RobiHachi(ロビハチ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『RobiHachi』とは、スタジオコメット制作のオリジナルアニメーション作品。2019年4月から6月まで放送。全12話。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』を元にして作られたSF作品。監督は高松信司。借金生活を続けていた「ロビー・ヤージ」は、借金取りのアルバイトをしてる「ハッチ・キタ」と出会い、成り行きで二人はロビーが借金する金融会社の社長「ヤン」から逃げなければならなくなる。二人はヤンから逃げながら、ご利益が授かれる石「アカフクリスタル」がある惑星「イセカンダル」を目指す事になった。

本作の中で、ヒザクリガーとは何なのか・何故ナガヤボイジャーの中にあったのか・ロビーとどのような関係があるのかが徐々に解き明かされていく。

ヒザクリガーとは、本作の西暦1969年に放送された「銀河道中ヒザクリガー」という日本のモノクロアニメ。
その監督がロビーの祖父「ユマ・ヤージ」であった。
ヒザクリガーは不運の続く呪われたアニメとも呼ばれた作品であり、12話がお蔵入りになってしまう。
12話のマスターフィルムはユマが所持しており、幼少期のロビーは祖父と一緒に12話を見た事をおぼろげながら覚えている。
ユマの死後、ロビーは祖父との思い出の品として12話のフィルムを祖父の葬儀に入れて火葬し、12話は完全にこの世から失われてしまう。
ヒザクリガーは地球よりも宇宙で人気になり、ヨッカマルシェの「アルメーニ」などのマニアが存在する。
アルメーニは聖地巡礼に地球へ赴き、そこでユマの息子でロビーの父「ルーシー・ヤージ」と出会った。
アルメーニはルーシーがユマの子供である事は知らなかったが、ルーシーの持っていたヒザクリガーの資料や原画を貰い、お礼にナガヤボイジャーと等身大ヒザクリガーとその時持ち合わせていた現金を全てを渡した。
これによりロビーの家は突然資産家になった。
そしてロビーは家の物置となっていたナガヤボイジャーで家出し、その後ナガヤボイジャーがロビーの住居兼宇宙船となる。
ナガヤボイジャーの中には当時のまま、アルメーニから貰った等身大ヒザクリガーが格納されていたのであった。
ヒザクリガーを起動させる時「銀河道中ヒザクリガー」のオープニングテーマが流れる演出も、ヒザクリガーマニアのアルメーニが作ったからこそであった。

ハッチの正体

出典: anicobin.ldblog.jp

月の大使館の者達がハッチを追って来たことで、ハッチの正体が判明する。

ハッチは第一話の段階で何らかの秘密を持っている描写があり、その後もお金持ちである事やSNSのフォロワーが一万人いる有名人である事が描写される。
第一話でのハッチはロビーに自分に想定外な事など無いと語り、どこかつまらなそうであった。
しかしロビーが想定外の事ばかり起す事に子供のように喜び、想定外を求めロビーと一緒にイセカンダルへ行く事になった。
その後自分の正体を隠したまま旅路を進むが、イセカンダルの関所を通る際にブラックリスト掲載者は関所で通行止めになると知り、陰で自分のお金でロビーの借金を全額返済する。
だがそこで自分の口座を使った事によりハッチを探していた月の使者に居場所がバレてしまい、イセカンダルから旅立とうとした矢先に月の使者と鉢合わせてしまう。
ハッチはロビーとイックに自分が月の王子である事を告げ、宇宙人とファーストコンタクトした宇宙飛行士が祖父であった事を説明した。
その後ハチの祖父「ロック・キタ」は持病の癪で苦しんでいた宇宙人を助けたことで、月の裏側にある宇宙人の月面基地を譲り受け、宇宙人との貿易で巨万の富を得て王国ルナランドを築いた。
ハッチは国王になるために厳しく育てられたが、地球の行事で地球にあるルナランド大使館を訪れた際に逃走し、行き場も無く途方に暮れているところをヤンに拾われた。
ヤンの事務所で借金取立てのアルバイトを始めたハッチはロビーと出会い、ロビーを気に入り一緒にイセカンダルを目指した。
ハッチはイセカンダルに行くこと自体に目的はなく、ロビーと観光地を回る旅路を楽しんでいたのであった。
ハッチがイセカンダルの関所でロビーの借金を自分の全財産を使って支払った理由を、「ロビーと一緒にイセカンダルに行きたかったから」と照れながらロビーに語った。

ヤンの片想い

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プレゼントを貰った事がきっかけで、ヤンはロビーを好きになってしまう。

