エガオノダイカ(The Price of Smiles)のネタバレ解説まとめ

『エガオノダイカ』とはタツノコプロの創設55周年記念作品として制作されたオリジナルアニメ。
ソレイユ王国の王女ユウキ・ソレイユとグランディーガ帝国の軍人ステラ・シャイニングという対局的な人生を送って来た二人の主人公が出会うまでを描いている。
戦闘ロボットによる戦争ものという人気の高いテーマで期待も高かったが、主人公であるユウキとステラの活躍は数えるほどしかなく、戦争も消化不良のまま終わり、名作になる要素を持ちながら不発に終わった「惜しい」作品として話題になった。

『微笑みの兵士』 - "The Soldier of Smiles"

厳しい戦いが続く中、ビュルガー分隊は隊長であるゲイルに不信感を抱いていた。

前回の戦いから一ヶ月経ち、王国の北部は帝国によって次々と陥落していた。

戦力的には帝国が圧倒的に有利だが、帝国は物資が乏しく、食糧難という問題に直面していた。
王国側は連戦連敗でこのまま滅ぼされてしまうのではないかと不安になるが、帝国の内部事情を見ると必ずしも帝国有利ではない。

帝国側の主要人物であるステラ・シャイニング、リリィ・エアハート、ヒューイ・マルサス、ブレイク・ボイヤー、ピアース・ソーンが所属するビュルガー分隊だが、隊員とは必要最低限のコミュニケーションしか取らず不愛想な上に、命令違反で飛ばされて来たなど良からぬ噂の多いゲイルに隊員はいいイメージを持っていなかった。
そのゲイルは上層部から命名を受け、アザリアという街の偵察を命じられる。
この街には物資が残されている可能性があるため、食糧難に喘ぐ帝国としては少しでも多くの物資を手に入れたかった。

現地で食料を探すゲイルとステラは、地元の子供達と出会う。

街に到着すると、クリーニング屋に変装したゲイルとステラは早速今回の任務の目的地である食料貯蔵庫に潜入する。
ただ、相手も貴重な物資を残してくれるはずがなく、中身はほぼカラで空振りに終わる。

少ない食料でもいいから何かないかと中を探すステラとゲイルだが、同じく中で物資を探していた子供達を発見する。

彼らはアランとマウリといい、近くの管理棟に住んでいる少年達だった。
マウリはクリーニング屋が貯蔵庫にいる事を疑問に思うが、ゲイルは知り合いがここで働いているとごまかし、アランとマウリを自分達の乗って来たトラックで仲間のところまで送り届ける。

こっそり持ち出して来た桃缶を子供達と一緒に食べるなど、ゲイルは「気のいいおっさん」を演じて子供達の心を掴むと、この付近に騎士団がいる事と、周辺には見当たらない彼らの居場所を子供達から聞き出す。

「得意先への挨拶」と称して単身騎士団の施設に向かうゲイルを見送る一方で、ステラは子供達の輪に加わろうとしないラナという少女が気になっていた。

ラナの両親は戦争で亡くなっているとの事だが、それはラナだけでなく、ここにいる少年グループ全員が戦災孤児であり、彼らの両親の命を奪ったのは、ステラ達が所属する帝国軍だった。

あっさり食料プラントに潜入したステラ達に後を任せ、ゲイルは子供達を救うため独断で行動を開始する。

一方、潜入捜査を続けるゲイルは、今回のターゲットである新型クラルスの稼働している食料プラントを発見する。

大量のレタスが栽培されるなど食料も豊富だが、すぐに王国軍が食料の回収にやって来るためのんびりしていられない。

王国軍が来る前に新型クラルスの奪取とプラントの破壊(爆破)という任務がゲイルに与えられる。

その任務自体は遂行可能なものだが、プラントを爆破をすると先程の子供達も巻き込まれるという大きな問題があった。

戦の基本は兵糧にあるため、食料が王国に行き渡ると今度は帝国側が不利になるという理屈は分かるが、ゲイルとしては関係ない一般人を巻き込みたくないのが本音だった。

作戦に難色を示すゲイルだが、万が一任務が失敗した時のために帝国は街を襲撃するための戦力を向かわせており、子供達を救うには自分で動くしかないと判断したゲイルは了解と言うしかなかった。

作戦の決行時刻となり、ゲイル達はプラントにあっさり潜入する。

王都防衛のため戦力の大半が出払っているとはいえ、6人しかいないゲイル達に簡単にやられる警備の弱さは呆れてしまうレベルだが、プラント爆破までに子供達を助け出すには残された時間は多くない。
子供達を逃がすため、ゲイルは野暮用と称して隊員達から離れる。

