどの力を持った魔法の指南書「ゼロの書」を巡る冒険を繰り広げるグリモア・ファンタジー。

『ゼロから始める魔法の書』のあらすじ・ストーリー

1巻 ゼロから始める魔法の書

獣堕ちと呼ばれる半人半獣の「傭兵」は、目的地であるウェニアス王国に向かう途中の森の中で、突如として「光の矢を放つ魔術」を使う存在に襲われる。森の中で旅人を襲うはぐれの魔女だった。魔女を毛嫌いする傭兵は、必死に逃げ出すが、その道中運悪く足を滑らせ、前方に広がっていた崖の下へと落ちてしまう。それほど崖が高くなかったことと、獣堕ちの丈夫な体が幸いし、目立った怪我は無かったものの、崖の真下にいた旅人の夕食をひっくり返してしまう。そのことに激怒する旅人を、傭兵は一緒に連れて襲撃者から逃げることになる。旅人は傭兵に「なぜ自分を連れ出して逃げるのか」と問う。傭兵は、別に深い理由はなく、半ば反射的に旅人を連れ出したとは言い出せず、「成り行きだ!」と乱暴に返す。

傭兵は旅人を投げ捨てる

投げ出された旅人は、何かを始める

共に逃げていく中で、旅人は、手間と時間のかかる「魔術」に比べ、攻撃の手を休めず次々と光の矢を放つ様子から、襲撃者が使っている術が「魔術」ではなく「魔法」であると見抜く。旅人は傭兵に「我輩を降ろせ」と指示する。見知らぬ旅人に情など感じない傭兵はすぐに旅人を放り投げるが、その直後、再び傭兵は転んでしまう。しかしその原因は傭兵の不注意からではなく、突然傭兵の足元の地面が動いたからだった。傭兵は振り向き、旅人のほうを見ると、旅人の目の前に巨大な土の箱ともいうべきものが出現しており、その中に何者かが入っているようだった。箱の中から聞こえるわめくような声や、先ほどの襲撃者の姿が見当たらないことから、箱の中にその襲撃者が捕らえられたのだと傭兵は察する。目の前の異常な光景に、傭兵は旅人に問う。「まさかお前……魔女か?」

傭兵に問われ、意気揚々と宣言するゼロ

「いかにも、我輩は魔女である」。そう宣言した次の瞬間には、傭兵は旅人から逃げ出していたのだった。この短時間に魔女が二人も現れる異常事態に、傭兵はこれ以上首を突っ込みたくなかった。
十分な距離を逃げた傭兵は、暗くなった空を見て、手早く夕食の準備を始める。お手製のスープを温めている間、目的地までの地図を広げていた傭兵は、ふと視線を上げると、目の前には先ほど引き離した旅人が、傭兵のスープを口に運んでいる光景が広がっていた。

スープを盗み食いするゼロと驚く傭兵

情に訴えかけるゼロ

あまりにも突然のことに、驚きの声を上げてしまった傭兵だったが、獣の特徴を持つ獣堕ちは他者の気配に敏感なはずなのに、気配を悟られることなくすぐ近くに現れたことで、傭兵は旅人を警戒していた。そんな傭兵の心情などお構いなしに、うまいうまいと言いながらスープをすする旅人に、傭兵はしびれを切らしてスープから旅人を引き剥がす。スープを取り上げられたことに絶望する旅人は、昨日から何も食べていないことや、あの時傭兵がひっくり返した夕食は長い時間をかけて一生懸命作ったこと、傭兵の作ったスープはとてもおいしいことなどを、傭兵の情に訴えかけるように一人呟く。相手のペースに乗せられているという自覚がありながらも、結局は傭兵が折れ、旅人にスープを少し恵んでやることにする。あっという間に平らげてしまった旅人は、傭兵に対して無言のおかわりを要求するが、傭兵がまずは素性を名乗ってからだと交換条件をつける。旅人は、自らの名を「ゼロ」であること、魔女であること、そして自身が書いた本が盗まれ、それを探していることを傭兵に話す。

本探しを手伝ってほしいと頼むゼロに対して、傭兵は魔女が嫌いであることを理由に断る

ゼロが書いたという本「ゼロの書」には、「魔術」を応用した全く新しい技術、「魔法」についての理論とそのやり方が詳しく書かれているのだという。そして、傭兵を襲ってきたはぐれの魔女が「魔法」を使っていたという事実を鑑みるに、すでに多くの魔女たちに魔法が広く伝わってしまっている可能性がある。もしこれ以上増えてしまえば、魔女が世界を敵に回し、戦争が起こるかもしれない。そうなる前にゼロの書を取り戻さなければならない。そこまで話したゼロは、傭兵に依頼する。「共にゼロの書を探すのを手伝ってくれないか」と。それに対して、傭兵は即答する。「やなこった!」。まずそもそも魔女が大嫌いだし、こんなろくでもない世界がどうなろうと知ったことではない。自分をそんな訳の分からないことに巻き込まないでくれ、とまくしたてた傭兵に、ゼロは驚愕の色を隠せないといった風に固まってしまった。