作中、ヤンは自分に借金をしているロビーを執拗に追い回すキャラクターである。
しかしこれは「借金をしているから」という理由以上に、ロビーに対しての片想いが執着の原因であった。
片想いが始まったのは恐らくロビーが借金をした時に、みるくいちご味のキャンディーを貰ったことがきっかけのようである。
貰った飴が好きだったからではなく、その時のロビーの人懐っこい笑顔にときめいた様子であった。
ロビーを追いかける際にもヤンはロビーから貰った飴を食べており、ヤンにとってロビーから貰った飴は特別なものであった。
最終回では、食べ終わり中身が無くなってしまった飴の袋を悲しそうに捨てるも、ロビーに似た青年に芋ようかんを貰い新しい恋を始めていた。
飴の袋を捨てる描写は、追いかけても手に入らなかったロビーへの未練を捨てる描写でもあるのであった。
ヤンは時折オネエ口調になることがあり、元々オネエキャラなのかどうかは定かでは無いが、男キャラが多数出てくるアニメが好きだったりと恋愛対象は元から男性だったと思われる。
アロとグラも途中からヤンのロビーに対する気持ちに気づき、ヤンの恋を応援していた。
本作のエンディングもヤンの切ない乙女チックな心情を描いたものであるが、ロビーを求める事にあまりに必死だったのか、本編でのヤンはロビーに体で借金の返済を求める過激な描写が多い。
ロビーの方はヤンの気持ちを知っているかは不明であるが、「尻!ケツ!」と叫ぶヤンに追いかけられパンツを脱がされそうになったこともあるため身の危険を感じていて、恋愛対象というよりは恐怖の対象になっている。
ロビーは生粋の女好きでもあり、ヤンの恋は失恋に終わった。

ヤンとアロの出会い・アロとグラの出会い

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行き場の無かったアロをヤンが拾い、同じく行き場を無くしたグラにアロが声をかけた。

ある雨の日、世捨て人だったアロは傘も持たず道端で捨てられた猫のようにダンボールの中に座っていた。
何故そうなったのは理由は明かされなかったが、そこに通りかかったのがヤンであった。
ヤンは「男なら身だしなみに気を付けることだ」と言ってアロに櫛を渡し、「ついてこい。飯食わしてやる」と言う。
アロはヤンについて行くことを決めた。
そしてある晴れた蒸し暑い日、グラは道端でダンボールに寄りかかって座っていた。
そこに櫛で熱心に髪型を調えるアロが通りかかる。
アロはヤンの真似をしグラに「男なら身だしなみに気を付けることだ」と言うが、ヘッドホンで音楽を聞いていたアロには聞こえていなかった。
すったもんだの末、アロはまたもヤンが自分に言ったように「ついてこい。飯食わしてやるよ」とグラに言い、グラはアロにとび蹴りをかましながらもアロに付いて行った。
アロもグラも道端のダンボールの中や横に座っていて、世の中に捨てられたような状態であったが、その後現れるハッチもまた道端でダンボールの横に座っていた。
本作における「行き場の無い人」という描写なのか、最終話では借金生活に戻ったロビーも同じく道端のダンボールに座っていた。