昼間、ゲイルと一緒に行動していたステラを除く隊員はゲイルの行動の意図を理解出来ず、不満を抱えながら中に入るが、王国の警備は相変わらず緩いため5人で難なく突破する。

自分に銃を向けるステラに、ラナは恐怖する。

隊員から離れ別行動を取っていたゲイルは、管理棟で眠るアランを起こすと、すぐに子供達を集めるよう伝える。

既に隊員達は新型クラルスの奪取、及び爆薬のセットを完了しており、後はプラントを爆破するだけとなっておいた。
ゲイルも子供達を爆破から守るため彼らを連れて逃げようとしていたが、アランはゲイルが自分の両親を殺した帝国軍の人間である事に気付き一緒に逃げる事を拒否する。

ゲイルに対して爆破を止めろというアランだが、ゲイルも任務なので爆破を止める事は出来ない。

お互いに話が進まない中、なかなか合流しないゲイル達の様子を見にステラが現れる。
ゲイルと揉めている子供達を見て状況を瞬時に察すると、ステラは威嚇射撃の後にアランに銃を向け「あなたが拒否する度に一人ずつ殺す」と、これまで笑顔だった彼女からは想像も出来ない、感情のない声で告げる。

昼間は笑顔だった「お姉さん」の変貌ぶりにラナは恐怖するが、彼女に銃を向けたステラの口から出た言葉は「どうせ死ぬなら、同じでしょう?」という(逃げなければ爆発に巻き込まれて死ぬ、ステラ達と一緒に逃げなければ殺される)冷たい言葉だった。

結果的にこのステラの「脅し」によって子供達はトラックに乗り込み、プラントは作戦通り爆破され任務は成功に終わる。

子供達を爆発から救ったものの、ゲイルとステラには誰からも感謝されない、辛い現実が待っていた。

だが、ゲイル達は彼らの両親の命を奪った帝国の人間であり、子供達の命を救ったにも関わらず誰からも感謝されない、辛い現実が待っていた。

また、ゲイルの身勝手な行動はステラを除く隊員からいい印象を持たれておらず、自身の任務を放棄して子供を助けるゲイルの行動にヒューイ達は不満を爆発させる。
それに対してゲイルは「部下を信頼するのも隊長の役目だ」と、隊員の不満に関して特に気にする素振りを見せず、隊員の輪にいないステラを探す。

そのステラは、ゲイルの姿を見るといつものように笑顔を見せるが、ラナに対して銃を向けた事を謝ろうとして拒絶されたのが想像以上にショックだったのか、見た目は平然を装っていても精神的にダメージを受けているのは明らかだった。
ゲイルはステラが辛い思いをしている事を心配するが、ステラは「徹夜なら夜戦で慣れています」ととぼけ、自分を心配してくれるゲイルに対して「次の任務はいつ来ますかね」と、平静を装っていた。

『希望の選択』 - "Choice of Hope"

ヨシュアを失ったショックにより、ユウキは部屋に閉じ籠る。

ヨシュアを失ったショックによってユウキは部屋に閉じ籠り、レイラ以外面会謝絶の状態が続いていた。

取り乱したユウキが暴れて部屋を荒らしても戦争が終わるはずがなく、苦戦を強いられている王国の戦況は悪化する一方だった。

「ユウキ様を悲しませないように」という大人達の優しさによってこれまで戦争という事実が隠されていたが、ユウキが戦争と世界の現実を知ってしまった以上、逐一レイラから報告を受ける。

大人の身勝手な優しさのせいで世界の現実を知らされず、現実を知ったらいきなり指示を出せと言われるユウキにも同情の余地はある(しかも彼女はまだ12歳の子供である)が、王女として指示を出さなければならない。

ユウキはレイラに対してイザナとハロルドに全てを任せると告げると、これ以上の死人を出さないようお願いし、自身は戦争への関与を放棄する。

一方、イザナとハロルドは、一向に好転する気配のない戦況を見て、状況を打開するために新型クラルスを投入する事で意見を一致させる。
但し、新型クラルスの投入には王女の了承が必要であり、新型クラルスを人殺しの道具として見ているユウキが許可するとは思えなかった。

