天使なんかじゃない(天ない)のネタバレ解説まとめ

『天使なんかじゃない』は、矢沢あいによる漫画作品。少女漫画雑誌『りぼん』1991年9月号から1994年11号まで連載された。全8巻の単行本に加え、完全版コミックス全4巻、文庫本全6巻、さらに全8巻の小説が刊行されている。1994年にはOVA化された。
創立されたばかりの私立聖(ひじり)学園の生徒会を舞台に、主人公冴島翠を中心とした生徒会の面々が繰り広げる、高校生の恋と友情を描いた青春群像劇である。ベテラン漫画家として知られる矢沢あいの出世作であり、その完成度から芸能人のファンも多い。

「あんたがあたしを嫌いでも あたしは好きよマミリン!」

冴島翠と麻宮裕子が初めて言い合いをしたシーンであり、二人の友情が芽生えたシーンである。

第二回入学式の日。
新入生としてやってきた美少女・原田志乃は、麻宮が恋心を抱いている瀧川秀一の彼女であった。
まさか志乃が聖学園に入学してくると思ってなかった麻宮は、新入生歓迎会の席で対面し、衝撃を受けた。
極めつけに、志乃に「劇、楽しみにしてます」と言われた麻宮は屈辱を受けることになる。

この日、新入生歓迎会で生徒会メンバーは『シラけた姫と七人分の大男』という劇をやる予定だった。
麻宮裕子は姫役で、瀧川秀一は王子役だった。
志乃の見ている前で恋人役なんかできない、そう思った麻宮は劇をボイコットするためにトイレに立てこもってしまう。

麻宮を探し、校内を捜索する他の生徒会メンバー。
外にまで捜索範囲を広げようかという話になったが、運よく翠がトイレに立ち、麻宮を発見する。

麻宮と瀧川をくっつけようと劇を企画した翠は、麻宮から「あんたっておせっかいよ!すぐ調子に乗って!そういうとこ大っ嫌い!」と散々なじられてしまう。
志乃の存在をさきほど知った翠は、罪悪感から涙をにじませる。

麻宮は言い過ぎたとハッとし、翠が外に出ていった気配を感じてしまったという顔をする。
しかし次の瞬間、大きな物音と共に、麻宮が立てこもってるトイレの上から翠が現れる。
トイレのドアをよじ登り、そして上記のように大声で返したのだった。

その強行に目が覚めた麻宮はトイレから出ると翠に約束し、ドアの上から降りられなくなった翠は須藤晃によって助けられた。
その後、劇は何事もなかったかのように大成功。
麻宮は自分がしでかしたことを謝り、生徒会室で翠と共に大泣きした。

「ばかみたいじゃないよ 恋をしたら 情けなくてみっともないこと いっぱいあるよ みんなそうだよ」

『新歓トイレ事件』の後、無事新入生歓迎会を終わらせた麻宮裕子と冴島翠が大泣きするシーン。

新入生歓迎会が終わった後、麻宮は翠と共に今日の健闘をたたえあう。
そして、瀧川秀一の恋人である志乃が原因で歓迎会をボイコットしようとしていたことを麻宮は反省する。

しかし、麻宮は志乃と瀧川とは中学が同じであり、二人がカップルだということは承知していた。
だが、生徒会でのイベントなど楽しい毎日を送っていたので、落胆が大きかったのだと泣き出す。

麻宮が楽しく感じてくれていたことへの嬉しさ、自分と同じように恋に悩んでいるという共感から、翠はもらい泣きしてしまう。

そんな翠の励ましの心情である。

「さよなら! また明日ね!」

新入生歓迎会が終わった後、長らく絶縁状態だった須藤晃と牧博子が挨拶を交わしたシーン。

中学時代、晃は家庭教師の将志とその恋人の博子と知り合った。
親の離婚で不安定だった晃にとって、二人はかけがえのない存在だった。
そしていつしか、晃は博子のことを将志の恋人以上に感じてしまう。

将志がパリに行ったとき、無理に笑う博子に耐えられなくなった晃は告白をする。
が、「晃くんのことは弟としか見れない」と玉砕してしまう。
それを馬鹿にされていると感じた晃は博子と絶交してしまい、口も利かない、目も合わせないという状態が続いた。

