ARMS(アームズ)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ARMS(アームズ)』とは、七月鏡一原案をもとに1997年から2002年にかけて少年サンデーで連載された、皆川亮二の大ヒットSF漫画である。
主人公は、右腕にナノテクノロジーで生み出された金属生命体「ARMS」を移植された少年「高槻涼」。彼が同じARMS移植者である3人の仲間と供に、ARMSを狙う謎の組織「エグリゴリ」の刺客と果てない戦いに身を投じていくという物語である。
本作は「人間とは一体何か?」をテーマとしたSF漫画作品でもあり、登場する名言は人間の心や成長にまつわるものが多い。

てめーらは一人一人がしっかり名前を持って、自分の人生の舵をにぎってんだろうが…だったら一般市民なんて顔の見えない名前で自分をよぶもんじゃねえ。

第4巻出典。兜が、レッドキャップスの作戦・スナークハントによって、隼人達を襲おうとした民間人に向かって投げかけた言葉である。

第二部のエピソードで、涼達を捕獲するために新手の超人部隊・レッドキャップスが藍空市に強襲を仕掛けてきた。レッドキャップスは藍空市全体に電波障害をおこして外界との連絡を絶ち、街を封鎖した。そして報道局を乗っ取り、何人かの市民を人質として捕らえ、藍空市の住民達全員に涼達を捕まえさせようとしていた。

部隊の指揮官であるガウス・ゴールの立てた作戦・スナークハントは、民間人を恐怖によって扇動し、彼らに涼達を襲わせるという冷酷な戦術であった。その作戦によって隼人達は追いつめられていった。そんな彼らの前に現れたのは、鐙沢村で涼達と知り合いになった警察官・兜光一であった。彼は隼人達に檄を飛ばし、暴徒と化した民衆に目を覚ますように呼びかけた。それでも耳を貸そうとしない民衆に対し、兜は警察手帳を捨て、1人1人の名前を聞き、彼らを一般人ではなく個人として、自分は警察官ではなく1人の人間、兜光一として「てめーらは一人一人がしっかり名前を持って、自分の人生の舵をにぎってんだろうが…だったら一般市民なんて顔の見えない名前で自分をよぶもんじゃねえ」と語りかけたのである。

兜が民衆に説いたのは、「個人の尊厳」というものの大事さである。スナーク・ハントは民衆の恐怖と怒りを刺激して正常な判断を損なわせて、個人個人が自分の判断に疑いを持ち、行動できなくなったところで、彼らを支配しているレッドキャップスが「涼達を引き渡せば街を解放する」という命令を下し、民衆はそれに従えば助かると思い込むように誘導しているのである。
そして民衆の中には「サクラ」がまぎれこんでおり、彼らが率先して隼人達に怒りの攻撃を仕掛けることで、民衆もつられて、隼人達を攻撃するようになる。
このガウスゴールの策略に涼達も手も足も出なかった。しかし、兜は臆せず堂々と暴徒の前に出て、彼らに正気を取り戻させたのだった。
このエピソードで興味深いのが、隼人達の窮地を救ったのが、エグリゴリに対してこれと言った力を持たない兜であるということである。

暴徒と化した民衆の恐ろしさは日本でも例があり、関東大震災では、井戸に毒を入れられるというデマのせいで、朝鮮人が何人も自警団に殺されそうになる事件が発生した。この時、大川常吉という警察署長が井戸の水を飲んで毒が無いことを証明し、そして暴徒達に向かい堂々と演説をして、彼らを説き伏せていたという事例がある。兜のように言葉で人を説き伏せる者は現実に存在するのだ。

軍隊と警察の違いがわかるかい!?軍隊は敵軍に降伏していいんだ。そのための国際条約まである。だがな、警察は違うぜ。警察は決して犯罪者に降伏しちゃいけないのさ!

