色づく世界の明日から(第6話『金色のサカナ』)のあらすじと感想・考察まとめ

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瞳美は初めて作った星砂を葵にプレゼントとして贈り、葵が星砂を使ってみたところ、金色の魚が飛び出して周りを泳ぎ始めた。それは葵が小学生の時に賞を受賞した絵に描いた魚だったのだ。なぜ金色の魚が現れたのかが分からない中、瞳美と葵はグラバー園での撮影会に行くことになる。そこで瞳美は無意識に魔法を使ってしまい、葵の絵の中に入ってしまった。
今回は「色づく世界の明日から」第6話『金色のサカナ』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「色づく世界の明日から」第6話『金色のサカナ』のあらすじ・ストーリー

絵の中の世界

1

葵の前に突然現れた金色の魚。

4

瞳美が作った星砂を使った時にどうして金色の魚が現れたのかを話しながら、葵と瞳美、琥珀は帰り道を歩いている。

葵が瞳美から贈られた星砂を使ってみたところ、電気を消した部屋に星空が広がった。その光景に葵が見とれていると、突然1匹の金色の魚が現れ、葵の周囲を泳ぎ始めた。
金色の魚の出現に葵が驚いている内に、魚は葵がいつも絵を描いているタブレットの中に入り込み、消えてしまった。それはわずかな時間の出来事だった。

次の日、魔法写真美術部では次の撮影会をどこで行うかというミーティングが開かれていた。グラバー園に行こうという話し合いをしている他の部員たちの後ろで、葵と瞳美は星砂の効果について小声で会話を交わした。
瞳美「あの、どうでしたか?星砂。」
葵「それが…、実は途中で変な物が見えたんだけど。」
瞳美「えっ!?私、初めて作ったから…。」
葵「いや、分かんない。突然、星と一緒に金色の魚が出て来たんだ。」
瞳美「魚…?」
その時、2人の会話を聞きつけた琥珀が「何何?魚がどうしたって?」と尋ねてきて、瞳美が「星砂使った時、部屋に出てきたらしくって。」と返事をした。瞳美の言葉を聞いた他の部員たちも金色の魚が出てきたことを疑問に思ったが、琥珀を含めて誰もその理由に心当たりがない。

学校からの帰り道、葵と瞳美、琥珀はどうして金色の魚が現れたのかについて話しながら歩いていた。
琥珀「んー、何でかな?瞳美の星砂は、作り方に問題なかったと思うけど…。」
瞳美「じゃあ、どうして…。」
葵「あの魚は、俺が時々絵に描いてたものだと思う。小学生の時、授業で描いた絵で初めて賞をもらった。その時に描いたのが、金色の魚だったんだ。どうしてそんなものが出て来たのかは分からないけど…。」
琥珀「その絵って、今はどこに?」
葵「さあ。どっかしまってあるんじゃない?」
琥珀「ちぇー、見たかったなー。瞳美の失敗って訳じゃないと思うよ。」
瞳美「うん…。」
3人で話しても、結局原因は分からなかった。

