エガオノダイカ(The Price of Smiles)のネタバレ解説まとめ

『エガオノダイカ』とはタツノコプロの創設55周年記念作品として制作されたオリジナルアニメ。
ソレイユ王国の王女ユウキ・ソレイユとグランディーガ帝国の軍人ステラ・シャイニングという対局的な人生を送って来た二人の主人公が出会うまでを描いている。
戦闘ロボットによる戦争ものという人気の高いテーマで期待も高かったが、主人公であるユウキとステラの活躍は数えるほどしかなく、戦争も消化不良のまま終わり、名作になる要素を持ちながら不発に終わった「惜しい」作品として話題になった。

傷病兵を乗せた輸送ホバーに乗り、新天地での生活を心待ちにしていたピアースだが、国境付近で何者かに襲撃され乗組員全員が命を落とす(重要な伏線と思われたが、誰が襲ったのかは最後まで不明というスッキリしない結末だった)。

ゲイルから悲報を伝えられたビュルガー分隊は悲しみに包まれるが、ヒューイは悔しい感情を押し殺すように笑顔を作り「こんなもんだろ、現実は。惨めな奴が夢見たところで…シケた未来が待ってるって訳だ」と、この場で絶対に言ってはならないピアースを侮辱するような発言をしてしまう。

それに一番怒りを示したのはステラで、ヒューイに殴り掛かるが、ヒューイは左手でステラの拳を受け止めると「笑うしかねぇんじゃなかったのか?こういう時も」と言い残して部屋から去る。

残されたステラはいつものように笑顔を作ろうとするが、今回ばかりは笑顔を作る事が出来なかった。

『最後の伝言』 - "The Final Message"

侵攻する帝国軍を手玉に取るなど、ユウキは戦術家としての才能を開花させつつあった。

ユウキが王都を脱出してから早くも2ヶ月半が過ぎた。

帝国の侵攻は続き、ユウキが逃げ込んだレオ・タクラス州にも攻撃を仕掛けていたが、王国軍を指揮するユウキは山のような戦術書を読んで研究し、侵攻する帝国軍を手玉に取っていた。
ユウキが指揮官としての才能を開花させつつある一方で、戦闘に勝利したら敵の残党を追撃せず即座に自軍を撤収させるなど、相変わらずの甘さも目立ち、敵の戦力を削るチャンスを逃し続けるユウキの命令にハロルドは明らかに苛立っていた。

一方、捕虜生活が続くイザナはアイネから「帝国内部でイザナの命を狙う者がいるとの情報が入った」という理由で隔離され、帝国に対して有益な情報を提供するよう「脅し」を受けていた。
「有益な情報提供をすれば命は助かる」という都合のいい話をしている時点で、自分の命を狙う「何者」かは目の前にいるアイネ・フリートである事は明らかだったが、イザナは顔色を変える事なく、帝国に対して一つの情報も出さなかった。

アイネは準備が整い次第イザナを帝国に移す(王国の残党を降伏させられない捕虜は用済みである)事を告げ、王国で過ごす残された日々を有意義に過ごすよう言い残して部屋を去った。

不器用な面を見せながらも、ユウキはノエル達と食事を楽しむ。

その頃、イザナと離れ離れになっているエリザとノエルの家にユウキとレイラが食事を作るため訪れていた。

ナスを上手く切れず、意外とユウキは不器用という新たな一面が見られるなど楽しい食事会は進むが、食事中にここ数年作物の出来が良くないという話題になる。

収穫が良くないという話自体は初期の段階から触れられており、農作物の生産力を上げる(そのための栽培装置をこれまで以上のスペックで起動させる)ためにも新型クラルスが必要であるとイザナは言っていた。
自分達の話題の中心になっているイザナを取り戻すためにもユウキは戦争を一刻も早く終わらせたい気持ちだったが、イザナを心配するユウキに対してエリザの言った「あの人なら大丈夫ですよ。ああ見えてしぶといですから」という言葉は、いわゆる「死亡フラグ」にしか聞こえなかった。

