お姉ちゃんが来た(アニメ・漫画)のネタバレ解説まとめ

『お姉ちゃんが来た』とは安西理晃による漫画作品。2014年にはアニメ化もされている。父親の再婚によって新しく出来た姉の過剰な愛情に振り回される主人公、水原朋也の日常を描いた作品である。日本ではまだ理解の浅いステップファミリー(子連れ再婚家庭)が題材となっており、新しい家族と壁を作っていた朋也が徐々に心を許し打ち解けていく反面、これまで見ず知らずの他人だった人間と「家族」になる難しさも描いており、テーマの深さも垣間見える作品となっている。

日本語で無理矢理表現すると「子連れ再婚家庭」であり、離婚や死別によってシングルマザー or シングルファザーといった子持ちの片親だった人間(片親である家庭が片方か双方かは問わない)が再婚する事によって新たに出来た家族を意味する言葉で、本作では水原家がそれに該当する。

少なくとも片方の親は「再婚」が前提条件であるため、普通の家族とは成り立ちが違う事もあって日本ではステップファミリーに対する理解が乏しく、ステップファミリーの支援団体が存在する欧米とは理解度が大きく離れている。

また、現実でも朋也のように知らない人といきなり家族になる事に拒否反応を示す子供も少なくなく、新しく親となる人間も、実の子供ではない息子(娘)との関係に苦労する事も多い。
本作でも当初新しい家族と壁を作っていた朋也の心理描写を中心に当事者であるステップファミリーにしか分からない様々な問題やストレス、苦悩が描かれている。一香の暴走に目を奪われるため見逃しがちだが、日本でも増え続けるステップファミリーの「リアル」を描いた、単なるホームコメディではない一面も持っている。

犬丸(猫)

一香が子供の頃に飼っていた「猫」の名前。

猫なのに「犬丸」というネーミングに誰もが疑問を持つが、それに関して飼い主だった一香も夕子も言及しておらず、一香がかわいがっていた事だけが描かれている。

『お姉ちゃんが来た』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

水原一香「それは 朋くんが大好きだから!!」

すぐに新しい父親と仲良くなった一香と違い、朋也は新しい家族に馴染めず、それどころか自分に付き纏う一香の行動に辟易していた。

本人に悪気はないとはいえ、毎回勝手に部屋に入って来るばかりか勝手に弟の部屋で着替えを始めるといった一香の行動に朋也も我慢の限界を迎え、ドアに「入ってきたら口きかない!!」という張り紙をする。

それを見た一香は「ドアから入る訳ではない」という恐ろしい理由で梯子を用意し、窓から朋也の部屋に入ろうとして朋也を驚かせる。

一香は落ちそうになったところを何とか朋也に助けて貰うが、危険を犯してでも一香が朋也の部屋に入ろうとする理由は「朋くんが大好きだから!!」というブレない愛情から来ており、一香の強烈な朋也への愛情は初期から現在まで一切変わっていない。

正に、作品の原点というべき一香の名言である。

水原正也「俺はいい娘をもったな」

クリスマスがやって来た。

ケーキを買って家に帰る一香と朋也は、仕事を早く終えて帰る途中だった正也に出会う。

美鶴からの電話で朋也が一香達から離れると、正也は一香に対して母親を亡くして以降元気がなかった朋也を変えてくれた事に感謝する。

正也は朋也をどう元気付ければいいか分からず困っており、実際、正也が再婚しても新しい母親と姉に対して朋也は壁を作っていた。
そして、新しい家族に馴染めず夕子と一香に対して壁を作っていた朋也が最も必要としていたのは、一香のように自分の前に他人が作った壁があっても壊してしまう人間だった(正確に表現すると、一香は「誰かが壁を作っていてもその人と仲良くなりたいとテンションが上がりすぎて壁がある事に気付かずそのまま突き破ってしまうタイプ」の人間である)。

一方の一香も正也に感謝しており、一香が父親の事を聞くと悲しそうにしていた夕子も、正也と再婚した事によって楽しそうな顔を見せるようになっていた。

そして、正也の言う通り朋也の変化は目に見えて分かるようになっており、クリスマスに淋しい思いをしていないか心配してくれた美鶴に対して「うちも家族でクリスマスできるから」と笑顔で語るようになっていた。

去年までクリスマスは美鶴の家に朋也を預けるなど父親らしい事が出来なかったと正也は自分の情けなさに泣き出すが、一緒に手を繋いで帰ろうという一香の言葉に笑顔を取り戻し、いい娘を持った事を喜んでいた。

藤咲美奈『水原にはもっと優しくしてあげようかな』

朋也の意中の相手である藤咲美奈だが、クラスに於ける自分の人気を奪った一香を彼女は敵視しており、一香から朋也を奪って敗北感を与えようと(別に好きな訳ではない)朋也に近付くようになり、藤咲から朋也を守るべく妨害する一香とは顔を合わせては喧嘩をするようになっていた。

夏になり、男子を引き連れてプールにやって来た藤咲は、ここでも一香に遭遇して男子の人気を奪われてしまう。

顔を合わせては喧嘩を始める二人なので、当然ながら一香と藤咲はプールでも喧嘩を始めてしまうが、一緒にいたマリナ達によって何とか一香を引き離した後、朋也は一香が迷惑を掛けた事を謝る。