5

葵が賞をもらった時の絵の写真。

次の日、瞳美は部室で葵の幼馴染である将に、葵が小学生の時に賞をもらったという絵について何か知らないかと尋ねた。将はその絵のことを覚えており、絵の写真も撮っていたため、放課後に公園までその写真を家から持って来て瞳美に見せた。
その写真に写っている絵には、瞳美が初めて葵と会った時にも現れた金色の魚が描かれていた。将は瞳美に写真を見せながら、葵が賞をもらった時のことについて話した。
将「賞をもらった時、唯翔の親父さんがすごく喜んでさ。それから絵を描くようになったんだ。唯翔って、そういう話あんまりしないんだよな。自分のこと話すの、好きじゃないのかも。あいつ繊細だから。」
瞳美は将に頭を下げ、「どうもありがとうございました。」とお礼を言った。
将「こんなんで役に立った?」
瞳美「はい、すごく!それじゃあ、失礼します。」
瞳美が将に背を向けて歩き出した時、将は「瞳美!」と呼びかけ、瞳美は不思議そうな表情で将を振り返った。将はなぜか言葉に迷っているような素振りを見せた後、「あ…、いや、送ってく。」と言葉を続けた。瞳美は将の様子を不思議に思いながらも、まほう屋まで将に送ってもらうことにした。
まほう屋の入り口に着くと、ちょうどまほう屋から出ようとしていたあさぎと2人は鉢合せをし、お互いに驚いた。
瞳美「あさぎちゃん?」
あさぎ「あ、あの…、ポストカード作ってみたから、まほう屋さんにも置いてもらおうと思って…。今お願いしてきたんです。」
将「へぇ~。」
瞳美「すごいね、あさぎちゃん。」
あさぎが「じゃあ、私は…。」と言いながら2人の横を通り抜けようとしたとき、将は「あさぎ、俺もそっちだから。」とあさぎに声をかけ、瞳美に別れを告げるとあさぎの後を追いかけるようにしてついて行った。
あさぎは後ろから追いかけてくる将の気配を感じながら、「未来を決めるのはいつも自分。」という琥珀の言葉を思い出していた。
将はあさぎに追いつくと、「ポストカード作ったんだ。偉いな、あさぎ。」と言ってあさぎの頭をポンポンと幼い子どもを褒めるように撫でた。あさぎは将を振り返ると、不満げな顔で「将くん、止めてください!私、もう小学生じゃないんです!」と怒った声で言うと、将に背中を向けて早足で歩き始めた。
将はあさぎがどうして怒ったのかが分からず、口を開けたままその場に立ちつくした。

ハリネズミのジレンマ

7

19世紀のイギリス風の衣装に着替えた魔法写真美術部のメンバー。

撮影会当日、魔法写真美術部のメンバーはグラバー園に来ていた。
まずは胡桃の希望で、19世紀のイギリス人が着ていたような衣装の貸出をしてもらい、みんなで記念写真を撮った。普段とは違う衣装に着替えたことで、胡桃だけでなく他のみんなのテンションも上がった。
胡桃「いっぺん着てみたかったのよねー!」
千草「へえー、意外と似合う。」
胡桃「意外って言うな。」
瞳美とあさぎは恥ずかしそうな表情を浮かべていた。
あさぎ「何だか、落ち着きませんね。」
琥珀「大丈夫大丈夫!2人ともよく似合ってるよ!」
葵は将の方に顔を向けて「何でお前軍服なの?」と突っ込みを入れた。将は「この方が目立つだろ?」と表情を変えずに答えた。
みんなはそれぞれカメラを片手にお互いの写真を撮り合い、撮られる方は色々なポーズを取って楽しんだ。
衣装の貸出の制限時間が終わった後は、グラバー園から見える景色や庭に咲いている花、観光客の姿などを写真に収め、葵は絵を描き始めた。

10

瞳美が見た黒い人影。

瞳美は絵を描いている葵の後ろを通りかかった時、何気なく葵の方に目をやり、葵の手元にある書きかけの絵に視線を落とした。その時突然、金色の魚が現れて瞳美の方に来た。金色の魚は瞳美の周りに色鮮やかな星砂のような粒をまき散らし、瞳美は突然のことに驚いた。
次の瞬間、瞳美は見知らぬ空間に1人で立っていた。瞳美は海の上に立っており、目の前には普段いつも見ている海の景色が広がっていたが、水面に映し出されているのは地上にある景色とは違う景色で、水面にだけクレヨンで描いたような花火が打ち上げられていた。ふと瞳美が足元を見ると、瞳美の足元の水面下で先ほどの金色の魚が泳いでいた。
瞳美「これって…、葵先輩の絵?」
瞳美は恐る恐る足を踏み出し、前に進んでいった。すると景色はめまぐるしく変わり、海の景色から空の上に浮かんでいるような雲の中に瞳美はいた。
瞳美「どうしたら帰れるんだろう…。誰かいませんかー?誰かー!」
瞳美は戸惑い、とにかく絵の中から出なければと思って、助けてくれる人を探した。しかし瞳美の呼びかけに返って来る声はなかった。瞳美は仕方なく前に進み続けた。
やがて景色は一面の砂漠になり、空も真っ暗で、前方には瞳美の足もとで泳いでいた金色の魚の死骸が横たわっていた。瞳美がその先に進んでいき、砂が積み上げられた小さな丘を乗り越えると、谷間になっている平地に黒い湖が広がっていた。
瞳美はその湖を見て「あれも、色…?」と困惑しながら呟いたが、黒い人影が湖の中に入って行こうとして沈んでいっていることに気づいた。瞳美は慌ててその人影を止めるために湖の側に近づき、「ダメ!それ以上行っちゃダメ!」と必死に呼びかけた。それでも人影は歩みを止めずに湖の中心へと向かって行ったため、瞳美も湖の中に足を踏み入れた。ふと瞳美は何かが湖の上に浮かんでいるのに気づき、何が浮かんでいるのかと思って視線を下に向けた。それは金色の魚の死骸だったが、何故か先ほど砂漠に横たわっていた金色の魚の死骸よりも小さな物だった。