喧嘩して絆を深めたロビーとハッチ

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二人は喧嘩の末、絆が深まった。

凸凹コンビのロビーとハッチは地球を出て以降なんだかんだと仲良くやってきていた。
しかしイセカンダルの関所を目前に、二人は大喧嘩をしてしまう。
原因は、関所に「犯罪者あるいは借金滞納者などのブラックリスト掲載者は、ギャラクシーポリスの通達により通過できません」という注意書きがあり、ロビーがこのブラックリスト掲載者であったことから始まる。
ハッチは折角ここまで来たのにロビーがブラックリストに載っているせいでイセカンダルへ行けない事を責め、ロビーは下調べをしていなかったハッチを責めた。
関所の問題は宇宙船の中での共同生活で蓄積されたストレスが爆発する火種に過ぎなかった。
お互いに抱いていた、風呂の使い方・トイレの使い方・エロ本の置き場所・騒音問題・冷蔵庫の使い方・ハッチのパジャマがダサい事・洗濯機の使い方・通販の箱が邪魔・照明の使い方など9つの問題でぶつかりあってしまう。
二人はナガヤボイジャーの中を二つに分けて境界に線を引き、お互いがお互いの領域に入らないようにした。
お互いにもう口を利かないとしながらも、ロビーは文句を言おうとハッチを探したり、ハッチはダサくて着たくないと言ったロビーから借りたパジャマを着ていた。
ハッチはイックに何故嫌なパジャマを着ているのかと指摘されると、その場で脱ぎ捨てロビーの領域に投げ捨てた。
捨て置かれたパジャマを見たロビーは、ハッチは通販で何でも買えるのに何故まだ自分が貸したパジャマを着ているのか気になっていた。
そのパジャマはハッチがロビーとイセカンダルへ行く事になった日に、寝る時に着る服が無いハッチにロビーが貸した物である。
また、ハッチがアロマキャンドルが好きだったことから、ロビーはハッチに火星で貰ったタコのキャンドルをあげた事がある。
パジャマを脱ぎ捨てたハッチはロビーから貰ったキャンドルに火を灯し炎を物憂げに見つめていると、ワープの衝撃で宇宙船が揺れキャンドルの炎が通販の箱に引火して火事になってしまう。
ロビーは咄嗟に落ちていたハッチのパジャマで火を消そうとするが、それを見たハッチは慌てて「やめろ!それは俺の大事なパジャマなの!」と言ってロビーを止めた。
火はイックによって消されたが、部屋は消化剤によってぐちゃぐちゃになってしまう。
本当はパジャマを気に入っていたらしいハッチの一言で怒る気が失せたロビーは、「こうなったら一生このダサいパジャマ着てろっての」と言ってロビーにパジャマを渡し、ハッチも「そうさせてもらおうかな」と言ってパジャマを受け取った。
パジャマそのものが気に入っていたというよりは、ロビーから初めて貰った(借りた)ものであるから大事にしていたのであったと思われる。
喧嘩の末、お互いにお互いが憎むに憎めない存在となっている事が明らかになって、二人の絆は深まることになった。
そしてハッチはこの出来事からより強く「ロビーと一緒にイセカンダルへ行きたい」と思い、ロビーに内緒でロビーの借金を全額支払い、ロビーをブラックリストから外したのであった。

耳に残るイセカンダルのCM

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提供画面で流れるイセカンダルのCM曲。

本作の中でほぼ毎回提供画面やCMで流れるのが、イセカンダルのCM。
「イーセカンダル行こう♪イセカンダル行こう♪」と耳に残るメロディと、マスコットのイセカンガルーの踊りが妙に頭に残ってしまう物になっている。

イックの手記

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最終回のエンディングでちょこっとだけ見えたイックの手記。

最終回のエンディングで、イックが手記を書いている事が明らかになる。
チラッと映る映像の中に、本編の中で語られなかった真実と思われるものが語られている。
「ロック・キタ」が最初の主人であることや、二人目の主人がロックの幼馴染「ユマ・ヤージ」であること、さらにその後電源を落とされてロビーが起動するまでずっと眠っていたことが書かれている。

『RobiHachi』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

東海道中膝栗毛に関するパロディ要素

本作は十返舎一九の『東海道中膝栗毛』を土台に世界観が作られている。
主人公「ロビー・ヤージ」は「弥次郎兵衛(やじろべえ)」、相方「ハッチ・キタ」は「喜多八(きたはち)」、イックは作者「十返舎一九」など、東海道中膝栗毛の主人公二人と作者の名前を捩っている。
ヒザクリガーは「膝栗毛」から来ており、「栗毛」とは栗色の馬を表し、「膝栗毛」とは自分の膝を馬の変わりにする徒歩の旅行という意味がある。
東海道中膝栗毛は主人公の二人を「弥次さん喜多さん」とまとめて呼び、略して「やじきた」と呼ばれることもある。
本作のタイトルもロビーとハッチの名前を略し「ロビハチ」と略している。
また、弥次さん喜多さんの関係がBL的とも言われており、本作でも鳴らすと永遠に結ばれる鐘を二人で鳴らしてしまうなどBLを臭わせる要素が一部ある。
物語も、東海道中膝栗毛は東海道を歩いてお伊勢参りし、本作でも東海道のパロディになっている惑星を渡り、伊勢のパロディであるイセカンダルへ行っている。

現実の地名をアレンジした名前

東海道の地名が本作の惑星名の土台になっている。
イセカンダルは「伊勢」と『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』の架空の惑星「イスカンダル」を合わせた名前。
他にも、オダワーラは「小田原」、ハッコーネは「箱根」、ハママIIは「浜松」、アッカサッカは「赤坂」、マルベリー7は「桑名宿(マルベリーが桑)」、ヨッカマルシェ「四日市宿」など、地名が東海道の名前になっている。
名産品も地名に合わせてある。

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