イザナとハロルドは、責任は後から共に負うという事で新型クラルスの投入を独断で決定する。

自分の知らないところでまたも家臣が勝手に動いているなどユウキは知る由もないが、戦争に関する報告は絶えず彼女の元に入り、レイラから戦況が更に悪化している事と、これ以上被害を出さないために領地を放棄する必要がある事を告げられる。

レイラから受け取った王国が失う領地のリストを見ると、ユウキの両親が亡くなったリージュの街も含まれていた。
領地を放棄する事はユウキにとって思い出の地を失う事を意味するが、ユウキは民を守るために領地の放棄を承認する。

テロによって、レイラは全てを失う。

ここから視点はレイラに移り、彼女の過去が語られる。

レイラは元は帝国の人間であり、12年前の事件現場には彼女の姿もあった。

新型クラルスは王国と帝国が共同で開発しており、ソレイユ国王が両国を称える演説をしていたが、その最中にテロリストが現れ、ヨシュアの父とユウキの両親であるソレイユ国王夫妻は、テロに巻き込まれて命を落とす。
同じくテロに巻き込まれたレイラは何とか歩く事が出来るレベルのケガで済み、王国の救急車に保護され会場から脱出するが、先程までいた場所が大爆発を起こす。

レイラを乗せた救急車も爆発に巻き込まれるが、レイラは自分の目の前にいた赤ん坊(ユウキ)を庇うため身を乗り出す。
彼女の決死の行動によってユウキは救われるが、ユウキが無事であるのと引き換えにレイラは重傷を負い、一ヶ月の昏睡状態に陥ってしまう。

レイラが意識を取り戻すと、彼女の病室にイザナが現れ、今回のテロで死亡したと「思われる」人物のリストを渡される。
そこにはレイラの夫と娘の名前があった。

夫はともかく、意図的に顔を見せなかった演出と、トレードマークの泣きボクロから見て、娘は帝国で「ステラ・シャイニング」という名前で生きている気がしてならないが、今回のテロは帝国の人間であったレイラから家族も帰る家も、全てを奪ってしまった。

一度泣き出したら止まらないユウキだったが、レイラの顔を見て泣き止む。

ケガが回復しても心の傷は癒えるものではなく、レイラは王国で空虚な日々を過ごしていたが、後日、彼女はイザナから呼び出される。

お礼のために呼び出したというイザナの前にいたのは、レイラが身を挺して守ったソレイユ王国の王女、ユウキ・ソレイユだった。

国王夫妻がテロによって亡くなり、唯一の王族となったユウキが無事なのはレイラのお陰であり、イザナは改めてレイラに感謝する。
するとユウキは泣き出し、世話役のヨシュアが懸命にあやすが、ユウキは一向に泣き止む気配がなかった。

「こうなるともう手が付けられないのです」と、誰もユウキを泣き止ませる事が出来ず困っていたイザナだが、ユウキはレイラの顔を見ると泣き止み、更にレイラが抱き上げると笑ってくれた。
ユウキがレイラを気に入った縁もあってレイラは王国に仕える事になり、ユウキの指導係として12年間、厳しくも優しい「母親」のように接して来た。

レイラはユウキの部屋に入ると、これまでヨシュアがやっていたようにユウキを街に連れ出す。
ユウキとしてはこっそり抜け出していたつもりだったが、母親代わりのレイラにはお見通しだった。

ユウキは自分が領地を手放した事を両親はどう思うかレイラに尋ねるが、レイラは「自身の感情よりも民を優先した事を誇りにお思いになられるでしょう」とユウキを励ます。
それを聞いたユウキは立ち直り、王女として国民の避難の完了と、領地の最後を見届けるため司令室に向かう。

残った民を助けようとして更なる犠牲を出すなど、ユウキの判断は全て裏目に出ていた。

司令室に入って来たユウキの姿を確認すると、ハロルドはヨシュアを死なせてしまった事を謝罪する。

ユウキは言いたい事を抑え、現在の避難状況を確認する。
国民の避難はほぼ無事に終了し、後は撤退するのみとなっているとの事で、犠牲を出さずに済んだ事をユウキは安堵する。

但し、避難が無事に成功したのはイザナとハロルドが独断で新型クラルスを使ったからであり、またも自分に無断で行ったハロルド達の行動にユウキは怒りを示す。
だが、そのお陰で被害を出さずに済んだ事を事実として認め、次回からは自分に報告するよう二人に告げると、残った領地の避難状況を確認する。

残された領地の避難も完了し、安堵するユウキだが、最後の最後になって避難を受け入れず帝国と戦うという民の集団が発見され、ユウキは彼らを助けるようハロルドにお願いする。

