クロエのレクイエム(Chloe's Requiem)のネタバレ解説まとめ

『クロエのレクイエム』とはゲームサークル「ブリキの時計」が2013年10月2日に無料配布したフリーホラーゲーム。「ブリキの時計」は当時19歳のぬばりんと16歳のななしのちよによる女性2人のサークルであり、製作者の破格の若さとゲームの完成度の高さが話題となった。主人公のミシェルはバイオリンの演奏で脚光を浴びる早熟の天才少年。そんなミシェルは家族との確執が原因で飛び出した夜、迷い込んだ先の屋敷でピアノ好きな黒髪の少女クロエと出会い、この屋敷にかかった呪いを解いてくれるように頼まれる。

『クロエのレクイエム』の概要

クロエのレクイエム』とはゲームサークル「ブリキの時計」が2013年10月2日に公開したRPGツクールVX製のフリーホラーゲーム。制作ツールはRPGツクールVX、対応言語は日本語、ジャンルはホラー探索アドベンチャー。
2014年11月21日にはver.1.20が公開され、2種類の新エンディングが追加された。最新版は同年11月24日公開のver.1.21。
「ブリキの時計」は当時19歳のぬばりんと16歳のななしのちよの女性2人のサークル。ぬばりんがキャラクターデザインとシナリオを担当し、ななしのちよが音楽を担当した。10代の女性2人が製作したホラーゲームであること、またその完成度が高かったことでニコニコchなどネットで話題を呼ぶ。また本作はぬばりんがプレイしたホラーゲーム『魔女の家』に着想を受けたもので、仄暗さを孕んだ悲劇的な世界観やゴシックな雰囲気が通底している。
対応機種はMicrosoft Windows2000/8、対応人数は1人。暴力・残酷描写を含む為対象年齢は12歳以上推奨とされている。
東京ゲームショウ2014ではニコニコブースで展示され、フジテレビのニュース番組『めざましテレビ』の中でネット発の人気ホラーゲームとして紹介された。2014年11月21日にはカドカワBOOKSから黒川実と高崎とおるによるノベライズ版、『クロエのレクイエム infinito』が発売されている。「ブリキの時計」は2014年冬のコミックマーケット87にもサークル参加し、2015年放送のNHKのドキュメント番組『知られざる“コミケ”の世界』でもインタビューを受けている。
2014年12月19日には本作の前日憚にあたる、黒猫ブラン視点の番外編アドベンチャーゲーム『クロエのレクイエム-Con amore-』が公開された。

ニコニコ超会議2015では、五味弘文氏が企画したイベント「超ホラーゲームお化け屋敷」内にて、『青鬼』『月光妖怪』『Death Forest』『魔女の家』等、有名ホラーゲームと共にお化け屋敷のモチーフに使われている。2015年9月30日発売の『ほぼほぼフリーゲームマガジン』には七輝翼が作画を担当したコミカライズ『クロエのレクイエム-rêveur-』が掲載された。
2016年03月10日には本作の数年後、ミシェルと双子の弟ピエールが進学した音楽学校が舞台の小説『クロエのレクイエム2 andante』も刊行され、表紙イラストをぬばりん自らが描き下ろした。2015年10月には韓国語訳版のノベライズも発売され、世界的な人気を集めている。

舞台は近代の西欧。
主人公の12歳の少年ミシェルはピアノの天才として名を馳せていたが、ある夜家族との確執が原因で家を飛び出す。馬車から下りたミシェルの目の前には不気味な屋敷がたたずみ、彼は何者かの意志に引き寄せられるように屋敷に足を踏み入れる。ミシェルはそこでピアノを弾く黒髪の少女クロエと出会い、「この館の呪いを解いてほしい」と頼まれるのだった。

『クロエのレクイエム』のあらすじ・ストーリー

主人公ミシェルは真夜中に馬車を下り、道の先の不気味な屋敷に迷い込む。

ある夜、12歳の少年ミシェルは辻馬車を拾って家から逃げ出す。御者は子供が夜に出歩くなんてと眉をひそめるが、ミシェルの身なりが良いので乗車賃を弾んでくれると思い、彼を乗せて馬車を出す。御者に行き先を聞かれたミシェルは「どこでもいい」と告げる。ミシェルは家族との確執が原因で衝動的に飛び出してきたらしく、行き先は二の次で一刻も早く実家を離れたかったのだ。馬車が停まったのは人けのない不気味な屋敷の前だった。ミシェルは馬車を下り、何者かの意志に引き寄せられるようにその屋敷へ向かっていく。
屋敷の玄関は施錠されておらず、ミシェルは屋内に入る。屋敷は無人の廃墟らしく、床には燭台が倒れ乾いた血痕が飛び散っている。どうやらここで凄惨な事件があったらしい。しかしミシェルは他に行くあてなく、仕方なく奥へ進んでいく。ふと暗がりからか細い猫の声が響くが、ミシェルが振り向くと何もいなかった。
1階には立派な甲冑や剣が飾られ、この屋敷の主が由緒正しい貴族の出であることが窺える。階段の入口には何重にも蜘蛛の巣がかかっていたが、ミシェルは拾った燭台に火を点け、蜘蛛の巣を焼き払って2階へ進む。
階段を上って2階のホールへ行ったミシェルは、中央にグランドピアノを発見する。ピアノの周囲には楽譜が散らばり、黒髪の少女がミシェルに背を向けピアノを弾いている。壁には音楽家エリック・サティの名言、「優れた音楽家は自分の芸術に服属しなくてはならない」が掲げられていた。ミシェルは少女に歩み寄って声をかける。黒髪の少女はミシェルと微笑み、自分はクロエだと名乗る。

