ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(The Half of It)のネタバレ解説まとめ

『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』とは2020年にNetflixオリジナル作品として配信されたアメリカ合衆国の青春ラブコメ作品。冴えない高校生活を送る主人公エリーに同じ高校に通うポールがラブレターの代筆を頼む事で、ポールとエリーとポールが恋をしているアスターの三角関係が始まる。今作は王道の青春ラブストーリーではあるものの、哲学や文学、同性愛などが絡むことで、非常に繊細で深みのある作品となっている。

『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』の概要

『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』(英題:The Half of It)とは、主人公のエリー、アスターに恋するポール、知的でクラスのマドンナであるアスターの3人が軸となるラブストーリ。知的なアスターに恋をしたポールは、文学や哲学に詳しいエリーにラブレターの代筆を頼む所から物語は始まる。密かにアスターに恋心を抱くエリーは気持ちを押し殺してポールの手伝いをする。親身になって相談に乗ってくれるエリーとポールには友情が芽生え始めていたが、エリーがアスターに密かに恋心を抱いていたことがポールにバレてしまい、事態はややこしくなっていく。

本作は、映画批評集積サイトのロッテン・トマト(Rotten Tomatoes)で批評家支持率は94%、平均点は10点満点で7.14点と高評価を獲得した。批評家の見解は「並外れてスマートで、繊細かつユーモラスな青春映画を探している観客にとって、『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』はその全てが揃っている作品である」と評された。
劇中で時折挿入される哲学者たちの言葉が映画の雰囲気にマッチしており、本作を文学的に表現し魅力的なものとなっている。
監督はアリス・ウー。デビュー作である『素顔の私を見つめて…』以来の16年ぶりとなる作品である。主演はリーア・ルイスが務めた。

『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』のあらすじ・ストーリー

はじまり

同級生が車で通う中、毎朝学校に自転車で一生懸命通っているエリー

舞台はアメリカのスクアヘミッシュという田舎町。
5歳の時に中国からアメリカに移住して来た女子高生のエリー・チュウは、住民がほとんど白人の町で暮らしていた。
エリーは、あまり社交的な性格ではなく、高校でもあまり同級生たちの輪に入ることができずにいた。
自転車で学校に通っているエリーは、優雅に車で登校している学校の男子から毎日のように「チュー、チュー、ポッポー」と馬鹿にするように差別的な言葉を投げつけられていた。
唯一同級生から話しかけられる時は大抵レポートの代筆を頼まれる時ぐらで、家が貧しかった彼女は有料で代筆を引き受けて家計を助けていた。
エリーの父親は、工学の博士号を持っていたが英語があまり得意ではなかったため、資格を活かした仕事に就けず廃れた駅で駅長をしていた。
高校の先生はエリーの聡明さを理解しており、ワシントン州の大学に進学する事を薦めてきたが、家計が苦しい事もあり進学は難しいと諦めていた。

ラブレターの代筆

ポールがエリーにラブレターの代筆をお願いするシーン

ある日、同じ高校に通うポールから、気になっている女性、アスターに思いを伝えるため、ラブレターを代筆して欲しいという依頼を受ける。しかし、愛情は自分の言葉で伝えるべきだと、ポールからの依頼を断る。
翌日、エリーは学校で電気会社の人と電気代の事で電話をしながら歩いているとうっかり物を落としてしまう。そこにアスターが拾いに近づいてくる。アスターはエリーを知っているらしく「日曜礼拝でオルガンを弾いているでしょ」と語りかけ、エリーの落とし物を拾った。エリーが弾いていた『日の名残り』を「いいよね」と褒めて去っていった。エリーはアスターに興味を持ち始めていた。
我に返り電話を持ち直すと、自宅の電気代の支払いが50ドルで今日中に振り込んでほしいと言われる。エリーは廊下で見かけたポールに「50ドルでやる」と方針転換することにし、1回だけとの約束でポールからの依頼を受ける事にした。

ポールの書いたラブレターを読むエリーだが、あまりに酷いもので、アスターに何を伝えたいのか理解ができないものだった。エリーはポールに「本当に彼女の事が好きなのか?」と問いかけるが、「食事中や礼拝の時も彼女の事を考える」と答えるポールに対し「思い込みだよ」とエリーは言う。ポールは「恋だよ。恋すると人は変になる。そうだろ?」と言うがエリーは「分からない」と言う。そんなエリーに対し「恋は未体験だろ?」とポールに言われてしまう。エリーは「ラブレターの一つや二つ楽勝なんだから」と強気で言い、やる気を出す。
その夜、自宅で映画を見ていたエリーは映画の台詞にひらめき「渇望している。愛の波に満たされるのを。」と書き、ラブレターを完成させて翌日ポールに渡す。

