はたらく細胞(特別編『風邪症候群』)のあらすじと感想・考察まとめ

風邪が流行り出す季節が訪れた。ウイルスに狙われやすい咽頭付近に住居をかまえる細胞の一人が、細胞分裂という自分の仕事の単調さに不満を持っていた。何か面白いことはないかと考えていたある日、一人の青い細胞と出会う。細胞は青い細胞と一緒に、キラーT細胞やマクロファージなどにイタズラをして楽しむ。友達のいなかった細胞は、これからも仲良くしようと青い細胞に話す。しかしその青い細胞の正体は、とんでもないものだった。
今回は「はたらく細胞」特別編『風邪症候群』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「はたらく細胞」特別編『風邪症候群』のあらすじ・ストーリー

水槽の中を漂うコピー(左)とコピー元の細胞(右)

連発されたくしゃみの残骸が、体内に降り注ぐ。
キラーT細胞「いいかテメエら、そろそろ風邪が流行り出す季節だ!この辺り咽頭付近は、ウイルス共に特に狙われやすい!感染した細胞を見付けたら、命令がくだされ次第、確実にぶっ殺せ!」
風邪は、医学的には「風邪症候群」と呼ばれる呼吸器系の炎症性の症状、またその状態表す総称で、「感冒」「急性上気道炎」とも呼ばれる。炎症により、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱といった症状が起こる。
家の隣の空き地で訓練するキラーT細胞達を眺めていた一般細胞は、ピシャリと窓を閉めた。
細胞「あーもう、うるせえな、毎日毎日!ちぇっ、俺達細胞のこと、ぶっ殺すとか言ってら。ちょっと変わった仕事してるからってさあ、調子にのっちゃってさあ。あいつら免疫系に比べて、俺らただの細胞の仕事って……」
部屋の中央にある分裂装置のスイッチを細胞が押すと、装置から細胞周期の状態が記録された紙テープが出力された。
細胞周期チェックポイントだ。細胞周期が正しく進行しているかをチェックする制御機構で、異常があれば細胞周期を停止、もしくは減速させる指示を出す。
テープをチェックしながら、細胞はまた愚痴った。
細胞「つまんないなあ、ホント。毎度毎度、たいして可愛くないコピー作って……」
目の前の大きな水槽の中で、この細胞のコピーが漂ってる。

ボクシンググローブのパンチを食らうキラーT細胞

細胞分裂だ。1つの細胞が2つ以上の細胞に分かれる現象で、DNAのコピーが行われる「間期」経て、細胞分裂が行われる「分裂期」に入る。分裂を終えてから、次の分裂が終わるまでのひと回りを「細胞周期」という。分裂できる回数は細胞の種類によって異なる。
細胞「あーあ、やってらんね。なんか面白いことないかなあ……」
その時、家の外で「シシシッ」という声がした。細胞が外に出てみると、訓練を終えたキラーT細胞達が控える建物の窓の下に、帽子を被った青い細胞が隠れるようにしゃがみこんでいた。その青い細胞の手招きで、側にやって来た細胞。
キラーT細胞「休憩入る前に、こまめに手洗いうがいだ!」
エフェクターT細胞「班長、見てください。こんなものが届いてたんですが」
それは、『いつも、ありがとう』というメッセージ付きのプレゼントボックスだ。
ウキウキしながら箱を開けたキラーT細胞の顔を、ボクシンググローブが直撃した。プレゼントボックスだと思っていたのは、ビックリ箱だったのだ。
青い細胞と細胞は、それを見て大笑いし、怒って追い掛けるキラーT細胞から逃げ出す。

イタズラが成功して大笑いする細胞(左)と青い細胞(右)