呪いのせいで屋敷から出られないとミシェルに伝えるクロエ。

クロエはこの屋敷の住人なのだが、自分が生まれ育った屋敷を出たがっているらしい。それを聞いたミシェルは「出たいなら出ればいいじゃないか」と不審がるが、クロエは「この屋敷は呪われていて出られないの」と哀しげに俯く。続けてクロエは屋敷の呪いを解くのを手伝ってほしいとミシェルに縋り、ミシェルはその必死さに根負けし、彼女の願いを承諾する。

ミシェル(左)はピアノの前に座る不思議な少女クロエ(右)と出会い、彼女に屋敷の呪いを解いてくれるように頼まれる。

ミシェルが「呪いを解く」と約束すると、クロエは大いに喜んで「クロエ、ミシェルの演奏が好き」と言い出す。実はミシェルはバイオリンの天才少年として、社交界で名を馳せていた。ミシェルには覚えがないが、クロエと自分は以前どこかで会った事があるらしい。彼女が今弾いてるピアノも、ミシェルに褒めてもらいたくて練習を頑張ったのだそうだ。
クロエはミシェルのバイオリンの演奏が聴きたいと言い、彼が弾く為の楽譜をさがしてとねだる。ミシェルはこれを引き受ける。グランドピアノ周辺に散らばっていたのは、ベートーヴェンのピアノソナタハ短調『大ソナタ悲愴』だった。一緒に落ちていた解説には、この曲がベートーヴェン初期の傑作であること、ベートーヴェンが曲に自ら題名を付けるのは珍しい例であり、この『大ソナタ悲愴』には特別な意味がこめられている旨が記述されていた。
ミシェルは1人で2階の探索を開始する。ホールの正面のドアは施錠されており、まず入る方法を見付ける必要があった。
ミシェルはピアノに夢中なクロエをおいて1階へ行き、まずは1階西客室で鍵を探す。西客室に入ってすぐの壁には鏡が掛けてあり、ミシェルはそこでもう1人の自分の幻を見る。ハッとするミシェルだが、幻はすぐかき消えて正気に戻る。ミシェルは鏡の中の自分と酷似した少年に心当たりがあるようだ。食堂の時計は1時で止まっていた。
ミシェルは壁の亀裂に手を入れ、1階東客室の鍵を手に入れる。西客室の本棚を探索したミシェルは、続いて刷毛を手に入れる。本棚にはアラン・アルデンヌという男の伝記がおさまっており、ミシェルはそれを開いて読む。アラン・アルデンヌとは音楽界の鬼才として知られる作曲家で、彼の曲は独特のメロディで人々を魅了したが、その中毒性の高さ故聴き続けると狂ってしまうとまことしやかに囁かれた。さらにアランは妻子を虐待していた疑いも持たれていた。
テーブルの上には食器やティーセットが並べられており、今にも晩餐会が始まりそうな雰囲気だった。食堂の奥には1体の人形が飾られていたが、何故か目がない。ミシェルが不思議に思って覗き込むと、「目ガナイノ、私ノ目」と喋り出し、ミシェルに目をくれるかと聞いてくる。人形に同情したミシェルが出来心でこの申し出を承諾すると、人形に目を抉られて視界が暗闇に包まれる。激痛と恐怖に絶叫し、ミシェルはその場に倒れてしまった。
再び目覚めるとミシェルは2階ホールにおり、クロエが心配そうに覗きこんでいた。クロエの話によると、ミシェルは1階食堂で卒倒していたらしい。この屋敷には呪いのせいで怪現象が蔓延しており、ミシェルも屋敷に干渉されて悪夢を見たのだった。クロエの介抱で気力を回復したミシェルは1階に戻り、玄関からでれないか試してみるが、扉には鍵がかかり閉じ込められてしまっていた。
西客室に戻ったミシェルは人形にまた「目がほしい」と言われるが、今度は断る。そうすると人形は恨めしそうに涙を流す。ミシェルは1階東客室へ行く。そこは西客室と左右対称の造りになっており、西客室とペアになる人形がいた。戸棚にはハサミがあり、ミシェルはそのハサミで人形の目玉をくりぬく。ミシェルは西客室に戻り、東客室の人形からとった目玉をこちらの人形に渡す。人形はミシェルに目をくれた礼を言い、ミシェルに『ピアノソナタ第14番月光』の楽譜を贈る。
ミシェルは『ピアノソナタ第14番月光』を2階ホールに持っていき、グランドピアノで奏でるが、それを聴いたクロエはむくれる。クロエの言い分を聞くと、ピアノの演奏は彼女がやるので、ミシェルにはバイオリンを弾いて欲しいとの事だった。しかしミシェルはクロエの提案に難色を示す。この屋敷にはバイオリンが見当たらず、ミシェル個人としてもバイオリンを弾きたくない理由があった。しかしミシェルはそれを語りたがらず言葉を濁す。クロエはバイオリンなら1階の部屋にあったと主張する。頑固なクロエにミシェルは折れ、仕方なく探しに行く。

