黒森町綺譚(Tales of the Black Forest)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『黒森町綺譚』とは中国のインディーズゲーム制作チーム・拾英工作室が開発したSteam配信のゲーム。ジャンルはホラー探索アドベンチャー。舞台は1998年日本。黒森町という田舎町に迷い込んだ幽霊や妖怪が見える女子高生・希原夏森が、様々な神や妖怪、あるいは都市伝説のバケモノとの触れ合いを通して自らの過去の空白へと迫っていく。ノスタルジックな趣に満ちた緻密なドット絵、美麗なビジュアル、ホラー演出よりもストーリー性を重視した泣ける物語が見所。

森の猫カフェで働く女性。とぼけた人柄の櫻子に代わって店を切り盛りするしっかり者で店の猫たちにも慕われていた。
その正体は毒ガステロ事件が起きた黒森町135列車の新人乗務員。真の父方の一族は代々車掌であり、彼女も亡き父に憧れて乗務員になったが、毒ガステロ事件の実行犯を身を挺して止めて死亡する。
しかし列車への未練と現世への執着が強すぎて成仏できず彷徨っていたところを櫻子に保護され、森の猫カフェの店員として働くことに。櫻子は真に第2の人生と仕事を与えて生まれ変わらせ、現世への未練を浄化する意図だった。
父が幼い頃に話してくれた『旅猫』の話が大好きで、最後は自らの過去を全て思い出し、再び列車に乗ってどこかへ旅立っていった。
すぐサボりたがるだらしない櫻子をたびたび叱る場面が見受けられたが、櫻子が自分の為を思って事件の記憶を忘れさせるコーヒーを飲ませてくれたと最後には理解を示しているあたり、2人の間には信頼があった模様。

安藤 恵(あんどう めぐみ)

黒森町劇場に出ると噂された口裂け女。常に大きなマスクと眼鏡をかけていた。きびきびとしてなんでも段取りよくこなす女性で豊神祭を取り仕切り、他の妖怪たちにも頼りにされていた。
その正体は元有名女優。芸能界を引退し、英誠が主宰する青い鳥劇団で暫く活動したあと再び銀幕への復帰を決意するが、ストーカーの襲撃にあってナイフで口を大きく裂かれる。傷が深すぎて整形手術ではどうにもならず、美貌を損なった恵のもとを友人やファンは1人残らず去って行った。挙句マスコミには口裂け女として面白おかしく叩かれ、失意のどん底に沈んだ恵は、真理天堂の信者だった英誠に洗脳され、毒ガステロ事件の実行犯に仕立て上げられる。
だが本人は罪のない一般人をテロに巻き込んだ過ちを激しく悔い、事件直後に自殺するも浮かばれず、完全に怨霊になりきる前に腕時計に魂の一部を移し、ばっくに己の幻を投影してもらっていた。
恵は夏森の念写でテロを食い止め過去を清算しようとするが、念写では人の死に干渉できない為、その目論見は泡と潰える。
なお青い鳥劇団への転身の本当の理由は、女優として限界を感じていた為。役者として旬を過ぎたのを自覚し、劇団の活動で巻き返しを図って銀幕への復帰を決めた直後ストーカーに襲われた。
黒森町劇場で妖怪の為の映画を上映するうちに、映画を観て喜ぶ彼らの笑顔に癒されていき、ファンを純粋に笑顔にしたかった初心を思い出す。
最後は自分の分身の怨霊から夏森を守り抜いて消滅した。

寺島 英誠(てらしま えいせい)

黒森町劇場の支配人で青い鳥劇団の主宰。
鹿鳴村出身で、元々は豊神教の信者だった。雪とは顔見知りで、多くの村人が彼女を敬し遠ざける中で、雪の優しさや美しさに心酔しその幸せを願っていた。
雪の死後は彼女を追い詰めた豊神教への反発から真理天堂へ寝返り、恵を実行犯に仕立て上げ、黒森町劇場から毒ガスを撒かせる。真理天堂の幹部から、裏切り者である松山正男の殺害を指示されていた。
夏森の父親・誠一の知人。

希原 綾子(きはら あやこ)