11

瞳美の方を一瞥もせずに冷たい言葉を告げる葵の表情。

瞳美はハッとして意識を取り戻した。瞳美はベンチに横たえられ、葵が「大丈夫?月白さん。」と心配そうに瞳美の顔を覗きこんでいた。どうやら瞳美が今まで見ていた光景は葵の絵の中の世界で、瞳美は無意識の内に魔法で葵の絵の中に入ってしまったようだ。現実世界の瞳美は、絵の中の世界に入った時点で意識を失って倒れてしまっていたのだ。
瞳美は起き上がって葵の方を見ると、「私、今…、葵先輩の絵の中にいた。」と葵に打ち明け、葵は驚いた表情を見せた。
瞳美「絵の中から金色の魚が現れて、気づいたら知らない場所にいて…。」
葵「絵の中に入る魔法があるの?」
瞳美「分かりません。1つ、怖いことが…。」
葵「何?」
瞳美「絵の中に進んでいった時、すごく荒れた場所になって…。色とかも、ぐちゃぐちゃになってて…。黒い影みたいな人がいたんです。」
葵「影?」
瞳美「はい…。ずっと魚を追いかけてて、捕まえられないみたいで。もしかして、あの黒い人が邪魔をしてるのかなって思って。」
瞳美はハッと何かに気が付いた表情を浮かべて葵の方を向き、必死な声で言った。
瞳美「そうだ、琥珀に相談してみたらどうですか?夢占いみたいに、何かヒントが見つかるかもしれないですし…。」
葵「いいよ。」
瞳美「でも、もし悩みとかあったら…。」
葵「いいって!」
葵は俯いたまま突然声を荒げ、冷たく瞳美に告げた。
葵「心配してくれるのはありがたいけど、俺、全部話さなきゃいけないの?カウンセリングでもするつもり?魔法使いって、何様?」
初めて見た葵の表情と剣幕に瞳美が驚いている間に、葵は瞳美の方を一瞥することなく立ち上がり、その場を去った。
瞳美は慌てて葵を追いかけたが、葵は瞳美に構うことなく鞄を持って早足で歩いていく。途中で将と胡桃に会った葵は立ち止まることなく「ごめん、ちょっと用あるから。」とだけ告げて1人だけ帰って行った。
将と胡桃は葵の様子に驚いて立ち止まり、葵を追いかけて来た瞳美も2人の側で諦めたように足を止めて俯いた。

13

琥珀は瞳美の話を聞きながら、瞳美を元気づけようとしている。

その日の夜、瞳美は部屋で足を抱えながら蹲り、「魔法なんて、大嫌い…。」と呟いた。無意識に魔法を使って葵の中の見られたくないものを勝手に見てしまい、その上葵の心に土足で踏み込むような発言をしてしまったことを瞳美は後悔し、魔法が使える自分のことまで嫌いになっていたのだ。
そこへ琥珀が瞳美の部屋のドアを開けて「お邪魔しまーす。」と言いながら顔を覗かせた。琥珀は2人分の飲み物をマグカップに入れて持って来ており、瞳美の横に座って話を聞こうと思い、瞳美の部屋に来たのだ。
瞳美「怒られちゃった…。入っちゃったの、絵の中に。多分、魔法で勝手に。」
琥珀「自覚がないのに魔法が使えるなんて、魔法使いとしてはかなりすごいよ。でも…、危険でもある。それはともかく、怒られるのも無視されるよりはずっと良いんじゃない?仲良くなれる気がするじゃん。ハリネズミのジレンマだねー。」
瞳美「何?それ…。」
琥珀「大事に思って近づくと、傷つけちゃうこともある。だけど離れてると、お互いに寂しいまんま。大事な物ほどトゲがあるからね…。近づきすぎちゃったのかなー。優しい距離が見つかるよ、きっと。トゲで刺した方も、案外傷ついてたりするものだしね。」
瞳美は琥珀が言っていることがよく分からず、落ち込んだ気持ちは戻らないままだった。