楽器をさがして1階ホールを探索するミシェル。

2階ホールのテーブルで図書室の鍵を入手したミシェルが階段を下りるとまたどこからか猫の声がするが、相変わらず姿が見えない。1階ホールには3体の胸像がおかれていた。探索中のミシェルは胸像の視線を感じて不気味がる。1階図書室に入ったミシェルは、1冊の本を本棚から出して読む。それは美しい妹に嫉妬して劣等感を募らせていく双子の姉の話だった。双子の姉は最初こそ妹を愛していたが、自分よりあらゆる点で優れた彼女をだんだんと憎むようになっていき、片想いの相手を妹にとられた事で遂に逆上し、妹を手にかけてしまった。後味の悪い悲劇に目を通したミシェルは、その作者がアラン・アルデンヌだと知る。他の本棚には『ピアノソナタ第14番月光』の解説書もあった。

1階図書室の本棚で『ピアノソナタ第14番月光』の解説書を見付けるミシェル。

図書室のテーブルで羽ペンとインクを入手したミシェルが1階東客室へ行くと、床の亀裂の所に先程まではなった花束が供えられ、「愛しのジュリエッタへ」とメッセージカードが添えられていた。ジュリエッタとはベートーヴェンの恋した女性で、『ピアノソナタ第14番月光』はジュリエッタに捧げられた曲だとミシェルは解説書の記述を思い出す。
1階ホールへ抜けたミシェルは、男性が女性に花束をさしだす絵画の前で止まる。ホールには何体か胸像があったが、その中で1体だけ不自然に絵の方向を見詰めていたのだった。胸像の視線の先は絵の中の女性だった。
ひょっとしたらこの胸像は絵の女性に恋しているのではないかと推理したミシェルは、背丈が足りない為に椅子にのぼり、羽ペンとインクを用いて絵画の男性を塗り潰す。
すると男性の太い絶叫が上がり、通路を塞いでいた胸像の1体が晴れやかに微笑んで、絵画の方へずりよってくる。邪魔な男性が消え、胸像は至近で想い人を眺められるようになったのだ。
胸像が絵画の前に移動した事で、新しい部屋への通路が開けたミシェルは扉を開ける。部屋の奥には宝箱があり、それを開けるとクロエの言う通りバイオリンがあった。首尾よくバイオリンを手に入れて戻ろうとしたミシェルだが、突如死角から血塗れの白髪の少女が飛び出し、手にしたナイフを振り上げてミシェルに襲いかかる。命からがら謎の少女を巻いて2階ホールへ戻ったミシェルを、クロエが不思議そうな顔で出迎える。ミシェルは謎の少女の容貌がクロエと酷似していた事に疑念を抱くが、クロエはずっと2階でピアノを弾いており、あの少女のように血塗れでもない。
とにもかくにもバイオリンを入手したミシェルは、クロエのピアノ演奏に合わせ、『ピアノソナタ第14番月光』をバイオリンで弾く。ミシェルのバイオリンに合わせ、ピアノを奏でるクロエの脳裏を過去の回想が過る。クロエが2階ホールのグランドピアノを弾いていると、父親のアランが部屋から出てくる。アランは「もう少ししたら新しい曲ができあがる、そしたら私の部屋に来い」と命令して去っていく。クロエは「はいお父様」と従順に返事をし父親の背を見送るが、その表情は陰鬱だった。重い足取りでアランの部屋に行ったクロエは、アランに暴行を受ける。クロエを殴る蹴るしながらアランは「お前が辛そうな顔をしてると私も辛い」「愛してるよクロエ」と繰り返し、ますます暴行をエスカレートさせる。アラン・アルデンヌに纏わる世間の噂は真実であり、アランは娘のクロエを日常的に虐待していたのだった。
『ピアノソナタ第14番月光』はクロエがアランに殴られた後、アランに聴かせてほしいと乞われた曲だった。演奏を終えたクロエは、自分のわがままに付き合ってくれたミシェルに感謝を述べる。『ピアノソナタ第14番月光』を弾き終えると屋敷の1階が白い光に包まれ、呪いの一部が浄化されるが、クロエ曰くまだ楽譜が足りないらしい。どうやらこの屋敷にかけられた呪いは、クロエとミシェルが力を合わせて楽譜の曲を奏でる事で解けるようだ。
クロエは「楽譜をさがして、ここにもあると思うから」とミシェルに頼み、ミシェルは2階を浄めるのに必要な楽譜をさがす。再びミシェルが1階へ行くと柱時計が鐘を打ち、ミシェルは驚く。玄関ホールで2階南使用人室の鍵を拾ったミシェルは、それを持って2階へ戻り、2階南使用人室に入る。部屋に入った瞬間からミシェルは不気味な視線を感じるが、その正体が誰かはわからない。テーブルにはロベルト・シューマン作曲の『トロイメライ』の解説を記した紙片があった。解説によると『トロイメライ』は全13曲にも及ぶピアノ曲集『子供の情景』の7曲目で、タイトルの意味は「夢」なのだそうだ。テーブルにはポットやティーカップも5個分あったがいずれも空で、その奥の5台のベッドは埃塗れでもぬけの殻だった。
部屋を徘徊したミシェルは、無数の視線に包囲されプレッシャーを受ける。床のメモを発見したミシェルがメモを読むと、「あなたのうしろ」と書かれていた。咄嗟に振り返ったミシェルは、真っ赤に充血した何対もの目の幻を見る。ぎょっとしたミシェルがメモを見直すと、なんと文章が変わっていた。そこにはA、B、C、D、Eと呼ばれる5人のメイドの特徴が書かれていた。

