フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと(ゲーム)のネタバレ解説まとめ

『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』とは「Annapurna Interactive」から発売されたゲーム作品。変死や蒸発など、奇怪な事件に彩られたある一族の歴史を紐解いていく重層的なストーリーが高く評価され、数々の名誉ある賞を獲得している。主人公の少女エディス・フィンチはフィンチ家の末裔にして唯一の生き残りだ。彼女は6年前に去った、ワシントン州オルカス島の実家に再び足を運び、屋敷を探検する中で不審死を遂げた親族たちの秘密を知る事になる。

バーバラはハリウッドでひっぱりだこの子役スターで、恐怖に満ち満ちた彼女の悲鳴は観客を魅了した。その数年後、16歳のバーバラは落ち目となり、ダイナーのウェイトレスなどの端役しか貰えない三流女優となっていた。そばかすだらけのバーバラは郵便受けの扉を開け、オーディションの不合格通知を見てはため息を漏らす。
そんな時地元のホラー映画ファンの集会にバーバラが招かれ、嘗て観客を魅了した悲鳴を披露することになる。バーバラは女優として再起を賭け悲鳴を特訓するが、第二次性徴を迎えた彼女の声は低く潰れ、全盛期の声量はどうあっても戻ってこない。
バーバラの1番のファンを自称するボーイフレンドのリックは、バーバラが完璧なコンディションで集会に臨めるように彼女を指導する。リック曰く、バーバラの悲鳴には何かが足りない。バーバラが元の素晴らしい悲鳴を取り戻すには何かの動機付けが必要らしい。
その時、野太い男の悲鳴が上がる。何事かとバーバラの部屋を飛び出したリックは、イーディに肩を貸されたスヴェンが、手から血を流して歩いて行くのを目撃する。スヴェンは大工仕事の最中にテーブルソーに手を巻き込まれて大怪我をし、病院に搬送されたのだった。あの悲鳴こそ理想の悲鳴だとリックは言い、バーバラの悲鳴には恐怖と苦痛が欠けていると結論付ける。
その後もリックとバーバラは部屋にこもって特訓を続ける。スヴェンの悲鳴を再現しようと頑張るバーバラに、「どうだろうもし僕が……」とリックがアドバイスしかけた時、テレビにニュースが流れる。画面では今日がハロウィンであり、フィンチ一族が住むオルカス島で怪物のマスクを被った集団が暴れていると報じられていた。
直後、落雷と共に大きな物音が響く。物音は地下の方からだ。
イーディは病院に搬送されたスヴェンに付き添い不在で、サムとカルビン、末っ子のウォルターはそれぞれ部屋にこもっている。バーバラを含め、現在屋敷には子供たちしかいない。
不吉なニュースと物音に怯えるバーバラの口ぶりを、リックは「今のいい感じだよ」と褒める。バーバラは地下室で何かあったのではと推理し、オルゴールのネジを巻き始める。バーバラの父親スヴェンは秘密の通路やパズルを拵えるのが大好きで、オルゴールのネジを限界まで巻き続けると、盤上に鍵が飛び出してくる仕組みになっていたのだ。バーバラはオルゴールから出た鍵をリックに渡し、リックはそれを持って地下室の様子を見に行く。
だが28分が経過してもリックは戻らず、不安にたまりかねたバーバラは自分も地下室へと下りていく。地下室へ下りる階段にはリックの松葉杖が転がっていた。リックは右足を骨折し、ギプスを嵌めていたのだった。リックの身に何かあったと察したバーバラは、彼の松葉杖を構えて恐る恐る地下室へ行く。
地下室の暗がりをバーバラは松葉杖を振りかざして進んでいく。ラジオは怪物マスク集団のリーダーがフックマンと呼ばれている事、フックマンは18年前に家族を突き刺し食べた異常者である事を伝えていた。スヴェンが使っていたテーブルソーには、彼の腕から滴った血が付いている。地下室の片隅には冷蔵庫があり、バーバラが扉を開けると、中から怪物マスクを被った不審者が飛び出してくる。
フックマンと誤解したバーバラが叫び、松葉杖で不審者を殴打すると、リックが慌ててマスクを脱いで謝罪する。一連の不自然な現象は、バーバラを怖がらせて最高の悲鳴を上げさせようとしたリックの狂言だった。ボーイフレンドに騙されたバーバラは激怒し、カンカンになってリックを追い出す。
怒りに任せてリックを閉め出したものの、まだ未練があるのか彼が忘れた松葉杖を抱くバーバラ。ソファーに横たわり、深夜のテレビ番組を見ながら寝こけていると、末弟のウォルターがしきりにバーバラの名前を呼んで騒ぎだす。今度こそ何か起きたと思ったバーバラは飛び起き、ウォルターをさがして屋敷中を徘徊する。恐怖と不安に駆られて松葉杖を振り回し、椅子や戸棚を殴り付けるバーバラ。ウォルターの部屋に行ってみたものの彼の姿は見当たらず、付けっ放しのラジオは鉤爪の殺人鬼フックマンへの警戒を全島民に促している。物音に振り返ったバーバラは、顔に包帯を巻き、鋭い鉤爪を振りかざした男に襲われる。咄嗟に松葉杖でガードし、フックマンを押し返したバーバラはスヴェンが拵えた秘密の通路を抜けてモリ―の部屋に行き、フッマンの背後に回り込む事に成功する。バーバラは松葉杖でフックマンの後頭部を殴打し、勢い余って手摺を乗り越えた彼は2階から転落する。
フックマンにまだ息があるのを見て取ったバーバラはとどめをさそうと1階へ行くが、何故かフックマンの姿が消えている。愕然とするバーバラの耳にピンポンが響く。イーディの帰宅、もしくは警察が来てくれたのか早合点したバーバラは玄関の扉を開けようと近付くが、自身の後ろからヒソヒソと話し声が聞こえるのに気付き、血相変えて振り返る。

