エガオノダイカ(The Price of Smiles)のネタバレ解説まとめ

『エガオノダイカ』とはタツノコプロの創設55周年記念作品として制作されたオリジナルアニメ。
ソレイユ王国の王女ユウキ・ソレイユとグランディーガ帝国の軍人ステラ・シャイニングという対局的な人生を送って来た二人の主人公が出会うまでを描いている。
戦闘ロボットによる戦争ものという人気の高いテーマで期待も高かったが、主人公であるユウキとステラの活躍は数えるほどしかなく、戦争も消化不良のまま終わり、名作になる要素を持ちながら不発に終わった「惜しい」作品として話題になった。

決死の覚悟というより、完全に死ぬつもりのハロルドは、決して戻れない戦場に部下を巻き込んでしまった事を詫びるが、部下達は「殿を務めるのは騎士の誉れ」と、ハロルドと同じく覚悟を決めていた。

味方が次々と脱落する中、ただ一人残ったハロルドは以前ピアースを仕留めようとした時に妨害した敵の隊長機(操縦者は恐らくゲイル)と再び対峙する。

お互いに至近距離で撃ち合う、壮絶すぎる銃撃戦の末、ハロルドは致命傷を受けると、ユウキに対して「あなたの前途に喜びと栄光あれ」と言い残して息を引き取り、相撃ちとなった帝国のテウルギアも爆発する。

それから程なくして偵察から戦闘が終了したとの報告が入るが、死ぬつもりで出撃したハロルドが「今から合流する」という報告をよこさないという事は、この戦闘でハロルドが戦死した事を意味していた。

既に安全圏まで退避していたエクセスアルカ艦内は悲しみに包まれるが、ユウキは涙を流しながらも「全速前身、立ち止まっている暇はありません」と、出撃前にハロルドから言われた言葉を使い、州都エディネルへの進軍を命令した。

『魂の発火』 - "The Ignition of Souls"

自分達の酒を没収したゲイルに対してヒューイが「クソ親父」と不満を漏らす一方で、ガイはゲイルが率いる分隊の雰囲気を気に入っていた。

時間は少し巻き戻り、前回の戦闘までを帝国視点で追う。

連戦連勝に見える帝国だが、長引く戦闘で前線で戦う兵士は疲労の限界であり、決して士気は高くなかった。

厳しい寒さから間もなくやって来る冬の気配を感じつつ、ヒューイとガイは暖を取るため酒を飲む。

ガイから渡された酒に喜ぶヒューイだが、任務中という事でゲイルから酒を没収されてしまう。
ヒューイが「人の粗ばかり探すクソ親父」と不満を漏らす一方で、ガイは自分の前の部隊にいた隊長はプライドばかり高く、隊員達と上手くいっていなかった事を話す。
それに比べたら隊員としっかりコミュニケーションを取っているゲイルはいい隊長であり、彼が率いる分隊の雰囲気をガイは気に入っていた。

これまで自分達で車両を運転して移動していた帝国軍だが、移動目標が変わる可能性があるとの事で進軍は一時停止となり、次の作戦が決まるまで待機となる。
彼らにとって待機時間=休憩時間ではあるが、その間に自分達の機材をメンテナンスするよう告げられ、しかもメカニックは他のチームの機材を見ているためビュルガー分隊には手が回らない状態だった。

そうなると自分達でテウルギアのメンテをするしかなく、貴重な休憩時間を休む事に使えない状態だった。

寝ている暇はないと嘆くガイだが、疲労の溜まっている隊員を見てゲイルは隊員に束の間の休息を与える事にする。
またゲイルは任務中に飲酒をしていたヒューイとガイに対して「寝てても飲んでても構わんぞ。それまでに酔いを覚ましてくれればな」と、皮肉満載のジョークで二人を苦笑いさせるなどユーモアがあるところを見せてくれるなど、長い間隊員と過ごす事により彼らと打ち解け、本来の気のいい性格を見せるようになっていた。

ある意味「本職」であるゲイルとともに、ステラとリリィは子供達との交流を楽しむ。

久々の自由時間が与えられ、意気揚々と街に繰り出すリリィとステラは、街で戦災孤児に出会う。

(悪い意味で)独特な美的センスを持つリリィが微妙なデザインのグッズを見ていたところ趣味が変と言われたのが出会いのきっかけだったが、自身の美的センスを馬鹿にされたリリィは相手に対してうっかり「親の顔が見たい」と言って相手を傷付けてしまう。