そのイザナは、監視カメラからアイネがグランディーガ帝国の皇帝と会話する姿を見ていた。

アイネは新型クラルスが実用段階ではないと新型クラルスの実戦配備を渋るが、皇帝はアイネが消極的な理由として「ベルデ皇国の研究結果」という気になるワードを発する。

ベルデ皇国とはかつて存在した、現在は存在しない国で、12年前のテロを起こしたのはベルデ皇国の生き残りだった。
レイラの話によるとベルデ皇国は事件を起こす以前からクラルスを否定していたとの事だが、何故彼らが新型クラルスを目の敵にしていたのか、その理由を王国側の人間は誰も知らなかった。

帝国軍の大規模な出撃は、イザナにとって待ちに待った瞬間だった。

翌日、ついに帝国が動き出す。

偵察によると敵は大戦力との事で、北ロビア州かセラス州のどちらかが狙われているとの情報が入り、ユウキは得意の焦土作戦(相手が狙っている土地を空にしてから一旦帝国に占領させ、帝国軍が収穫なしと相手が引き上げた後に改めて領地を取り戻す策)を採用する。

ハロルドは、どちらかの土地を取られれば攻撃を止めるのが難しくなると応戦を主張するが、ユウキは人さえ無事ならいつか好機は訪れるとブレない態度だった。

ユウキが作戦の開始を宣言する一方、それとほぼ同時に、ラングフォード家ではエリザの陣痛が始まっていた。

イザナは相変わらず部屋で軟禁状態であり、第二子の誕生が目の前に迫っている事は知らなかったが、帝国が大戦力で出撃するところは彼の部屋からも見えていた。
帝国が大戦力を投入したという事は、王宮に残った兵士は少ない(警備が手薄)という事であり、イザナも生きて家族と再会するため、油断していた監視の兵士を殴り倒して銃を奪うと、部屋から脱出する。

戦闘の方針を巡り、ユウキとハロルドはお互いの主張を対立させる。

その頃、ユウキはアイネから入電を受け、僅かな戦力で二ヶ月半も粘ったユウキに対して敬意を表するとともに、改めて降伏の意思はないか最終勧告が行われる。

僅かな時間ながらもアイネと会話する機会を得たユウキは「ベルデ皇国」の名前を出すが、その瞬間にアイネの顔色が変わった事を見て、彼女がベルデ皇国の研究内容と、残党がテロを起こした理由を知っている事を確信すると、民の身の安全とベルデ皇国に付いての情報開示を降伏の条件に出す。

ベルデ皇国とは何なのか、現段階で帝国の関係者以外分からないが、余程それが重要な事なのか、アイネはユウキの出した条件を拒否する。

帝国側が降伏の条件を受け入れなかった事により交渉は決裂となるが、それとほぼ同時に偵察から味方部隊が待ち伏せにあったとの報告が入る。

状況に応じて細かいところは変えていたとはいえ、さすがにワンパターンの戦術は通用しない(そもそも同じような作戦が二ヶ月半も通用している時点で帝国に本気で戦争で勝つ気があるのか疑うレベル)だが、援軍にやって来たユニとルネから州境付近の部隊が全滅したとの報告が入る。

そして、ユニ達の目の前にアイネを乗せた敵艦があるとの事でユニとルネは敵艦だけなら落とせると特攻を志願する。

一貫して犠牲を出さない事を念頭に置いているユウキの性格を考えれば分かる通り、答えは当然ノーだった。

ハロルドは「この期に及んでまだそんな事を言っているのですか!」と語気を強めるが、ユウキも「私はこういうやり方しか出来ないの!」と一歩も引かない。

捕虜となっているはずのイザナからの通信に、ユウキとハロルドは驚く。

そんな中、何故か王宮から緊急入電が入る。

連絡をよこした相手は、ユウキ達から捕虜になっていると思われていたイザナだった。

部屋から逃げ出した後、イザナはベルデ皇国の科学者によるクラルスの研究報告を発見しており、イザナによるとソレイユの未来を左右するほどの重要な情報だった。
勿論、それを送ろうとするイザナを帝国の兵士が発見したら生かしておくはずがなく、ハロルドの言う通り見付かったら殺されてしまう。
イザナもそれは覚悟の上で、ユウキ達に向けてデータを送るが、送信中に帝国の兵士が部屋に現れ、イザナは銃撃を受ける。