新入生歓迎会の準備の際、偶然博子と間近で会ったのを無視した晃は、自分が無視されたと勘違いした冴島翠を悲しませてしまう。
そのことから、博子との関係を翠に打ち明けることを決意した晃は、復縁のために博子に挨拶したのだった。

てっきり今回も無視されると思っていた博子は、頬を紅潮させて挨拶を返すのだった。

「これほど好きになれる人には 二度と出会えない 絶対に…」

冴島翠と須藤晃の2回目のキスシーン。

新入生歓迎会が終わった週末のこと。
翠と晃は遊園地デートに来ていた。

乗り物を粗方乗りつくし、あと乗っていないのが観覧車だけとなった。
しかし翠は、どうしても観覧車だけには乗りたくなくて、売店へと逃げてしまう。

というのも、翠はこの前まで牧博子と晃の関係を疑って大泣きしたばかりであり、この遊園地に来たのもそのことで話があるからと晃に言われたためであった。
もし、観覧車の中で二人きりになれば、必然的に博子の件について話を聞かなければならなくなる。
万が一失恋してしまったらどうしよう、聞きたくない。そう思っていた翠がマーブルチョコ片手に戻った時、晃を探すが見当たらない。

すると「至急観覧車の乗り場までお越しください」という園内放送がかかり、翠はやられたと思うのだった。

観覧車におとなしく乗りこんだ翠は、沈黙に耐えられずにマーブルチョコをむさぼる。
と、その時、手が震えていたせいでマーブルチョコの中身を全部床にぶちまけてしまう。

慌てて拾おうとする翠を遮り、晃は牧先生とは高校以前から知り合いだったこと、当時家庭教師をしていた将志という人物の恋人が牧先生であり、自分とは何も関係はないことを打ち明けられる。
その言葉に心底ほっとする翠だったが、それと同時に観覧車が一周し終わって扉が開いた。

マーブルチョコを拾い終わってない!そう思った二人はもう一周することに決め、言い争いながらマーブルチョコを拾い集める。
やっと拾い終わった、そう思った時、翠がまた盛大にチョコをぶちまける。
晃の罵声を浴びつつそれもかき集め、二人で「「終わった」」とため息をついた時、連日の不安が解消された翠はキスを求める。
その求めに応じた晃は翠に深いキスをし、そしてまたマーブルチョコを床に落とす。

マーブルチョコというキーアイテムを使った印象的なシーンだ。

「あたしは 冴島翠みたいになりたい」

冴島翠が感涙した麻宮裕子のセリフ。

翠の将来の夢は、得意のイラストを仕事にすることだった。
イラストレーターや絵本作家、漫画家と絵に関するさまざまな職業を取り上げて悩む翠に、麻宮は「あんたならなんにだってなれるわよ」と、サラッと褒める。
それに照れた翠は「マミリンは?」と質問すると、上記の答えが返ってきた。

麻宮曰く、うれしい時は喜び、悲しい時はちゃんと悲しむ。
そんな当たり前なことができる翠が、みんなに好かれ、須藤晃に選ばれる理由がわかるのだというのだ。

麻宮は今、叶わないだろう恋のために懸命に頑張っている。
翠に憧れを抱き、自分なりに頑張ろうとする麻宮を見て、翠は自分自身も勇気づけられた気がして『額に入れて一生飾っておきたいようなセリフだった』と心の中で思うのだった。

帰ってきた将志

須藤晃、牧博子が帰りを待ち望んでいた坂本将志の登場シーン。

美味しい親子丼を作るために晃の家へ出向いていた翠。
しかし運悪く米を切らしており、晃は買い出しのために一人出かけてしまう。

その間に親子丼を作り始めようとした矢先、晃の家のチャイムが鳴り響く。
てっきり忘れ物をした晃だと思った翠が「おかえりダーリン♡」と勢いよく扉を開けると、サングラス・タバコ・ロン毛の怪しい出で立ちの男が。

男は坂本とだけ名乗り、晃の家に上がり込んでスケッチブックに何かを描き出す。
翠は困惑するが、男の持ち物や晃・博子の最近の言動から、次第にこの人物が何者であるのか分かってくる。