色が戻った

15

落ち込む瞳美と気まずい雰囲気に包まれる部員たちの写真。

次の日の部活の時、胡桃はパソコンで昨日撮った写真を瞳美と琥珀、あさぎに見せた。
胡桃「可愛い写真もいっぱい撮れたし、それにホラ!」
胡桃がそう言いながら見せたのは、葵と喧嘩別れした後に落ち込む瞳美と周りのみんなの気まずい表情が収められた写真だった。「見てー、この超気まずい感じ。」と言う胡桃に、「だって葵先輩帰っちゃうし、瞳美ちゃん泣きそうだったし…。」とあさぎは瞳美をフォローするが、瞳美はみんなに迷惑をかけていたことに気づいてますます落ち込み、「すみませんでした。」と呟いた。
胡桃「いいのいいの!どれプリントするか、みんなで決めよーん。」
あさぎ「胡桃先輩、そういう人でしたよね…。」
琥珀「でも、こういう写真も後から見ると良い思い出になりそう。」
胡桃「そうそう!お決まりの笑顔ばっかじゃつまんないもん。それにね、絆って少し叩いた方が強くなるのよ。」
胡桃の言葉に瞳美は驚いた表情を浮かべ、瞳美の表情に気づいた琥珀は「どうしたの?」と聞いた。
瞳美「そんな風に思ったことなかったから…。」
一方、胡桃は他の写真も見せながら「ほら見て、みんなの顔!ハハハハハハ!サイテー。」と言いながら豪快に笑っていた。
あさぎはもう我慢が出来なくなった様子で「ああっ…、やっぱり気になって我慢できません!」と言って、瞳美の方に身体を乗り出した。
あさぎ「何があったんですか?私でよかったら、相談に乗ります!」
瞳美「魔法のせいで怒らせちゃって…。」
あさぎ「魔法?」
瞳美「ごめんなさい、これ以上は…。」
琥珀「話さなくてもいいよ。友だちでしょ?」
その時、パソコンに向かっていた胡桃がスマホを手にして振り返り、「良い顔してるねえー。撮って良い?」と聞きながら瞳美の顔にカメラを向けた。瞳美は「ダメです…。」と言いかけたが、瞳美が言い終わらないうちにシャッター音が響いた。
瞳美は勝手に顔写真を撮られたことに少し怒り、頭に怒りマークが浮かんでいたが、それ以上胡桃には何も言わなかった。

19

左にいる女性が朝川砂波。

瞳美は暗室に行って写真を現像する作業をしていたが、口からは思わずため息が漏れてしまう。ふとテーブルの上を見ると、絵画の展覧会のチラシが何枚かあった。その中に写真サイズの絵ハガキが1枚あり、瞳美はその絵ハガキを何気なく手にした。その絵ハガキには、「朝川砂波 作品展」という文字が書かれていた。