人間に戻ることを条件に、傭兵に本探しを依頼する

ならばと、ゼロは本探しを手伝い、そして取り戻せた場合の報酬を提示する。それが、傭兵を人間に戻す、というものだった。そもそも獣堕ちとは、その先祖に魔女がいて、魔女が行った魔術の代償が子孫に跳ね返ってきたものであるとゼロは説明する。つまり、獣堕ちとは魔術の産物であり、魔術はゼロの使う「ある魔法」を使うことで打ち消すことができる。それを聞いた傭兵は目の色を変える。獣堕ちというだけで世間からは疎まれ、その首は魔術的価値が高いという理由で魔女からは命を狙われ、教会からは「堕落の象徴」とまで言われる始末だったが、この忌々しい体から解放されるチャンスかもしれないと考えた傭兵は、魔女の本探しを渋々ながら承諾する。

襲撃者であるはぐれの魔女、アルバス

一夜明け、二人の前に現れたのは、昨晩傭兵を襲った襲撃者であるはぐれの魔女であった。一晩かけてゼロの作り出した土の箱から抜け出したはぐれの魔女は、再び傭兵の首を狙おうと魔法を行使し始める。

ゼロだけが使える魔法と魔術を打ち消す魔法〈却下〉

しかしはぐれの魔女の魔法は成功することはなかった。ゼロがはぐれの魔女に向かって、〈却下〉と呼ばれる魔法を行使したからだった。この魔法は魔法と魔術を打ち消すために編み出され、魔法を悪用する者が現れた場合の安全策であり、ゼロのみが使える魔法だった。そして、この〈却下〉を使い、傭兵を人間に戻すのだという。突然魔法が打ち消されたことにより動揺するはぐれの魔女だったが、すぐさま別の魔法を行使しようとして、自身が魔法が使えなくなっていることに気が付く。ゼロの使う〈却下〉は、魔法単体を封じるのではなく、魔法の源を封じるものであるためだった。魔法が使えないことに困惑している間に、ゼロと傭兵ははぐれの魔女を拘束する。そして、はぐれの魔女の名は「アルバス」から駆け出しの魔女であり、「ゼロの魔術師団」と呼ばれる組織で魔法を習ったということを聞き出した。
「ゼロの魔術師団」では、「あの方」と呼ばれる存在が統率しており、ゼロの書を使って魔法を広めているのだという。それを聞いたゼロは自らがその本の作者であり、その本は何者かによって奪われたものであると告げると、アルバスは「あの方」やゼロの魔術師団に対する信頼に疑問を抱き始める。アルバスはゼロ達の目的のため、ゼロの魔術師団のアジトへ案内することを提案する。

ゼロの実兄でありゼロの書を探すために行動している十三番

ゼロの魔術師団のアジトについた傭兵、ゼロ、アルバスだったが、そこには凄惨な光景が広がっていた。ゼロの魔術師団の構成員のほぼすべてが何者かの襲撃を受け死亡しており、保管してあるはずのゼロの書も消えていた。そんな時、突如何者かからの呼び声が聞こえたかと思うと、3人の足元に魔法が展開される。大規模な空間転移の魔法だった。この魔法により飛ばされた先は、傭兵が本来目指していた場所、ウェニアス王国の王城、その一室だった。そこには、自らを「十三番」と名乗る不気味な男がいた。聞けば十三番とは、ゼロの同胞にして実兄であり、ゼロの書が盗まれたとき、真っ先に探しに外の世界へと旅立った人物なのだという。十三番は、ゼロの書を奪い、「あの方」としてゼロの魔術師団を作り上げたのは自分だと告白した。外の世界に出てすぐにウェニアス王国の王族に取り入り、魔女が住みやすい「理想の世界」に作り替えるために暗躍していたのだという。きっかけは、ゼロが以前、青い空というものを見てみたいと言っていたからだと、十三番は告げた。自由に外を出歩くには、この国は危険すぎる。国と魔女同士が50年以上いがみ合っている背景があったからだ。ならば、ゼロの魔術師団という「悪い魔女」たちを倒す、「正義の魔女」として国に仕え、魔女による統治を成し遂げる。それが十三番の考えだった。そもそも、魔女と国がいがみ合っているのには理由があった。すべては、「偉大なるソーレナ」という一人の魔女から始まった。

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