その時、「できたぃ!」と男が言い、スケッチブックのページを切り離して翠に渡す。

そこに描かれていたのは、勢いよく扉から出てきた時の翠のまぶしい笑顔。
そして、左端に小さく書かれた「MASASHI」の名だった。

「神様どうか その時晃が 世界一幸せにしたいと思う女の子は あたしでありますように 次の流れ星が消えないうちに 3回唱えて目を閉じるから」

夏休みのキャンプにて。
夜中にトイレに立った冴島翠が、恋人の須藤晃のカミングアウトを聞いて人知れず涙するシーン。

牧博子の恋人・坂本将司の発案で、夏休みを使ってキャンプに行くことになった翠達。
昼間に思う存分楽しんだ後、夜も更け、就寝の時間になった。

フクロウの鳴く真夜中に一人起きた翠は、猛烈な尿意に襲われてトイレに立つ。
しかし、キャンプ場のトイレはボロボロで不気味。
こんなところでとても出来ない!そう思った翠は、茂みで用を足すことに。

事を済ませた後、さて帰ろうとした翠だったが、「こんな不気味な便所入れるかよ」と怒鳴る晃と将司を目撃する。
二人との距離は目と鼻の先。
だが、運よく二人は翠に気づかず、立ちションの後に座り込んで星を眺めていた。
そして、博子と3人で北海道旅行した時の話を語りだす。
二人のすぐそばにいたので動けなかった翠は、偶然会話を立ち聞きしてしまう。

旅行の話をしばらくしていた晃と将志だったが、ふと話題は博子と将志の将来の話に移る。
「結婚しろよ」と呟き、説教臭く将志を諭す晃。
晃は、日本に一人残されて寂しい思いをしていた博子を案じていた。
そして最後に、かつて博子を好きだった事を暴露した。

そのカミングアウトに、胸が張り裂けそうになる翠。
晃の博子に対する恋心を疑っていた翠にとって、まるで今の晃すら博子にすべて持っていかれてしまったような敗北感だった。
そして、晃が幸せにしたい女性が自分ではない事を悲しみ、そして上記のように願うのだった。

ケンの登場シーン

冴島翠の大親友、中川ケンの登場シーン。

高2の夏休み。
遊び相手を探して電話をかけまくる翠だったが、運悪く皆都合があって捕まらない。

というのも、普段なら恋人の須藤晃の所へ遊びに行くのだが、晃はバイト続きで全然会えていない。
しかもこの前、晃が博子の事を好きだった過去を知ったので、なおの事寂しくなったというわけだった。

とぼとぼ自宅に帰ってきた翠だったが、母が誰かと電話している所に遭遇。
電話の相手を聞くと、なんと友達の河野文太だった。

翠が「遊んでーーっ」と泣きつくと、文太は「リボン」という喫茶店にいるから、今から来るようにと言う。
喜び勇んで向かった翠は、何と中学時代の友達のヨシ坊、なっちゃん、タマ子に再会する。

目を潤ませる翠を尻目に、文太は「あとはケンが来れば全員集合だな」と言う。
その言葉を聞きつけた翠は、「ケンも来るの!?」と笑顔を向ける。

ケンこと中川ケンは、中学時代の翠の一番気の合う男友達だった。
ケンの話題が出ると、翠達は「翠とケンの朝のお約束」というエピソードを持ち出し、げらげらと笑いあった。

「翠とケンの朝のお約束」とは、中学時代の翠が登校時に、何かの物まねでケンに挨拶をする。
そしてケンは、それに物まねで応えるというものだった。

中でも、なっちゃんとタマ子の一押しが「ルパンと峰不二子」。
ケンの容姿がルパン三世に似ていた事から、なおの事爆笑を呼ぶのだった。

翠もケンとの思い出に浸っていた時、ヨシ坊が出口の方を見て大声を出す。
すると、オーバーに手を振るケンの姿が。

翠は、あの頃と変わっていないケンの姿に思わず立ち上がり、「ルパァン♡」と挨拶をする。
それにケンはずっこけ、遅れて「ふ~~じこちゃ~ん」と、中学時代のように応えるのだった。

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents