魔法にかけられて(Enchanted)のネタバレ解説まとめ

『魔法にかけられて』とは、2007年にウォルト・ディズニー・ピクチャーズが製作したミュージカル映画。ディズニー伝統のアニメーションと実写を融合し、過去のディズニー作品からのセルフパロディや楽しいミュージカルナンバーを随所にちりばめて描いたファンタジック・ラブ・コメディ。王子との結婚式の日に魔女に騙されて現代のニューヨークへと送り込まれたおとぎの国のプリンセス・ジゼルは、見知らぬ世界の中で困り果てていた時、弁護士の男性・ロバートと出会い、やがて彼に惹かれていく。

夢は本当に叶うわ。とても素晴らしい事がいつか起きるのよ。

ロバートは娘のモーガンを連れてジゼルとレストランで食事をする。ジゼルははしゃぐモーガンを見ながら「ママがいなくてかわいそう」と呟き、そこからロバートとジゼルは彼の別れた妻の話をする。そして再びモーガンの話になり、「あの子にはもっと強くなって欲しいんだ。現実の世界に立ち向かえるように。だからおとぎ話なんて聞かせない。”夢はかなう”なんて絵空事は信じてほしくない。」とロバートは言う。その言葉に対しジゼルが「夢は本当に叶うわ。とても素晴らしい事がいつか起きるのよ。 」と返す。

このシーンの冒頭で、ジゼルが2人での食事に対し「デートね」というと、ロバートは「そう」と答えた後「いや違う友達だ」と慌てて返事を訂正する。またロバートは「夢は本当に叶うわ」というジゼルの言葉に、彼女が夢の世界から来たと言っている事を思い出し「きみの性格を忘れてた」と彼女の反論に納得する。ロバートのジゼルに対する思いと、ジゼルのロバートやモーガンに対する思いがそれぞれストレートに伝わる名シーン。子供には希望をもたせてあげたいと願うジゼルの名セリフである。

うまくいかないときだってあるわ。 だからって、 いいときまで捨てる必要がある?

映画の前半、ロバートが担当する離婚案件の当事者夫婦は、何も知らないジゼルのお節介で険悪なムードになってしまう。その夫婦が後半再び登場し、ロバートと話をする。離婚を進めているとばかり思っていたロバートは、仲睦まじく振舞う夫婦の幸せそうな態度に戸惑い、「離婚は?」と尋ねると、妻の女性が「うまくいかないときだってあるわ。 だからって、 いいときまで捨てる必要がある? 」とロバートに返した。

ジゼルのお節介が実は愛のキューピットだったという事実を思い知らされたロバートの呆然とした表情が印象的なシーン。ロバートに返した妻のセリフは「一時の感情に流されて大切な人を失うことは馬鹿げている」ということに気付かされる名セリフである。

お願いだ。僕を置いていかないでおくれ。

ジゼルは老婆に姿を変えたナリッサに差し出された毒リンゴを一口かじり意識を無くしてしまう。ロバートはエドワード王子に「真実の愛のキスでジゼルを救えるのでは?」と提案する。早速エドワード王子がキスを試みるがジゼルは目覚めない。そこでもしやと思った王子とナンシーがロバートにキスをするよう求める。「自分のはずが無い」と戸惑うロバートだったが、素直な気持ちになりキスをする直前に「お願いだ。僕を置いていかないでおくれ。」と ジゼルに呟いた。

このキスによってジゼルは目を覚ます。ロバートとジゼルの愛が決定的となる名シーンであり、ディズニーの名作『美女と野獣』のヒロイン・ベルが野獣にキスをする前に呟くセリフと同じ名セリフでもある。

『魔法にかけられて』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

計画変更・延期が繰り返された製作過程

本作の製作過程において、本作の脚本家ビル・ケリーの書いた最初の脚本を、タッチストーン・ピクチャーズ(ディズニー映画部門の一つである映画会社)とSonnenfeld/Josephson Productions(『アダムス・ファミリー』『メン・イン・ブラック』の監督バリー・ソネンフェルドとプロデューサーのバリー・ジョセフソンのプロダクション)が購入。『アンツ』の脚本家トッド・アルコットが脚本を書き直し、『シカゴ』のロブ・マーシャル監督により2002年に製作される予定だった。だが製作サイドのトラブルでこの話は頓挫。翌2003年には『ヘア・スプレー』のアダム・シャンクマン監督で、ロバート・スクーリーとマーク・マッコークル(どちらもアニメーション映画が主体の脚本家)が脚本を書き直したが、この話も流れてしまった。そして、2005年の5月、ようやく本作の監督ケヴィン・リマの起用と、脚本はビル・ケリーが再び手掛けると報じられ、この時点では同年9月から製作が開始されることになっていた。だがキャスティングも決まっておらず、結局2006年の4月から撮影が開始された。

