いちご100%(河下水希)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『いちご100%』とは、河下水希が週刊少年ジャンプにて連載していた漫画作品、あるいはこれを原作としたアニメ作品である。ジャンルはラブコメディー。
頼りないが夢に対してはまっすぐで情熱的な少年真中淳平をめぐって様々な恋模様が展開される。それらを通じて人間関係のすれ違いや将来の夢への苦悩を経験する中で登場人物が内面的に成長していく様子が描かれている。本筋に関わる部分でのヒロインたちの繊細な心情の描写とそれ以外の部分でのお色気、ギャグといったコメディ要素とのギャップが大きな魅力の一つである。

真中や東城をはじめとする映研部員や大草が通う高校。高校生編の主な舞台となる。
真中が入学する数年前までは映像部が存在していたが真中の入学時にはすでにCG部へと変わっており、このことが真中が映像研究部をつくる原因となった。
毎年開催される文化祭は「嵐泉祭」とよばれ、それぞれの部が競って集客を行う。集客数をもとにランキングがつけられ、優勝した部には授業中の居眠りや早弁を見逃されるなどあらゆる特権が与えられる。逆に最下位の部は廃部となり、勝者の奴隷となることを義務付けられる。なお、真中が高校3年生の文化祭ではラブ・サンクチュアリという企画が催された。これは当初カップル限定企画かと思われていたが、実際の所は全校生徒や来校した他校の生徒の生年月日や身長などから数字を算出し、その数字が合った異性とは相性がいいとされる占いの一種であった。

桜海学園

西野や唯が通う女子高。学校の偏差値で見ると真中の通う泉坂高校より高い。
風邪をひいた唯が真中にノートを取りに行くよう頼み、真中が潜入していることが発覚した際は学校中の大騒動となった。ちなみにその際は西野によって助けられた。
放課後は学校の前に西野を待つ大勢の男子たちがあらわれる。

テアトル泉坂

高校2年時に真中がバイトをしていた映画館。時給は発生しないがかわりに映画を見放題という条件で働き始める。西野の働くパティスリー鶴屋が近くにあり、このことから一度は破局した真中と西野が再び距離を縮め始めることになった。
真中が高校3年になって塾に通うようになってからはバイトとして顔を出すことはなくなり、代わりに外村美鈴が働いている。

『いちご100%』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

互いの夢を語り合う東城と真中

映画製作に関わりたいという夢を東城に語る真中。

屋上に残された数学のノートに書かれた東城の小説に真中は感動し、東城を屋上に呼び出す。自分の夢を誤魔化し「単なる自己満足」と言ってのける東城に対し、真中ははじめて他人に自分の夢を打ち明ける。
自分を受け入れてくれる真中に東城が恋をするきっかけとなった場面であり、2人の関係はここからはじまったと言える。

真中が西野に別れを告げようとしたデート

高校受験も終わり、中学生活も終わりを迎えようとしていたころ、西野からデートの誘いを受けた真中。真中は自分の東城への気持ちに気付いており、態度をはっきりさせるために西野の誘いに応じることになる。当の西野もそのことには気づいていた。
画像は「東城さんのこと…それでもいいって言ったらどうする?」というセリフに続く一言である。もはや真中の気持ちは自分ではなく東城にある、「それでもいい」から真中と一緒に居たいという切ない恋心を冗談めかしてあえて明るくふるまっている。
西野つかさというヒロインの強さと弱さが同時に垣間見える名場面である。

真中のさつきとのファーストキス

東城と真中が(事故ではあるが)キスをしたという話を聞いたさつきが真中にキスをするシーン。事故のキスをカウントしなければ、真中にとってのファーストキスの相手はさつきということになる。
いきなり意中の相手にキスを仕掛けられる大胆さだけでなく、その直後のコマでさつきの照れている顔が見られることからその行動にも相応の勇気と覚悟が必要だったことが読み取れ、北大路さつきの二面的な魅力が伝わってくる。

唯の真中離れ

唯の父親が唯に桜海学園をやめさせようとするのをなんとか止めることができた真中と唯。しかし唯は真中家には戻らず、一人暮らしをすることを決心する。画像はそれに続く場面である。
ピンチの時には必ず助けてくれると信じ切っている唯と、いつでも唯の味方であることを誓う真中。二人の恋愛関係とは違った絆と普段は子供っぽい言動をする唯の成長が感じられる名場面である。

西野の告白シーン

西野から真中への告白シーン。西野が明確に真中に対する想いを告げるのはこれが初めてである。
西野の誕生日イベントとして水族館デートをすることになった真中は待ち合わせ場所で偶然向井こずえと会い、話している場面を見られ、西野の機嫌を損ねてしまうが西野はデート中、彼女でもない自分には嫉妬する権利もないということに気付き、真中への告白へ踏み切る決意を固めた。
鉄棒で懸垂しながら告白するという中学3年生編での真中から西野への告白シーンを逆転させて再現するエモーショナルな演出が印象的な名場面である。

東城から真中への告白シーン

真中が西野と復縁したということを知った東城が中学から胸に秘めてきた真中への想いを打ち明ける場面。
東城が真中のことを一途に想い続けてきたこと、そして東城と真中の恋愛以上の強い信頼関係はこれまでの本編中の描写などから読者にも明らかであったがために、より切なさが際立つ。画像中にある数字の書かれた紙は前述のラブ・サンクチュアリというイベントで配られるもので、数字の一致する相手が運命の相手であるということを示すもの。このコマから真中と東城の数字が一致していたことがわかり、真中の運命の相手は東城であったのにも関わらず、真中は東城ではなく西野を選んだという事実も切なさを助長するポイントである。

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