宮本武蔵(バガボンド)の徹底解説まとめ

宮本武蔵とは、井上雄彦の漫画、『バガボンド』の主人公。
本作は古川英治の小説『宮本武蔵』を原作としているが、人物設定などに大胆なアレンジをくわえている。
単行本は計37巻、1998年からモーニングで連載開始。2015年から休載が続く。
宮本武蔵が剣術での天下無双を目指す物語。
名作、スラムダンクの作者でもあり、実力派の漫画家として名高い井上雄彦が描く、荒々しい活劇と哲学的な言葉の数々が、双方を力強く引き立てている。
キャラクターの心情と精神的成長が見どころの一つ。

宮本武蔵のプロフィール・人物像

宮本武蔵(むさし)という名は作中で改名した後の名で初名は新免武蔵(しんめんたけぞう)。
体格に恵まれ、獣のような殺気を漂わせている。強い自我からか、争いが絶えない。
宮本村で育ち、小さなころから、孤独と隣り合わせで生きてきた。親の愛情を知らず、「山が師である」と言うほど、山で過ごす時間が多かった。
その背景には、実の父である、新免無二斎(しんめん むにさい)の性格が関係している。
新免無二斎は、天下無双への、異様な執着心があり、自らの天下無双を脅かすものは放っておかない、早めに芽を摘んでおこうとする人物。
実の息子である武蔵も、何度か命を狙われたことがある。

そんな新免武蔵が心許す数少ない人物が、幼馴染の本位田又八(ほんいでんまたはち)と、おつうの2人である。

繊細で器用な一面もあり、木彫りの才能がある。

13歳の時、宮本村に立ち寄った兵法家、有馬喜兵衛を不意打ちで殺し、村の人々から”悪鬼”と呼ばれるようになる。

宮本武蔵の武器・流派

いつもぼろぼろな着物姿で1本の木刀を腰に差している。
幼いころから、十手術の達人、父・新免無二斎に鍛えられ、戦いの中で、二刀流を編み出す。
吉岡伝七郎との闘いでは、折れた木刀を両手に持ち、柳生四高弟、宍戸梅軒との闘いの時は、刀と脇差を両手に持ち、二刀流としている。
後に、二天一流という流派となる。宝蔵院二代目・胤舜との戦いの後、胤栄から刀をもらうまでは、木刀1本で戦っていて、剣術と言うより打撃に近いものになっている。
苦悩、葛藤の多い武蔵だが、僧である沢庵に気にかけてもらっていて、時に助言を受けている。
物語序盤の武蔵は勝ちに貪欲で、その貪欲さを前面に出し勝負を挑む姿勢だが、吉岡清十郎、胤舜などからの敗北を受けてからは、相手の出方を見極め、それに対応した後の手で斬るというスタイルに変化していく。
未熟な武蔵を成長させたのは敗北だけではなく、師匠と呼ぶ宝蔵院・胤栄と柳生石舟斎の影響もある。胤栄からは直接、剣術の指導を受け、柳生石舟斎からは天下無双とは何かを教えられる。
そんな彼らは武蔵と出会った後亡くなり、武蔵の深層心理に度々登場するようになる。

宮本武蔵の人間関係

おつう

おつう。

武蔵、又八の幼馴染。又八の許嫁を約束されていたが、それを拒否し、武蔵を追うようになる。
武蔵が、関ヶ原で敗北した帰り道、極限状態で残党狩りから逃げていたが、おつうを目にしたことで緊張の糸が切れ、沢庵に捕獲されたり、
おつうの夢を見た後から剣術に隙が生まれたりと、武蔵にとっておつうは心を開き、緊張を緩めてしまう人物。

本位田又八(ほんいでんまたはち)

武蔵と共に戦から帰る本位田又八。

武蔵と同じ宮本村出身で、幼少期から切磋琢磨してきた仲。
武蔵を戦に誘い、刀を握るきっかけを作った。
他人の印可目録を悪用し、本人になりすまして贅沢をするなど、次第に剣を握らなくなる。
武蔵が重傷を負った、吉岡清十郎、吉岡伝七郎、吉岡一門の戦いの後には、瀕死の武蔵を助けているが、武蔵は、又八だとは気づいていない。
弱く、姑息な生き方をする自分を恥じていて、武蔵とは対照的なキャラクター。

沢庵(たくあん)

穏やかな表情の沢庵。

新免武蔵が宮本武蔵として生きるきっかけを作った人物。
日ごろから武蔵を気にかけていて、哲学的で内面に響く言葉を何度も武蔵に投げかけている。
関が原での戦いの後、自分の犯した罪の重さから「殺してくれ」と懇願する武蔵に「闇を知らぬものに光もまたない。闇を抱えて生きろ」と諭した。
武蔵の存在を肯定してやり、天下無双の旅へと送り出す。

武蔵に影響を与えた、沢庵の言葉

「お前に触れたら切れそうだ。刃物のように神経を尖らせ、人を寄せ付けないのは、人が怖いからだ。お前はこの村で一番弱い」
宮本村にて、武蔵を木に吊るし上げてる場面。武蔵の荒々しさが前面に出ている頃に投げかけた言葉。この時は武蔵に響く様子はないが、後に出会う胤栄にもにじみ出る殺気について指摘されている。
うって変わり、吉岡一派70人との切り合いの後、「強さを求めることへの執着はまだ残っているが、今なら我執を我執として捉え、切り離し、冷静に見れる」と言う武蔵に対して、
「刀は鞘に収めるもの、どんなに切れる刀も鞘がなくては、むき出しのままでは、出会うものみんな敵になる。それは成長だ」と以前掛けた言葉とは意味合いが真逆なことからも武蔵の成長が分かる。
方向性の決まった武蔵は、天下無双より、剣術のみを極めることを望むことになる。

胤舜に敗北した後、山で負けを見つめなおす武蔵の脳裏に浮かぶ言葉。
「一枚の葉にとらわれては木は見えん。一本の木にとらわれては森は見えん。どこにも心を留めず、見るともなく全体を見る。それがどうやら見るということだ」
そして武蔵と胤舜の再戦が、まさにこの言葉の通りだ。
武蔵は、頭上に垂れ下がった蜘蛛や、胤舜の後ろの生い茂った草、意外と長いまつげにまで目が届くようになっている。

「強い人は皆優しい」
剣術においての強さを求める武蔵に言った言葉。強い人と言うのは人を傷つけずに、相手を思いやる気持ちを持っている人を指すということを伝えている。

新免無二斎(しんめんむにさい)

武蔵の前に立ちはだかる新免無二斎。

武蔵の実の父で、天下無双への執着心が尋常ではない人物。
自身の地位を脅かすものを放ってはおかず、武蔵も命を狙われた事がある。
攻撃と防御を同時に成せる十手術を使いこなし、武蔵の二刀流へと受け継がれている。

吉岡清十郎(よしおかせいじゅうろう)

京最強の吉岡清十郎。

吉岡道場の当主で、京最強の剣術の持ち主。吉岡道場に乗り込んできた武蔵の額に切り傷をつけた人物。
自由奔放な性格をしているが、陰で吉岡を守ろうと、危険な人物を暗殺していた。
その標的だった武蔵に殺された。武蔵を切り合いにより強くした人物の一人。

吉岡伝七郎(よしおかでんしちろう)

吉岡清十郎の弟。吉岡道場に乗り込んできた武蔵に、1年間の修業期間を与え、成長した武蔵に完敗する。
愚直な性格で、道場の者たちに慕われ、信頼されていた。

徳野雄大
徳野雄大
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