グリーンマイル(The Green Mile)のネタバレ解説・考察まとめ

『グリーンマイル』とはホラー小説家スティーヴン・キングのファンタジー小説が原作で、1999年にアメリカで公開されたフランク・ダラボン監督の映画。トム・ハンクスなどの豪華キャストで製作された感動傑作で、2000年度のアカデミー賞で4部門にノミネートされている。物語は1935年のある刑務所の死刑囚棟が舞台で、主人公は看守主任のポール。そこに死刑囚として送られてきた不思議な力を持つ大男の黒人ジョンと、他の看守や死刑囚、ネズミのMr.ジングルスたちとの交流を描いたファンタジーヒューマンドラマである。

『グリーンマイル』の概要

『グリーンマイル』とはスティーヴン・キング原作のファンタジー小説を映画化した作品。小説の内容のネタバレを防ぐために、毎月1冊ずつ計6冊の本を6ヶ月連続で刊行された。日本でも同じ形式で発売されている。

映画はノース・カロライナ州にあるコールド・マウンテン刑務所のEブロック(死刑囚棟)が舞台の物語。看守主任のポールが尿路感染症に悩んでいる時、大男の黒人ジョンが死刑囚棟に送られてくる。死刑囚に見えないジョンだが、罪状は小さな双子の女の子の殺害だった。ポールはジョンの不思議な力で尿路感染症が治り、ジョンの罪状に疑問を持つ。

『グリーンマイル』はフランク・ダラボンが監督した映画で、主役は『フィラデルフィア』や『フォレストガンプ / 一期一会』のふたつの映画でアカデミー主演男優賞を受賞したトム・ハンクス。日本ではアメリカで公開された翌年2000年に映画公開されている。『グリーンマイル』は見た人を感動させる傑作映画だと日本で評判になり、映画館に何度も通うリピーターが出るほどの大ヒット映画になった。

『グリーンマイル』は2000年度アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀助演男優賞、最優秀脚色賞、最優秀音響賞の4部門にノミネート。脚色賞にフランク・ダラボン監督、助演男優賞にマイケル・クラーク・ダンカンがノミネートされている。全米放送映画批評家協会賞も受賞。スティーブン・スピルバーグ監督が映画の試写会で「4回泣いた」と大絶賛した映画で、プレス評では「オスカーを獲得すべき傑作映画」などと言われている。

『グリーンマイル』のあらすじ・ストーリー

心配するエレインに看守時代のことを話し始めるポール

老人ホームに住むポール・エッジコムは、娯楽室のテレビに映った白黒映画『トップ・ハット』を見て、雷に打たれたような衝撃を受けた。ポールはある過去を思い出し、泣き出してしまう。心配した友達のエレイン・コネリーにポールは看守時代のことを話し出す。

死刑囚棟に送られてきたジョンと看守のポールたちが初めて会話をするシーン

ポールは1935年大恐慌時代、コールド・マウンテン刑務所で死刑囚棟(Eブロック)の看守主任をしていた。死刑囚棟には床が色あせた緑色をしていることから、看守たちの間で通称「グリーンマイル」と呼ばれている中央通路があった。看守たちの仕事は中央通路を通って、オールドスパーキーと看守たちに名付けられた電気椅子で、死刑執行される囚人をできるだけ心安らかに送ること。死刑囚棟に勤務する看守はポールの他に、副主任のブルータス・ハウエル(自称:ブルータル【意味は乱暴者】)、初老のハリー・ターウィルガー、一番若いディーン・スタントン、死刑囚いじめを楽しむ、新人看守のパーシー・ウェットモアがいた。ポールが尿路感染症で体調が悪かった頃、身長2m以上ある黒人のジョン・コーフィが死刑囚棟に送られてきた。初めは恐ろしい印象だったが、「時々、暗闇が怖くなる」、「夜中は明かりがついているのか心配」というジョンの子供のような発言に、看守たちは思わず笑いをこらえる。ジョンが死刑囚に見えなかったポールたちだが、彼の罪状が小さい双子の女の子の殺害だと知って驚く。ジョンは殺害現場で双子の女の子を両脇に抱えて、「元に戻そうとしたが手遅れだった」と泣き叫んでいたそうだ。

