彼方のアストラ(Astra Lost in Space)のネタバレ解説まとめ

『彼方のアストラ』とは、篠原健太が「少年ジャンプ+」(集英社のWebコミック配信サイト)で2016年5月から2017年12月まで連載した同名マンガ、及びをそれを原作としたアニメ作品。
舞台は宇宙への往来が当たり前になった近未来。宇宙空間で何者かに狙われ遭難した、9人の少年少女のサバイバルを描く。宇宙船という閉鎖空間で、彼らを襲った犯人が仲間の中にいるというサスペンスと、仲間達との友情と恋愛を描く学園ドラマのような要素、そしてギャグが融合した作品となっている。

『彼方のアストラ』の概要

『彼方のアストラ』とは、集英社のWebコミック配信サイトである「少年ジャンプ+」において、2016年5月6日から2017年12月30日まで連載された篠原健太によるマンガ、及び原作として製作されたアニメ作品である。

原作マンガは、コミックス全5巻が発売されている。
2017年に第3回「次にくるマンガ大賞」の“Webマンガ部門”で5位を獲得。その後、「このまんががすごい!2019」オトコ編 3位、「マンガ大賞2019」では大賞を受賞した。
アニメは、2019年7月3日から、ケーブルテレビ局のアニメシアターX、東京地区の地上局TOKYO MXを始めとする各テレビ局で放映されると共に、dアニメストア、Amazon Prime Video、などでネット配信された。「Lerche」が制作を担当。
監督は『がっこうぐらし!』や『ハクメイとミコチ』などを手がけた安藤正臣が担当。シリーズ構成は『がっこうぐらし!』の脚本の他、ライトノベル作家としても活躍する海法紀光が、キャラクターデザインには『あそびあそばせ』などでもキャラクターデザインを担当した黒澤桂子が参加している。

自由に宇宙の行き来が出来る近未来を舞台に、平和なはずの学校行事の途中で、突然故郷を遠く離れた宇宙空間に放り出された高校生たちが、力をあわせて故郷に帰りつく迄を描いたSF冒険物語だが、それに加えてその中に「サスペンス」、「青春」の要素が加えられ、さらに「ギャグ」が渾然一体となってドラマを形作っている。

原作の篠原健太は「彼方のアストラ」の他に「SKET DANCE」が代表作で、アニメ化もされている。

『彼方のアストラ』のあらすじ・ストーリー

西暦2063年、惑星「アストラ」にあるケアード高校の「惑星キャンプ」(自然豊かな惑星の中で生徒だけで共同生活する行事)に、B5班として参加することになったのは、陸上10種競技の選手であるカナタ・ホシジマ、オッドアイの持ち主で映像記憶能力を持つアリエス・スプリング、IQ200を誇る天才少年ザック・ウォーカー、医師の娘で自らも医者を目指すキトリー・ラファエリ、上院議員の息子ルカ・エスポジスト、金髪碧眼で生物に詳しいシャルス・ラクロワ、黒髪で長身の眼鏡少女ユンファ・ルー、一匹狼で皆と関わろうとしないウルガー・ツヴァイクの8人と、「10歳の少女を同行させる」というキャンプの課題のために参加した、キトリーの義理の妹フニシア・ラファエリ。

惑星キャンプが行われる「惑星マクパ」に到着した「B-5班」の面々

出典: livedoor.blogimg.jp

カナタたちの前に「謎の球体」が突然現れた

惑星キャンプの目的地、アストラから9光年の位置にある惑星マクパに到着したB5班のメンバーは、そこに現れた「謎の球体」に呑み込まれてしまう。
気付くと彼らは全員宇宙空間に放り出されていた。彼らは偶然漂流していた宇宙船を見つけ逃げ込む。

しかしアリエス1人だけが、宇宙空間に取り残されていた。スーツの故障で姿勢制御がうまく出来ず、宇宙船に辿り着けなかったのだ。
皆はただ何も出来ずに見ているだけだったが、カナタが「自分が助けに行く」と言い出す。
中学生時代に行ったキャンプで遭難し、パニックを起こした生徒を助けようとした恩師が崖から落ちるのを、何も出来ずにみているしかなかった事を悔いているカナタにとって、今回もまた何も出来ずに見過ごすことは絶対に出来なかった。
ワイヤを頼りに宇宙空間に飛び出すカナタ。しかし、ワイヤの長さが短くアリエスに届かない。その時、恩師を助けられなかった事を思い出し、自らを奮い立たせたカナタは、ワイヤを外してでもアリエスのところに行く選択をする。