孤児であるとは知らなかったとはいえ、自分の無神経な発言により相手を傷付けてしまった事を反省したリリィは、罪滅ぼしのため戦災孤児が集まる老夫婦の家に物資を差し入れたいとゲイルに申し出、ゲイルもそれを快諾する。

ゲイル、ステラ、リリィの三人で老夫婦の家に向かうと、中にはたくさんの子供達がいた。

老夫婦の話によると「最初は面倒を見るつもりはなかったものの自然と集まって来た」との事で、今では老父がベッドで寝たきりという事もあって子供達が面倒を見てくれている状態だった。

実際に自分で孤児院を経営しているゲイルはたった二人で子供達の相手をする事の大変さを分かっており、いつまでもこのまま二人だけで子供達の面倒を見る事は難しいと夫婦に対してはっきり言う。
だが、子供達には厳しい言葉は一切出さず、手品を披露して楽しませるなどさすがの手腕を見せ、子供達の心を瞬時に掴んでいた。

隊に戻るためゲイルは一足先に家を後にするが、その後も家に残ったステラ、リリィと子供達との交流は続き、子供達と楽しい時間を過ごしていた。

自分の「居場所」とは何か分からず悩むステラに対して、リリィは自分達のいる分隊がステラの「居場所」と思って欲しいと打ち明ける。

子供達との交流を楽しんだ後、ステラは自分に飴をくれたエマという少女が老夫婦の家を自分の居場所として気に入っている事を思い出していた。

ステラが養子に出された家を抜け出して、生きるため軍に入った描写は度々描かれていたが、軍に入るまで行っていた路上生活は想像以上に過酷なものであり、軍に入っても自分の居場所を感じていた訳ではなかった。

それに対してリリィはこれまで苦楽を共にして来た分隊の雰囲気を気に入っており、隊のメンバーに対して家族に近い感覚を覚えていた。
勿論、リリィが家族と思っているメンバーにはゲイルも含まれており、当初は不愛想だったゲイルに対してリリィも不信感を隠そうとしていなかったが、隊員と打ち解けて本来の厳しくも優しい性格を見せるようになってからは「口うるさいお父さんみたい」と呼ぶほど慕うようになっていた。

なので、ステラもみんなのいるこの分隊が居場所と思って欲しいとリリィは言うが、ステラは分隊が自分の居場所とまだ自信を持って言えないため、いい返事をする事が出来なかった。

当初の作り笑いしか見せなかった頃から段々と感情を見せるようになって来たステラを見て、ゲイルは最近の彼女の変化を悪くないと思っていた。

ステラ達も戻り、夜通しのメンテを続けるビュルガー分隊だが、自分の居場所とは何か、ずっと考えていたステラは作業に集中出来ず、機材を移動用車両にぶつけてしまう。
手伝ってくれたメカニックも既におらず、一同は途方にくれるが、仕方ないのでブレイク達を先に行かせ、ステラとゲイルは車の修理をする。

集中していなかった事も含めらしくないミスをしたステラだが、当初の感情を何処かに置き忘れたような作り笑いしかしなかった頃の事を考えたら人間らしくなっており、ピアースの死をきっかけに次第と感情を見せるようになったステラの変化をゲイルは「悪くない」と思っていた。

またゲイルは、戦争によって孤児を作り出しているのは自分達であり、子供達に戦争だけではない、これまでと違う未来を見せる「責任」があると自身が孤児院を経営する理由を明かす。

真面目な話なのでステラも真剣に聞いているが、ゲイルは余所見運転をするステラを見てまたぶつけられたら困ると運転に集中するよう言う。

それを聞いたステラは先程リリィの言った「口うるさいお父さんみたい」という言葉を思い出していた。
リリィは勿論、ステラも大真面目でその言葉を口に出すが、それを聞いたゲイルは「子供はもう十分」と本気で驚いたような表情で答える。

