劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-（SAO OS）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

本作の公開前日、インタビュアーから取材を受けた監督・伊藤智彦は、本作の製作にまつわる以下の4つのエピソードをインタビュアーに語っている。

『ポケモンGO』の流行が「ARはウケる」という確信に繋がった

伊藤監督は、川原礫がオリジナルで手がけた本作のストーリー原案を見て、スタッフたちと共に「VR主流の時代にARで行くのはどうなのか？」と、疑問を感じた。しかし当時、AR対応のゲームアプリ『ポケモンGO』が流行していることから、伊藤監督とスタッフたちは「ARでもいけそうな気がする」という確信を持てるようになった。それからは伊藤監督らは本作の製作に積極的な姿勢になっていくと共に「さすがは川原礫」と揃って思うようになったという。

切り替えシーン作りのために実際の街をロケハンで1日中回った

本作でのバトルシーンについて、「現実の世界がARによる仮想の世界が切り替わっていくシーンも斬新だった」感想を述べたインタビュアーは、その切り替えシーンで実際の街でロケハンも行ったのかと伊藤監督に訊ねた。これに伊藤監督は頷き、アクションパートの作画スタッフと美術設定のスタッフと一緒に、新宿や渋谷の街を1日中回ったこともあると語った。そして伊藤監督は、実際にある建物が、ARでの建物に見えるようになることはなんとなくルールとして作ったとも言い、その具体例として階段があったら何かしらの階段的なオブジェクトを設置したと述べている。

神田沙也加の経験から「ミュージカル系」で揃えられた新キャスト

本作の新キャラクターのユナのキャストの選定について伊藤監督は、ユナが歌って踊れるVRアイドルという設定であることから、スタッフとの打ち合わせで「歌える人は誰にしよう？」という話が早い段階から出ていたとインタビュアーに言った。そして、伊藤監督とスタッフたちはその時から神田沙也加の名前を出していた。神田沙也加は実際にミュージカルの経験もあるため、迷うことなくユナ役のキャストとして彼女が決定されてから、伊藤監督とスタッフたちは「他のキャストもミュージカル系で揃えよう」という流れに話をまとめていった。そこでエイジ役と重村教授役に、神田と同じくミュージカル経験者である井上芳雄と鹿賀丈史がそれぞれキャスティングされることになったという。

5周年を迎えたSAOの今後への伊藤監督の思い

取材の最後にインタビュアーから、5周年を迎えるSAOの今後の展開について何か考えているかと質問された伊藤監督は、それについては自分もわからないと答えた。しかし、取材に同席していたスタッフが「“海外のイベントで原作があれば全部やりますよ”と言ったことがあるので、やるかもしれませんね」と言うと、伊藤監督も調子に合わせるように「じゃあ俺も、原作が続く限りはやります」と答えた。その伊藤監督の言葉を聞いたスタッフが、まだ何も決まってないがやらない理由はないとインタビュアーに言うと、インタビュアーは最後に伊藤監督にこのような質問をした。

ちなみにこの「SAO事件全記録」は本作はもちろん、原作とTVアニメの両方にも登場した本で、SAOのゲーム内で起こった事件の全てが記録されている。そして、伊藤監督がインタビュアーに答えた通り、本作と原作の両方においても著者は誰なのかは未だわかっていない。

オーグマーの解説者はTVアニメ第1期のネカマキャラだった

本作冒頭のシーンにおいてテレビの情報番組があり、その番組に登場する男性の解説者がオーグマーについて解説している。この解説者の男性は、実はTVアニメ版の第1期「アインクラッド」の第1話目に登場したネカマコンビの片割れであり、さらに本作最後のユナのスタジアムライブでもう片方のネカマと一緒に登場していたりする。

アスナがキリトに渡したプレゼントはバイク用のグローブ

アスナがキリトと流星群を見に行く約束をするシーンにて、アスナは指輪と共にキリトにプレゼントと思しき綺麗なラッピングが施された小さな包みを贈っているが、結局最後までその包みの中身が何なのかは断定されたシーンはなかった。しかし、本作の公開第8週目の来場者特典として無料配布される『SAO劇場版"裏"記録全集』によると、実はこのプレゼントの中身はバイク用のグローブ（ブラック×ホワイト）だという。

さらにTVアニメ版ではキリトはバイクに乗る時にグローブをつけているが、本作ではグローブをつけていなく、伊藤監督によるとこの描写はアスナがグローブをプレゼントするための設定だという。

ユナの歌がプレイヤーたちにもたらすバフ効果

オーディナル・スケール内でのバトルで、ユナが登場して戦闘中のプレイヤーたちに応援歌を送るシーンがあり、このユナの応援歌にはプレイヤー全員の能力を上げる支援効果、いわゆる「バフ」がかかる。そしてこのバフは、攻撃力と防御力、最大HPアップが主な効果となっている。また、ユナがこの応援歌を歌うごとに付与されるバフのアイコンも違っていたりする。

ユナの横にいるマスコットキャラ「アインちゃん」

ユナが登場する際、白く丸い形のマスコットキャラクターも一緒になって登場する。ちなみにこのキャラについて、スタッフたちの間で「おまんじゅう」「ブタまん」などさまざまな仮の名前が出されたが、その中から正式に決まった名前が「アインちゃん」となる。そして、アインちゃんの「アイン」は、「アインクラッド」の頭文字を取ったものであり、さらにモデルは本作のラストボス「アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス」のデフォルメ版だという設定がある。

白いユナの登場シーンに出てくるモンシロチョウ

白いユナこと悠那の再現体が登場するシーンでは、モンシロチョウがよく飛んでいる演出がある。伊藤監督は、この演出、仮想と現実の違いが曖昧であることを示すために使ったものだ語っている。また、伊藤監督によると、この演出は「儚い」の象徴でもあるという。

本作最後の敵「アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス」はアインクラッドの正規のラスボスだった

本作のラストボスに相当するアインクラッド100層のフロアボス「アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス」は、茅場ががかつて所属していた大手ゲームメーカー・アーガスによってSAOと共に正規に開発されていたボスキャラという設定がある。しかし、茅場が事件を起こしてゲームマスターとしてSAOを乗っ取り、さらにその事件の中でキリトが100層に到達する前に茅場に決闘を挑み、辛勝してゲームクリアしたことで戦わずしてお蔵入りになってしまった。

そして、本作のラストでこのアン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウスは、アインクラッドの最後の敵に恥じない圧倒的なパワーでキリトを苦しめ、絶体絶命の危機に追いやったが、最後はアスナら仲間たちの協力を得て息を吹き返したキリトによって見事打ち倒された。その時キリトは、この敵から戦利品として1本の剣を入手しているが、この剣については原作者の川原礫も名前を決めていなく、名前は最後まで明らかにされることはなかった。

『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の主題歌・挿入歌