怪物たちに囲まれて一世一代の名演技を披露するバーバラ。

瞬間、クラッカーから紙吹雪が放たれバーバラは拍手喝采を受ける。バーバラを取り囲む怪物たちは「サプライズ!」と声を上げ、バーバラの演技力と悲鳴を絶賛する。怪物たちの顔を見回したバーバラは、彼らが自分を驚かせに来てくれたのだと確信する。一世一代の絶叫を上げるバーバラに、鋭い牙を剥きだした怪物たちが我先に群がった。
バーバラが消えたあと、警察は全ての罪をリックに擦り付けた。末弟のウォルターは自室のベッドの下に潜りこんで一部始終を見ていたが、想像を絶する恐怖のせいか、固く口を閉じて何も語らなかった。バーバラ自身は屋敷から蒸発したが、彼女の部屋のオルゴールに片耳だけが残されていた。

操作キャラクター・エディス

エディスは閉じた漫画をバーバラの肖像に手向ける。漫画の内容は馬鹿げていたが、生前のバーバラは何より人々に忘れ去られる事を恐れていた。衝撃的な事件の主役として人々の記憶に刻まれる事で、バーバラは望み通りのハッピーエンドを迎えたのかもしれないとエディスは回想する。イーディもまたそんなバーバラの願いを尊重し、彼女の死をフィクションとして昇華した漫画をとっておいたのだった。
バーバラの片耳が発見されたオルゴールは、彼女の部屋から1階廊下の戸棚に移されていた。エディスは何故自分がオルゴールで遊ぶのをドーンが嫌がったのか、その理由を漸く悟る。
『デッドフルストーリーズ』の描写を参考にしてバーバラのオルゴールのネジを巻くと、盤上に鍵が飛び出す。エディスはその鍵を使って地下室の扉を開ける。
地下室には『デッドフルストーリーズ』の描写通りビリヤード台や冷蔵庫があった。子供の頃のルイスは、地下室への立ち入りをドーンに固く禁じられていた。ドーンは「もし破ったら破傷風の注射をするわよ」と幼いエディスを脅すほどに、地下室を特別視していた。この地下室はもともとスヴェンの作業場で、作業机の上には未完成のドラゴンのすべり台の一部が放置されていた。エディスは1度イーディが荷物を持ってこそこそ地下室へ下りていくのを目撃していた。
エディスが地下室の片隅の冷蔵庫を開けると、中にもう1枚防音扉があり、その奥はシェルターになっていた。
ウォルターはイーディとスヴェンの末の息子だったが、バーバラの事件後に謎の失踪を遂げる。エディスはイーディにウォルターの行方を尋ねたが、曖昧にはぐらかされたことを覚えている。実はウォルターは蒸発したのではなく、地下室のそのまた奥のシェルターに隠れ住んでいたのだった。バーバラの事件にショックを受けたウォルターは、外界は危険だらけだと思い込み、シェルターに隠居する生き方を選んだ。シェルター内には大量の蔵書を詰めた本棚があり、遮光カーテンを掛けた窓は固く閉ざされている。戸棚にはイーディが運び込んだらしい大量の缶詰の在庫がある。
ウォルターが生前使っていた机には彼が家族にあてた置手紙が残されていた。エディスはそれを読み、ウォルターのシェルターでの生活を知る。