・Aはとても背が高い
・Bは最年少の16歳、メイドたちの中では1番若い
・Cは長く勤めるベテランで使用人のリーダー格
・Dは気弱で引っ込み思案
・Eは黒髪黒目の東洋人

これが5人の特徴だ。この使用人部屋で彼女たちは暮らしていたらしい。使用人の情報を得たミシェルは、部屋の中央に落ちているテディベアに気付く。使用人部屋に場違いなテディベアを怪しんだミシェルがハサミでテディベアを切り裂くと、腹の中から2階にあるクロエの母親の部屋の鍵が出てきた。

クロエの母親の肖像。

ミシェルが鍵を使い母親の部屋に入ると、壁には黒髪に紫の瞳をした、クロエによく似た美しい貴婦人の肖像画が掛けられていた。彼女がクロエの母親らしい。
しかし壁はあちこちひび割れて、床には空のワインボトルが転がり、こちらも他の部屋と同様荒廃した印象だ。
机には人工の髑髏や黒魔術の書物がある。ミシェルはクロエの母親の日記を読む。そこには精神の錯乱を裏付ける支離滅裂な文章で、「娘が狂っている」と書かれていた。
日記によるとアランは幼いクロエの身体に魅力を感じ、それを知ったクロエの母親は娘に激しく嫉妬していたらしい。母親はアランの愛情を取り戻す為黒魔術に傾倒していった。
両親と娘の三角関係ともいえる家庭の事情を察したメイドは盗み見を働き、口封じの為に次々と母親に殺されていく。残るはBとCだけとなる。ある日母親はBとCの会話を聞く。Bは「クロエ様の実母にしては奥様は年を取りすぎている」とCに疑念を呈し、Cは「奥様も昔は美しかったの」と弁護する。BとCは仲間がクロエの母親に殺害された事実を知らず、仕事を辞めたと思い込んでいたのだ。Cは「Aに続いてあなたまで辞められたら困る」とBに縋り、Bは「お給金がいいから辞めません」と答える。机には古ぼけた白紙の本もあり、ミシェルがそれをじっと見ていると、自然に文字が浮かび上がってくる。
「はじめはおくびょう なきむしなクマ そのつぎアジアのいたんクマ どんどんきえてゆき おばさんクマはさいごに死んだ」
この暗号を読み解くと最初にいなくなったのは泣き虫なD、次が東洋人のE、3人目がA、4人目がB、最後がベテランのCとなる。「3番目に消えたのは誰?」と続けて浮かび上がった疑問に対し、ミシェルは「A」と正解を書き込む。すると本の上にクロエの部屋の鍵が現れる。
母親の部屋の隣がクロエの部屋だった。鍵を用いてクロエの部屋に入ったミシェルは周囲を調べ始める。部屋には沢山のぬいぐるみや人形があり、大きな暖炉も備わっていた。しかし薪がなくて火を点けられない。呪いが原因だろうか、部屋中に立ち込める冷気に我慢できなくなったミシェルは木製の兵隊の人形とぬいぐるみを炊き付けに暖炉に放りこむ。暖炉にくべて兵隊の人形とぬいぐるみを燃やすと、「いたい……熱いよ……だれかたすけて」とおもちゃの悲鳴がする。
ぎょっとするミシェルに、暖炉の火影が声をかけてくる。それは今さっきミシェルが燃やした兵隊のなれのはてだったが、彼曰く自分は過去の残骸、クロエの記憶のひとかけららしい。兵隊の人形は嘗てクロエの友達であり、彼女とよくお喋りする仲だったが、ある時期を境に言葉を交わせなくなってしまったのだ。
クロエは玩具と友達だったのかと訝しむミシェルに対し、火影は唐突に『子供の情景』の謂れを語りだす。『子供の情景』とは大人が子供時代を振り返る曲であり、今のクロエにとっても過去を振り返る事は重要だと火影はミシェルに説く。
「僕のもとにクロエの思い出の品を持ってきたら彼女の記憶を少し見せてあげるよ」と火影はミシェルに約束する。その時、背後で猫の声がする。ミシェルが振り向くと白猫と黒猫がしっぽを振っていた。1階ホールで聞こえていた猫の鳴き声の正体はこの子たちかと合点するミシェル。そこへクロエがやってきて、白猫はブラン、黒猫はノワールだとミシェルに紹介する。2匹はクロエの飼い猫らしい。フランス語でブランは白、ノワールは黒である為、ミシェルは「君が名付けたの?」と安直さに驚くが、クロエは「一生懸命考えたのよ」とむくれる。クロエがブランとノワールを連れて出て行った後、ミシェルはクロエの思い出の品を探し回り、机の上の絵を手に入れる。それはクロエがクレヨンで描いた家族の絵で、アランと母親の真ん中に笑顔のクロエがおり、両親と手を繋いでいた。絵の横には「天才少年 ミシェル=ダランベールのコンサート特別招待券」と題されたチケットが置かれている。クロエの言う通り、彼女は以前からミシェルを知っていたのだった。