基本的に不愛想で仏頂面しか見せなかった事もあり、これまで見た事のないゲイルのリアクションを見たステラは久し振りに心からの笑顔を見せる。
それを見たゲイルも普段は子供達にしか見せない笑顔で大笑いするなど、当初は無愛想だった彼も隊員と長い間時間を共有する事で本来の姿を見せるようになっていた。

隊員達にこの戦争に生き抜くよう言い残し、ゲイルは戦死する。

ここから話は先週の戦闘シーンとなり、ゲイルは弾切れを起こしハロルドに追い詰められたステラを守るためハロルドの前に立ちはだかって相撃ちとなる。

自身の乗ったテウルギアが爆発する直前、ゲイルが最後に残した言葉は「生き抜け。そして、見届けてくれ。戦いの終わりを…そこから始まる明日を」だった。

その後、ハロルドの遺体は帝国に回収され、アイネ主導によって盛大な葬儀が行われる。
これは王国の騎士団総長であるハロルドを悼む事によって王国の厭戦気分を煽るプロパガンダであり、心からハロルドの死を悼んでいる訳ではなかった。

一方、テウルギアの爆発に巻き込まれたゲイルの遺体は残っておらず、ステラ達は悼むべき相手の亡骸と対面する事も出来なかった。

隊長を失ったビュルガー分隊の士気低下は著しく、次の戦地に赴く彼らにいつもの明るい雰囲気は微塵も感じられなかった。

『二人の決意』 - "The Resolve of Two"

ゲイルを失った影響は大きく、ヒューイとステラによる殴り合いの大喧嘩にまで発展してしまう。

帝国がプロパガンダとして行ったハロルドの葬儀により、王国軍の士気は下がり投降兵が増えるなど意図した通りの結果を出していた。

とはいえ、それで帝国軍の死者が減る訳ではなく、最前線で戦うビュルガー分隊は敵を弔うなら自軍の戦死者を弔って欲しいと不満を募らせる。

隊長であるゲイルを失って以降いつもの明るさが消えてしまった分隊だが、リリィはお世話になったお礼としてみんなでゲイルの孤児院に送金する事を提案し、隊員もリリィに賛同する。

しかし、ヒューイだけは「死んだ奴への義理立てはただの自己満足」と賛同せず、戦闘でも一人だけ突っ走るなど無謀な行動を取っていた。

今回の戦闘に於ける「暴走」は無線の故障という事にして上層部には何とか押し通せたものの、戦闘で勝手に突っ走ったり、戦死したゲイルを馬鹿にしたりと最近のヒューイの言動は隊員にとって決して許せるものではなく、ステラと殴り合いの騒ぎにまで発展してしまう。

ピアースの死を知った時も死んだ彼を侮辱するような発言でステラを激怒させていたが、今回もゲイルを侮辱するような暴言に近い発言をした挙げ句、隊員と喧嘩を繰り広げるなどヒューイは完全に悪者になっていた。
だが、給与が支給されゲイルの孤児院に送金しようとしたステラ達は隊員の誰よりも早く、既にヒューイが送金に現れていたという事実を知る。

口の悪さを逆手に取って自分が憎まれ役となるのは、戦争という誰が悪い訳ではない、やり場のない周囲の怒りを自分に集めるのが辛い時に自我を保つ、ヒューイなりのやり方だった。

視聴者は彼の言動が本心ではない事は、7話でピアースの死を知った瞬間にヒューイが誰よりも悔しそうな顔をしていたので分かっているが、ステラ達はヒューイの態度が偽りである事を今の今まで知らなかったため、口では馬鹿にしつつも誰よりも先にゲイルの孤児院に送金する義理堅さを持ったヒューイの天の邪鬼ぶりを見たリリィは「ひねくれ者」と呆れていた。

これまで防戦一方だった王国が動きを見せ、ユウキがハリアント奪還を宣言する。

一方、これまで防戦一方だった王国側も動きを見せる。
ユウキは帝国に向けた放送を行い、これまで秘密裏に開発していた砲台が完成した事と、この砲台を武器に王国はハリアント奪還に向かう事を宣言する。

