クレイマー、クレイマー(Kramer vs. Kramer)のネタバレ解説・考察まとめ

『クレイマー、クレイマー』とは、1979年に公開されたアメリカ映画。突然訪れた離婚をきっかけに、父親が息子との関係を見直すヒューマンドラマ。ホームドラマの名作とも言われており、その中でも父と子に焦点を当て、幼い子供を一人で育てる事や仕事の両立がいかに難しいかも表現され、現代に通じる内容になっている。また、当時アメリカで問題視されていた離婚や養育権の社会問題を描いた事で高く評価された。
内容だけではなく子役を含むキャスト全員の演技が高い評価を受けた作品でもある。

離婚をきっかけにテッドは自分や子供と向き合い、より良い関係を築こうと努力してきた。そんなテッドのことを裁判を通して見てきたジョアンナはビリーとテッドの関係性を壊す事ができないと感じ、親権をテッドに譲る決断をした。ジョアンナもビリーを愛していたからこそ、自分の気持ちよりもビリーの生活を考えての苦渋の決断をしたのだ。

マーガレットの物語

テッドとジョアンナの友人であるマーガレット。マーガレットにも離婚歴があり、1人で家事と育児をこなしていたジョアンナに同情していた。家を離れて自立するべきだとジョアンナに勧めた張本人でもあった。
ジョアンナが家を出ていき、テッドが家事と育児をするようになってからは立場が似てきたので、テッドに対して一種の友情を感じていた。

ある休日、テッドはビリーを連れて近くの公園に出かけ、遊具でビリーを遊ばせているときにマーガレットと語り合った。それは、今でも元旦那の事を愛しているかどうかという事だった。浮気をされたマーガレットだが、彼を嫌いになったわけではなく裏切った彼を許せなかったのだと告白する。初めて、まだ元旦那を愛している事に気付き泣き出してしまうマーガレットだった。

その後、自分の気持ちと向き合い、元旦那とよりを戻すことに決めたのだ。

『クレイマー、クレイマー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

挿入歌と親子の関係性

心地よいサウンドで、映画を更に良くしている魅力的な劇中歌。映画の冒頭のシーンの中でも、ギターとマンドリン奏者が路上で演奏している。この映画といえば『マンドリン協奏曲 ハ長調 RV425 第1楽章アレグロ』という、視聴者の印象にとても残るサウンドになっている。
挿入歌である『マンドリン協奏曲 ハ長調 RV425 第1楽章アレグロ』はギターとマンドリンが使用されている。同じ弦楽器だが違いがあり、子供の甲高い声がマンドリンの音色、親の声はギターが奏で、まるで親子が奏でているようなサウンドになっている。協力して一つのサウンドとして綺麗な音色を奏でている事から、これが映画のテッドとビリーの関係のようになっている。

ダスティン・ホフマンも実際に離婚調停中

今作を撮る時期、ダスティン・ホフマン自身も実際に離婚調停中であった。そういった状況を上手く使い、彼自身が脚本に筆を入れ、アドリブをかなり入れて演技にリアルさを出したと言われている。例えば、ジョアンナがビリーを引き取りたいとレストランでテッドに伝えた時も、ジョアンナの自分勝手な頼みに怒り、台本には無かったが立ち去り際にテーブル上のワイングラスを壁に叩き付けて割ってしまうシーン等がある。
息子に見せる愛情や周囲の人間に対する思いやりを上手く表現しているため、彼の演技に引き寄せられてしまうのである。

原作とのいくつかの相違点

エイヴリー・コーマンの小説『クレイマー、クレイマー』を基に作られた映画だが、いくつか原作と異なる内容がある。それは、映画ではテッドが一人で家事を全て行っているが、小説では面倒見の良い家政婦がビリーの面倒を日中見ている。
ラストも原作と異なっており、映画ではジョアンナが久しぶりに3人で住んでいたアパートにやって来て、ビリーの為にも連れて行くべきではないと感じ、1人で最後にビリーに会ってさよならを言いたいとテッドに伝え、1人でビリーの元に向かうシーンで終わる。原作では、ジョアンナがテッドに電話を掛け、泣きながら「ビリーは引き取らないわ。その代わり、時々会っても良いかしら?破綻の原因は私にあるのよ」と伝えて終わっており、若干異なっている。

『クレイマー、クレイマー』の主題歌・挿入歌

挿入歌:Antonio Vivaldi『マンドリン協奏曲 ハ長調 RV425 第1楽章アレグロ』

『クレイマー、クレイマー』の劇場予告動画

3人で幸せそうに移っている写真と比較するかのように、妻の家出、慣れない初めての料理、父と子だけの休日、親権裁判等のシーンが流れる。
幸せそうだった写真の頃からは想像もつかない事態になっていく。

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