機甲猟兵メロウリンク(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『機甲猟兵メロウリンク』とは1989年にサンライズで制作されたOVA作品。全12話。
同社の人気作『装甲騎兵ボトムズ』シリーズ初となる、別主人公の外伝作品として制作された。
二つの陣営に分かれた百年戦争が続くアストラギウス銀河を舞台に軍の謀略に伴う作戦で仲間を謀殺された機甲猟兵メロウリンクによる復讐劇。シリーズ構成に高橋良輔、キャラクターデザイン・作画監督に谷口守泰、音楽に乾祐樹と、同シリーズでおなじみのスタッフに加え、監督に『機甲戦記ドラグナー』等を手掛けた神田武幸を迎えている。

『機甲猟兵メロウリンク』の概要

『機甲猟兵メロウリンク』とは、サンライズ制作のOVA作品である。
同社制作の人気シリーズ『装甲騎兵ボトムズ』の外伝作品として、1988年からVapよりビデオが全6巻、小説版が一巻が展開された。
『ボトムズ』シリーズの外伝作品としては、初めて、本編の主人公であるキリコ・キュービィーと別の主人公を迎え、世界観こそ共通しつつも、様式美的な演出や、前半は1話完結、後半は連続もののスタイルを取り入れた作劇など、作風において本編と差別化が図られた。

作品のスタッフには、『ボトムズ』シリーズの生みの親である高橋良輔が原作・シリーズ構成を務め、キャラクターデザインに『ボトムズ』のTVシリーズの数話で作画監督を務めた谷口守泰。音楽には、本編シリーズに引き続き乾祐樹が起用されるなど、『ボトムズ』シリーズのオリジナルスタッフが数名名を連ねる中、監督は新たに『機甲戦記ドラグナー』『銀河漂流バイファム』で知られる神田武幸が起用されている。

メインシリーズである『装甲騎兵ボトムズ』と同じ、ギルガメス軍とバララントの2つの陣営による百年戦争が終わったアストラギウス銀河を舞台に、軍の謀略によって仲間を殺されたメロウリンクの復讐を描いた物語である。

本作の大きな特徴は、ロボットアニメ作品である『ボトムズ』を基にしながらも、主人公のメロウリンクは、本シリーズのロボットにあたるAT(アーマードトルーパー)に乗らず、相手が搭乗するATに生身かつ対ATライフルのみで立ち向かうという、圧倒的不利な状況から勝利を掴んでいく斬新なバトルの構図が印象的である。

『機甲猟兵メロウリンク』のあらすじ・ストーリー

プランバンドール・スキャンダルの犠牲 メロウリンクの復讐が始まる

アストラギウス銀河では、ギルガメスとバララントという二つの勢力による、百年戦争の末期。当時の最前線であった惑星ミヨイテで、ギルガメス軍プランバンドール機甲大隊による軍事物資強奪事件「プランバンドール・スキャンダル」が発生する。

これによる撤退作戦において、同大隊所属のシュエップス小隊は撤退の囮となる機甲猟兵として出撃。これは、バララント軍のAT部隊に対し、生身に銃一丁のみの装備で対抗すると言うあまりに無謀なものであった。
結果、小隊は隊員1名を残して全滅。生き残った、メロウリンク・アリティー伍長は、首謀者となった機甲大隊の将校達に、無実の罪で軍法会議にかけられる。

これに怒りを燃やしたメロウリンクは仲間達の仇を討つべく、機甲猟兵として将校達への復讐の旅を始めるのであった。

メロウリンクの戦い

そして、2か月後。仇の一人であるドックマン大佐の指揮するザキ基地へ単身で赴き、強襲をかけたのを皮切りに、メロウリンクの復讐は開始された。

部隊の仇である将校たちの殆どはATを駆り、またその実力も高い為、生身のメロウリンクは常に不利な戦いを強いられてきたが、柔軟な準備を重ね、地の利を活かしたトラップや戦術で相手の隙を作り、最後はATライフル下部にセットしたパイルバンカーでその身を貫き、次々とターゲット達を撃退していく。

彼を取り巻く人間関係

メロウリングは復讐の最初の標的であるドックマンのいるザキ基地にて、流離のカードディーラーであるルルシー・ラモンと、メルキア軍の情報将校キーク・キャラダイン中尉と出会う。
2人に追っ手から匿われて以降、旅の先々で彼らと顔を合わせることが多くなる。
メロウは時折彼らの協力を得ながら、ターゲットとの激闘を繰り広げていった。