見張りの兵士から奪った銃で応戦して入った来た数人だけは何とか倒すが、新たな追手が現れるのも時間の問題だった。

自身の死を覚悟したイザナは、新たに生まれて来る子の名前をユウキに託す。

ユウキにとって大切な仲間であるイザナを失う一方、ラングフォード家では新たな命が生まれていた。

フランス語で「空」を意味するシエル(Ciel)という立派な名前だが、それはユウキではなく、父親であるイザナが自分で家族に伝えなければ意味がない。

イザナからの「最後の伝言」を涙ながらに拒否するユウキに対し、イザナは「最後まで無茶を仰る」と、苦しい意識の中で精一杯いつものように振る舞う。
一方のハロルドは騎士団総長から親友の顔になり、イザナに対して精一杯の笑顔を見せると「次に会う時は酒に付き合え」と別れの言葉を掛ける。
それを聞いたイザナは笑顔を見せるが、ハロルドの誘いに対する返事をする前に撃たれてしまう。

イザナが決死の覚悟で送ったデータは無事にユウキの元に届いたが、家族の写真を握りながら床に倒れる彼の目が開く事は二度となかった。

彼女達にとって大きな存在だったイザナを失い、ユウキ達は悲しみに暮れるが、しばらくしてシエルが生まれたと伝えられ、レイラとハロルドを連れて二人のところに向かう。

「抱いてやって下さい」と笑顔を見せるエリザからシエルを受け取り、ユウキはシエルを抱き上げるが、彼女の目からは無意識に涙が零れていた。

『暁の挽歌』 - "The Elegy of Dawn"

新型クラルスの増産を反対するユウキを振り切って、ハロルドは増産を強行する。

イザナの死とほぼ同時に生まれたシエルの誕生をユウキが祝福するが、その裏では戦闘が行われており、ユウキに代わって軍を指揮するハロルドは、指揮官であるユウキが不在であるのをいい事に殲滅戦を仕掛け、敵を徹底的に潰すなど、ある意味ユウキに対して「反旗」を翻すような采配を振るっていた。

前回の戦闘ではユニとルネが敵に一矢報いるための特攻を志願し、それに対する許可を巡ってユウキとハロルドが揉めていたが、イザナの子供が生まれたためうやむやのまま終わっていた。
結局ユウキは最後までユニ達に特攻の許可を出さなかったようで、二人は無事だったが、その後の戦闘がどうなったかは描かれず、セラス州を奪還したという報告だけで終わらせる、非常に雑な扱いだった。

そんな中、イザナが自身の命と引き換えに送って来たデータによって新型クラルスの開発は進み、新型クラルスの更なるパワーアップをする方法が発見される。
ハロルドは議会でそれを報告し、移動砲台に使えばこれまで以上の遠距離攻撃が可能となり、議会に出席していた元老院の面々は強力な武器を得た事に盛り上がる。
だが、それによって新たな犠牲が増える事を危惧するユウキは無為な犠牲を出したくないと自身の理想を主張し、新型クラルスの増産に反対する。

犠牲を出さずに戦争を終わらせたいというユウキの理想が立派である事は間違いないが、戦争に於いてその理想論は無意味であり、ユウキの甘い考えが王国の危機を招いているという現実は彼女には見えていなかった。
戦術家としては優秀でも指揮官としては甘さしかないユウキのやり方に我慢の限界に達していたハロルドは、今の不利な戦況を打開するには手段を選んでいられないと、反対するユウキを振り切って新型クラルスの増産を強行する。

イザナから送られたデータに気に掛かる点があったレイラは、独自に分析を開始する。

ユウキが新型クラルスの増産に反対するのは、兵器として使用される事によって犠牲を生み出すだけでなく、クラルスの使用によって環境が悪化する事にもあった。
クラルスことクラルスラピスは動力源として強力なエネルギーを生み出す代わりに(1000年、2000年という長いスパンではあるが)環境が悪化するという「副作用」があり、それを発見したベルデ皇国はソレイユ、グランディーガの両国に警告(レイラ曰く「穏便に通達」)していた。

