お姉ちゃんが来た(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『お姉ちゃんが来た』とは安西理晃による漫画作品。2014年にはアニメ化もされている。父親の再婚によって新しく出来た姉の過剰な愛情に振り回される主人公、水原朋也の日常を描いた作品である。日本ではまだ理解の浅いステップファミリー(子連れ再婚家庭)が題材となっており、新しい家族と壁を作っていた朋也が徐々に心を許し打ち解けていく反面、これまで見ず知らずの他人だった人間と「家族」になる難しさも描いており、テーマの深さも垣間見える作品となっている。

朋也の母(CV:小林ゆう)

朋也の母は朋也が幼稚園児の頃に亡くなっており、名前も顔も出ていない。

母親を亡くした当初を回想した朋也の発言によると「父さんに当たり散らしていた」との事で、当時はかなり荒れており、3度も家出をしたらしい。

正也の再婚に対しても表面上は受け入れていたが、本音では「新しい家族なんて俺は認めない」と、新しい母親と姉が出来るのを嫌がっていた。

村瀬純(むらせじゅん)

7巻から登場した朋也達のクラスメイトで、アニメには登場しない。

男子に対していい顔をしているが故に女子の間で嫌われ孤立している藤咲をかわいそうと思っており、何かと気に掛けるようになる。

藤咲が同性の友人を欲しがっている事を本人に向かって堂々と指摘するなど、相手に対して思っている事をはっきり言う性格だが、言葉がストレートすぎて毒舌と取られる事も少なくない。

コミュニケーションとして藤咲の背中を叩く事が多いが、力が強いようで、彼女に叩かれた藤咲は「バカ力」と本気で痛がっている。
藤咲に対して、本人が気にしている女友達がいない事を指摘した上にかわいそうと言って怒らせるなど、一見すると良好な友人関係には見えないが、ある意味喧嘩仲間である一香を除けば藤咲に出来た初めての女友達であり、いい意味でも悪い意味でも裏表のない性格のため男女関係なく人気もある。

『お姉ちゃんが来た』の用語

アイドルプリンセス

最近大人気のゲームで、アニメ化もされている。

総一郎はこのゲームの大ファンで、一香がキャラクターのみのりに似ていた事から興味を持って近付いた(一香にみのりのコスプレをして欲しいというだけで彼女に対して恋愛感情がある訳ではない)。

なお、総一郎の「布教」によって朋也、美鶴も『アイプリ』にハマるなどファンは更に増えている。

ステップファミリー

日本語で無理矢理表現すると「子連れ再婚家庭」であり、離婚や死別によってシングルマザー or シングルファザーといった子持ちの片親だった人間(片親である家庭が片方か双方かは問わない)が再婚する事によって新たに出来た家族を意味する言葉で、本作では水原家がそれに該当する。

少なくとも片方の親は「再婚」が前提条件であるため、普通の家族とは成り立ちが違う事もあって日本ではステップファミリーに対する理解が乏しく、ステップファミリーの支援団体が存在する欧米とは理解度が大きく離れている。

また、現実でも朋也のように知らない人といきなり家族になる事に拒否反応を示す子供も少なくなく、新しく親となる人間も、実の子供ではない息子(娘)との関係に苦労する事も多い。
本作でも当初新しい家族と壁を作っていた朋也の心理描写を中心に当事者であるステップファミリーにしか分からない様々な問題やストレス、苦悩が描かれている。一香の暴走に目を奪われるため見逃しがちだが、日本でも増え続けるステップファミリーの「リアル」を描いた、単なるホームコメディではない一面も持っている。

犬丸(猫)

一香が子供の頃に飼っていた「猫」の名前。

猫なのに「犬丸」というネーミングに誰もが疑問を持つが、それに関して飼い主だった一香も夕子も言及しておらず、一香がかわいがっていた事だけが描かれている。

『お姉ちゃんが来た』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

水原一香「それは 朋くんが大好きだから!!」

すぐに新しい父親と仲良くなった一香と違い、朋也は新しい家族に馴染めず、それどころか自分に付き纏う一香の行動に辟易していた。

本人に悪気はないとはいえ、毎回勝手に部屋に入って来るばかりか勝手に弟の部屋で着替えを始めるといった一香の行動に朋也も我慢の限界を迎え、ドアに「入ってきたら口きかない!!」という張り紙をする。

それを見た一香は「ドアから入る訳ではない」という恐ろしい理由で梯子を用意し、窓から朋也の部屋に入ろうとして朋也を驚かせる。

一香は落ちそうになったところを何とか朋也に助けて貰うが、危険を犯してでも一香が朋也の部屋に入ろうとする理由は「朋くんが大好きだから!!」というブレない愛情から来ており、一香の強烈な朋也への愛情は初期から現在まで一切変わっていない。

正に、作品の原点というべき一香の名言である。

水原正也「俺はいい娘をもったな」

クリスマスがやって来た。

ケーキを買って家に帰る一香と朋也は、仕事を早く終えて帰る途中だった正也に出会う。

美鶴からの電話で朋也が一香達から離れると、正也は一香に対して母親を亡くして以降元気がなかった朋也を変えてくれた事に感謝する。

正也は朋也をどう元気付ければいいか分からず困っており、実際、正也が再婚しても新しい母親と姉に対して朋也は壁を作っていた。
そして、新しい家族に馴染めず夕子と一香に対して壁を作っていた朋也が最も必要としていたのは、一香のように自分の前に他人が作った壁があっても壊してしまう人間だった(正確に表現すると、一香は「誰かが壁を作っていてもその人と仲良くなりたいとテンションが上がりすぎて壁がある事に気付かずそのまま突き破ってしまうタイプ」の人間である)。

一方の一香も正也に感謝しており、一香が父親の事を聞くと悲しそうにしていた夕子も、正也と再婚した事によって楽しそうな顔を見せるようになっていた。

そして、正也の言う通り朋也の変化は目に見えて分かるようになっており、クリスマスに淋しい思いをしていないか心配してくれた美鶴に対して「うちも家族でクリスマスできるから」と笑顔で語るようになっていた。

去年までクリスマスは美鶴の家に朋也を預けるなど父親らしい事が出来なかったと正也は自分の情けなさに泣き出すが、一緒に手を繋いで帰ろうという一香の言葉に笑顔を取り戻し、いい娘を持った事を喜んでいた。

藤咲美奈『水原にはもっと優しくしてあげようかな』

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