カナタはアリエスを抱いたまま、スーツの姿勢制御で宇宙船に戻ろうとする。しかしスーツの推進剤が切れたとき、ほんの少し軌道がずれていることが分かる。
しかし全員が手を繋いで数珠つなぎになって、カナタたちを救い出すことに成功する。

謎の球体に呑み込まれた「B-5班」のメンバーは、気が付くと宇宙空間に浮かんでいた

何とか命拾いした「B-5班」のメンバーたちだったが、彼らの目の前にはマクパとは違う「氷に閉ざされた惑星」があり、船内の装置で位置を計測した結果、彼らの母星アストラから5012光年も離れている事が判る。
その宇宙船は無人が、装置は生きていて動かすことは可能。しかし無線機が故障していて、救援を呼ぶことは出来なかった。そして船に残された水と食料は3日分しかない。

絶望する彼ら。しかし「3日以内に到達可能で、水・食料が補給可能な惑星を探す」「宇宙船に保存可能な水と食料を補給し、次の補給可能な惑星を目指す」ということを繰り返せば帰れるのではないかとカナタが発案する。それを受けて条件に合う惑星を検索し、惑星アストラに帰還出来るルートがあることを見つける。

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「アストラ号」に保存可能な水と食料でたどり着ける惑星を辿って、惑星アストラまで帰り着くルートが見つかった

カナタがリーダーとなり、宇宙船の操縦免許を持つザックが操縦して、彼らは惑星アストラに向けて航行を始める。宇宙船はブリッジに飾られていたプレートの文言から、「アストラ号」と名付けられた。

第一の惑星ヴィラヴァースで食料採集に出たカナタたちは、マクパの時と同じ球体に再び襲われてしまう。必死で逃げるカナタたちだったが、気付くといつのまにか謎の球体は消えていた。

突然現れた「謎の球体」から必死で逃げるカナタとルカ

その後、食料採集の途中でフニがドラゴンに似た生物に掠われそうになる。このときフニを誰よりも心配したのはキトリーだった。
キトリーは自分を姉と慕ってくるフニに突き放すような態度を取っていた。しかしそれは、フニを嫌いだからではなく、どう愛してよいかを知らないからだった。
カナタが命がけでフニを救い出してくれたとき、キトリーは初めて素直な自分の気持ちを出すことができたのだった。
このことをキッカケに、キトリーはフニと仲良くなり、他の仲間たちとも少しずつ打ち解けていった。

また故障した通信機を調べていたザックは通信機が故意に破壊されたことに気付くが、メンバーを混乱させないためにそれをリーダーのカナタにだけ伝える。
その後カナタは、フニシアが児童養護施設に入った日の夜のことを話しているのを聞く。「大人たちが『ビーゴ ニーレテ イッセーサ ショブン』と言っていた」と聞いたカナタは、何者かが自分達を「B5班」に入れ、全員を一斉に殺処分しようとしたのだと推測する。

カナタは通信機を壊した「刺客」の存在を皆に告げる。しかし、まとめて殺されるような共通点が思いつかないうえに、誰が「刺客」なのかも判らず、メンバー同士疑心暗鬼に陥ってしまう。
そして各惑星では様々な困難が彼らを待ち受ける。しかし協力し合いながら、困難を乗りこえていくうちに、彼らはそれぞれが抱えてる問題を打ち明け、仲間としての絆も育って行く。

第2の惑星シャムーアでは、食料採集、水採集の作業で皆と同じようにできず、「自分は役に立てないから」とユンファが宇宙船を逃げ出してしまう。
ユンファは幼い頃から、母親に「自分を表現することは恥ずかしいことだ」と言われ続けたことで、自分を表に出すことができないないようになっていた。個性豊かなメンバーに対して劣等感を抱いていたこともあり、「私は船を降りて、この惑星に残る」と書き置きを残し出ていってしまった。
探しに出た皆がキノコが捲きちらす毒によって、命が危うくなる。それを救ったのはカナタの機転とユンファの歌だった。
キノコが生態系の頂点に立つこの星では、毒を吸った生物に解毒剤となるキノコを与えることで、生物の数をコントロールしていると気付いたカナタは、あえて毒を吸い込むことで、解毒キノコを手に入れることに成功する。ユンファは苦しむ皆のために歌い、皆を励ました。
ユンファはこの時歌ったことをきっかけに、親から言われ続けた「目立つな」「歌うな」という束縛から抜け出し、自分を表現することが出来るようになる。