ジゼル役は有名な女優を割り当てる予定だった

2005年11月の製作当初、本作のジゼル役をディズニー側はより有名な女優を割り当てることで考えていた。だが監督のケヴィン・リマは、ジゼルの役柄を引き立てるために映画への出演数が少ない女優を探していた。そこで決まったのが、その年2005年の映画『Junebug』(日本未公開)の主演女優でデビュー6年目の31歳にしてようやく注目された女優エイミー・アダムスだったという。そしてロバート役には、「現代のチャーミング王子」を想定して、TVドラマ『グレイズ・アナトミー』でブレイクしたパトリック・デンプシーが起用された。

途中で変わるスクリーンサイズ

本作の冒頭(オープニングからジゼルが井戸に落とされるシーン)14分間のスクリーンサイズは従来のアニメーションと同じアメリカンビスタサイズ(1.85:1)であるが、そこから映像が実写に切り替わるとスクリーンサイズはシネマスコープサイズ(2.35:1)へと拡大する。これは世界観をより広く見せるための表現として用いている。過去のディズニー映画においては『ブラザー・ベア』で同じ手法を用いているが、こちらはオールアニメーションであり、主人公の成長に合わせた表現となっている。

視覚効果には多数の制作会社が参加

本作の製作時には、ウォルト・ディズニーはセルアニメーション(セル画を用いて製作されるアニメーション)部門をすでに閉鎖していた。そこで本作中に登場するセルアニメ部分の製作を、カリフォルニアの都市パサデナにあるアニメーション会社、James Baxter Animationに委託した。創業者のジェームズ・バクスターは過去にディズニーやドリームワークスに在籍していたイギリス出身のアニメーターで、過去にディズニーのキャラクターを多数手掛けている。
また、この映画の視覚効果の多くは『ロボコップ』シリーズや『ジュラシック・パーク』などを手掛けたアメリカのVFX制作会社、ティペット・スタジオが担当。掃除のシーンに登場するネズミ、鳩、ゴキブリや公園のシーンに登場する白い鳩の画面合成や、リスのピップやナリッサの化身である竜のモーションキャプチャ(現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術)の作業を行っている。ただし掃除のシーンではゴキブリはすべてCGだが、ネズミと鳩は本物が登場し、CGとの見分けを付きにくくしている。さらに、CIS Hollywood、ReelFX、WETAデジタル、といったVFX制作会社も視覚効果に参加している。

過去のディズニー作品に登場した役者がカメオ出演

過去のディズニー作品に出演した役者や声優が、本作中の所々でカメオ出演している。
・ロバートの弁護士事務所のシーンに出演する秘書の女性“サム”役:ジョディ・ベンソン(『リトル・マーメイド』のアリエル、『トイ・ストーリー』シリーズのバービー、『フラバー』のウィーボなどの声を担当した声優)
・セントラル・パークでダンスを踊る長身の老人:ハーヴェイ・エヴァンズ(『メリー・ポピンズ』の煙突掃除屋の一人に扮したダンサー)
・エドワード王子がホテルで観るTVドラマに出演している女優役:ペイジ・オハラ(『美女と野獣』のベルの声を担当した声優)
・エドワード王子がアパートのドアを次々ノックするシーンで最初に登場する妊婦役:ジュディ・クーン(『ポカホンタス』のポカホンタスの歌唱部分を歌うシンガー)
・ナレーター:ジュリー・アンドリュース (『メリー・ポピンズ』のメリー・ポピンズ役、『プリティ・プリンセス』のクラリス・レナルディ女王役の女優)

本作公開以降のディズニー作品への伏線がある

『魔法にかけられて』には、以降に公開されるディズニー作品に関連するシーンが登場している。

2009年公開『プリンセスと魔法のキス』に関連するシーン(『プリンセスと魔法のキス』は、グリム童話「かえるの王さま」を劇中話に引用したり、パロディとして使用している作品)。
・冒頭、ジゼルの家のシーンで、窓から入ってくるカエルのアップ。また頭に乗る石鹸の泡が王冠のような形。
・エンディングのスタッフロールの背景に「かえるの王さま」のシルエットが映る。

2010年公開『塔の上のラプンツェル』に関連するシーン。
・ジゼルが公園で「That's How You Know」 を歌っているとき、野外劇場で上演されている劇が「ラプンツェル」。

『魔法にかけられて』に登場するパロディ

過去のディズニー作品からのセルフパロディ

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