やがて君になる(やが君)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『やがて君なる』とは、仲谷鳰によるマンガ作品。同作を元にアニメ化、舞台化、小説化がされている。人に恋する気持ちがわからない小糸侑と、誰に告白されても心動かされることがなかった七海燈子を中心に少女同士の恋愛が描かれている百合作品。
2018年10月から12月まで全13話でアニメ化、2019年5月に舞台化されている。外伝ノベライズとして『やがて君になる 佐伯沙弥香について』も発売されている。

声:森なな子
4月13日生まれ。喫茶店『Echo』の店主。
理子とは大学時代からの恋人関係。自分と同じように女性にしか恋心を抱くことが出来ない沙耶香のことを気にかけており、度々様子を気にかけている。

市ヶ谷 知雪(いちがや ともゆき)

声:興津和幸
12月7日生まれ。理子と同じ市民劇団に所属している男性。彼女持ち。
生徒会のOBで、燈子の姉とは同級生だった。生徒会劇を成功させるため、理子の誘いを受けて生徒会メンバーに演劇指導をする。

『やがて君になる』の用語

遠見東高校

侑や燈子が通う共学の高校。急な坂を登った先に校舎が建っている。
女子制服はジャンパースカートとボレロが印象的で、リボンは学年により色が異なる。一年生である侑のリボンは黄色、二年生である燈子のリボンは赤色で、三年生は緑色となっている。侑は初めて燈子と出会った時、このリボンの色で学年を判別した。
遠見東高校の生徒会室は、使わなくなった書道室だったもの。虫がよく出没するようだ。
『やが君』の舞台を共学の高校とした理由について作者は「女の子だけの世界で女の子を選ぶよりも、男も選べるという選択肢が多い中で、女の子を選んだという形をとるために共学にしました」と語っている。

生徒会劇

遠見東高校の生徒会では、文化祭で劇を行うのが伝統となっていた。ステージを使った出し物を考えた手芸部や美術部などの文化部が共同の企画として持ち込み、演劇部がなかった代わりに当時の生徒会役員が役者を務めたことがきっかけだ。それ以来は毎年の恒例であったが、七年前、燈子の姉である当時の生徒会長・七海澪が他界したことで伝統が途切れていた。
燈子は姉がやり遂げることの出来なかった生徒会劇を成功させるため、自身も生徒会長となり、伝統の復活に力を入れる。

喫茶店『Echo』

遠見東高校の近くにある喫茶店。児玉都が店主を務めている。侑と燈子が生徒会選挙の打ち合わせ場所として使ったことをきっかけに、その後も生徒会劇の相談や、歓談の場として登場する。
都には店を大きくしたいという展望があり、二号店の進出なども考えているようだ。目玉となる看板メニューを考案中で、都は有名店への視察も怠らない。現在提供しているメニューはコーヒー、カフェオレ、紅茶の他、サラダとヨーグルトつきのエビドリアセットなどがある。

『やがて君になる』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

燈子「私の好きってこういうことしたい好きだったんだ」

燈子もはじめは自分の気持ちに対して手探りの状態だった

侑に対して特別な感情を覚え始めていた燈子だが、侑の反応は鈍かった。ただでさえ女同士である上に、侑には誰かを特別に思う気持ちがない。たとえ異性同士であったにしても、侑が燈子を好きになることなどありえない。その言葉を聞いた燈子は、人目のある外であるにも関わらず唐突に侑の唇を奪ってしまう。
『私の好きってこういうことしたい好きだったんだ』
誰に対しても感じた事のなかった胸の高鳴りを侑に感じた燈子は、曖昧だった自分の「特別」をこの瞬間に意識する。

侑「ずるい」

侑らしくない表情が、強く印象に残る

侑を特別に感じ、意識し始めた燈子。彼女がふとした拍子に見せる恋する表情に気が付いた侑は、あえて自ら燈子の手を握った。些細な接触にも恥じらう燈子の姿に、侑は強い嫉妬を感じる。
『ずるい』
誰のことも特別に感じたことのない燈子は自分と同じ人間だと思っていたのに、燈子は既に「特別」を知ってしまった。侑は、ただ手を握っただけで心動かされる燈子を羨ましく感じる気持ちと、ようやく見付けた自分と同じ心を持つはずだった人を失ってしまった寂しさを同時に味わう。燈子に対して抱いていた期待は消失したにも関わらず、何も求めないから好きでいさせて欲しいと願う燈子の気持ちを拒むことが出来なかった。
弱っている人や助けを求めている人に優しくするのは普通だと言う侑だが、燈子の気質に対しては『ずるい』と度々表現することがある。特別を知った燈子の近くにいることは、侑にとって眩しい思いをするだけに他ならない。しかしそれでも傍にいることを選択したことは、燈子を「特別」に思うきっかけだったのかもしれない。

槙「君と僕を一緒にしないでよ」

槙と侑には明確な違いがある

燈子に告白を受け入れてもらえなかった侑は、自分が誰かを特別に思えることはないのだと諦めようとしていた。恋愛は他人がするもので、自分はそれをただ楽しむだけだという槙の在り方に、侑も自分もそうあれたらという希望を口にした。しかし、それは逃げだと槙は言う。
『君と僕を一緒にしないでよ』
誰かを好きになる気持ちがもうわかっているはずの侑がそれを認めないのは、燈子に思いを受け入れてもらえなかった事に傷つかないように自分を誤魔化しているだけに過ぎない。槙は、自分と侑が別の種類の人間であるとはっきり言い切った。誰かに恋する気持ちを持たない槙だが、他人を特別に思うことが出来る人に尊敬の意を抱いている。だからこそ侑には自分の気持ちを偽らずにいてもらいたいと願うと同時に、叶うならば幸せな結末があることを祈っていた。

こよみ「この憧れをそんな子供っぽい片思いになんかしてやらない」

恋愛関係だけが「特別」ではない

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