第5巻出典。負傷した兜が、近くの建物の中に避難していたときに、偶然中にいたブルーメンのオペレーター「李春香(リー・チュニャン)」に言った言葉である。

レッドキャップスの魔の手から民衆を守るために戦っていた兜だが、負傷して近くの建物に避難した。そんな彼の前に現れたのは、ブルーメンのオペレーター「李春香(リー・チュニャン)」であった。彼女はレッドキャップスは本職の職業軍人で、警察の敵う敵ではないのに、なぜそこまで戦うのかと聞いたとき、兜は「軍隊と警察の違いがわかるかい!?軍隊は敵軍に降伏していいんだ。そのための国際条約まである。だがな、警察は決して犯罪者に降伏しちゃいけないのさ!」と答えた。

兜の言う国際法とは、捕虜や傷病者に対する戦時国際法であるジュネーヴ条約のことである(捕虜は保護され、傷病者には手当てをする義務がある)。戦時下は非人道的な行為が行われので、こうした国際法を取り決めることによってブレーキをかける必要がある。軍隊はあくまで国益をかけた戦いをするので、場合によって撤退や降伏をしたほうがいい時もあるのだ。しかし、警察は市民の安全を守る義務があるので、犯罪者に屈するわけにはいかないのである。
兜の正義感の強さの伺える言葉だが、それだけではない。兜は一見、絵に描いたような熱血刑事に見えるが、実は国家公務員上級試験を優秀な成績で通ったキャリア組であり、この名言からも分かるように実は大変なインテリでもあるのだ。

ファンからも評価の高い名言であり、ARMSという作品は脇役が名言を言うことが多いのが特徴の1つでもある。

スティンガーの名言・名セリフ

スティンガー
優れた身体能力と感覚能力を持つ、強化人間の部隊「ハウンド」の隊長。ギャローズ・ベルを管理しているチャペルの子供達を守っていた。

オレはアルファ・ハウンド、猟犬部隊のリーダーだ。仲間を見捨てるなどという命令をだすくらいなら心臓をえぐり出すほうがましだ!!

第7巻出典。スティンガーが、重傷で戦えない部下達に言った言葉。

第三部、ギャローズ・ベルでの戦いの際、エグリゴリの大部隊によって町は包囲されてしまう。そこで涼は、この街にある地下水脈を使って脱出する作戦を思いつく。そしてその時間を稼ぐために、涼達、チャペルの子供とその家族、そして強化人間(ブーステッドマン)の部隊「猟犬(ハウンド)部隊」が協力しあうことになった。しかし、怪我を負ったハウンドの隊員は自分は足手まといになるからここに見捨てて欲しいと、隊長のスティンガーに懇願した。しかし、スティンガーは「オレはアルファ・ハウンド、猟犬部隊のリーダーだ。仲間を見捨てるなどという命令をだすくらいなら心臓をえぐり出すほうがましだ!!」と言って拒んだ。

ブーステッドマンは、エグリゴリの実験によって、人間をはるかに越える身体能力と感覚能力を持った人間だが、脳内麻薬物質アドレナリンのコントロールが効かず、廃人になってしまう危険性があったため、エグリゴリから「廃棄処分」とされてしまったのである。そんな彼らに救いの手を差し伸べたのは、同じくエグリゴリの実験によって生まれた天才児達「チャペルの子供」だった。
ブーステッドマンになる前、スティンガーには家族がいたが、彼らと別れ、エグリゴリによってブーステッドマンとなる道を選んだ。力が欲しかったのだ。しかし手にいれた力は欠陥品であり、彼は部下と供に死を待つ運命だった。このときスティンガーは心奥底で、家族ではなく力を選んだことに後悔していた。
一方、チャペルの子供達は、大人以上の知能を持っていたことから、親達に疎まれていた。彼ら引き取ったエグリゴリもまた、彼らを実験材料や道具としかみなさなかった。お互い協力し合って、どん底から這い上がろうとしたハウンドとチャペルの子供達は、やがて無くてはならない存在となっていった。

この名言には、スティンガーが自分の大事なものを二度と手放さないという決意が表れている。彼は、部下も子供達も全員守りぬき、涼達と協力して何が何でも全員でこの街を脱出する覚悟を決めていた。

うつむくな!!おまえ自身の戦場を生きろ!!そうしなければならない理由が、おまえにはあるはずだ!!

