色づく世界の明日から(第9話『さまよう言葉』)のあらすじと感想・考察まとめ

写真の腕を上げるため、瞳美は将にアドバイスを求め、将は瞳美に一緒に撮影会に行くことを提案する。休日に様々な名所を巡った2人が帰り道につこうとした時、将は瞳美に大胆な告白をした。戸惑った瞳美はその場から逃げ出し、次の日から将を避けてしまう。将の告白をきっかけに瞳美と将、あさぎ、葵の間の恋模様には大きな変化が訪れる。
今回は「色づく世界の明日から」第9話『さまよう言葉』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「色づく世界の明日から」第9話『さまよう言葉』のあらすじ・ストーリー

瞳美と将の撮影会

瞳美は写真の腕を上げるため、おすすめスポットを紹介して欲しいと将にお願いする。

瞳美は写真を撮る腕を上げたいと思い、部長である将に写真を撮るためのおすすめスポットはないかと尋ねた。
瞳美「もっと今の街のこと、撮ってみたくて。自主練です。」
将「そっか。じゃあ、具体的に撮ってみたい物とかある?」
瞳美「えっと…。」
将「人とか風景とか、動物でもいいんだけど。」
瞳美は「ぜ…全部です!」と強い口調で言い、将は「はぁ?全部かよ…。」と言いながら笑った。
将「そうだな。なら、一緒に行こうか。」
瞳美「え?」
将「撮影スポット。連れて行きたい所、いくつかあるし。俺も撮りたいから。」
瞳美は将の申し出に頭を下げ、「はい。よろしくお願いします。」とお礼を言った。
その頃、部室ではあさぎがパソコンを使って写真の画質を調整していた。あさぎが撮った写真は、ほとんどがペンギンだ。胡桃はパソコンの画面を覗き込みながら「それ、この前の撮影会の?」と聞いた。
あさぎ「はい。どの子を文化祭でお披露目しようか迷っちゃって。」
千草「え?全部同じペンギンでしょ?」
あさぎ「違います!千草くん、分かってない!もう…。」
胡桃「わー、違いの分からない男。」
千草「えぇー?じゃ先輩分かる?」
胡桃「もちろんよ!ダテに(長崎ペンギン水族館の)年間パスポート持ってないわよ!」
あさぎの背後では、いつもの胡桃と千草の掛け合いが始まった。パソコンに視線を戻したあさぎは、瞳美と将が写っている画像で、将が瞳美のことを必ず見ていることに気づき、もしかして将は瞳美のことを好きなのではないかと思い詰めた表情をしていた。
その日の下校途中、将と葵は電停で電車を待ちながら会話していた。
葵「将、予備校にまでカメラ持ってくんだ。」
将「後輩たちも腕上げてきたからな…。部長として、負けられないだろう。」
葵「ああ…。瞳美も結構いいの撮るようになったしね。あいつ、最近よく笑うようになった…。」
将「ああ。クラスでもちょっと話題になってるって、あさぎが言ってた。」
葵「へぇ~。」
将「最初は、人形かってくらい静かだったのにな。」
葵「今のほうが瞳美っぽいのかもね、本当は。」
将は葵の方に真剣な表情を浮かべた顔を向けると、切り出した。
将「唯翔。黙ってるのも気持ち悪いから、先に言っとく。俺…、明日、瞳美と2人で出かけるから。」
葵は一瞬呆気に取られた。その時電車が着いたため2人は乗り込み、電車の中で続きを話した。
葵「何で俺に言うの?」
将「言わなきゃいけない気がしてさ。」
葵「意味分かんないんだけど…。」
将「俺さ、悩んだり迷ったりって好きじゃないんだ。もうすぐ引退だし、受験もあるし。あんま時間ないから…、後悔だけはしたくない。」
葵「そうか…。頑張れよ。」
将「おう。」
そのまま瞳美に関する話題は終わった。

