エガオノダイカ(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『エガオノダイカ』とはタツノコプロの創設55周年記念作品として制作されたオリジナルアニメ。
ソレイユ王国の王女ユウキ・ソレイユとグランディーガ帝国の軍人ステラ・シャイニングという対局的な人生を送って来た二人の主人公が出会うまでを描いている。
戦闘ロボットによる戦争ものという人気の高いテーマで期待も高かったが、主人公であるユウキとステラの活躍は数えるほどしかなく、戦争も消化不良のまま終わり、名作になる要素を持ちながら不発に終わった「惜しい」作品として話題になった。

王都をめぐる戦いで負傷したピーアス・ソーンが除隊する為、ビュルガー分隊は送別会を開いていた。そんな中、ゲイルは自身が運営している孤児院で働かないかとピーアスに誘いをかける。
ピーアスは誘いを一時保留にするが最終的に誘いを受ける決意を固めた。

しかし傷病兵を乗せた輸送ホバーに乗ったピーアスは、国境付近で何者かの襲撃を受け命を落としてしまう。悲しみに暮れるビュルガー分隊。

イザナの死と研究データ

指令室にいたユウキの元に軟禁されていたイザナから通信が入る。イザナはベルデ皇国の科学者によるクラルスの研究報告データを発見していたのである。
そこにあったのは、ソレイユの未来を左右するほどの重要な情報であった。
何とかデータを送ることに成功したイザナであるが、帝国兵に見つかり、その銃弾の前に命を落としてしまう。

クラルスの副作用

秋が終わりを迎えつつあったある日、レイラはユウキを連れて新型クラルスの製造施設を訪れる。レイラがクラルスを起動させると、謎の粒子が見えるようになる。
この粒子は、地球を離れこの星に移住した祖先がテラフォーミングのために散布したナノマシンであった。地球から来た入植者を生存可能な環境にしたのは、増殖機能によって増え続けたナノマシンのお陰だったのである。

ユウキ達の文明を支えるクラルスから生み出されるエネルギーは、ナノマシンとクラルスラピスが共鳴して生まれたものだった。
クラルスを起動させることはナノマシンをすり減らすという事であり、それが昨今の環境悪化の原因になっていた事が明らかになる。
そして、レイラがこの実験で最も確かめたかった事は、新型クラルスに限界値を超える負荷を掛け続けると、ナノマシンとの共鳴がシャットダウンするのかということだった。

実験は成功するものの、規模や対象をコントロール出来ないという問題が露呈したのである。

ハロルドの死

そう遠くない将来行われる決戦に向けて準備をしていたユウキたちのもとに防衛ラインが突破されたとの情報が入る。そしてユウキを逃がすためにハロルド自ら殿を務めるのであった。
戦いの中、ハロルドはゲイルとの戦闘を繰り広げる。そして互いに命を落としてしまう。

ユウキはハロルドの死を覚り悲しみに暮れるも、州都エディネルへの進軍を命令するのであった。

ヒューイの思い

ゲイル死亡後、悲しみにくれるビュルガー分隊。そんな中、リリー・エアハートはゲイルが運営していた孤児院にお金を送ろうと提案する。
皆が賛同する中、ヒューイ・マルサスだけは賛同せず死者を冒涜するような発言をする。
そんなヒューイの態度に激怒するステラであったが、その後ヒューイは誰よりも先にゲイルの孤児院にお金を送金していたという事実を知るのである。

陽動作戦

王国軍はついにハリアントを奪還する旨宣言した。秘密裏に開発していた砲台が完成したのだ。
しかし、ユウキの狙いは別にあった。それは帝国軍が砲台に気を取られている隙に、旧ベルデ皇国領にあるクラルスの研究施設に向かうことだった。そして戦争を終わらせる為にソレイユ王国の技術を使い、この星のクラルスを完全に停止させる事が真の狙いであった。

旧ベルデ皇国領へと急ぐユウキだが、リリィに姿を見られてしまう。
ユウキ達が僅かな手勢と共に旧ベルデ皇国領へと向かう中、ビュルガー分隊が向かうよう指示された配置は最前線から2000キロも離れた僻地だった。

監視を続けるステラ達の前についに王国軍が現れる。少数のテウルギアに守られながら移動している車を見て辺境伯の誰かが逃亡していると当初は思われたが、車の窓から人の姿が見えた。
車を追跡していたリリィが映像を拡大して窓から見えた人物が明らかになる。その人物はソレイユ王国の王女であるユウキ・ソレイユだった。

一方、ユウキの元にも帝国軍に自分達の行動が気付かれたという報告が入り、ユニが迎撃に向かう。王国と帝国の最終決戦が近づいていた。

母娘

ユウキとレイラがクラルス停止の準備を進める中、帝国の兵士が施設に侵入したとの情報が入る。ユウキはリリィ達に姿を見られるも何とか振り切る。しかしユウキ達の報告を受けたアイネは、ユウキの狙いに気づきそれを阻止するようにビュルガー分隊へと支持を出すのであった。
一方クラルスの研究施設に到着したユウキとレイラはクラルスを止める準備をしていた。レイラが装置を起動させる準備を終え、ユウキが屋上で待機している頃、施設へ侵入したステラはレイラと邂逅する。

背を向けているレイラに銃口を向けるステラ。銃を向けたまま王国は何をしようとしているのかを問うステラ。レイラはステラに背を向けたまま語る。レイラはユウキが戦争を終わらせるためこの星の全てのクラルスを停止させようとしていると告げる。