クロエの部屋に兵隊の人形をくべると、火影となった兵隊の人形がクロエの過去を語り始める。

火影に「準備はいいかい?」と聞かれたミシェルは頷いて、暖炉にクロエが描いた絵を放り込む。次の瞬間、ミシェルは火影によってクロエの過去の幻を垣間見る。

それはクロエが家族の絵を描いた時の回想だった。
クロエは完成した絵を兵隊の人形に見せる。兵隊の人形は「上手だね」と出来栄えを褒め、クロエは大喜びで両親に絵を見せに行こうとする。その時扉が開き、父親のアランが入ってくる。クロエは父親に駆け寄るが、そんなクロエをアランは無視し、「お前は何歳になる」と傲慢に聞く。クロエが戸惑いながら「8歳になります」と答えると、「そうか」と言い捨ててさっさと去っていく。父親の邪険な対応にしょげるクロエを、兵隊の人形は「お母様はきっと喜んでくれる」と慰める。

幻が消滅し、ミシェルが我に返ると暖炉の火は消えていた。傍らの水桶も空になっており、底に鍵があった。それはクロエの部屋のおもちゃ箱の鍵だった。ミシェルが鍵を用いおもちゃ箱を開けると、中には小太鼓があった。ミシェルが小太鼓を兵隊人形に持たせると『トロイメライ』を奏で始め、演奏終了と同時にミシェルの手中に『トロイメライ』の楽譜が現れる。2階ホールへ戻ったミシェルは、壊れたピアノの前で呆然とするクロエに近付く。先程大きな音がして突然ピアノが壊れたというのだ。
これでは合奏できないとべそをかくクロエに、ミシェルは他にピアノはないかと聞く。クロエは3階ホールに別のピアノがあるというが、嫌な感じが強すぎて自分はそこへ行けないとも告げる。どうやら3階は1階や2階と比べてなお呪いの影響が強そうだ。途方に暮れる2人だが、ブランとノワールが階段の上り口へ向かうと、2匹の身体から白い光が放たれて呪いが浄化される。今のうちにと3階へ急ぐミシェルとクロエ。3階ホールに着いたミシェルは、ホールの内装に見覚えがある気がするが、どこで見たのかは思い出せない。3階ホールのステージ上にはグランドピアノがあったが、鍵盤が数個抜けており、修理しなければ弾けそうにない。ミシェルは床に落ちていた2階北使用人室の鍵を拾い、ピアノから消えた鍵盤を探しに行く。
北使用人室に足を踏み入れた瞬間、ミシェルは例の謎の視線を感じる。続いてミシェルが見た過去の幻影では、覗き見で屋敷の秘密を知ってしまったDがクロエの母親に弁解していたが、命乞いも虚しく殺害される。テーブルに開かれたままのノートには「切ったぬいぐるみ見られた だからあいつをずたずたにした 早く死体を燃やさなければ」と書かれている。
南使用人室へ戻ったミシェルは、北使用人室のノートの記述を思い出し、床に転がったテディベアに燭台の火を移して燃やす。
再び北使用人室へ戻ったミシェルがノートを見ると記述が変化している。
「見られた見られた見られた見られた」「東洋人は辞めさせた。のっぽは消した。あとの2人はどうしたら」と、クロエの母親の文章が浮上したのを見たミシェルは、クロエの母親が錯乱し、アランとクロエの情事を知った使用人を消して回っていた事実に暗澹とする。
再び南使用人室に戻ると、なんとミシェルが燃やした1体を除き、テディベアが4体増えていた。それは屋敷に勤めていたメイドの人数と合致する。テディベアにはそれぞれA、B、C、Eとアルファベットがふってあった。一種の見立てだと理解したミシェルは、解雇されたEを除き、屋敷からいなくなった順にテディベアを燃やしていく。クロエの母親は殺したメイドの死体を暖炉で燃やして隠蔽していた為、それを再現する必要があったのだ。
Eのテディベアの中身をさぐると鍵盤が出てきた。ミシェルは3階ホールへ戻ろうとするが、南使用人室の鍵が施錠されていて開かない。ふとテーブルを見ると、ミシェルがクロエの部屋で燃やしたはずの家族の絵が復元されていた。母親の日記を思い出したミシェルは、母親がクロエに嫉妬してたならば娘を邪魔に思っているはずと推理し、真ん中のクロエだけをハサミで切り抜く。両親2人きりの絵になると、どこからか勝ち誇った母親の哄笑が響いて扉が開く。クロエが消えた事で母親は満足し、ミシェルは切り抜いたクロエの絵をポケットに入れて3階ホールへ戻る。
3階ホールでクロエと会ったミシェルは、彼女に手に入れた鍵盤を見せピアノを修理する。ミシェルはバイオリンを持ち、クロエはピアノの前に座り、『トロイメライ』を演奏する。音楽に乗せてクロエの回想が始まる。