閉店後におしゃべりをしながら後片付けをする瞳美と琥珀。

瞳美は学校から帰ると、将と一緒に写真撮影会に行くことになったと琥珀に伝えた。
琥珀「へぇー、将さんと撮影会するんだ。」
瞳美「うん…。撮影スポットとか、撮り方とか教えてくれるって。特訓みたいな感じ。」
琥珀「2人で?」
瞳美「うん。」
琥珀「そっか…。」
琥珀は何か瞳美に言いたそうな表情をしており、瞳美は「どうしたの?」と琥珀に尋ねた。
琥珀「ううん、何でもない!楽しみだね。」
瞳美「うん、頑張らなくちゃ。」
その頃、葵が夕飯を食べていると、母親である遥が「ねえ。あの子とはどうなったの?」と突然葵に聞いた。
葵「あの子?」
遥「うちに来てたロングヘアーの美人さん。」
葵「あ!?何それ。」
遥「何って、同じ部活なんでしょ?」
葵「何で知ってんの?」
遥「優しい子らしいじゃない。」
葵「そうだけど…、関係ないだろ。」
すると遥は何かを企んでいるような笑みを浮かべて、「へぇー…。優しい子なんだ。」と返した。葵は遥にカマをかけられたことに気づいたが、気づいた時には既に遅かった。
遥「誰かに取られないように、ちゃんと捕まえときなさいよ?あなたお父さんに似て、ボーっとしたところあるから。」
葵「別に…。関係ないし。」
遥「へぇー…。」
葵は動揺しないために何気ない風を装い、遥はそんな葵を面白がって見ていた。

将はおすすめスポットに瞳美を連れて行った。

次の日の休日、瞳美が待ち合わせ場所に着くと、既に将が待っていた。
瞳美「お待たせしました。」
将「俺も今来たとこ。はい、多分今日1日じゃ回れないから…。名所以外にも、人通りの多い場所とか、撮影禁止の場所とかもメモっといた。」
そう言いながら、将は手作りの地図を瞳美に手渡した。瞳美は将にお礼を言い、2人は写真撮影会に出かけた。
瞳美が将にもらった地図を眺めながら歩いていると、「そうやって地図開いてるの見ると、初めて会った時のことを思い出すな。」と将は話しかけた。
瞳美「え…?」
将「最初、まほう屋までの道に迷って、ウロウロしてたろ?」
瞳美「そうですね…。先輩が声かけてくれなかったら、ずっと迷ってたかも…。」
将「俺がかけなくても、川合かあさぎがかけてたよ。」
そんな会話を交わしながら、2人は長崎港や水辺の森公園、浦上天主堂、稲佐山の階段の写真を撮った。
2人が水辺の森公園にいた時、勉強をしていた胡桃と胡桃にコーヒーの配達をしに来ていた千草が2人の姿を見つけた。
胡桃「ねぇ、あれ瞳美と山吹じゃない?」
千草「ホントだ。」
胡桃「もしかして、デートとか?」
千草「えぇー?スクープじゃん。」
その時、胡桃は瞳美と将がカメラを手にしていることに気づき、「撮影?」と呟いた。
千草「うわー…、デート感ゼロ。」
胡桃「まぁ、山吹と瞳美じゃねー…。でも、一応このことは他言無用ね。」
千草「あぁー、あさぎ先輩?」
胡桃「気付いてたの!?」
千草「気付くでしょ、フツー。分かってないの、あの鈍感ズだけじゃない?」
胡桃「鈍感ズって…。」
千草に陰で鈍感ズと呼ばれていることに気づかず、瞳美と将は写真撮影を続けた。
夕方、将は女神大橋と海が一望できる場所へ瞳美を連れて行った。
将「ここ、観光だと来づらいから、意外と穴場なんだ。俺のお気に入りスポット。」
瞳美「素敵な眺めですね…。」
将「だろ?この時間が、一番いい写真が撮れる。」
瞳美はカメラを構え、夕日に照らし出されている海の写真を撮った。
瞳美「イメージ通り、撮れた気がします。」
将「ホントかよ。」
瞳美「明日、楽しみにしていてください。」
瞳美は笑顔で将を見た。時刻は既に18時を過ぎており、将は「そろそろ切り上げるか。」と言った。
瞳美「ふぅ…。覚えることいっぱいで、頭がパンクするかと思いました。」
将「悪い、つい熱中しちゃって。」
瞳美「部活の体験イベントでも、色々説明してくれましたよね。あの時は難しくて、よく分からなかったですけど…。」
将「あれで部員逃したよなぁー。」
瞳美「でも、先輩のそういうところ、すごいなって思います。写真に対して、いつも真剣で。」
将「そうか…。」
瞳美「はい。」
将「瞳美も、初めて見た時は心細そうにしてて、なんか昔のあさぎ見てるみたいで…。放っておけない子だなぁって思った。けど、色々抱えてて…、なのに泣き言も言わないで。今日も全然めげなくてさ。瞳美のそういうとこ、いいと思う。」
瞳美「そんな…。私…、そうやって言ってもらえるのは、琥珀や先輩たちのおかげです。私は何もできなくて、先輩が声をかけてくれたから皆と知り合えて…、琥珀が背中を押してくれたから…。1人だったら、ずっと変わらなかった…。」
瞳美はそう言いながら、沈みゆく夕日が照らす風景を眺めた。