旅の果て プランバンドール・スキャンダルの真実

いよいよメロウリンクの復讐の牙はプランバンドール・スキャンダルの首謀者とされる、ヘルメシオン准将にまで迫る。

しかし、彼もギルガメス軍にてパーフェクト・ソルジャーの開発を担っていたバッテンタイン中将の駒にすぎず、さらにメロウリンクの旅路を見守ってきた1人、情報将校のキーク中尉はそのバッテンタインの命を受け、メロウリンク本人も含め、スキャンダルの関係者の暗殺を狙っていたのだ。

キークとの最後の戦いの中、自分を守って死んだ小隊長のシュエップスが、直談判に行った際、命令に従えば昇級を約束され、苦渋ながらもそれに従ったことが知らされ、困惑しながらも、遂にキークを倒し、全ての戦いを終えたメロウリンク。

「出世の為なら、人の命も犠牲にする」軍人たちの野心に失望した彼は、新たに始まった戦争という波に飲まれず、強く生きていくことを誓い、ATライフルを捨ててルルシーと共に戦場を後にした。

『機甲猟兵メロウリンク』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

メロウリンク・アリティー

CV;松本保典

ギルガメス軍プランバンドール機甲大隊所属シュエップス小隊の伍長。17歳。

元々は、惑星ミヨイテの前線で戦うAT乗りだったが、プランバンドール・スキャンダルに伴う、ギルガメス軍の撤退作戦において、隊長のシュエップスが、作戦への異議申し立てを行ったため、ATを取り上げられ、対ATライフルのみを武器とする、機甲猟兵にされてしまう。
結果、撤退する軍の囮になる形で、自身の部隊が全滅してしまい、かろうじて生き延びたが、その後、スキャンダルに関与した将校らによって、無実の罪で軍法会議にかけられてしまう。
これ以来、プランバンドール・スキャンダルに関わった将官たちへの復讐の旅に出る。

性格は、基本的に無口で不愛想だが、敵を前にして激高したり、その部下等に対して戦う意思はないことを伝えたりなど、『ボトムズ』本編のキリコに比べると、比較的表情が豊かである。また、初めてルルシーに会った時や女性に囲まれたときに、照れてたじろいでしまう場面があったりと、年相応な一面も垣間見える。

主な戦闘スタイルは、機甲猟兵として、射撃などでATを陽動し、戦闘区域にあらかじめ仕組んだトラップを駆使して、相手を撹乱、動きを封じる。隙が出来たところを、最後にライフルの銃口下部に接続されている、パイルバンカーでコックピット越しから相手を貫く。
だが、場合によって、人物に直接、パイルバンカーを打ち込む場合や、引火したATのコックピットに穴をあけて、中の敵を蒸し焼きにするなど、とどめの刺し方も、多様である。

キーク・キャラダイン

CV:大塚明夫

メルキア方面軍の情報将校。階級は中尉。プランバンドール・スキャンダルの真相を暴くべく、それに関与した将校たちを追っている。
金の短髪で大柄、首に巻いている青のスカーフと、たばこを加えた姿が印象的な人物。

メロウリンクとは行く先々で鉢合わせすることが多く、彼の事情を知り、その旅路を見守っている、本作の語り部的な存在。
同じ敵の標的になったときはメロウリンクと共同戦線を張ることもあった。

だが、その正体はプランバンドール・スキャンダル真の黒幕である、バッテンタイン中将の命を受け、メロウリンク同様、プランバンドール・スキャンダルに関与した将校たちの暗殺することで事件の隠蔽するべく送られた刺客であった。

ルルシー・ラモン (フルレル・C・ヘルメシオン)

CV:玉川紗乙子(現 砂記子)
自身の受け持つキャラバンで各地を回りながら、慰問会の花形や凄腕のカードディーラーとして、たびたびメロウリンクの元に現れる女性。
謎めいた色気を醸し出しながらも、チャーミングな明るい性格をしており、本作のキャラクターの中でも特に表情が豊かである。

メロウリンクの事を「坊や」と呼び、可愛い年下として可愛がっており、追手から匿うほか、彼のターゲットとコンタクトを取ったりなど、度々彼の行動に協力してくれる。

彼女の本名はフルレル・C・ヘルメシオンといい、貴族出身の令嬢だったが、父母の死に乗じた叔父であるヘルメシオン准将の策略によって、財産を奪われていた。
その復讐を目論み、敵を同じくするメロウリンクとともにヘルメシオンと戦う。
出世欲に駆られた軍人達の性を激しく非難した際、一度はメロウリンクから離れるが、最後はキークとの決戦を終えた彼を出迎え、共に戦場を後にした。

プランバンドール・スキャンダルに関与した将校達

ドッグマン大尉

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