過去のクロエの部屋にて、クロエは「絵を渡したらお母様が喜んでくれた」と、目を輝かせて兵隊人形に報告する。兵隊人形は「よかったね」とクロエを労うが、クロエは母親の顔色が優れず、近頃父親の様子もおかしい事を気に病んでいた。両親を心配するクロエを兵隊人形は親身に慰め、部屋に飾られた他のおもちゃ達も一斉にクロエを励ます。沢山の友達に囲まれて幸せそうなクロエ。無垢で純真なクロエは、おもちゃにも心が宿り、人間と同じように話せると信じていた。そこへアランが乗り込んできて、突然クロエに暴力を振るい始める。
「これから一生お前は私に逆らえない」と宣言してアランが去った後、床に倒れたクロエが周囲を見回すと、彼女の血がかかったおもちゃは誰も口をきかなくなっていた。「返事をしてよ、お願いよ……」と哀願するクロエだが、部屋には重苦しい沈黙が漂うのみ。幸福な子供時代が終わると同時に、クロエは大事な友達を失ってしまったのだった。

『トロイメライ』を弾き終えたミシェルはバイオリンを下ろし、「演奏が少しだけ楽しかった、本当はこんな風に弾きたかったんだ」と本音を漏らす。『トロイメライ』の合奏を介しクロエと心が通ったミシェルは、彼女の痛ましい過去を知り、楽譜さがしに積極的になった。しかし次に何の楽譜をさがせばいいかはクロエにもわからないらしい。
とりあえずそれらしい楽譜をさがしてみるとミシェルはクロエに請け負い、先程切り抜いたクロエの絵を本人に見せる。クロエは「昔はお父様とお母様がいたけど、今はクロエひとりぼっちになっちゃった」と哀しむ。そんなクロエを見ていたミシェルは、思わず彼女の頭をなでる。ミシェルには以前クロエと同じ名前の大事な存在がおり、2人のクロエを重ねてしまったのだ。
クロエは「画用紙があったら持ってきて欲しい」とミシェルにお願いし、ミシェルが画用紙を渡すと、そこにミシェルの絵を描き、ミシェルが切り抜いた自分の絵を隣に貼り付ける。ミシェルと一緒になった自分の絵を見下ろし、クロエは満足そうに微笑む。クロエは「ミシェルはどうしてここにきたのかしらね、クロエはどうして……」と暗い目で何かを言いかけてやめる。クロエはこれからもミシェルに沢山迷惑をかけると謝罪し、そんな後ろ向きなクロエに対し、ミシェルは「面倒くさいな」と言い捨てる。ミシェルの暴言にクロエはショックを受けるが、彼が慌てて謝罪するとすぐまた笑顔を取り戻し、「ミシェルのバイオリンを聴くと幸せな気持ちになれる、ミシェルのバイオリンが好き」と告白する。照れるミシェルにクロエは「お守り持ってて」と、自分とミシェルの絵を渡す。
3階ホールを徘徊したミシェルは3階楽屋の鍵を入手する。どうやらこの3階では、アランが観客を招待し、演奏会を催していたらしい。
楽屋に入ったミシェルはメモを拾うが、そこには「チェロが殺された 犯人に制裁を加えてほしい」と書かれていた。メモの内容を裏付けるように、チェロと書かれたロッカーの前の床に血痕が落ちている。
ミシェルが室内を見回すと、確かにチェロが破壊されている。どうやら楽屋のロッカーにしまわれた楽器の中に、チェロを殺した者が潜んでいるらしい。楽屋で金槌を拾ったミシェルが3階ホールに戻ると、ステージ前の椅子たちがざわざわと話している。右端の小さい椅子はチェロが殺された瞬間を目撃しており、「顔はよく見えなかったがチェロよりかなり小柄だった」と証言する。その次の歪んだ椅子は「犯人は被害者の隣ではない」と推理する。次の古ぼけた椅子は「オーボエとクラリネットが犯人を見たと話していた」と言い、次の新しい椅子は「誰かから聞いたんだけど、犯人はチェロより左側にいたらしいわよ」と付け加える。次の美しい椅子は「バイオリンのどちらかが犯人だと思ったけど、2人ともアリバイがあった」と言い、次の黒い椅子は「鉄琴と木琴はデキていて、他のヤツは眼中にない」と証言した。