突然将に告白され、戸惑う瞳美。

日が落ち、将は瞳美を電停まで送って行った。電停に着くと、瞳美は「ここまでで大丈夫です。今日は本当にありがとうございました。勉強になりました。」とお礼を言って頭を下げた。
将「俺も色々復習出来て、よかったよ。」
瞳美「それじゃあ、また明日。」
将「ああ…。」
瞳美は将に背中を向け、電停の乗車する側へと歩き始めた。将は決心した表情をすると、「瞳美!ちょっと待って!」と瞳美を呼び止めた。
将「伝えていないこと、まだあった。」
瞳美「え?」
その後に将が続けた言葉は、ちょうど着いた電車の音にかき消されたが、瞳美の耳には届き、瞳美は驚きで目を見張った。電車が去った後も、瞳美はその場で固まり、動けなかった。
将「本気で言ってる。俺と付き合ってほしい。」
瞳美は将の言葉をきっかけに我に返り、「ご…、ごめんなさい!」と謝ると呼び止める将の声にも振り向かず、その場を走り去った。将は瞳美の後を追いかけることが出来なかった。
瞳美は途中で転んでしまうまで、訳も分からずに走っていた。1人になりたかった瞳美は、そのまま家には帰らずにグラバースカイロードの斜行エレベーターに乗り、将から言われた言葉について考え込んだ。
瞳美「急に言われても…、そんなの分からない…。」
エレベーターのドアが開いても、瞳美は俯いたまま降りることが出来なかった。

瞳美が出した答え

悩む瞳美から琥珀に打ち明けられた恋の悩みに、クラスの女子たちは集まって色めき立つ。

騒ぐ女子たちの言葉を聞いて失恋したことを知り泣きそうになる男子たちと、唖然としているあさぎ。

瞳美が帰って来ないことを心配した琥珀は、家の前で瞳美を待ちながら、一緒にいるはずの将に電話をかけていた。
琥珀「そうですか…。もう、帰ったんですね…。」
将「ああ。けっこう前に駅で別れたけど…、心配だな…。」
琥珀「はい…。ちょっと、探してみます。」
将「俺も!…あ…、いや…。」
その時、視線を上げた琥珀は、戻ってくる瞳美の姿を認めた。
琥珀「戻ってきました!はい、すみません。また明日!」
琥珀は電話を切り、瞳美の前へ歩み寄ると、怒った口調で瞳美に話しかけた。
琥珀「こら、遅いぞ瞳美!何してたの?」
瞳美「うん…。ごめん、考え事…。」
しかし瞳美は琥珀の方を全く見ようとせず、うわの空だ。そのまま琥珀の横を通って玄関に向かい、「あっ…、ちょっと、ごはんは!?」と琥珀が聞いても、「お腹空いてないから…。」と琥珀の方を見ようともせずに答える。
琥珀は瞳美の様子に違和感を感じた。その違和感は次の日の朝になっても消えず、一緒に登校して下駄箱に着いたタイミングで琥珀は切り出した。
琥珀「何か変だよ?」
瞳美「何が?」
琥珀「昨日帰って来てから、心ここにあらずって感じ…。朝もごはん、全然食べてなかったし。」
瞳美「ううん…。何もないよ…。」
その時、将が下駄箱に表れ、琥珀は「あ、おはようございます!」といつものように挨拶をした。将は琥珀と一緒に瞳美がいるのを見ると、「あぁ、おはよ…。」と歯切れ悪く挨拶をした。瞳美は「おはよう…ございます…。」と将に視線を合わせないようにして挨拶をすると、急に駆け出してその場を去った。琥珀は瞳美の様子に驚き、将は「だよな…。」と呟いて寂しそうな顔をした。
瞳美は教室の机に突っ伏して、「また逃げちゃった…。」と考えて落ち込んでいた。そこへ琥珀が来て、瞳美に話しかけた。
琥珀「将さん、びっくりしてたよ。」
瞳美は顔も上げずに、琥珀に昨日将との間に起きたことを話し始めた。
瞳美「あのね…、例えばの話だけど。琥珀は、誰かに好きって言われたことある?」
琥珀「はい来たー。やっぱそういう話かー。」
瞳美「でも、琥珀は付き合う気がなくて…。でも、その人のことは尊敬してて、傷つけたくなくて…。どうすればいい?」
琥珀は「うーん…?」と考えた後、「私なら、そういう話はもうちょっと人のいない所でするかな…。」と冗談めかして言った。
実際、瞳美と琥珀の周りにはクラスの女子が集まり、「恋バナ!?」「月白さんが恋バナ!?」「朝から恋バナとはやるねぇ…。」と騒ぎ始めたのだ。そんな女子たちの言葉を聞いて、教室にいた何人かの男子生徒は泣きそうになっていた。彼らは密かに瞳美に好意を抱いていたようだ。あさぎは教室の騒ぎを見て、唖然としている。

