シャッター アイランド（Shutter Island）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ジョン・コーリー医師（演：ベン・キングズレー）

精神病患者の人間性を無視し、単なる社会的な問題と捉えその問題解決という事だけを考えた、従来のロボトミー治療に反対する医師。

精神病患者も人間であるがゆえに、その人権を尊重し、妄想を生きる患者に少しずつヒントを与えていくことで、狂気を治療しようという試みをしている。直らなかったとしても、患者が平和に生きていく環境を作るべきだという自分の主張を通すために、リーディスを実験台にしている。

基本的には治療方法を試す科学者である。現実にない捜査に協力している事情から、裏に何か隠しているように見える。
その裏のありそうな雰囲気を、超ベテラン俳優、ベン・キングズレーはとてもうまく演じている。

ドローレス・シャナル（演：ミシェル・ウィリアムズ）

アンドリュー・リーディスに殺害されたダニエルズの妻。ダニエルズが病院を捜査しているうちに、何度か幻影として現れる。

愛する妻の幻影なのにもかかわらず、なぜか捜査を妨害するような方向にもっていこうとするのは、やはり、本当のことを思い出したくないダニエルズの潜在意識の表れと思われる。

実は、以前からノイローゼを病み、家の火事を起こしてしまったうえ、引っ越した後でリーディスとの子供を3人とも殺害してしまい、リーディスに委託自殺を頼んで死んだのである。

レイチェル・ソランド/看護婦（演：エミリー・モーティマー）

レイチェル・ソランドはアッシュクリフ精神病院の患者で、自分の三人の子供たちを殺害したが、自分のしたことに耐えられないのか、子供たちはまだ生きていると思っている。

彼女の失踪を捜査しにダニエルズはシャッターアイランドに来たのだが、実はレイチェルは存在せず、看護婦の一人だった。

ジェレミア・ナーリング医師（演：マックス・フォン・シドー）

アッシュクリフ精神病院の医師。

ドイツ人で、ダニエルズの捜査に協力するよりも、かえってダニエルズを尋問したり、「あなたは、暴力的な人だ。あなたのような人こそ、私の専門です。」などとダニエルズを皮肉に分析したりする。
こういった、ダニエルズを捜査官として見ていないと思わせるようなセリフや、シーハン医師の個人情報を教えるのを拒んだりするところがラストへの伏線になっている。つまりはダニエルズを患者とみなしているので、分析し、またシーハン医師はチャックとしてそこにいるので、個人情報などは渡せないのである。

傲慢な態度のナーリングをダニエルズはナチスの残党と思い込む。

ジョージ・ノイス（演：ジャッキー・アール・ヘイリー）

アッシュクリフ精神病院の患者。

ダニエルズはチャックに以前、アッシュクリフ精神病院に入院していて、退院した後でまた犯罪を犯し、刑務所にいたところをまたアッシュクリフ精神病院に戻った患者を知っているという。それがジョージ・ノイスなのだが、ダニエルズがノイスと話し、マインドコントロール実験の証拠をつかめないように出入り禁止のC病棟に移されたのではないかとダニエルズは疑っている。

でも実際にあってみると、ノイスはマインドコントロールのことは何も話さず、ここで行われていることはすべてダニエルズとリーディスに関係していて、すべてダニエルズを中心に繰り広げられているゲームなのだと不思議なことを言う。

実は、ノイスが体に傷を負っているのは、ダニエルズにリーディスと本名で呼びかけてしまったので、リーディスが暴力をふるったのである。

レイチェル・ソランド医師（演：パトリシア・クラークソン）

本当のレイチェル・ソランドだと名乗る女性。
もとはアッシュクリフ精神病院に勤める医師であったのが、病院で行われるマインドコントロールの実験に反対したがために、狂っているという偽の診断をされ、患者になった。

病院は逃げ出したが、島から脱出する手段がないため、隠れ暮らしている。

実はリーディスの想像の産物である。

アンドリュー・リーディス（演：イライアス・コティーズ）

ダニエルズの夢の中に出てくる、妻の殺害犯人。

リーディスはダニエルズに、「嵐がやってきているが、これこそ俺たちが必要なものだな」と不思議な言葉を話しかけるが、その後、リーディスは消え、同僚のチャックに変わってしまう。

ブリジット・カーンズ（演：ロビン・バートレット）

アッシュクリフ精神病院の患者の一人。一見普通そうに見えるが、夫を斧で殺害した。
チャックが席を立った隙に、ダニエルズのメモ帳に「逃げろ」と書く。

のどが渇いたと言って水をチャックにもってきてくれるよう頼むのだが、飲むときに水の入ったコップが消えている。なぜ、消えたのか？
誰もその事実に気づかないようにふるまう。

実はこれもラストに向かう伏線である。
監督は明らかな説明はしていないが、多くの視聴者の意見によると、ダニエルズ（リーディス）の子供は溺死したことによって、リーディスにとって水は恐怖の対象で、ダニエルズはコップの中の水でも見ることを拒否しているのだ。

あるいは、こうも考えられる。

チャックがわざわざ席を外すように、コップの水の場面は単なるお芝居で、拳銃がおもちゃであったように、コップも実は存在していなかったのかもしれない。