情報を整理したミシェルは、楽器の大きさとステージ表の位置を照らし合わせ、チェロの左側で演奏していたチェロより小さい楽器を絞り込み、犯人はフルートだと推理する。フルートの名前は唯一椅子たちの話に出てこず、消去法でも妥当に思えた。ミシェルは楽屋に戻り、保管されたロッカーごとフルートを叩き壊す。するとロッカーの残骸の中からアランの部屋の鍵が出てくる。ミシェルはその鍵を拾い、3階のアランの部屋へ赴く。
アランの部屋に入ったミシェルは、机で『愛しい娘の成長記録』と書かれたアルバムを発見する。アルバムを開くと、そこには悲痛な表情のクロエの写真が大量に貼られている。アランはクロエを暴力的・性的に虐待し、その行為を撮影していたのだ。アルバムを見終えたミシェルは衝撃を受けてアランの部屋を飛び出し、クロエとの対面を避け、2階のクロエの部屋へ逃げ込む。
アランへの憤りに屋敷の呪いが干渉したミシェルは、衝動的にクロエの部屋の箪笥やドレッサーを破壊する。本棚を壊した時その残骸からクロエの日記を発見し、ミシェルは目を通していく。そこにはクロエがまだアランに虐待を受ける前の出来事が綴られていた。
クロエはメイドのDと仲が良く、優しい彼女を慕っていた。しかし8歳のクロエは、自分に纏わり付く謎の視線を意識し始めていた。そんなある日、クロエは父親の部屋に呼ばれる。アランに暴行されたクロエは、その時に撮影されたせいで写真が大嫌いになる。謎の視線の正体とは、クロエを舐めるように見詰めるアラン本人だった。
母親はクロエを見ると嫌な顔をし、メイドは次々といなくなり、クロエの味方は誰もいなくなる。その後も虐待は延々続きクロエの心身は削られていく。孤立したクロエの唯一の慰めは、ある夜聴きに行ったバイオリンのコンサートだった。クロエはそこで聴いた素晴らしい演奏に希望を見出すが、アランの虐待はエスカレートしていく一方で、クロエは「私は人形でもペットでもない、誰も1人の人間として見てくれない」と嘆く。
日記を閉じたミシェルはクロエの痛ましい独白に涙を流す。
彼は屋敷で出会ったクロエを自分が愛した猫のクロエの代わりにしていたと自覚し、激しく後悔する。アランの部屋に戻ったミシェルは、アルバムの最後のページに若い両親と幼いクロエの写真が挟まれているのに気付く。写真を抜き取って裏返せば「ピアノの裏」と書かれており、アランの部屋の小さなピアノの裏を調べると工具が手に入る。
3階ホールへ戻ったミシェルはクロエに「君にずっとひどいことをしていた、ごめん」とクロエに謝罪する。クロエは訳がわからないながら、ミシェルの謝罪を受け入れて彼を許す。そして「この頃ミシェルは優しくなった」と微笑む。3階で探索してないのはあと1部屋のみとなった。残る部屋のドアノブはなくなっており、ノブの代用品を探してくる必要がある。

おぞましい変貌を遂げる母親の肖像画。

ミシェルは2階のクロエの母親の部屋へ行く。すると壁の貴婦人の肖像画が窶れた老婆へと変わっている。クロエの母親は夫の愛情を独占する娘への嫉妬に狂い、夫の愛情を取り戻したい一心で黒魔術に溺れ、身も心も荒んでいったのだ。
ミシェルは母親の部屋にあったハサミをとって3階へ戻り、ドアノブの脱落箇所にさしこむ。ハサミはうまくはまり、ミシェルはそれを回して扉を開ける。
扉の奥は屋敷の厨房になっており、料理人の亡霊が忙しく立ち働いていた。彼らは晩餐会の準備に追われているらしい。厨房に踏み込んだミシェルを迎えたのは、赤い炎の姿をしたメイドDの亡霊だった。Dはミシェルの事を知っており、クロエが主宰する晩餐会に彼を正式に招待する。招待を受けたミシェルは、厨房奥の本棚を調べ、『テーブルマナーの手引書』を読む。そこにはこれらのことが書かれている。