自分の部屋で悩み、浮かない表情をする瞳美。

その日、葵と千草はバイトをしながら、何気ない会話をしていた。
千草「月白シスターズ休みだし、今日は部活、解散したそうですよ。」
葵「2人とも休みなんて、珍しいな…。」
千草「何かあったんですかねぇー。気になるぅー。」
その時、客の1人が「お会計、お願いできる?」と声をかけたため、葵は「はい、ただいま!」と言って会計をした。
葵「10万80円になります。」
千草は思わずズッコケて、「先輩!ケタ違う!ケタ!」と大声で突っ込んでしまった。葵は我に返り「あ…。」と呟いて、会計をし直した。

部活を休んだ瞳美と琥珀は、下校しながら瞳美が告白されたことについて話し込んでいた。
琥珀「ねぇ、瞳美…。部活休んだからって、答え出るわけじゃないよ。」
瞳美「うん…。」
琥珀「私もさ…、べつに告白とかしたことないから分からないけど、どうしたって断られたら傷つくよ…。それでも、ちゃんと答えは欲しいんだと思う。」
瞳美「答えって、何…?」
琥珀「瞳美がその人のこと、どう思ってるのか…、どうして気持ちに応えられないのか。それは、瞳美が自分で考えて答えなきゃ。」
瞳美は俯いて琥珀の言葉を聞いていた。

将は暗射室に残り、瞳美と写真撮影会をした時に撮った写真を現像していた。あさぎは将を探して暗射室に来た。
あさぎ「将くん…?」
将「あさぎ。まだいたのか。」
あさぎ「作品集に載せる写真、悩んじゃって。それ、新作ですか?」
将「あぁ。」
あさぎ「ここ、また行ったんですね。」
将「好きだからな。」
あさぎ「昔はよく、一緒に撮りましたね。」
将「俺の趣味に付き合ってくれたのなんて、あさぎくらいだよ。」
あさぎ「ですね。」
将「そこは否定してくれよ。」
あさぎ「フフフ…。」
将「写真ってさ、同じものは撮れないんだよ。夜景も…。色んな人が生活してて、昨日までは点いてた明かりが、今日は消えてて…。気付いたら、もう二度と見られない景色に変わってて…。」
あさぎは将の様子が変だと感じて「将くん?」と言い、心配そうな表情を浮かべた。将は「何でもない…。帰るか。」と言ってあさぎに背を向けて暗射室を出て、あさぎは将の背中を見送った。

夜、柚葉は自分の部屋にいる瞳美に「お風呂沸いてるから、先に入ってね。」と声をかけた時、「はい…。ありがとうございます。」と返ってきた声が弱々しいことに気づいた。柚葉は台所で星砂作りをしている琥珀に、「何だか大変そうねぇ。瞳美、ふさぎ込んじゃってるじゃない。」と話しかけた。
琥珀「あぁー…。でも大丈夫。多分…、瞳美にとって大事なことだから。」
瞳美は部屋の電気を消したままベッドの上に横たわり、浮かない顔をしていた。