次のイタズラのターゲットは白血球だ。物陰に身を潜め、青い細胞が白血球の背後に近付くと、細菌などを察知するレセプターが反応した。後ろを振り返る白血球。だが、誰もいない。
細胞「白血球だ。こえ~っ」
少し離れたところで怖がる細胞をよそに、青い細胞は再び白血球に忍び寄る。反応するレセプター、物陰に素早く戻る青い細胞、後ろを振り返る白血球。だが、誰もいない。その様子を見て笑いをこらえる細胞。
細胞「おもしれ~!もっとイタズラするぞ~」

ティータイム。制御性T細胞がお茶を入れ、糖の器からスプーン一杯の粉をお茶に入れる。そのお茶を口にしたヘルパーT細胞は、お茶を吹き出した。
青い細胞と細胞が、器の中身を塩に入れ換えていたのだ。

迷子の赤血球が、通路の入口に近道を示す貼り紙を見付ける。喜んでその通路へ進むが、そこはまだ工事中で地面がなく、落ちそうになる。
青い細胞と細胞が、通行止めの看板を外してしまったのだ。

出動準備をするマクロファージ達が、武器の保管部屋に行く。釘バットやハンマーの代わりにそこにあったのは、野球のバット、羽子板、サーフボードなどであった。
青い細胞と細胞が、すり替えていたのだ。

細胞「こんなに楽しかったの、はじめてだよ」
青い細胞を自分の家に上げた細胞。
細胞「俺さあ、独り立ちしてから毎日毎日細胞分裂の仕事ばっかで、だから友達とかも全然いなくてさ。良かったら、これからも仲良くしてくれよ。そういえば聞いてなかったけど、お前、何細胞?頭の帽子オシャレだね」
青い細胞は、ポケットから同じ帽子を取り出すと、細胞に被るよう勧めた。
細胞「いいよ、悪いって」
遠慮する細胞に強引に帽子を勧める青い細胞の顔が、凶悪な形相に変わり、細胞に襲い掛かる。ベランダへ逃げた細胞だが、周囲には他にも青い細胞がたくさんいた。ベランダから部屋へ侵入した青い細胞達は、コピーの水槽を蹴り始めた。
細胞「やめろ!分裂装置に手を出すなよ!乗っ取る気か?お前、まさか……ウイルス感染細胞だったのか?!」
「(せっかく友達ができたと思ったのに……、向こうは俺を利用しようとしていただけなんて……)」と悔しさに涙を流す細胞。
ウイルス感染細胞が、手近の机を持ち上げた。水槽を叩き割るつもりなのだ。
細胞「やめてくれーっ!!」
何度も何度も水槽に机を叩きつけるウイルス感染細胞。水槽の表面に亀裂が入り、それは次第に大きくなる。

ウイルスを退治したキラーT細胞(中央)らに、たしなめられる細胞(中央手前)

その時、突然、玄関からキラーT細胞達が入って来た。キラーT細胞は、イタズラで使われたビックリ箱に残ったウイルス感染細胞のRNAを鑑定して、抗原を特定し、出動許可をもらっていたのだ。
RNA(リボ核酸)塩基成分はアデニン・グアニン・シトシン・ウラシルの4種。細胞内のタンパク質を作り出す過程で様々な役割を果たしている。ウイルスにはRNAを遺伝情報として持つものがいる。
ウイルス感染細胞を殺すキラーT細胞。マクロファージ達もやって来ると、羽子板などを振り回してウイルス感染細胞を攻撃した。こうして退治されたウイルスの正体は、ライノウイルスという風邪の病原体であった。
ライノウイルスは、風邪の代表的な原因ウイルス。大抵の場合、軽い鼻かぜ(鼻水、くしゃみ、鼻づまり)を引き起こす。感染者の鼻水や唾液には大量のライノウイルスが含まれており、感染力は非常に強い。
細胞のコピーは無事だった。
白血球「これからはウイルスのことも細胞のことも、ちゃんと勉強するんだ。あと、皆を困らせるようなことはするんじゃない」
細胞「はあい……ごめんなさい」

後日、仲良くバドミントンをして遊ぶ細胞とキラーT細胞達の姿があった。

「はたらく細胞」特別編『風邪症候群』の感想・考察

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