零〜濡鴉ノ巫女〜(Fatal Frame V)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『零~濡鴉ノ巫女~』は任天堂発売の和風ホラーゲーム『零』シリーズの第6作目(通算9作目)である。キャッチコピーは「死の山、幽婚、神隠し すべては水でつながっている。」。不来方夕莉、雛咲深羽、放生蓮の3名が操作キャラクター。日上山という水をご神体として崇める霊山が舞台。夕莉は消えた恩人や依頼人を、深紅は母を、蓮は死者を写した弔写真を追い、それぞれの事情から怨霊が徘徊する日上山へ踏み込んで怨霊との戦闘や探索をくり広げる。映画さながらの美麗グラフィックと陰鬱な雰囲気がファンを集めている。

夜泉濡(よみぬれ)

「夜泉」と呼ばれる黒い水に濡れること。夜泉に濡れた者は次第に身体が夜泉に侵蝕され幽世の存在になる。即ち生きたまま死者となり、やがて亡者となりはてる。夜泉濡れた身体は清めの火と呼ばれる特殊な炎で乾かすことでしか回復せず、その種火を絶やさず守る場所が日上山にあった。夜泉濡れて亡者となると生者を幽世に引きずり込む怨霊となり、その目や口からは夜泉が黒い涙のように溢れ出す。

夜泉(よみ)

日上山の古い言い伝えに登場する黒い水。御澄の対義語で夜泉は死、幽世をさすとして畏怖された。日上山ではこの夜泉が溢れ出すことを防ぐために巫女たちが人柱として封じられた。

黒キ澤(くろきさわ)

日上山の頂上、彼岸湖のさらに先、水上ノ宮が封じていた夜泉の源泉。幽世へと通じ、永遠に落ちない夕陽・禍津陽が輝き続ける。

寄香(よすが)

影見を行う際に捜索対象の手がかりとして用いる、その人の思念が残った物のこと。影見は寄香に焼き付いた思念を辿ることで残影を見ることができる。その人物の普段使いの所持品や手紙や日記、姿を写した写真が該当する。

影見(かげみ)

人や物に触れる事でその思念や過去を読み取る霊媒能力者。本作では密花や夕莉、深羽が該当する。サイコメトリー能力に近い。

残影(ざんえい)

影見を行った際に見える白く光る人影。この軌跡を辿って失踪者を捜す。

幼巫女(おさなみこ)

数え年で七歳までの少女を巫女とする日上山周辺の陽炎山の風習。当時はまだ乳幼児の死亡率が高く、子供は現世と幽世の境界で魂が不安定とされた。本作では白菊が該当する。

幽婚(ゆうこん)

死後婚、あるいは冥婚とも呼ばれる。若くして他界するなど生前に伴侶を得られなかった者に死後に伴侶を添え冥福を祈る儀式。絵馬に婚礼の光景を描き奉納する、人形や写真を相手に見立て婚礼を挙げるなど地方により差異がある。日上山では永久花として柩籠の中で孤独に苦しむ巫女を鎮める為、山外のマレビトを招き入れ幽婚を行ってきた。巫女に拒まれる、または拒んでしまった男は渡会や榊のように怨霊化する。

マレビト

本作では山外の人物、特に濡鴉ノ巫女の幽婚の伴侶として招かれた男性を指す。

弔写真(とむらいしゃしん)

死後写真、没後写真とも呼ばれカメラの黎明期に西洋で流行った風習。死体が腐る前に着飾らせ化粧を施した姿を写す事で、故人の美しい姿を残した。
射影機の試作品を製作していた麻生邦彦はこれの撮影にのめりこんで各地を探訪し、日上山を訪れた際に逢世を撮った。

永久花(とこしえばな)

黒キ澤に沈められる巫女、即ち人柱。黒い匪、柩籠に入り沈められた巫女は夜泉に浸ることで死に近付いて身体が夜泉に融けていくが、巫女が意識を保ち続ける間は原形を留め続ける。その間巫女は年をとらず、永遠に生と死の狭間をたゆたうとされた。永久花とは夜泉の中で永久に咲き続ける花のように美しく在り続ける願いをこめた名前。

濡鴉ノ巫女(ぬれがらすのみこ)

日上山に入った者を死へと誘う役割だった巫女が、ある老人に惨殺され怨霊化した姿。彼女たちは今も己の役目を全うし続け、故に怨霊の目を見ると死に引き込まれる。日上山信仰においては水に濡れる事でさらに力が強まるとされた為、全身濡れそぼった姿でおり、その事から濡鴉ノ巫女と名付けられた。老人の殺戮を免れた一部の巫女は里を下り、影見の力を広めたらしい。その子孫が密花や夕莉、深羽と思われる。

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