自分の気持ちに答えを出した瞳美と、瞳美の答えを聞いて納得した将。

次の日の放課後、あさぎは将に加えて瞳美の様子も変だということに気づき、1日中瞳美のことを気にかけていた。部活に行く前、あさぎは瞳美の席の方に行き、「瞳美ちゃん。」と声をかけた。
瞳美「ごめん、今日も部活…。」
あさぎ「何か考え事ですか?」
瞳美「えっ…?どうして…。」
あさぎ「分かりますよ、瞳美ちゃん、すぐ顔に出ますから。」
瞳美「そんなに分かりやすいかな…。」
あさぎ「私は、いいと思いますよ。笑ったり、困ったり…。瞳美ちゃんの色々な顔、好きです。」
瞳美「好き…。」
瞳美は俯き、自分のカメラで将との写真撮影会の時に撮った写真の画像を見た。あさぎは瞳美の右隣の席の椅子に座り、瞳美の話を聞いた。
瞳美「聞いていいかな。」
あさぎ「いいですよ。」
瞳美「あさぎちゃんは、好きな人とかいる?告白とか、されたことある?」
あさぎは瞳美の質問と、瞳美のカメラに映し出された写真の画像を見て、目を見開いた。瞳美のカメラに映し出された画像は、将と自分しか知らないはずの将のお気に入りスポットから見える風景だったのだ。その時、あさぎは瞳美に告白したのが将だと気づき、将は瞳美をお気に入りスポットに連れて行ったのだと知ってショックを受けた。
黙り込んでしまったあさぎを不審に思い、瞳美はあさぎを見て「あさぎちゃん?」と呼びかけた。あさぎはそれまでの優しい声ではなく、少し固くなった声で俯きながら言葉を切り出した。
あさぎ「いますよ…。ずっと前から好きな人です。いつも、その人のことばかり考えています。今、何してるんだろうとか…、この場所、あの人好きそうだな…、とか。考えている間に、1日が終わっちゃったり。向こうは、全然こっちの気持ちなんて気付いてないですし、怖くて告白なんて出来ないけど…。」
あさぎは微笑みを浮かべて瞳美を見て、「ずっと、好きなんです。」とはっきり言った。
あさぎ「瞳美ちゃんは、その人のこと、どう思ってるんですか?」
瞳美「分からない…。そういうの、考えたことないから…。私には、好きになってもらう資格も、好きになる資格もないから。」
再びあさぎは俯き、声が固い物になった。
あさぎ「ダメですよ。考えなきゃ。その人が、かわいそうだから…。」
瞳美「あさぎちゃん…。」
あさぎはそのまま立ち上がり、「部活…、行きますね。」と告げてその場を去った。

瞳美はあさぎの言葉を聞いて自分の答えを考え、将を屋上に呼び出すと「ごめんなさい!」と言いながら頭を下げた。
将「え…。」
瞳美「あの時、逃げちゃって!いきなりで驚いて…。先輩がせっかく、す…好きって、言ってくれたのに。」
将「あぁ…。俺、まだ答えもらってなかったんだ。てっきり、あそこでフラれたんだと思ってたんだけど。」
瞳美は頭を上げて、将の顔をまっすぐ見て必死に言った。
瞳美「すみません!そういうわけじゃ…。あの、最初は戸惑ったけど、嬉しかったです。好きって言ってもらえて。私、今まで誰かに必要とされてるって思ったことなくて…。たくさん、考えました。まだ、上手く言えないけど…。」
将「うん。」
瞳美「私、ずるいんです…。先輩のこと傷つけたくないって言い訳して、先輩の気持ち、ちゃんと考えられなくて…。自分のことばかり悩んで、なのに…、大事なことから目を逸らしてばかりで。」
将「うん。」
瞳美「私…、私…。」
将「いいよ。覚悟できてるから。」
瞳美「まだ、この気持ちが本物かどうか、分からないですけど…。」
瞳美は両手を握りしめて将の目をまっすぐ見ると、「気になる人がいます。」とはっきり告げた。
将「そっか…。ありがとう。ちゃんと言ってくれて。おかげで吹っ切れる。頑張れよ!応援してるから。」
瞳美「はい…。」
将は手を差し出して瞳美と握手をしながら勇気づけ、瞳美も将の応援を受け入れた。