死刑囚棟に迷い込んだ一匹のネズミ(新しい看守)に、ブルータルが面白がってクッキーをあげようとするのを、ポールとディーンが見ているシーン

所長のハル・ムーアズはポールにパーシーが州知事の親戚だと教える。ポールはパーシーは死刑執行を見たいから死刑囚棟にいるのだと思った。ハルはパーシーが精神病院の事務職に転属するまでの間、穏便に扱うように指示する。そんな時、一匹のネズミが死刑囚棟に現れて拘禁室の中に消える。

死刑囚棟に住み着いたネズミのMr.ジングルスを可愛がるデル

死刑囚棟で行われている処刑方法は、オールドスパーキーに囚人を座らせて、水を含ませたスポンジを頭に乗せて電流を流す方法。死刑囚棟にはジョンの他に、エデュアール・ドラクロア(通称:デル)とアーレン・ビターバックのふたりの囚人がいた。デルはアパートの裏で殺した少女の死体を燃やしていたところ火がアパートに移り、アパートの中にいた子供を含む6人を死亡させた罪で死刑囚になった。アーレンはお酒に酔ってケンカ相手を殺害した罪で死刑囚になっていた。アーレンの死刑執行を見たパーシーは、ポールに精神病院に転属する代わりに死刑執行の指揮をとらせてくれと言ってくる。パーシーが死刑囚棟にいる目的は死刑執行を見たいからではなく、死刑執行の指揮をとりたいからだった。指揮をとらせてくれなかったら、コネを使って死刑囚棟にずっと居座ると言うパーシーにポールはあきれたが断れなかった。デルは死刑囚棟に再び現れてそのまま住み着いたネズミを、Mr.ジングルスと名付けて可愛がる。ポールと妻のジャンは家族ぐるみで仲の良いハル所長の妻メリンダ・ムーアズが脳腫瘍だと知り心配する。ポールの尿路感染症はますますひどくなるが、パーシーや他のことが気になって病院になかなか行けなかった。

ジョンがMr.ジングルスを不思議な力で生き返らせようとしているシーン

凶悪犯で死刑囚のウィリアム・ウォートン(通称:ワイルド・ビル)が死刑囚棟にやってくる。鎮静剤を打たれたふりをしていきなり暴れ出し、手錠についていた鎖で後ろからディーンの首をしめ、死にそうな目に遭わせた。看守たちがいなくなって、ワイルド・ビルを取り押さえた時に悪化した尿路感染症でポールがうずくまっていると、ジョンがポールを呼び寄せて股間に手を当てた。せき込んだジョンの口から大量の黒い羽虫が飛び出して消えていき、ポールの尿路感染症は治っていた。ポールはジョンが犯罪者とは思えないと、ジョンの担当弁護士のバート・ハマースミスに話したが、バートはジョンを有罪だと思っている。バートの息子が可愛がっていた犬に襲われて片目を失明していたことから、善良に見えても人を殺す場合もあると言う。ポールの妻のジャン・エッジコムは尿路感染症を治してもらったお礼に、ジョンに手作りのコーンブレッドを贈った。デルの死刑執行の指揮を任されたパーシーは、死刑執行をしたいがために予行練習をミスなく終えたが、問題を起こしては拘禁室に入れられる行動を繰り返していたワイルド・ビルに、牢屋越しに羽交い絞めにされて失禁してしまう。ショックで泣き出したパーシーをあざ笑ったデルを見たパーシーは、デルに復讐を誓う。自分が死んだ後のMr.ジングルスのことを心配するデルに、ポールとブルータルは架空のネズミ園のサーカスの話をする。安心したデルの前で、パーシーは腹いせにMr.ジングルスを踏み殺す。悲鳴をあげたデルを見て満足したパーシーが去ると、「まだ、間に合う」とジョンはMr.ジングルスを手で包んだ。ジョンの口から黒い羽虫が飛び出し、Mr.ジングルスは生き返った。その現象をパーシー以外の看守全員が見ていた。

パーシーの嫌がらせでデルが丸焦げに処刑されるシーン

デルの処刑の時、死刑執行を指揮するパーシーはわざとスポンジに水を含ませず、処刑を実行した。デルは電気がうまく通らず丸焦げになり、処刑場は火事騒ぎになる。ポールはパーシーに何も言わせずに、すぐに精神病院に転属する話を通した。デルの苦しみがジョンとMr.ジングルスに伝わり、ジョンは涙を流し、Mr.ジングルスはどこかに行ってしまう。