夏森の母親。夏森が8歳の時に交通事故で他界した。出身は札幌。
心から夫と娘を愛する天真爛漫で心優しい女性であり、電車内で知り合った雪と友情を結ぶ。見た目は10代の少女に見える雪と夏森を重ね合わせ、2人の幸せを祈っていたが、誠一が関与していた会社の工場建設計画が立ち消えになった事で夜逃げを余儀なくされる。
夜逃げしようと移動していた時に車の運転を誤ったのが死因。
死後の雪と幻影列車にて再会を果たし、雪にはまだやることがあるとして彼女を現世へ送り返す。

希原 誠一(きはら せいいち)

夏森の父親で綾子の夫。経済学の大学教授。
妻の死後めっきり無口になり、前にも増して仕事に傾倒して娘と疎遠になった。しかし夏森が退屈しないように次に読む本のリストを作成するなど、娘への愛情が消えたわけではない。
生真面目な現実主義者で、小学生の夏森に妖怪や幽霊が見えると相談された際は「そんなものはいない」と否定している。
バブル景気の全盛期、ある食品加工会社から投資分析の依頼を受けて黒森町へ出向する。以降はその会社が鹿鳴村へ食品加工工場を建設するため、村人への土地買収の交渉を任されていたが、バブル崩壊と同時に建設計画が頓挫する。
工場の建設に出資していた村人の多くが破産し、怒り狂って家に押しかけた事で身の危険を感じ、綾子と夏森を先に夜逃げさせる。
しかし綾子が逃げる途中で交通事故に遭って即死、辛うじて助かった夏森も重傷で記憶を失った為、バブルに踊らされて工場の建設計画を推し進めた自らの過ちを深く悔やむ。

杉原 広済(すぎはら こうさい)

真理天堂の創立者にして教祖。信者を洗脳して日本各地で毒ガステロ事件を起こした。元は社会学の学者で本も出している。信者の山田孝は彼に心酔していた。

山田 孝(やまだ たかし)

1995年に黒森町135列車で毒ガステロ事件を起こした主犯。真理天堂の信者で傲慢な男。列車内では女子高生の清子と一緒に行動し、毒ガスの散布に迷う彼女を厳しく叱責する。妻と同僚の不倫がきっかけで離婚し、挙句会社までクビになった鬱屈から真理天堂に帰依した。教祖の杉原を熱烈に信仰し、毒ガステロ事件で愚かな大衆を浄化すれば幸福の門が開くと信じていた。趣味は登山。

西村 清子(にしむら せいこ)

1995年に黒森町135列車で毒ガステロ事件を起こした主犯の片割れ。真理天堂の信者だが入信してまだ日が浅い新米。
バブル崩壊による両親の失業と自身の落第がきっかけで真理天堂に帰依し、山田と共に毒ガステロを命じられる。自己主張に乏しく引っ込み思案な少女で、多くの犠牲者を出すテロに乗り気ではなかったが山田に押し切られて犯行に及ぶ。自身が撒いた毒ガスによって苦しみながら死亡するも、事件当時は未成年の女子高生だったので、氏名は公表されなかった。

松山 正男(まつやま まさお)

元真理天堂の信者で鹿鳴村の村人。生前は鹿鳴駅に勤める車掌であり、山田と清子に車掌室への鍵束を渡すなど2人を手引きした。当時の鹿鳴村では豊神教が主流であり、真理天堂信者の松山は肩身が狭い思いをしていた。そこへ黒森町135列車の毒ガステロ事件が起き、自分が関与した事件の重大さと真理天堂の危険性を改めて思い知らされ、自身の身柄の安全と引き換えに信者の名簿を警察署に持ち込もうとする。しかし教祖の指示を受けた英誠によって、鹿鳴村の村人の仕業に見せかけ殺害される。
誠一の会社が持ちかけた工場建設計画を支持していたが、バブル崩壊でその計画が白紙になった為、周囲の村人からも恨みを買っていた。妻は駄菓子屋を経営している。

スイカ畑の案山子

松山の妻が営む駄菓子屋の隣のスイカ畑を見守る案山子。人に悪戯を働くのが大好きで、通りがかりの人間にスイカ絡みの謎かけをしては、「一番大きなスイカをとってこい」とふっかけて畑から人骨を掘り出させるドッキリを仕掛けていた。

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