東亰ザナドゥ(Tokyo Xanadu)のネタバレ解説まとめ

「東亰ザナドゥ(Tokyo Xanadu)」とは、日本ファルコムより発売されたPlayStation Vita専用のアクションRPGである。主人公の高校生・時坂洸が、ヒロインの同級生・柊明日香と出会い、謎の世界「異界」に挑んでいく物語を描いている。日本ファルコムを代表とする人気ファンタジーRPG「イース」「空の軌跡」とは一風変わって、現代の日本を舞台にしたストーリーと世界観が大きな特徴となっており、ファルコムの新たな時代展開を象徴する一作として注目を集めている。

多発する異界事件の現場で、何度も見え隠れする吾郎らしき人物の影。

同時に、時間が止まったような感覚の後に訪れる地震「虚空震(ホロウ・クエイク)」も頻発していく。

そして、手掛かりをたどってようやく虚空震の元凶に辿り着いた洸たちの前に吾郎は現れ、不敵な表情と隙のない素振りで立ち塞がってくる。

さらにそこへ、落し子を守るかのように巨大な龍の姿をしたエルダーグリード「ヨルムンガンド」も現れ、洸たちに襲いかかってきた。

御厨の起こした事件から数日後、璃音は「X.R.C」に新入部員として参加し、異界調査に協力することになった。そんな中、街で異界に纏わる事件が同時多発し、璃音を入れて7人となった「X.R.C」は手分けしてこの異変を鎮圧する。しかしその最中、洸たちは事件現場である男の姿が見え隠れしているのを何度も見た。その男は、佐伯吾郎。杜宮学園に英語担当の臨時講師として赴任してきた男性で、穏やかで気さくな性格で、頼り甲斐があることから男女問わず多くの生徒たちから人気を集めている人物だった。そんな彼は異界事件が勃発するこの頃、病欠を理由に学校に姿を見せないことが多くなってきていた。また一方で、栞も突然体調を崩しがちになってきていることに洸は気を揉んでいた。
そして、頻発する異界事件を解決していく中、時間が止まったような現象の後に訪れる地震が何杜宮市で発生していくようになる。明日香と美月はこの謎の地震を「虚空震(ホロウ・クエイク)」と呼んでおり、時空間そのものが震動する極めて特異な超常現象で、特に時間が止まったような現象は適格者や霊能者といった感応力が高い人間でしか認識することしかできないという。また、虚空震はネメシスやゾディアックなど異界関係者にとって最も恐れられる「災厄」のひとつだとされており、その理由としてあの東亰冥災、そしてその冥災を引き起こした神話級グリムグリード「夕闇ノ使徒」が大きく関わっていることが挙げられた。さらにネメシス、ゾディアック、そして刻印騎士団によって夕闇ノ使徒は討伐されたが、その眷属である怪異が生き残って杜宮のどこかに潜み、この虚空震はもちろん、これまでに起きた異界事件を引き起こす元凶ともなっているという可能性が導き出された。
そこで洸たちは、吾郎が何度も現場で姿を見え隠れさせていることから今回の異変にも関わっていると踏み、彼の行方を追うことになった。蓬莱町の一角にある彼のマンションの部屋を訪れたが、そこには誰もいなく、手掛かりがあるとするならば謎の符牒と書かれたメモ1枚だけだった。この符牒のメモと、メンバーで手分けして集めた情報を頼りに、吾郎と、そして夕闇ノ使徒の眷属が駅前広場にいる可能性を導き出した。早速駅前広場へ向かうと虚空震が起き、さらにオブジェが禍々しく輝き出すという現象を目撃し、そのオブジェの真下に位置する地下道で、今までにない凶々しい輝きとオーラを放つ巨大な異界の門を発見した。
その門を潜った先の異界の最奥にたどり着いた洸たちが見たものは、凶々しい輝きとオーラに満ちた卵のようなものの中で眠る幼虫の姿をした怪異だった。洸たちが息を呑み、あれこそが夕闇ノ使徒の眷属だと明日香と美月が言ったその時、「そのとおりだ。もっとも我々は『落し子』と呼んでいるが」という、落ち着いた男の声が聞こえた。その声の後、煙草をくゆらせながら吾郎が悠々と姿を現し、さらに白装束の人物までもが現れた。思わぬ組み合わせに驚きを隠せない洸たちに、吾郎は自分は刻印騎士団とは別の組織に所属していると明かし、一方で白装束の人物も、吾郎はただの一時的な協力者に過ぎないと言った。「刻が惜しい……そろそろ始めるとしよう」と、言って白装束の人物が眷属「夕闇ノ落し子(ブリード・オブ・ダスク)」に向けて手をかざし、その手を青く輝かせて何かを始めたのを見て、洸たちは思わず駆け寄ろうとするが、吾郎がそれを阻むように洸たちの前へと進み出てきた。「悪いが邪魔をしてもらうわけにはいかない。大人しく見ていてもらおうか?」と、不敵な笑いを浮かべて見据えてくる吾郎から伝わってくる気迫に、洸たちは気圧されそうになる。すると突然、吾郎が何かの気配を感じて後ろへ下がる。その直後、地響きと共に巨大な竜のような姿をしたエルダーグリード「ヨルムンガンド」が姿を現し、洸たちにその鎌首を向けた。「折角だし、それの相手はお前たちに任せるとしよう。思う存分見せてもらうぞ……一ヶ月以上に渡るお前たちの鍛錬の成果をな!」と、煽るように吾郎がそう言い放ったと共に、ヨルムンガンドは咆哮を上げて洸たちに襲いかかってきた。