第3の惑星アリスペードは、一面が海で覆われた惑星。久しぶりに海辺でのバカンス気分を味わう彼らだったが、ルカの父親がマルコ上院議員だと分かった途端、ウルガーがルカに銃を突きつける。ウルガーの兄はジャーナリストで、マルコ上院議員の疑惑を追っている途中でビルから転落して死亡していた。それ以来、ウルガーはマルコ上院議員を「兄の敵」として狙い、その為に銃の練習も重ねてきたのだった。
しかしルカは「自分を殺してもマルコ上院議員は悲しまない」と言い、「自分はマルコ家の養子で、マルコ上院議員は実の子である弟に跡を継がせたがっている」こと、「自分は男でも女でもない、中途半端な自分を跡継ぎにはなれない」と自分の裸体を見せ秘密を告白する。ルカの胸部には未成熟ながら確かに乳房があった。

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ルカは自分が跡継ぎになれない証拠として、皆の前で裸を晒した

その直後に地震が起き、津波が襲いかかってくる。慌てて「アストラ号」に逃げ込むカナタたちだったが、ルカとウルガーは波に呑み込まれてしまう。
ルカが枝につかまり、ウルガーを助けようとするが、ウルガーはルカの手を振りほどこうとする。
2人はカナタたちに救助され、ようやくウルガーは仲間たちに心を開き始める。

「誰が刺客なのか」という不安を抱えながら、旅を続ける「アストラ号」。
第4の惑星イクリスでは、ザックの操作ミスで崖に衝突してしまい、「アストラ号」は航行不能になってしまう。
故郷に帰る望みを絶たれた彼らは、イクリスで生きていく覚悟を決め、食料と水を確保する作業を始める。その時、アストラ号と同じ形の宇宙船を見つけた。

惑星イクリスで崖の下に「アストラ号」と同じ形の宇宙船が眠っていた

カナタたちが艦内を調べると、稼働中の人工冬眠装置を発見する。
その中から出て来たのは、ポリーナ・リヴィンスカヤと名乗る女性。彼女は宇宙船「アーク6号」の乗組員で、惑星探査中にイクリスに不時着し、「アーク6号」が故障して帰れなくなった彼女は、最後の望みをかけて人工冬眠に入ったのだと言う。

発見した宇宙船の人口冬眠装置の中では、ポリーナが眠っていた

「アストラ号」と「アーク6号」の故障していないユニット同士を組み合わせることで、航行可能になることが分かり、カナタたちはポリーナを連れて無事にイクリスを出発する。

「アストラ号」と「アーク6号」の故障していないユニットを組み合わせることで、惑星イクリスを脱出可能になった

キトリーとフニシアが仲良く話をしているのを見たポリーナが何気なく言った、「キトリーとフニシアがよく似ていて、本当の姉妹だと思っていた」という言葉をキッカケにして、「キトリーとフニシアは実は本当の姉妹なのではないか」という話になり、ザックが二人のDNAを調べることになる。
検査の結果、キトリーとフニシアのDNAが全く同じ、すなわち同一人物であることが判った。

義理の姉妹とは思えないほど、キトリーとフニシアは良く似ている

この事実から、カナタとザックは自分達が一斉に殺されなければならない理由を突き止める。
ザックの親は「記憶移植」の研究者、キトリーの母親はクローンを生み出せる病院の院長、ウルガーの父親はカナタたちクローンが通う高校の教頭、カナタの父親は優秀なアスリート、ユンファの母親は有名な歌手、ルカの父親は芸術家、シャルスの父親は貴族。
そして皆が「B-5班」に集められ、謎の球体に襲われた。
運良くアストラ号に逃げ込めたが、そうでなければ全員、宇宙空間に放り出されたまま、細胞1つさえ見つけられなかったに違いない。
そこから導き出される可能性は1つ。
「B-5班」の全員が「親」のクローンであり、自分達の「親」が自分たちの存在を消そうとしているのだと。
富と名声を手にした「親」たちは、自分たちの「若返り」のためにクローンを作り、自分の子どもとして育てていた。そしていずれ時が来たら、自分の記憶をクローンに移植し、若い健康な体を手にいれるつもりだった。
全人類に自分の遺伝子情報を登録することを義務付ける「ゲノム管理法」が成立したことで、重罪であるクローン製造が明るみにでるのを恐れたオリジナルたちが、カナタたちを皆殺しにしようとしていたのだ。

カナタたちクローンを抹殺しようとした、カナタたちのオリジナル

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