わたしを離さないで(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『わたしを離さないで』とは、日系イギリス人のカズオ・イシグロが2005年に発表した長編小説で、日本ではTBS系列で放送された脚本・森下佳子によるテレビドラマである。「臓器提供」を目的としてこの世に誕生した「クローン人間」の子供時代から始まり、成長とともに人生を受け入れ、全うしていく姿がドラマの中で主人公の恭子、友彦、美和の姿を映しながら描いていく。見どころは、作品の中では、現実の人物に近いキャラの恭子が自分の人生を振り返りながらすべてを受け入れ「生きる」ことに前向きになるという作品になっている。

龍子先生との再会で、サッカーの試合の最中、龍子先生に言われる「生まれてきてくれて、ありがとうございます」という言葉で友彦や恭子、美和たちが生まれてきた意味が確かにあったことを感じさせる言葉だった。

恭子「わたしを離さないで」

友彦が自分の「提供者」としての役割を素直に受け入れた時、恭子に言った言葉である。「隣に恭子がいてくれたら、もういいんじゃないかな。それだけで十分幸せなんだなって」「もうとっくに叶えたいだけ、叶ってたんだ」という。そして、恭子を抱きしめ「恭子、俺生まれてきてよかったよ」という友彦。「恭子がいてよかったよ」「会えてよかった」「こんな終わり方が出来てよかったよ」そういう友彦に恭子は「離さないで、私を離さないでよ」と言う。

のぞみが崎でのラストシーン

恭子は友彦を見送った後も自分には「提供通知」が来ていなかった。何人もの提供者を見届け、ひとりになった恭子が自分の最期を心に決め、思い出ののぞみが崎にやってくるシーン。友彦のそばに行こうと、はだしになって海にゆっくり向かっていくと、あの、友彦の形見のサッカーボールがどこからともなく恭子のもとへ流れて来た。恭子はそのボールを拾い上げ、抱きしめる。

『わたしを離さないで』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『わたしを離さないで』は原作者の作品のなかで最も日本的な作品

原作の『わたしを離さないで』は実在する世界ではなく、イギリスを舞台にしたパラレルワールドであるにもかかわらず、原作者であるカズオ・イシグロが語っていたのは、『わたしを離さないで』を発表した2015年までのイシグロの作品の中でもっとも「日本的」な小説だという。

イシグロにも流れている日本人としてのDNAと、これまでイシグロが触れてきた日本の映画、書籍などに自然と影響され、それが登場人物のふるまいなどにも表れているという。イシグロが最も影響されたのは、1950年代の日本映画、特に小津安二郎や成瀬巳喜男などの作品である。そして、イシグロ自身も子供のころに過ごした長崎での記憶が「日本の姿」や「記憶」として残り、作品にも反映されているのだ。

原作者が日本人のルーツを持ち、「日本の姿」や」「記憶」が作品に反映しているという点でも、この『わたしを離さないで』は、原作がイギリスを舞台にしている作品だということを忘れてしまいそうになる。

カズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro)は長崎県長崎市生まれ。5歳の時にイギリスへと渡り、イギリスで教育を受け、1982年にはイギリスに帰化している。
初期の作品『遠い山なみの光』(A Pale View of Hills)や『浮世の画家』(An Artist of the Floating World)などは日本と関連がある作品となっている。
3作目『日の名残り』(The Remains of the Day)ではイギリスの貴族の邸宅を舞台に主人公の執事スティーヴンスによる1人称の語りの手法が評価されイギリス文学界最高の文学賞ブッカー賞を受賞している。

出典: qetic.jp

原作に登場するクローンの中で、綾瀬はるかも演じることになるキャシーは現実の人物に近い

イギリスでイシグロに会いに行った綾瀬はるかが、原作に登場し、綾瀬はるかも演じることになるキャシーのキャラクターについてイシグロにどう思っているのか尋ねた。この作品には、クローンで作られた人物が何人も登場するが、その中でもキャシーは「現実の人物に近い」と話す。

作品のテーマは、死に直面したときに重要なものはなにかということである

「人生は短いということを書きたかった。すべての人は死を迎える。その短い人生の中で避けられない死に直面したときに何が重要なのか、そういうテーマについて書きたいと思った」

出典: www.cinemacafe.net

人の数だけ人生があるもので、『わたしを離さないで』の作品はただ、クローンや臓器提供の話ではない、誰もが生まれたときから持っているその人の人生、そして誰にも必ず訪れる「死」について、向き合うきっかけになる作品であろう。

イシグロは「人生は短い」というテーマで多くの人が、流されながら生きているかもしれないその瞬間をもっと大事に生きることの大切さを語っているのであろう。誰かを思うことで、誰かのために生きることで自分が幸せだと感じられた友彦のように、多くの人が人生でそんな風に感じられたら自分の生まれてきた意味があるはずである。恭子や友彦がそれぞれの人生を受け入れていく様を思い返してみると、もう一度見返したくなるような、読み返したくなるような作品である。

『わたしを離さないで』の主題歌・挿入歌

01. Into The Woods
02. FENCE
03. Curriculum
04. Sketch Book
05. Gift
06. DRAWING
07. Blissful Moment
08. Pure -The first-
09. WILL
10. わたしを離さないで -希望-
11. As A Human
12. DONOR
13. PULSE
14. BODY
15. LIVES
16. Pure -The eternal-
17. Memories
18. わたしを離さないで -運命-
19. Never Let Me Go

OP(オープニング):やまだ豊 『わたしを離さないで~運命』

ED(エンディング):やまだ豊 feat.Julia Shortreed 『Never Let Me Go』(第二話)

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