その頃、葵は部活を休んで「朝川砂波 個展」という看板が表に置かれている建物の中に入って行っていた。受付にいた女性に葵が「こんにちは。」と声をかけると、「あら…、来てくれたんだ、葵くん。」と言いながら葵に笑顔を見せた。
葵「初個展、おめでとうございます。」
朝川「ありがとう。」
葵と朝川は個展が開かれている会場を見回しながら、会話を交わしていた。
朝川「やる前は不安でいっぱいだったけど、お客さん来てくれてホッとしたわ。」
葵「あ…。そうだ、これ。個展のお祝いに。」
そう言いながら葵が取り出して朝川に渡したのは、まほう屋で瞳美と一緒に選んで買った星砂が入れられている袋だった。
朝川「まほう屋の星砂だー!開けていい?」
葵「どうぞ。」
朝川は星砂が入れらている透明な袋から少しだけ漂う香りを嗅ぎ、「へえー、森の香りかあ。」と嬉しそうに呟いた。朝川がコップを受付に持って来て星砂を入れてみると、森の香りが会場内に広がった。
朝川「うーん、良い香り。リラックスして見てもらえるのは嬉しいな。センスいいね。」
葵「後輩が選んでくれて。」
朝川「へえー?お礼言っといてね?」
朝川はその後輩は女の子かと検討をつけて葵をからかうような口調で言葉を返したが、葵は気づかずに朝川が贈り物を喜んでくれたことが嬉しくて微笑を浮かべていた。
その後、朝川は葵と一緒に会場内を回って絵を見ながら、会話を続けた。
朝川「去年の文化祭以来?」
葵「そうですね。」
朝川「書いてるんでしょ?」
葵「はい。」
朝川「見てもいい?」
葵はタブレットを開いて朝川に自分の絵を見せ、朝川は葵の絵をじっくりと見ていた。そんな朝川に葵は「先輩は、何で絵を選んだんですか?」と尋ねた。
朝川「そんなかっこいい物じゃないよ?今も先のこと考えると怖くなる。自分には絵しかないとか、そんなすごい人にはなれないかな。描いて描いて描いて、とにかく描いてたら、何か見つかるんじゃないかって。好きだから。」
朝川は葵にタブレットを返しながら、「迷ってるの?」と聞いてみた。
葵「最近、なんか描けなくて。絵のこと言われた時も、後輩に逆切れみたいな言葉…。」
朝川「ああ~、サイテー。」
葵「ですよね…。」
葵は葵で、瞳美に冷たい言葉を放ってしまったことを後悔していたのだ。

21

瞳美が見ている景色の中に色がついた。

琥珀と瞳美が下校していると、「朝川砂波 個展」が開かれている会場の前を通りかかった。ちょうど葵が帰ろうとしており、朝川が見送りをしている場面を瞳美は目撃してしまう。葵は瞳美に見られていることに気づかず、朝川と会話をしていた。雨が降る中、葵は傘を持ってくるのを忘れてしまったため、朝川から傘を借りることになった。
朝川「返すのいつでもいいよ、星砂のお礼。」
葵「すみません、お借りします。」
朝川「また見に来てね。」
瞳美は葵が自分の知らない女性と話していることに何故か耐え切れず、葵がいるのとは逆方向に駆けだした。琥珀は瞳美が急に走り出したことにびっくりし、「瞳美!」と大きな声で呼びかけたが、瞳美は止まらない。葵が琥珀の声を聞きつけ琥珀と瞳美がいる方を見た時には、走り去る瞳美の背中しか見えなかった。
琥珀は少しの間だけでも瞳美を止めようとして、「風よ、彼の人へ!」と呪文を唱え、瞳美の正面から逆風を吹かせた。雨が降っているため琥珀も瞳美も傘を差していたが、逆風で瞳美の傘は琥珀の方向に飛んで行った。それでも瞳美はずぶ濡れになりながら走り去り、葵は思わず瞳美の後を追いかけた。葵は途中で瞳美の傘を拾って走り、電停で俯きながら立ち尽くす瞳美に追いついた。
葵は「月白!」と呼びかけながら瞳美の元に駆け寄った。
葵「俺…、描くから!今も描いてる。出来上がったら…、月白に見てほしい。」
そう言って葵は瞳美に傘を差しだした。その時、電車が2人の前に到着した。瞳美は唖然としながら傘を受け取り、何も言わずに電車に乗り込んだ。
瞳美が先ほど葵に言われた言葉を頭の中で繰り返していると、電車の外に突然金色の魚が現れた。瞳美は金色の魚に気づき、窓の外を見てみた。金色の魚が瞳美の見ている風景の上を泳ぐと、金色の魚が通った後の景色には色がついて見えたのだ。
瞳美は唖然として外の景色を見つめた。そこにはいつもの白黒の世界ではなく、色がついた世界が広がっていたのだ。

22

色が戻ったことに衝撃を受け、唖然としたまま玄関に立ちつくす瞳美。

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