99%撤退と避難が完了している中、ここで引き返して戦闘になったら余計な犠牲を出すのみだが、ユウキは戦って欲しいのではなく助けて欲しいとハロルドに頼み込み、ハロルドも彼らを救出するため軍に引き返すよう命じる。
すぐさま王国軍が現れると、残った民を収容して撤退しようとするが、救援部隊は帝国の攻撃を受け壊滅してしまう。

ユウキは誰も死なせたくないという純粋な気持ちで助けるよう命じたが、それが仇となって更なる犠牲者を出してしまう、最悪の結果を招いてしまった。
抱き締めてくれるレイラの胸の中で泣くユウキに対してハロルドは「これが戦争なのです」と、厳しい現実を告げるのだった。

『分隊の一夜』 - "The Night of the Squad

作戦を伝えるゲイルだが、隊員達は相変わらず彼を信用していなかった。

王国は防戦一方で苦戦を強いられているように見えるが、苦しいのは帝国も同じで、新型クラルスの力でパワーアップしたテウルギアの攻撃に手を焼いていた。

膠着した状況を打開すべく、帝国の参謀長であるアイネ・フリートはゲイル達分隊長を集め、別動隊を作って夜間に迂回路から敵の背後を突き、主軍の突破を援護する作戦を伝える(迂回路の橋を渡るのはいいとして、王国も帝国の唯一の移動手段である橋を落とした方が侵入口を減らせて早いと思われるが、その手の「粗」は気にしてはならない)。

一方、作戦開始までテントで待機していたヒューイ達だが、相変わらず必要最低限のコミュニケーションしか取らないゲイルをメンバーは信用していなかった。

ピアースは、以前ゲイルが何処かに信じられないほどの大金を送金していたのを見掛けたと話し、その時話していたゲイルの言葉によると「餌を待つ雛鳥を一個大隊ほど抱えている」との事だった。
子供達の扱いが上手い上に、王国で出会った孤児達に対して過剰なまでに情を掛けていた姿から彼のいう「雛鳥」は戦場で保護した戦災孤児と考えるのが妥当だったが、ゲイルに孤児院を経営しているイメージがなかった事もあり、隊員は愛人がいるだの隠し子がいるだのゲイルの事を好き勝手に言っていた。

作戦中に負傷したリリィをゲイルが手当てし、不愛想なだけではない優しさを持った彼の姿にリリィは少しずつ心を開く。

mattyoukilis
mattyoukilis
@mattyoukilis

Related Articles関連記事

ピンポン(Ping Pong)のネタバレ解説まとめ

ピンポンは、松本大洋による卓球漫画、及びそこから派生した実写映画、アニメ作品。 卓球を題材とし、登場人物達の友情や成長描く青春物語で、神奈川県藤沢市が舞台となっている。 週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館刊)に1996年から1997年まで連載された。全5巻。 実写映画は2002年7月に劇場公開された。 アニメは2014年4月〜6月に放送された。全11話。

Read Article

超時空要塞マクロス(アニメ)のネタバレ解説まとめ

『超時空要塞マクロス』とは、タツノコプロ・アニメフレンド制作の日本のロボットアニメ。 1982年10月から毎日放送(MBS)製作、TBS系列で放送された「超時空シリーズ」および「マクロスシリーズ」の第一作。 飛行機好きのごく普通の少年一条輝が、突如襲来してきた異星人との戦いの中で二人の女性との恋に生き、友情に生き、成長していく物語である。

Read Article

夜ノヤッターマン(Yattarman Night)のネタバレ解説まとめ

『夜ノヤッターマン』とはタツノコプロによって製作された、ヤッターマンを原作としたスピンオフアニメ作品。主人公であるレパードがエレパントゥスやヴォルトカッツェと共に新たなドロンボーとしてヤッターマンの支配するヤッターキングダムに立ち向かう物語となっている。ヤッターキングダムが支配しているデッカイドーを舞台にしている。

Read Article

Infini-T Force(第1話『ISOLATED FLOWER』)のあらすじと感想・考察まとめ

『Infini-T Force』(インフィニティ フォース)は、タツノコプロ55周年を記念して制作されたアニメ作品。 ガッチャマンこと鷲尾健は悪の組織ギャラクターに占領された空母の救出に向かう。しかしそこにいたのはロボット兵士を従える謎の人物だった。 今回は「Infini-T Force」第1話『ISOLATED FLOWER』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

Read Article

目次 - Contents