新感染 ファイナル・エクスプレス(Train to Busan)のネタバレ解説まとめ

『新感染 ファイナル・エクスプレス』とは、韓国のゾンビ映画である。監督は、アニメーション監督であるヨン・サンホ。高速鉄道の中でゾンビのパンデミックが起き、そこに居合わせた人々の人間関係を描いた作品である。韓国では2016年、日本では2017年に公開され、数々の賞を受賞。車内という閉ざされた場所でパンデミックが起こる恐怖と、親しい人間がゾンビに感染することで変化していく感動的な人間関係が話題を呼んだ作品である。

冷酷仕事人間で家庭を顧みないソグが、ゾンビからスアンを守っていくことにより、しっかりと娘と向き合うことができるようになる。
彼は最初、娘への誕生日プレゼントにゲームを贈る。しかしそれは、娘が既に持っているものだった。学芸会で歌を歌ったことも、彼は録画したビデオで見た。ソグは仕事の忙しさを理由に、娘を見ることを忘れていたのである。
そんなソグがやっと娘を見ることができるようになった時、無情にも彼はゾンビに噛みつかれて感染してしまう。意識がある最後の瞬間に思い返したのは、スアンが生まれて間もない頃。しっかり娘を見ていた頃のことであった。
最期の最期、ソグは娘を守るためにゾンビに意識を支配されつつも自分で身を投げた。
冷酷人間のソグが周囲の人の優しさに触れて、親としての感情を取り戻していく。この映画の最大の見どころは、ソグの感情の変化にある。

さまざまな形の愛情

ゾンビ映画のお決まりとして、それぞれの最愛の人が感染してしまうという感動シーンが必ずある。そして、本作も例外ではない。
本作では、ソグとスアンの親子愛を始め、夫婦愛、姉妹愛、恋人との恋愛など、さまざまな形の愛情が描かれており、どこかしらに感情移入して号泣することが必至である。

そしてその愛情の結末も人それぞれであり、面白い。
自分の感染を悟ったソグは、スアンを守り切るために自ら身を投げる。同じく感染を悟ったサンファは、妻であるソギョンとお腹の子どもを守るために、感染しても意識を保とうとし、ゾンビに立ち向かっていく。二人とも愛する人を想って意識を支配されないようにしている姿がとても感動的である。
一方で、姉が感染してしまった姿を見た妹は、自ら感染への道を選んだ。また、恋人が目の前で感染してしまった学生は、恋人に噛みつかれることを選んだ。
それぞれが最愛の人を想い、究極の場面で選択をしていく場面は、どんな結末を選んだとしても愛情に溢れている。この映画の見どころである。

人間の恐ろしさ

本作は密室状態でのパンデミックの恐ろしさを描いた物語であるが、終盤、本当の恐ろしさに気が付くことになる。それは、主人公達がやっとの思いで逃げてきた車両に避難していた、人間達である。
目の前でゾンビに追われている人がいるにも関わらず、自分達への感染を恐れてドアを頑なに開けようとしないその態度は、ただ本能的に人間を襲ってくるゾンビよりもずっと恐ろしい。
ソグが彼らに向けて放った「全員救えたんだ!!」という言葉通り、この場面で命を奪われた二人は、ゾンビに殺されたのではなく、利己的な人間に殺されたのである。

そのうちの一人である老人は、あと一歩のところでゾンビに襲われてしまう。しかし、彼女は助かろうと思えば助かることもできた。彼女は背後から迫りくるゾンビよりも、目の前にいる人間の方がより恐ろしく感じたのであろう。
自ら死を選び、感染してからも穏やかな表情を崩さなかったのである。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

超スピードのゾンビ達

本作で注目すべき点は、ゾンビの形態である。一般的なゾンビといえば、恐ろしさの中にも少しチャーミングな面がある。なぜなら一度負傷して息絶えた身体であるため、動きはゆっくり・身体の一部もしくは大部分を負傷して引きずっている・集団でゾロゾロと歩いていることが基本的であり、「どうせ一人では何もできない。」「一対一になったら、頭を攻撃すれば簡単に勝てる。」と、見ている人もどこかで安心することができるからである。しかし本作のゾンビはひと味もふた味も違う。とにかく、運動神経がとてもよいのである。生きた人間を見つけると、健康な人よりももっと速いスピードで追いかけ、狭い車内も難なくすり抜けて移動し、閉めかけたドアを手でこじ開ける俊敏性もある。途中ホームを走っているゾンビ達は、人間達のマラソン大会だと勘違いしてしまうほどの超身体能力を見せつけてくる。列車のスピード感に加えてゾンビ達のスピード感もものすごいため、息をつく間もなくストーリーに引き込まれてしまうのである。

本作は韓国初となるゾンビ映画

韓国映画では初となる、ゾンビがテーマとなった本作。映画公開初日にはなんと87万2000人の観客数を記録し、公開初日の観客動員数が韓国の新記録を更新した。初のゾンビ映画にして、製作費はたった一週間で回収することができたという脅威のヒット作となったのである。主人公ソグを演じたコン・ユは、韓国で人気が高い韓流スターである。彼が本作に出演を決めたのは、「韓国で初めてのゾンビ映画だから」。それほどまでに、韓国での注目度が高かったことがわかる。

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