これまで戦闘に消極的だったユウキがいきなり好戦的な態度を見せるようになった事にアイネは違和感を感じるが、冷静に考えてユウキの行動には疑問な点が他にもあった。

デモンストレーションとして岩山を吹き飛ばすなど新兵器の威力は凄まじいものの、それを敵にわざわざ見せるのは相手に対して自軍の切り札の情報を与える事になる。

帝国が王国に降伏を迫るために威嚇射撃をするならともかく、この状況で王国が帝国に宣戦布告をするのは裏があると考えるのが自然だった。

戦争を終わらせるため、ユウキは星全体のクラルスを止める事を決意する。

視点は王国に移り、ユウキが先程の行動と発言の真意を語る。

秘密兵器として披露した移動砲台はまだ未完成の試作品であり、言ってしまえばハリボテだった。

それでハリアント奪還など出来るのかという話だが、ユウキの狙いは旧ベルデ皇国領にあるクラルスの研究施設であり、帝国軍が移動砲台を装備したエクセスアルカを前に釘付けになっている間に件の研究施設に向かい、戦争を終わらせるために現在のソレイユ王国の技術を使ってこの星のクラルスを完全停止させるのが彼女の目的だった。

移動砲台の役目は帝国軍の足止めで、ユウキが旧ベルデ皇国領に向かうための時間稼ぎでしかなかった。

確かにクラルスを止めればテウルギアは使えなくなり、兵器による戦争はなくなるものの、これまでクラルスに頼っていた文明はどうなるのか。

「人類の歴史は争いの歴史」とハロルドが言っていたように、クラルスがなくなったら王国帝国関係なく残された少ない物資を素手で奪い合う未来しか見えず、ユウキ主導でソレイユ王国が炊き出しや食料の配給をして平和に解決するとは到底思えない。
星のみんなを笑顔にするというユウキの理想は立派だが、自分が民を纏める事で争いがなくなると考える彼女の考えは甘すぎであり、クラルスのエネルギーを失った事により不便で辛い生活を強いられた人々からユウキに対して非難が起きる事は必至だった。

ユウキ自身、クラルスを止めれば世界が平和になるという自分の考えが甘い事を認めながらも、これ以上の犠牲者を出さない事を最優先に考え、ある意味文明を滅ぼそうとしている自分に対して今後起きるであろう世界中からの非難も、全て一人で受け止める覚悟だった。

イザナの死を知ったノエルの涙に心を痛めつつ、ユウキは最後の戦いへと向かう。

最後の戦いへと向かう前に、ユウキはノエルの元に向かい、イザナが既に死亡している事を告げる。

ノエルを悲しませないようにと彼女には事実を伏せ、エリザにだけイザナの死が伝えられていたが、長い時を経てようやく伝えられた父の死を受け入れられず、ノエルは「ユウキ様の嘘つき」と泣き出す。

覚悟も予想もしていたとはいえ、目の当たりにすると想像以上に辛いノエルの涙に心を痛めつつ、ユウキは戦争を終わらせるため、ヨシュアの形見であるぬいぐるみと、何も知らず幸せに過ごしていた時にみんなで撮った写真を残し、最後の戦場へと向かう。

旧ベルデ皇国領へと急ぐユウキだが、リリィに姿を見られてしまう。

時間稼ぎ要員であるエクセスアルカを最前線に残し、ユウキ達が僅かな手勢とともに旧ベルデ皇国領へと向かう中、ビュルガー分隊が向かうよう指示された配置は最前線から2000キロも離れた僻地だった。

ユウキが戦争を終わらせるためクラルスを止める(文明を滅ぼす)事を決意をしたように、ステラもゲイルに言われた、戦争の終わりを見届けるため誰も死なせないという決意とともに最後の戦場にいた。

王国軍が現れるのか疑わしい僻地で監視を続けるステラ達だが、そこに王国軍が現れる。
少数のテウルギアに守られながら移動している車を見て辺境伯の誰かが逃亡していると当初は思われたが、車の窓から人の姿が見える。

車を追跡していたリリィが映像を拡大して窓から見えた人物が明らかになるが、その人物はソレイユ王国の王女であるユウキ・ソレイユだった。

一方、ユウキの元にも帝国軍に自分達の行動が気付かれたという報告が入り、ユニが迎撃に向かう。

王国と帝国の最終決戦が近付くとともに、ユウキとステラが出会う瞬間は目の前まで迫っていた。

『笑顔の代価』 - "The Price of Smiles"

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@mattyoukilis

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