ブッダ(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブッダ』とは、漫画家・手塚治虫が手がけた、仏教を生み出した釈迦こと「ブッダ」の物語についての漫画作品である。少年漫画雑誌『希望の友』(潮出版社)にて、1972年〜1982年まで連載された。後のブッダである主人公「ゴータマ・シッダルタ」が苦悩しつつ仏教をどのように悟ったのかを描き出している。実在の人物と手塚治虫自身の創作の人物が入り混じっているも、2000万部を超える売り上げを記録し、非常に評価されている作品である。

沙羅双樹(さらそうじゅ)

復活・再生・蘇りの象徴。
ブッダが亡くなった時、その場所に生えていた木。
ブッダが亡くなる直前に白い花を咲かせ、死去した後にあっという間に花は散った。

竹林精舎

マガダ王国の王都の近くに建てられた寺院。
ビンビサーラ王がブッダのために建てた。
仏教で初めて建てられた寺院である。
祇園精舎に比べると質素に作られている。

祇園精舎

コーサラ国に建てられた寺院。
ジェータ王子が建設に関わったことから、ジェータ王子の文字、「祇」の字が入っている。
「祇園精舎」とは略称で、「祇樹給孤独園精舎」が正式名称である。
「給孤独」とは、ブッダのために全財産を使い果たした長者スダッタのことである。

『ブッダ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

シッダルタ「死をおそれない秘訣ってあるのかい?」アッサジ「なーんにも考えないことだニャ」

死が怖いシッダルタにとって、死の運命が間近に迫っているにも関わらず平気な顔をしているアッサジが不思議でならなかった。
そこでシッダルタが死を恐れなくなる秘訣をアッサジに問うと、「バカになること」だと言われた。
人間以外の生物たちは死の直前まで自分が死ぬとは思わず、故に死を恐れることもない。
アッサジは死について何も考えずにいることで死を恐れなかったのだった。
シッダルタにも「バカ」になるように言ったが、シッダルタはそう簡単に頭を空っぽにすることができなかった。

ブッダ「百人殺すのはよくない。だがな、ひとり生きながらえさせるのはとうとい百万人になるからな」

地割れの間に落ち込み、もう死を待つのみとなってしまったアヒンサーに向けたブッダの言葉。
アヒンサーは多くの人を殺してきたが、1人だけ赤ん坊を見逃したことがあった。
ブッダはそのことを取り上げ、その見逃した1人が子孫を増やし、百万人に増えるのだと説いた。
アヒンサーが見逃した1人が、いずれ百万人になり、アヒンサーは百万人を救ったことになるのだとブッダはアヒンサーに告げた。
アヒンサーも心の中で人殺しの十字架を背負っており、その言葉を聞いて気が楽になった。
ブッダを憎んでいたアヒンサーだったが、死ぬ直前にはブッダに弟子にしてほしいと頼んだほどだった。

ビドーダバ「ごみためから白いゾウなど生まれるものかッ!!」ブッダ「しかしその白いゾウはあなたを生んだ!!」

ビドーダバが「自分の苦しみはスードラの腹から生まれたことから始まっている」と主張するのに対してブッダが放った言葉。
しかし、ビドーダバの苦しみはそこから生まれたものではなく、「実の母親に悲しい死に方をさせてしまった」という後悔からくるものだった。
それを認めたがらないビドーダバに、ブッダは「貴族の庭園で生まれたどす黒いゾウ」と「ごみためから生まれた白いゾウ」のどちらを敬うか、とビドーダバに尋ね、ビドーダバは答えられずにやけくそになって上の言葉を口走った。
それに対して、ブッダは「白いゾウ」をビドーダバの母親と重ね合わせ、たとえゴミ溜めから生まれようともビドーダバにとっては彼の母親は「白いゾウ」、敬うべき人なのだと告げた。
その言葉を受けたビドーダバは言葉を失い、反論することができなかった。
カースト制と体裁を重んじるが故、ビドーダバはスードラの母親を素直に敬うことができなかったのだ。
しかし、ブッダはカースト制など関係なく、人間は同じ人間であるとビドーダバに説いた。

アナンダ「このアナンダはあなたの教えによって生まれ変わったのです!私という極悪人の人殺しが救われたんですよ!」

弟子のタッタがコーサラ国に戦を仕掛けて死に、シャカ族が滅亡したことを知ってショックを受けたブッダに対して、アナンダが励ましの言葉を投げかけた。
ブッダは自分が今までの人生で教えてきた「因果」が誰にも全く伝わっていなかったのではないか、と自分の人生さえも悲観していた。
しかし、アナンダは元人殺しからブッダの弟子になったことで、人殺しの罪悪感から救われていた。
アナンダはそのことをブッダに伝え、ブッダの教えはしっかりと人を救っているということを告げた。
それを聞いたブッダは元気を取り戻した。

ブッダ「あの微笑みは…まるで……神のようだった」

アジャセの額が腫れ、その腫れを引かせるためにブッダは3年間もアジャセの元へ通い詰めた。
初めは言葉を喋ることさえままならなかったアジャセだったが、やがて言葉も話せるようになり、初めてブッダに笑いかけた。
その笑顔を見てブッダはその笑顔を「神のようだ」と感じた。
そこからブッダは「誰でも人間の心の中に神が宿っているのだ」と悟った。
誰でも神になることができると知ったブッダは、その教えをこれから教えようと心に誓った。

『ブッダ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

多くの架空の人物が存在する

手塚治虫のブッダには手塚治虫自身が創作した架空の人物が複数人いる。
その中には物語の根幹を担う人物もいる。
タッタ、デーパ、ヤタラ、リータ、ハラゲーイ、チャプラ、ブダイ、マリッカ、バンダカ、ベーランダ、ナラダッタ、ミゲーラ、ユーデリカ、以上は皆架空の人物である。

手塚治虫のスター・システムが使われている

手塚治虫の作品には「スター・システム」と呼ばれる、他の作品の人物と見た目が同じなキャラクターが別作品で登場するシステムがある。
今作品でも同じくスター・システムが用いられている。
アッサジは「三つ目がとおる」の主人公「写楽保介」。
ウルヴェーラ・カッサパは「火の鳥」の「未来編」に登場する「猿田博士」。
ナディー・カッサパは手塚治虫作品常連の「フランケンシュタイン」。
若い頃のビンビサーラは同じく手塚治虫作品常連のロック。
ダイバダッタは「火の鳥」の「乱世編」の「源義経」。
タッタは「火の鳥」の「乱世編」の「弁太」。
パンパス刑事は手塚治虫作品常連のヒゲオヤジになっている。

漫画版と映画版との違い

漫画版ではチャプラとシッダルタは出会わないが、映画版ではコーサラ国とカピラヴァストウが戦うシーンがあり、その時に2人は対峙し、チャプラがシッダルタの首を討ち取ろうとする描写がある。
そもそもチャプラは漫画版ではシッダルタが生まれる前に死亡しており、またカピラヴァストウとコーサラ国の戦は漫画版には存在しない。
シッダルタが王宮の外に出る過程は、漫画版ではタッタによって案内された形だったが、映画版では自主的に城を抜け出している。
このように、本筋に大きな違いはないが、所々に漫画版との差異が見られる。

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