操作キャラクター・ウォルター

当初ウォルターは突然シェルターを襲う振動に寝付けず、ここでの暮らしが続くか不安がっていた。しかし1週間もすれば順応し、決まった時間に桃の缶詰をペンチで開けて食べるルーティンワークをこなしていく。スケジュール通りに日課を消化する事で、ウォルターはどうにか正気を維持していた。バーバラが怪物に襲われる現場を目撃したウォルターは、ドアの外には恐ろしい化物がいると思い込んだのだった。

地下シェルターにひきこもったウォルターは、白桃のシロップ漬けの缶詰を毎日食べていた。

モリ―やバーバラ、それにカルビンを殺した何者かが明日には自分を殺しにくるかもしれない強迫観念に憑かれたウォルターは、その何者かに怯え続ける日々を30年も過ごした。ウォルターの妄想を補強したのは定期的にシェルターを襲う揺れで、彼はそれが怪物の仕業に違いないと結論付ける。
だが30年が経過したある日、ぱたりとその揺れが止む。怪物がいなくなった今こそ外へ出るチャンスだ。ウォルターはさらに1週間待ち、怪物の気配が完全に去ったのを確認後に床のハッチを開けて地下道へ下りる。あるいはこれは罠で、モリ―やバーバラ、カルビンを殺した怪物は地下道の先で自分を待ち構えているのかもしれない。だがウォルターは外への憧れを禁じ得ず、鶴嘴で行き止まりの壁を突き崩し、30年ぶりに太陽の光を浴びる。
壁が崩れた先は線路が敷かれたトンネルだった。トンネルを出たウォルターは30年ぶりに見る世界の美しさに感動するが、直後列車に轢き殺される。

操作キャラクター・エディス

ウォルターのシェルターを定期的に襲った揺れの正体は、トンネルから伝わる走行列車の振動だった。ウォルターが列車に轢き殺されたのを知ったエディスは、母親ドーンと曾祖母イーディが共謀しウォルターの存在を隠していたと推理する。フィンチ一族は総じて薄命な上に不吉な歴史に彩られていた。もしシェルターの存在を知れば、フィンチ家の末裔であるエディスたちもまた居もしない怪物を恐れて引きこもる羽目になるかもしれないと、ドーンとイーディは危惧したのだった。
床のハッチを開けて地下道へ下りたエディスは、母親の気持ちに理解を示しながらも、「ウォルターの事を隠していたのなら他にどんな重大な秘密を持っていたかわからない」と疑念を膨らませる。エディスは子供に秘密を持って遠ざけた母親と同じあやまちは繰り返したくないと決意する。
地下道を歩いてトンネルから外へ出たエディスは、線路をぐるりと回りこみ、フィンチ家の庭先へもぐりこむ。

フィンチ一族の墓所はイーディが設計した墓石で埋め尽くされていた。

フィンチ家の庭には一族の墓が建てられていた。墓の間を練り歩きながら、エディスはフィンチ一族が自分たちにかかった呪いを本物だと信じ込むあまり、身を滅ぼしたのではないかと空想する。エディスが日記や手紙を通して追体験した記憶の持ち主たちは、それぞれ自らの身に起きた出来事を信じ込んでいた。それが到底現実には起こり得ないような荒唐無稽な現象でも、彼らは本物だと思い込み、自分が主役となる生と死の物語を作りあげた。
墓地には歴代のペットも葬られていた。フィンチ一族にとって、死は常に身近にあった。フィンチ家の屋敷はスヴェンが設計したが墓をデザインしたのはイーディで、カルビンの墓にはロケット、スヴェンの墓には鋸、モリ―の墓には猫など、それぞれにゆかりの物が彫られている。オーディンの墓は断崖の上で、そこには彼を模した石像が堂々と佇んでいた。オーディンの石像の視線の先には、高波に呑まれて座礁した初代の屋敷があり、潮が引くと顔を出すのだった。
イーディは死体が見付かってないバーバラやミルトンの墓も造った。ドーンの1人目の弟ガスと2人目の弟グレゴリーの墓もあった。
エディスはイーディが墓を建てる事で過去に寄り添おうとし、反対にドーンは前へ進もうとしていたと感慨を抱く。イーディもドーンも両方兄弟を亡くし、自分の子供たちが同じ運命を辿らないか怯えていた。エディスは今になって母親に聞きたい事が沢山あると述懐し、エディスが屋敷に戻ってくる事を母親が待ち望んでいたような気さえしてくる。
エディスは現在妊娠22週目だった。エディスが屋敷に帰ってきたのは、一族の身に起きた出来事を知り、やがて生まれてくる我が子にそれを伝える為だった。
庭の梯子を上ってコテージへ行ったエディスは、そこからさらにキャットウォークを伝い、再び窓から屋敷内へと戻る。エディスが新たに足を踏み入れたのはドーンの父にしてイーディの息子、サムの部屋だった。
サムの部屋には彼が狩猟で獲得したトロフィーや表彰状が沢山掲げられていた。壁や棚には動物の剥製が飾られ、床には熊の毛皮が敷かれている。サムは薄命な一族の歴史に逆らうかの如く危険に挑む、勇敢な人物だった。