ついに覚醒する「夕闇ノ落し子」。しかしこの覚醒は、吾郎ら「イージス」と純が直接対決の場に引きずり出すお膳たての一つに過ぎなかった。

こうしてついに夕闇ノ落し子が実体化したことで、全ての準備が整った国防軍の部隊が総攻撃を仕掛ける。しかし、10年前の災厄の元凶の眷属の力は伊達ではなかった。

異界へ逃げた夕闇ノ落し子を追おうと、仲間たちと共に自らも名乗り出てきた洸。そんな彼の胸ぐらを容赦なく掴み上げ、吾郎は恫喝をかける。

だが洸も、仲間たちと共にこの杜宮で生きる今を守りたいという思いを抱えているため、屈することなく堂々と言い返す。

苦戦を強いられながらもヨルムンガンドをなんとか撃破した洸たちだったが、白装束の人物が「完了だ」という一言と共に手をゆっくりと下ろした。同時に眷属を包む卵が激しく輝き出し、それを見た洸が絶叫した瞬間、その卵が砕け散って、夕闇ノ落し子がついに目覚めてしまう。激しく体を震えさせ、吠え猛る夕闇ノ落し子を見て、明日香と美月が息を呑み、空、祐騎、璃音が恐怖に戦く中、志緒と洸が激昂の叫びを吾郎と白装束の人物に向かった張り上げる。しかしその時、吾郎は煙草を放り捨てて、大声でこう号令するように言った。「『覚醒フェーズ』完了……これより『誘導フェーズ』に移行する!!」その吾郎の号令に応えるかのように「イエス・サー!!」という男たちの声が聞こえ、洸たちが目と耳を疑った瞬間、銃型のソウルデヴァイスのような武器を手にした、特殊部隊の隊員を思わせる一団が現れて夕闇ノ落し子に向けて威嚇射撃を浴びせる。続いて白装束の人物が「来い……『落し子』よ!!」と、さらに手をかざすと、夕闇ノ落し子の背後に巨大な魔法陣が現れ、夕闇ノ落し子は魔法陣の中に姿を消していき、白装束の人物も、吾郎にその場を任せて姿を消した。そして、状況が呑み込めない洸たちを吾郎は振り返ると、自分の正体をこう明かしたのだった。「日本国・国防軍所属、対零号特戦部隊『イージス』……その指揮を任されている佐伯吾郎特務三佐だ。改めて、見知りおき願おうか?『X.R.C』の諸君」
その後、吾郎が呼んだ軍用ヘリに乗って、夕闇ノ落し子の誘導地点である杜宮市の北西に位置する軍事施設「国防軍杜宮基地」に向かう中、吾郎は自分たち特戦部隊「イージス」の目的とそのあらましを明かした。日本の軍事組織である「国防軍」は、その名のとおり国防を担う立場でありながらも、10年前の東亰冥災による異界の被害に全く対応できなかったことを猛省した。その猛省の元で10年の歳月を賭けて、異界対策を目的として極秘裏に新たに結成された部隊が「イージス」で、隊長である吾郎の指揮と、刻印騎士団と協力関係を築いての調査の元、東亰冥災の元凶の眷属の生き残りである夕闇ノ落し子の存在にネメシスやゾディアックよりもいち早く気づき、殲滅作戦の実行に移したのだ。軍用ヘリが杜宮基地に辿り着いた時、夕闇ノ落し子の誘導が完了したという報告が吾郎に届き、吾郎は殲滅作戦の「最終フェーズ」として、杜宮基地に配備されている人型機動兵器「機動殻(ヴァリアント・ギア)」部隊の出撃を指示する。さらに夕闇ノ落し子にダメージを与えられるように、装備も全部外した無人の機動殻を1機、夕闇ノ落し子を実体化させる「器」として吾郎は用意させた。先に基地に到着していた白装束の人物が手をかざし、魔法陣を開いて夕闇ノ落し子を呼び出すと、夕闇ノ落し子はその無人の機動殻に乗り移り、機動殻の装甲を纏った漆黒の獣へと姿を変えた。そうして夕闇ノ落し子が実体化したのを見て、着陸した軍用ヘリから洸たちと共に降りてきた吾郎が「攻撃開始……! 全火力をもって『落し子』を撃破せよ!!」と、号令を下すと、機動殻部隊は一斉に夕闇ノ落し子に向けて総攻撃を開始する。
その戦いの凄まじさに洸たちが息を呑む中、一時は機動殻部隊が優勢に見えたかに思えたが、夕闇ノ落し子は咆哮と共に凄まじい衝撃波を放って反撃を仕掛け、機動殻部隊を吹っ飛ばしてしまう。そして、足元に巨大な門を作り出し、異界へと姿を消してしまった。吾郎は舌打ちしながらも、待機させていた他の部隊に追撃の指示を出そうとしたが、「待ってくれ!」と、洸がそこへ割って入り、作戦が思い通りに行かなかった以上、自分たちX.R.Cも介入させてもらうと言ってきた。それに吾郎と隊員たちが目と耳を疑うと、明日香ら仲間たちも洸と同じように夕闇ノ落し子の討伐に参加すると言ってきた。すると吾郎は突然洸の胸ぐらを容赦なく掴んで、「いい気になるなよ、時坂……」と、恫喝をかける。相手は10年前の東亰冥災の元凶の眷属だから、これまでの相手とは桁が違う。だからもう適格者と言えども洸たちがどうにかできるレベルではないと理由を述べ、「子供の時間は終わりだ……民間人は引っ込んでもらおうか」と、吾郎はさらに恫喝をかける。それに「だったら、アンタはどうなんだ……?」と熱り立った洸は、吾郎の腕を掴んでこう叫んだ。「アンタだって10年前は、子供で民間人だったはずだ……なのに、今この場にそうやって立ってるのは、大切な人のためじゃないのかよっ……!?」その叫びに吾郎が目を見張った瞬間、洸は吾郎の腕を振り払い、続けてこう言い放つ。吾郎はかつて、自分たちに「青春は短い、限りある今を悔いなく大切にしろ」と教えてくれた。自分たちにとっては、その大切にするべき「青春」で「今」はその時なんだ、と。それに吾郎がさらに目を見張ると、明日香たちもそれぞれの決意と覚悟を持ってこの場にいることを吾郎に訴えた。それに呆気にとられていた吾郎だったが、突然、これは一本とられたとばかりに笑い出した。「今がその時か……反吐が出るほどの青臭さだが、悪くない」そう言ってから、吾郎は自分は「顧問代理」として同行する形で洸たちX.R.Cと共に第一陣として、隊員たちと白装束の人物には第二陣としてそれぞれ行動し、二段重ねで夕闇ノ落し子を追い詰めるという作戦に変更すると隊員たちに指示を出したのだった。