レイラがステラと向かい合った瞬間にステラが自分の娘であることに気づく。そして外で行われている戦闘の衝撃で天井が崩れ去る。レイラは天井の崩落からステラを庇い下敷きになった。そして死の間際、ユウキを助けてほしいとステラに頼むのであった。

レイラの正体に気づいていないステラは何故レイラが庇ったのか理解出来なかったが、ユウキを追い屋上へと向かうのであった。

ユウキとステラ

ユウキとステラはついに邂逅を果たす。 レイラの死を知りショックを受けるユウキ。ユウキはクラルスを止める事によって戦争を終わらせ、この星の人々を笑顔にするという自身の夢を語る。

しかし過酷な環境で生活していたステラは、クラルスが止まる事で生活に必要なエネルギー全てを失ってしまう環境に人々は耐えられないと主張する。

それに対しユウキは「大切な人が死んじゃうよりもずっと良い」、「世界中のみんなに恨まれても構わない」と覚悟を見せるのであった。
その覚悟を見たステラはユウキの理想に賭けたいと心変わりをし、ユウキと共にクラルスの停止装置を起動させるのであった。
停止装置が起動した事によって王国と帝国のテウルギアや戦艦は行動不能になり、両軍とも戦闘の継続は不可能となったのである。
装置を起動させたユウキとステラは屋上に寝転がっていた。そして美しい青空と力強く大空を飛ぶ鳥を見ていたのである。

後日談

クラルス停止後、王国と帝国は停戦し、戦争は終結を迎えるのであった。戦後、地方単位で小さな暴動はあったものの、国全体を巻き込むような争いは無かった。そして環境悪化の原因であるクラルスが無くなったことで、食物の生産状況が改善されたのである。

ステラは敵に手を貸した事で厳罰必至であった。しかしユウキが帝国に掛け合ったことにより、治安隊で奉仕活動をするという軽い罰で済んでいた。

久しぶりにユウキとステラは再会を果たす。そして向日葵が咲く青空の元で二人は互いに笑い合い、物語はエンディングを迎えるのであった。

『エガオノダイカ』の登場人物・キャラクター

主人公

ユウキ・ソレイユ(CV:花守ゆみり)

本作の主人公で、12歳の若さで国を背負うソレイユ王国の王女。

12年前の新型クラルス開発時の事件で両親を亡くしており、王族は彼女一人となっている。

幼馴染のヨシュアや周囲の支えもあって天真爛漫に育ち、前述の事件で配偶者を亡くしたレイラとハロルドからは実の娘のように思われている。

家臣達からはユウキを悲しませないよう戦争の事実を伏せられており、防衛戦に敗れ撤退して来た王国軍の姿と、直後に対面したヨシュアの亡骸によって事実を知る。

次々に届く敗戦の報告に心を痛め、一度は戦争への関与を放棄するが、国を守るため自身も戦う事を決意する。
1話の時点で地形を利用した作戦が得意である描写がされており、初めて指揮した戦闘では地盤が弱いところに地雷がセットしてある事を利用して敵軍を一時撤退させる活躍を見せている。

軍事的才能に恵まれていながらも必要以上の戦闘は好まず、王女として降伏し、これ以上の犠牲を出さないよう自分の身を帝国に渡そうとするが、それをよしとせず徹底抗戦を主張するハロルド達によって逃がされる。
逃げ込んだ先でも帝国の侵攻に遭うが、個人的に戦術書を読んで兵法を学び、侵攻する帝国軍を自身の指揮で手玉に取っている。

だが、敵にも犠牲を出したくないという「優しさ」から相手の戦力を削る機会を逃し続けるなど「甘さ」が目立ち、ハロルドとはお互いの考え方の相違から最後まで対立する事になる。

なお、ユウキの活躍はゲーム筐体を使った模擬戦闘という事もあって遠慮する事なく相手を倒せた1話が頂点であり、作中通して彼女の指揮官としての才能が活きる事はほとんどなかった。

また、作中で視聴者が期待するような活躍がなかった事もありユウキが2話で見せた顔芸をネタに「ユウキ様の顔芸で遊ぼう」と盛り上がるなど、制作側の意図とは違う方面に人気が出てしまう皮肉な結果となった。

ヨシュアに続きイザナ、ハロルドと自身にとって大切な人を次々と失うが、悲しみよりも戦争を終わらせたいという気持ちを強くしており、この星のクラルスを全て止める事を決意し、レイラ達と共に旧ベルデ皇国へ向かう。
クラルスが停止するという事は生活に必要なエネルギー全てを失う事を意味しており、自身を追って来た帝国の兵士、ステラ・シャイニングからもそれを指摘される。
だが、その後待ち受けている困難と、自身を襲うであろう周囲の非難も「大事な人が死んじゃうよりずっといい」と主張し、それを聞いて心変わりしたステラとともにクラルスを全停止さる。

クラルスが停止したため両国ともに戦闘不能となったため停戦となり、翌年の夏にユウキとステラがゲイルの孤児院で再会するところで物語が終わっている。

ナノマシンが予想以上に早く増殖したため星の環境が回復し、厳しい冬を乗り越えて生き残った人達は笑顔で翌年の夏を迎える事になったが、その裏では重病人などクラルスのエネルギーを必要としていた人達の「淘汰」もあったはずなので、みんなが笑顔になったというよりも「ユウキの目が見える範囲で生き残った人」が笑顔になった(そして、13歳の子供である彼女はそれを理解していない)という方が正しい結末である。

ステラ・シャイニング(CV:早見沙織)

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