シェイプ・オブ・ウォーター(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)とは、2017年にアメリカで公開された、声の出ない中年女性と半魚人のラブ・ロマンスを描いた作品。前代未聞のラブストーリーということで、2018年に日本でも公開され話題になった。ギルレモ・デル・トロ監督作品の中でも傑作と呼ばれる本作で、サリー・ホーキンスの演技が高く評価された。

上記画像のシーンでストリックランドが読んでいる本のタイトルが”The Power of Positive Thinking"となっている。この本は実際に存在する書籍であり、著名な愛読者にドナルド・トランプ米大統領が挙げられる。
トランプ大統領と言えば、難民や女性に対する発言や政策が人種差別的であると連日批判されている。
そしてシェイプ・オブ・ウォーターに出てくる主なキャラクターは、声が出ない「障がい者」、「黒人女性」、「同性愛者」といったマイノリティ。その3人で「半魚人」を逃がそうとしていたのを、見えない力によって圧制されていた、心の「弱者」が協力しようと出る。つまり、トランプ大統領の差別の対象となっている人たちが、この物語で活躍するのだ。
トランプ大統領を示唆する描写は設定の1962年にもある。トランプ大統領が常に掲げる「Make America Great Again(アメリカをもう一度偉大な国にしよう)」とは、まさに1962年当時のアメリカのような世界一の経済大国に今こそ再びなろうというものである。
メタファーとなった本と時代背景から「トランプ大統領を彷彿させられる」という感想をもった観客が続出し、共感者や問題提起と受け取った者、マイノリティの人々からの称賛の声を得ることとなった。
また、マイノリティとされるキャラクターのキャスティングはデル・トロ監督の並々ならぬこだわりをもってされたというエピソードも。特にヒロインであるイライザについては、「綺麗すぎて悲劇的に見える容姿の俳優は控えたい」と慎重な選考があったという。
細部にわたって監督の手が入っていることから、いかに世間に訴えたいメッセージがあるのか、そしてその強さが伺える。

『シェイプ・オブ・ウォーター』盗作問題

『シェイプ・オブ・ウォーター』には盗作問題が出ていた。ピュリツァー賞を受賞したアメリカの劇作家ポール・ジンデルの息子が、「亡くなった父の作った舞台劇『Let Me Hear You Whisper』が『シェイプ・オブ・ウォーター』のストーリーなどに60以上もの類似点がある」という内容でロサンゼルスの連邦地裁に提訴した。これに対し、デル・トロ監督は「そんな舞台は見たことない」と否定し、また、アカデミー賞にノミネートされていた時期というのもあって激怒。フォックスも「根拠がない」と否定のコメントを発表した。
『Let Me Hear You Whisper』は化学研究施設で働く清掃係の女性が施設で捕らえられたイルカを助けるという物語。
ジンデルの家族は上映中止を要求していたが、その後裁判がどうなったかについての報道はされていない。

ジャイルズが通うパイ屋のキーライム・パイ

ジャイルズが想いを寄せる店員がいるパイ屋の「キーライム・パイ」。食べた本人たち曰く、かなりまずいらしい。実際映画の中でもジャイルズの冷蔵庫は食べきれずに残してあるキーライム・パイだらけだったり、写真ではイライザが「美味しくない」という意味の手話をしている。
「美味しくないらしい」と言われているにも関わらず、日本では鮮やかなグリーンのゼリーの上に白く綺麗に乗せられたホイップクリームが物珍しく、「どこのお店のものがモデルになっているのか」と検索した人が続出。ところが、キーライム・パイはアメリカの家庭料理だったため、特別お店で売っているわけではないという。これを知った日本人ファンは「ならば作ってみよう」と手作りのキーライム・パイをSNSにアップする人が続出した。

『シェイプ・オブ・ウォーター』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):Alexandre Desplat ft. Renée Fleming『You'll Never Know』

『シェイプ・オブ・ウォーター』の主題歌は「You'll Never Know」。作曲したのはフランス人の作曲家であるアレクサンドラ・デスプラ。

挿入歌:Alexandrea Desplat『The Shape Of Water』

物語の最初に流れる曲。

挿入歌:Alexandrea Desplat『The Creature』

「不思議な生き物」がストリックランドの指を噛みつくシーンで流れている。

挿入歌:Alexandrea Desplat『Elisa's Theme』

アパートで身支度をしたり、映画館に行ったり、出勤するなどの、「不思議な生き物」と出会う前のイライザの日常のシーンで流れる。

挿入歌:Alexandrea Desplat『The Fingers』

ストリックランドが指を失ったまま、高級車を買う、他の登場人物と会話するなど、ストリックランドが登場するシーンで流れる。

挿入歌:Alexandrea Desplat『Spy Meeting』

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