アスターとの文通

アスターが壁に自由に絵を描くシーン

エリーが学校から帰っている所、後ろからポールが追いかけて来て「アスターから返事が来た」と言い、手紙をエリーに渡す。手紙には「ヴィム・ヴェンダースは好き。でも盗用はいただけない」と書かれていた。ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』の台詞を引用したのを、アスターに見抜かれていた。見抜かれた事でエリーの闘争心に火がつき、文章をひたすら書き、文通が続きだした。

文通をするうちに、人気者であり何不自由ない暮らしをしているようなアスターにも悩みや葛藤があるということが垣間見えてきた。学校の女子の代表グルーブに属しているアンバーやクワディ達に意見を合わせないといけない環境や、馬が合わない彼氏とこのまま長く付き合っていていいのか、父親が望む人生を歩んで家族を養っていかないといけないのか、いろいろ思い悩みながらもなんとなく周りに合わせて過ごしていた。
文通のやりとりの中でアスターは絵を描く事が好きだが、昔絵の先生に「いい絵が描けたのに大胆な筆触を加えたことで、下手すればすべてが台無しになりうる」と言われ絵を描く事を辞めてしまった事をエリーは知った。
エリーは手紙にある住所とそこの壁に絵を描くよう書き、お互いに絵を描き交流を深めていった。
ポールにアスターとの出来事を話すエリーだが、ポールは話についていく事に精一杯であった。

初めてのデート

初めてのデートでアスターがポールにお勧めの本を持ってきて渡すシーン

何度か文通を重ね、勢いでポールが送ったデートの誘いのメールでついに会うことになったポールとアスター。
ポールはエリーとの電話の通話機能をオンにした状態でデートに挑み、様子をエリーに聞いてもらう事にした。

初めてのデートは話が上手く噛み合わない状態が続いた。アスターが自分の好きな本をお勧めするが、全く本を読まないポールは微妙な反応をしてしまい変な雰囲気になってしまう。

デート後、後日エリーにデートの報告をしに来たポールはデートが上手くいったと何故か話す。
デートの様子を外から見守っていたエリーは、この恋はもう終わりだとポールに言い聞かせた。だがその時、アスターから「昨日は変だったわね」とメールが届く。
意外な展開に驚くエリーだったが、ポールとエリーはまだチャンスがあると思い俄然やる気になる。
エリーとポールは前回のデートよりも上手く会話ができるよう、アスターが好きなものに絞って猛特訓を開始する。

ポールとエリーの友情

エリーとポールが卓球をしながら会話の練習をするシーン

エリーとポールは共に過ごす時間が増えるにつれて、プライベートを明かし合うようになる。
ポールの実家はタコス・ホットドッグ屋で、昔からのレシピをずっと守っていた。だが、ポールはオリジナルの味を考え、自分の店を開く事を夢見ていた。
エリーは博士号があるのに英語が上手く喋れず好きな仕事に就けないお父さんの話をした。
他にもお互いの出身地や好きな食べ物の話をしたりと、2人の間には次第に友情が芽生えてきた。

ある日、エリーは「彼女のどこが好き?」とポールに尋ねる。「可愛くて賢いところ」とポールは簡潔に答える。それを聞いたエリーは独り言のように「こっちを真っすぐ見つめる目、読書中に髪を触る仕草、笑いをこらえられないみたいに吹きだすところ、ほんの一瞬素を見せてくれるところ、彼女の思考の海に身を委ねていると理解されているって感じる…」と呟く。我に返ったエリーは自分がアスターに恋をしている事に気付く。
それを聞いたポールは、アスターへの思いを言葉にする事への難しさと自分の語彙力の無さに情けなさを感じ、エリーがアスターに抱いている恋心には気づいていなかった。

2回目のデート

ぎこちないデートの中、エリーのアシストで場が和みつつあるシーン

ついにアスターとデートする日がきた。
アスターとの待ち合わせ場所に着くと緊張からかポールは今日でアスターに振られてしまうと弱気になってしまい、最後にエリーに「ありがとう」と伝えて待ち合わせ場所のお店に入っていく。
エリーは車に乗って、店の窓越しから2人の様子を見ていたが、あまりにも話が噛み合っていない様子だったため、思わずメールでアスターに「君が目の前にいると緊張する」とポールに成りすまし助け舟を出してしまう。
アスターとエリーのメールのやりとりを前に状況がいまいち掴めないポールは何とか笑顔で乗り切ろうとする。突然、ポールが勢い任せで大声で「友達なんかじゃ嫌だ」とアスターに告げてしまう。車にいたエリーにも聞こえて、驚く。続けて「君が好きだ」と思わずアスターに告白する。アスターは一瞬驚くが、笑顔になりデートは順調に進む。
エリーは上手くいっている2人を見て、その場を去っていく。

学校の発表会

エリーが発表会で初めて皆の前でギターを披露するシーン

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