第7巻出典。地下水脈で、スティンガーが、涼に彼の落としたカツミの写真を渡して、励ましたときの言葉。

ギャローズ・ベルの地下水脈に全員逃げこむことに成功したが、その間に犠牲が出てしまった。そのことで涼は洞窟の中で、これまで自分と関わったために犠牲になった人々の事を思い、落ち込んでいた。そして、涼はこれからも自分に関わってしまった人を犠牲にしてしまうのかと、意気消沈していた。それを聞いたスティンガーは、彼らは涼の戦いに巻き込まれたのではなく、それぞれ自分自身の戦うべき理由のために戦い、死んだのだと言った。そして、涼が戦いの最中で落としたカツミの写真を渡し、涼に「うつむくな!!おまえ自身の戦場を生きろ!!そうしなければならない理由が、おまえにはあるはずだ!!」と言って、自分の戦うべき理由のために戦えと説いた。

スティンガー達も、チャペルの子供達もそれぞれの戦うべき理由があった。誰かのために戦っているのではなく、自分の戦いをしているのだ。そしてスティンガーは涼に彼自身の戦うべ理由を再確認させ、涼を元気付けた。百戦練磨の古兵達を束ねるスティンガーならではの熱い言葉である。

ヨハン・ホルストの名言・名セリフ

ヨハン・ホルスト
エグリゴリからブルーメンへ寝返った、サイボーグ部隊「ドラッケン」の隊長。後背部に装着された蜘蛛の脚のような、鉤爪を武器とする。クリムゾン・トライアッドのリーダー・ガッシュレーとは戦友の間柄。

神にいのるな!心がくじける!過去を思うな!!敵は前にあり!!

第11巻出典。 ドラッケン部隊の隊長ヨハン・ホルストが部下達と供に、カリヨンタワーへ向かう時に、部隊の士気を鼓舞するために言った言葉。

第四部のエピソード、ニューヨークにあるエグリゴリの本拠地「カリヨンタワー」で、ブルーメンはエグリゴリに強襲をかけようとした。しかし、彼らの作戦を察知していたエグリゴリは、カリヨンタワー周辺に、エグリゴリの最強部隊「イプシロンフォース」を配置させていたのだ。
ブルーメンの部隊は、イプシロンフォースによって追いつめられていった。しかし、そこへカルナギ・コウにやられて病院にいたはずの兜が、ブルーメン・ヨーロッパ支部サイボーグ特殊部隊「ドラッケン」を連れて現れた。ドラッケンはその驚異的な強さで、イプシロンフォースの包囲網を強行突破した。カリヨンタワーに入る前に、ドラッケンの隊長・ヨハンは「神にいのるな!心がくじける!過去を思うな!!敵は前にあり!!」と言って士気を鼓舞し、部下を従えてタワーへ突入した。

ドラッケン達は元々エグリゴリのサイボーグ部隊であった。しかし、エグリゴリの考え方に嫌悪を抱き、彼らは反逆する道を選んだ。しかし、ARMSやエスパーと違い、脳以外を機械で作られているサイボーグは、定期的に体をメンテナンスしないとボディーに限界が来てしまうのだが、ブルーメンには彼らの体をメンテナンスするだけの施設や設備は無かった。その為ドラッケンは死んでいった仲間達の体のパーツを再利用して、体を保持し続けていた。

ドラッケン達は、この戦場を自分達の死地とする覚悟を決めていた。戦いに向かう際、彼らが祈るのは神ではなく、パーツになってしまった仲間達の魂。そんな仲間にしてやれることは、目の前にいる敵を倒すことだけである。

主人公達を見守る大人たちの名言・名セリフ

高槻美沙の名言・名セリフ

高槻美沙
主人公である高槻涼の母親。その正体は凄腕の傭兵「ラフィング・パンサー」である。

ふふふ…子育て以上に大変な戦場はこの世にはなかったわ… 確かにあなたは私がおなかを痛めた子じゃない… でも…これだけは覚えていてね。あなたは私が生涯でもっとも心を痛めた自慢の息子よ!!

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