・着席のマナー。椅子を引いてもらったら左側から座ること、離席の時も左側からすること
・食事のマナー。ナプキンは主賓が広げるで広げてはならない、主賓より先に広げると「早くしろ」と急かす意味になる。ナプキンを使用する際は口か指先を拭う時だけ。またナプキンを使用しないと「汚い」という意味になる。パンはスープが終わってからデザートの前までに食すこと。食事中に離席する際はナプキンをきちんと畳み、椅子の上に置くこと。骨付きの魚はひっくり返して食べるとマナー違反である。ナイフで慎重に骨をとらなくてはいけない
・離席のマナー。主賓が外してから自分のナプキンを外し、汚れを内側にして軽く畳み、テーブルの左側におく。これが食事終了のサインとなる。ナプキンを綺麗に畳みすぎると「美味しくなかった」という意味になるので、軽く畳む程度にしておくのがマナーである

手引書の記述を頭に叩き込んだミシェルは、テーブルの角にメニュー表がのっているのに気付く。そこに書かれていたのは指と歯のオードブル、髪の毛のサラダなど、吐き気を催す悪趣味な品目だった。しかも厨房の床では、ブランが血塗れで死んでいる。ブランもまた解体され食材に使用されたらしい。
放っておけばとんでもない物を食わされると青くなったミシェルは、羽ペンとインクを用い、メニュー表の修正にとりかかる。しかし正しい順番で書き換えないと屋敷の呪いが発動して死ぬので慎重にならねばならない。ミシェルは元のメニュー表の並びに応じ、前菜→スープ→魚料理→グラ二テ→チーズ→デザート→コーヒー・紅茶の順にメニューを書き換える。

クロエ主宰の晩餐会で料理を堪能するミシェル。

厨房を出ると3階ホールの中央にテーブルクロスを掛けられたテーブルが出現していた。ここで晩餐会が行われるらしい。ミシェルは手引書の記述を思い出し、「ミシェルの席」と札が立てられた椅子に左側から座る。正面にはクロエが座り、晩餐会が始まる。メイドDがしずしずと運んでくる料理を、マナーにのっとってミシェルが食べていくと、「とってもおいしいの」とクロエも喜ぶ。メインディッシュは特別な魚を使ったムニエルだったが、突如として酷い腹痛に襲われたミシェルは、ナプキンを軽く畳んで離席する。
なんとか晩餐会を終えたあと、ミシェルはメイドDに厨房へと呼び出される。メイドDは「ご無礼をお許しください」とミシェルに謝罪し、ムニエルに細工をしたと告白する。メイドDはミシェルにクロエを救済する資格があるかどうか試したのだ。死後もなおクロエを心配し彼女に忠誠を尽くすメイドDは、「お嬢様を助けてください」とミシェルに頼んで消えていく。その寸前、メイドDは『カプリース24番』の楽譜をミシェルに手渡す。『カプリース24番』はバイオリン用の曲であり、ミシェルにしか弾きこなせない難曲だった。
3階ホールへ戻るとクロエは最前列の観客席に座っており、ミシェルは1人ステージに上り、バイオリンで『カプリース24番』を演奏する。演奏中、ミシェルはこの屋敷に来た経緯を回想する。

ミシェルの双子の弟・ピエールはピアノ奏者だったが、兄との才能の差に苦しんでいた。

ミシェルには双子の弟ピエールがいた。ミシェルがバイオリンを、ピエールがピアノを習い始めた頃、ピエールは兄の演奏の巧みさに感心し将来は2人でステージに立とうと気勢を上げた。
それから数年後、11歳になったミシェルは演奏会にて圧巻のバイオリン演奏を披露する。聴衆はミシェルの腕前を誉めそやすが、伴奏を担当するピエールの事はミシェルの引き立て役に過ぎない凡庸さだと陰口を叩く。
演奏会を終えて屋敷に帰ったピエールは、今日の演奏会も成功だったとミシェルに水を向けるが、当のミシェルは全く無関心だ。一方ミシェルはピエールと一緒に演奏できるなら何でもよかった。周囲の大人がもっと優れた伴奏者を勧めても頑として首を縦に振らず、ピエールが伴奏者でなければステージに立たないの一点張りだ。
そんな2人のもとへ新しく雇われたメイドが挨拶にくる。メイドはシャルロットと名乗り、ミシェルとピエールも自己紹介を済ますが、シャルロットの目はミシェルしか見ていなかった。シャルロットはミシェルに一目惚れしていたのだ。「さっきの子随分お前を気に入ったみたいだな」とピエールはからかうが、ミシェルはシャルロットなど眼中になく、当然ながら彼女が寄せる好意にも気付かない。

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