失恋

屋上で葵は、瞳美にフラれた将と会話した。

琥珀は教室で友だちと話しながら瞳美を待ち、瞳美が帰って来ると「おかえり、瞳美!」と笑顔で迎えた。瞳美は教室を見回して「あさぎちゃんは?」と琥珀に聞くと、琥珀は「今、帰っちゃったよね。今日は部活休むって。」と答えた。部活に行くとあさぎから聞いていた瞳美は驚いた。
その頃、葵が屋上に行くと、将が寝転がっていた。
葵「何してんの?」
将「フラれた。」
葵「えっ…?そっか…。」
葵は将の隣に座ると、「すごいな…、お前。」と話しかけた。
将「嫌味かよ。」
葵「違うよ…、ホントに…。」
その時、吹奏楽部が練習をしている音楽が聞こえ、「吹奏楽部、気合入ってるね。」と何気なく葵は口にした。すると将は突然起き上がり、仁王立ちになると吹奏楽部の音楽に紛れるように「うあぁーっ!」と大声で叫んだ。
葵は呆気に取られ、外にいる生徒も吹奏楽部の部員も何事かと屋上の方を見上げた。
将は少しの間叫び続けると、「すっきりした…!」と清々しい表情で言った。
葵「ホント…、すごいなお前。」
将は葵に笑いかけ、「だろ?」と答えた。

あさぎが将のことを好きだということを瞳美は初めて知り、あさぎは将が瞳美に告白したことで、自分は失恋したと思い込む。

一方、瞳美は下駄箱で帰りかけていたあさぎを見つけ、急いで駆け寄ると「あさぎちゃん!よかった、間に合って…。あのね!」と話しかけた。しかし、あさぎは「私ね!」と言って瞳美の言葉を遮り、言葉を続けた。
あさぎ「好きだったんです…、将くんのこと。」
瞳美は「えっ!?」と初めて知る事実に驚き、何も言えなくなる。そんな瞳美を見て、あさぎは自分の気持ちを堪え切れなくなって走ってその場を去った。
あさぎは近くの公園まで来ると、ブランコの支柱に寄りかかり、涙を浮かべながら「ごめんね…。」と呟いた。

「色づく世界の明日から」第9話『さまよう言葉』の感想・考察

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Charlotte(シャーロット)のネタバレ解説まとめ

「Angel Beats!」に続く、Keyにより制作されたオリジナルアニメ作品。 主人公「乙坂 有宇」の成長と人間模様に焦点があてられており、思春期の真っただ中にいる「完全ではない特殊能力」を持つ仲間とともに、彼らの前に立ちふさがる残酷な運命に対して抗っていく物語である。 2015年に全13話が放送され、翌年にOVAがリリースされた。

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有頂天家族2(The Eccentric Family 2)のネタバレ解説まとめ

「有頂天家族2」とは、「森見登美彦」による小説作品「有頂天家族」シリーズ2作目をアニメ化した作品。2007年に小説「有頂天家族」が発売、2013年に第一期がアニメ化。2015年に小説「有頂天家族 二代目の帰朝」が発売、2017年に「有頂天家族2」としてアニメ化。主人公で狸の「下鴨矢三郎」は、天狗の息子「二代目」と出会う。二代目はヒロイン「弁天」と険悪な仲になり、矢三郎たち狸も巻き込まれていく。

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有頂天家族(The Eccentric Family)のネタバレ解説まとめ

2013年に放映されたアニメ。 原作は『四畳半神話大系』、『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦。3部作となる予定の「たぬきシリーズ」である。キャラクターデザインは『さよなら絶望先生』の久米田康治。 2013年には漫画化、2014年には舞台化された。 豪華なキャストと丁寧な描写で根強いファンがついており、2017年4月9日より第2期である『有頂天家族2』が放送開始する。

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SHIROBAKO(シロバコ)のネタバレ解説まとめ

2014年10月~2015年3月に放映された日本のオリジナルテレビアニメーション作品。P.A.WORKS制作、監督は水島努。同じ高校のアニメーション同好会でアニメを作っていた、あおい、絵麻、しずか、美沙、みどりが、いつか共にアニメを作るという夢を抱えながら、それぞれの道で懸命に奮闘するアニメーション業界の日常を描いた群像劇である。全24話。

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Angel Beats!(エンジェル ビーツ)の名言・名セリフまとめ

「Angel Beats!」は、P.A.WORKS制作によるテレビアニメ作品。 主人公「音無結弦」が目覚めると、そこは死後の世界だった。そこで出会った「仲村ゆり」に理不尽な人生を強いた神への復讐を目的とする「死んだ世界戦線」へと誘われる。音無は戦線の一員として、「天使」と呼ばれる少女と戦いを繰り広げる日々が始まる。 青春コメディ要素もありながら、人生に言及する重みのある名言を多く残す。

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