ジョンがパーシーにワイルド・ビルを射殺させ、その理由をポールに教えようとジョンが手を差し出したシーン

ポールは看守のブルータル、ハリー、ディーンに、ジョンにメリンダの脳腫瘍を治させる作戦を話す。パーシーを拘禁室に閉じ込めワイルド・ビルを眠らせてから、ジョンを牢屋から連れ出した。ディーンだけは子供が小さいため、死刑囚棟に留守番として残った。ポールたちはジョンを刑務所から連れ出し、メリンダの脳腫瘍を治すことに成功。脳腫瘍を治したジョンは黒い羽虫を吐き出さずに飲み込んでしまう。拘禁室に閉じ込められたパーシーは、ポールたちにされたことを密告するつもりでいたが、刑務所に戻ったジョンはパーシーの首を掴み、飲み込んでいた黒い羽虫をパーシーの口の中に送り込んだ。様子がおかしくなったパーシーは、ワイルド・ビルを銃で撃ち殺す。倒れたパーシーの口からは大量の黒い羽虫が飛び去って行った。ジョンは「罰を下した」と言い、ジョンが差し出した手をポールが握るとワイルド・ビルの過去の光景が見えた。ワイルド・ビルがジョンが逮捕された双子の女の子の殺害事件の犯人だった。パーシーは頭がおかしくなり、患者として精神病院に入ることになった。

ジョンの処刑の時、ポールは電気のスイッチを押す号令をなかなか出せず涙ぐむ

ジョンが無実だと知ったポールは、処刑を止めることができず罪悪感に悩む。ポールはジョンに脱獄をしたくないかと暗に聞いたが、ジョンは断った。ジョンの方は自分の人生を終わらせたいと思っていた。不思議な力によって伝わる、たくさんの人の苦しみや憎しみを感じ取りながら生きる人生に疲れていたからだ。ポールたちはジョンに最後の願いを聞き、ジョンはポールの妻のジャンが焼いたコーンブレッドなど自分の好きな食べ物を食べたい、映画を見たいと言った。生まれてから今まで映画を見たことがないジョンは、ミュージカル映画『トップ・ハット』を見て、「彼らは天使みたいだ」と無邪気に喜んだ。ジョンの死刑執行当日、殺害された双子の女の子の両親、デタリック夫妻が処刑場に来ていた。ジョンが犯人だと思っている父親のクラウス・デタリックは、ジョンに憎悪の言葉をぶつける。怯えるジョンにブルータルは「俺たちは君を憎んでいない」と安心させる。オールドスパーキーに座ったジョンを見て、ポールは電気のスイッチを押す号令を出せなかった。たまらなくなったポールは最後にジョンと握手をする。ポールたちは涙をこらえながらジョンの処刑を執行した。いたたまれなくなったポールとブルータルは、死刑執行後すぐに転属願を出す。

ポール老人がエレインを森の小屋に連れて行き、自分が長寿(108歳)だということを打ち明ける

看守時代の話を聞いたエレインは、ポールの年齢が合わないことに気づき指摘する。ポールの話の通りであれば今は百歳を超える年齢になるはずだが、目の前の彼はそれほどの高齢であるとはとても思えなかったからだ。ポールに連れていかれた森にある小屋の中には、ネズミのMr.ジングルスがいた。エレインは「自分はものすごく長生きしている」とポール老人に打ち明けられる。Mr.ジングルスはデルの処刑時の苦しみがジョンに伝わった時に手に握られていたために、ポールは差し出された手を握ってワイルド・ビルの過去を見た時に、ジョンの不思議な力が体に流れ込み長寿になっていた。ポールはグリーンマイルとは「死への道(人生の終わりへの道)」のことであり、人はそれぞれ違う歩調でグリーンマイルを歩いていると思っている。ポールはジョンの不思議な力を注がれたことにより、親しい友人や愛する人たちが先に亡くなるのを見届ける人生を送ることになった。ポールはいつか来る長い人生の終わりを待っているのだった。

『グリーンマイル』の登場人物・キャラクター

看守

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