人前では笑顔の藤咲もとうとう怒りを爆発させ朋也に食って掛かるが、朋也は「こっちこそ ごめんね 毎回迷惑かけちゃって」と言って、藤咲らしくない怒り心頭の態度を見ても全く幻滅していなかった。

藤咲は自分の外見と人気にしか興味がなく、他の男子のように自分をチヤホヤしてくれない朋也はむしろ嫌悪の対象だったが、怒鳴っても嫌な顔をしない朋也を見て藤咲は彼に対する認識を改め「水原にはもっと優しくしてあげようかな」と、彼女の中で「友達」として位置付けが大きく上がっていた。

水原朋也「でも美鶴は俺の「親友」なんだよ」

ある日、美鶴が熱を出して寝込んでしまった。

朋也は美鶴を看病するため、花園家にある食材を使っておにぎりを作るなど慣れた手付きで行動していた。
「食材 勝手に使っていいの?」と驚く一香だが、朋也も美鶴もお互い日中は家に親がいない家庭環境だったため、どちらかが熱を出した時にもう片方が看病するのは当たり前の事であり、美鶴の看病のため朋也が料理を作るのも「いつもの事」だった。

水原家と花園家は昔からの付き合いである事は知っていたが、昔から朋也と一緒にいた美鶴に対して一香は対抗意識を燃やしていた。

朋也に対して自分と美鶴のどちらが好きかと聞く一香だが、それに対する朋也の「美鶴は俺の「親友」なんだよ」という言葉の通り、誰が一番とか決める事の出来ない、特別な存在だった。

それを見た夕子が「一香の大好きな朋也くんがいい子なのは 回りにいた優しい人達のおかげかも もちろん美鶴くんもね」と、話を綺麗に締めたかに思われたが、勿論、この作品らしいオチも用意されている。

翌日、風邪が良くなった美鶴がお礼のため早速朋也の家にやって来た。

昔から朋也を支えてくれた美鶴のため、自分も美鶴と仲良くしようと一香は美鶴に挨拶をするが、美鶴は「いや まだ少し体調が悪くて お姉さんのパンツがあったら治るんですけど」と、とんでもない事を言い出す(前日、朋也が帰る前に一香のパンツを持って来て欲しいとお願いしていたのが伏線である)。

それを聞いた一香は「朋くん!!親友やめたほうがいいよ」といい、朋也も「そうだね」と返すなど『お姉ちゃんが来た』らしいオチで締めてくれた。

水原夕子「一香にとっては正也さんがお父さんなの 本心は何も言ってくれないけど それは分かるわ」

花見の買い出しに行った一香と朋也は正也のつまみを買い忘れた事に気付く。

買いに戻ると一香は朋也を置いて走り出し、一人になった朋也は先に帰宅すると、テーブルの上に野山家のアルバムが置いてある事に気付く(夕子が片付けるのを忘れていた)。
中を見ると子供の頃の一香の写真があるが、たまたまアルバムから落ちた写真を拾うと、それは男の人の写真だった。

夕子が部屋に入ると素早い動きで朋也から写真を奪うが、何かを聞きたがっている朋也の視線に負けて、写真の人物が一香の父親である事を明かす(上半分は隠されていたが、口元だけは描かれており、一香のトレードマークである△の口元が瓜二つだった)。

夕子によると今も生きている事しか知らないとの事で、一香が生まれた時には既に別れていたという過去を明かす。

その一香は当時から弟か妹にしか興味がない、今とほぼ変わらない性格だったが、一度だけ「私のパパなんでいないの?」と夕子に聞いた事があり、夕子の「そうね…何で…かしらね」と悲しそうな表情を浮かべながら上手く答えられなかったのを見て、以降は二度と父親の話題を出さなくなった。

デリケートな話題を出した事に気まずい顔をする朋也だが、夕子は「一香にとっては正也さんがお父さんなの 本心は何も言ってくれないけど それは分かるわ」と、一香が新しい父親と幸せそうにしている事を強調し、当の一香も近くで会った正也と笑顔で帰宅するなど、本当に幸せそうだった。

確かに、一香は自分の実父に対して何かを考えているかは分からない(一香曰く「ママにパパのこと聞くと悲しそうにするから聞くのやめた」との事で、父親に対して何らかの感情は持っていると思われる)が、大事なのは生まれた時から父親がいなかった一香が「パパ」と呼べる人間に出会えた事であり、片親同士の再婚によって生まれたステップファミリーは、本当の家族のように幸せな笑顔を見せ合えるようになっていた。

『お姉ちゃんが来た』の裏話・トリビア・小ネタ

一香に出来るのは妹であるはずだった

親の再婚で新しく出来た家族(ステップファミリー)がテーマの当作品だが、コミックに書かれた作者の後書きによると、当初は親の再婚で新しく出来た「姉妹」となる予定で、その妹ポジションとして考えられていたのは藤咲美奈だった事が語られている。

作者曰く「彼女を軸に新しく出来た妹を溺愛する姉の百合っぽい作品」として構想が練られていたが、担当から「女の子同士だと話が広がらないので男の子にしましょう」という意見が入り、新しく出来た弟として水原朋也が生まれた。

そして、姉妹になる予定だった一香と藤咲は喧嘩仲間として顔を合わせては仲良く喧嘩する関係になっている。

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