サムの机の祭壇には、彼の写真やキャンドルが手向けられていた。

サムの机には封筒がおかれてる。エディスが開封すると、中から数枚の写真が出てくる。そこには死亡日のサムの身に起きた出来事が記録されていた。

操作キャラクター・サム

サムは幼いドーンを連れ、オーディン・フィンチ国立公園に狩りに来ていた。この公園はオルカス島に最初に上陸したオーディンの名前が付けられており、広大な森林に野生の鹿やウサギが生息する、絶好の狩猟スポットだった。
今週末は忘れ難い体験になると浮かれるサムとは対照的に、車の中で本を読むドーンは気が重そうだ。ドーンはまだ生き物を撃った経験がなく、上手く狩りができるか不安だった。
そんな娘の気も知らずはしゃぐサムは、ムッツリしたドーンの写真を撮っていく。ドーンは自分も撮りたいとせがみ、サムから借りた古いカメラで森の景色や湖上の流木、囀る鳥を映す。コーヒーを飲み過ぎたサムが木の根元に小便する決定的瞬間をこっそり盗み撮りし、最初は狩りへの同行を渋っていたドーンも、次第に機嫌を良くしていく。
サムは切り株に地図を広げ、獲物が出る地点をマッピングしながらドーンにサバイバルの極意を伝授する。サムは「大事なのはずっと一緒にはいられないってことだ、生き延びたいなら肝に銘じておかねばならん」とドーンに教え諭し、ドーンは「私は大丈夫よ父さん」と明るく答える。
サムはカルビンと一緒に行った最初の狩りや、スヴェンが釣りや火熾しを教えてくれた思い出話をする。その時、サムとドーンがいるのとは反対方向の崖の上に牡鹿が迷い出る。ドーンは絶好の射撃ポイントに移動し、傍らのサムの助言に従って、崖の上で草を食む牡鹿にライフルで狙い定める。ドーンはまだ引鉄を引くのを躊躇っていたが、「生き延びたいなら強くあらねばならん」とサムに後押しされ牡鹿を撃ち抜く。

カメラのタイマーをセットして記念撮影を試みるサム。

ドーンが初めて獲物を仕留めた事をスヴェンは喜び、カメラのタイマーをセットして崖の上に行く。死んだ牡鹿をドーンと挟んで記念撮影しようとしたのだ。生き物を殺してしまった罪悪感に啜り泣くドーンをよそに、サムは牡鹿の角を掴んでポーズをとる。しかし牡鹿はまだ死んでおらず、頭を大きく振りかぶってサムを崖から突き落とす。

操作キャラクター・エディス

最後の写真には牡鹿がサムを突き落とす、まさにその瞬間がとらえられていた。エディスは写真の束を封筒におさめてサムの部屋を出る。サムの死がきっかけで、残されたドーンとイーディの絆は強まったらしい。
次にエディスが訪れたのはガス、グレゴリー、ドーンが使っていた子供部屋だった。他2つのベッドはからっぽだったが、グレゴリーのベビーベッドは当時のまま、クジラのぬいぐるみやガラガラが残されている。枕元には医師の死亡診断書とサムがドーンたちの母親、ケイにあてた手紙が立てかけられていた。サムの手紙にはグレゴリーの身に起きた顛末が綴られており、エディスはそれに目を通す。

操作キャラクター・グレゴリー

グレゴリーはケイに風呂に入れてもらっていた。グレゴリーは風呂が大好きで、特にゴム製のカエルのおもちゃで遊ぶのがお気に入りだった。
グレゴリーの前ではカエルのおもちゃは生きてるみたいにぴょんぴょん跳びはねるのだが、ケイが見ている前ではちっとも動かない。ケイがグレゴリーを風呂から上がらせようとした時、電話のベルが鳴り響く。ケイは「ちょっと待っててね」とグレゴリーに言い置いて浴室を出る。電話の相手はサムで、仕事の途中にかけてきたらしい。「今は話したくないの」と夫に受け答えするケイをよそに、浴槽に1人残されたグレゴリーはお湯をはねちらかして遊ぶ。カエルやアヒルのおもちゃもひとりでに動き出し、グレゴリーは楽しそうな笑い声をあげる。カエルが一際高くジャンプし、浴槽の縁にのっかっていた洗剤の容器を蹴り落とす。
そこへケイが一旦戻ってきて、浴槽の栓を抜く。

グレゴリーはケイが電話で外した少しの間に浴槽で溺れ死んだ。

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