しかし、その警告はトップに伝わる前に元老院によって揉み消され、ベルデ皇国は滅ぼされてしまう。

その結果起きたのが、ベルデ皇国の残党によるテロであり、レイラはユウキに対して自分もテロで家族も帰る家(元は王国ではなく帝国の人間であるという彼女の出自)も、全てを失った事を打ち明ける。
ユウキに対して初めて自分の過去を打ち明けたレイラだが、帝国でクラルスの研究をしていた彼女の目から見て、イザナの送って来たデータには気に掛かる点があった。

ユウキから許可を得ると、レイラは独自でクラルスの分析を開始する。

レイラによってクラルスがエネルギーを生み出す原理と、ナノマシンの存在が明らかになる。

その一方で戦争は更に泥沼化し、両軍合わせて死傷者30万人以上という多大な被害を与えながら、一向に終わる気配を見せず、季節は冬に入ろうとしていた。

秋が終わりを迎えつつあったある日、レイラはユウキを連れて新型クラルスの製造施設を訪れる。
部屋まで案内するという、ハロルドの実質的な監視を条件に設備の使用許可を得たレイラがクラルスを起動させると、謎の粒子が見えるようになる。

この粒子は地球を離れこの星に移住した祖先がテラフォーミングのために散布したナノマシンで、地球から来た入植者を生存可能な環境にしたのは増殖機能によって増え続けたナノマシンのお陰だった。
時が経つとともにナノマシンに対する知識とテクノロジーは失われ、惑星独自の鉱石であるクラルスラピスが発見される。
ユウキ達の文明を支えるクラルスから生み出されるエネルギーは、ナノマシンとクラルスラピスが共鳴して生まれたものだった。

勿論、それは無限にエネルギーを生み出すような都合のいいものではなく、クラルスが活動を続けるという事は、ある種クラルスの動力源であるナノマシンをすり減らすという事であり、それが昨今の環境悪化の原因になっていた事が明らかになる。

そして、レイラがこの実験で最も確かめかった事は、新型クラルスに限界値を超える負荷を掛け続ると、ナノマシンとの共鳴がシャットダウンする(クラルスからナノマシンが取り出せなくなる)という事だった。
仮に帝国のクラルス「だけ」を暴走させてシャットダウンさせる事が出来た場合、それは王国の勝利(帝国の戦力喪失)を意味するためハロルドは喜ぶ。

但し、レイラが意図的にクラルスを暴走させた結果、施設全体が停電となってしまい、ユウキ達は復旧が予想される翌朝まで野営を余儀なくされてしまう。

ユウキを逃がす時間を稼ぐため、ハロルドは決して戻る事の出来ない戦場への出撃を決意する。

文明社会から少し離れた、ちょっとしたキャンプを楽しむユウキは、不便になれば文明が発達していなかった頃のように仲良くなれるかも、と理想を述べるが、ハロルドはユウキの願いを夢物語と切り捨て、どんな時代も争い合って来た人間の歴史を引き合いに出す。

現実を見ているハロルドにとって自分達が滅びないためにも、ユウキが愛する民を守るためにも、大事なのはこの戦争に勝つ事だった。
もっとも、今回のようなクラルスの暴走は狙って起こせるものではなく、兵器として使うには不確定要素が多すぎたが、レイラが発見した現象を自由に、しかも狙った相手に向けて起こせるのであれば戦争を終わらせるためにはこれ以上ない「兵器」だった。

翌日、停電が復旧し、王国は遠くない時期にやって来るであろう決戦に向けて移動砲台設置の準備を進めるが、帝国が防衛線を突破したとの情報が入る。

ハロルドは、自分が殿となり、ユウキ達が逃げるための時間稼ぎをすると申し出る。

ユウキは勿論反対するが、ハロルドは引き止めようとするユウキに最後まで自分の出撃を撤回せず「本当に国を、民の事を思うのであれば、どんなに辛く困難な選択でも決断をしなければならない時がございます。皆を導く者として、立ち止まっている暇はございません。前に、お進み下さい」と告げ、最後に「あなたの背中は、私がお守りします」と言い残して出撃する。

ハロルドの死に涙を流しながらも、ユウキは前へと進む。

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