銃と斧槍の二つの形態に可変できる吾郎のソウルデヴァイス「アークトリニティ」。ちなみにイージス、そしてゾディアックの実働部隊もこのソウルデヴァイスを原型にした、異界の力を持つ武器の開発・量産もしているらしい。

吾郎には双葉という幼馴染で恋人がいたが、10年前の東亰冥災で帰らぬ人となっていた。彼女のような悲劇を繰り返さないためにも、吾郎は軍人に志願することを決意したのだった。

異界の最奥で、ついに夕闇ノ落し子と対峙する洸たちと吾郎。先の2体のグリムグリードの比ではない圧倒的なパワーを見せつけてくるが、大切なものを守るために、洸たちはこの最大の敵に決戦を挑む。

そして、洸たちが夕闇の落し子を討ち滅ぼした頃、栞に恐るべき異変が訪れ、杜宮市に悪夢が訪れる。

そして洸たちと吾郎は、夕闇ノ落し子が逃げ込んだ、要塞を彷彿とさせる異界へと乗り込み、最奥にいる夕闇ノ落し子を目指して攻略を開始する。そんな中、洸にどうして国防軍に参加したのかを問われた吾郎は、自分にも洸たちと同じように何気ない青春の日々があったと切り出し、自分の過去をこう語り始めた。
かつての吾郎には、小学校から高校までずっと一緒に過ごした恋人で幼馴染の少女・双葉がいて、10年前に東亰にある国立大学に共に合格し、東亰での新生活を夢見て一緒に上亰したが、その矢先で東亰冥災に巻き込まれる。そして大混乱の最中、現実世界に現れたエルダーグリードに襲われ、吾郎は双葉を守ろうとしたが逆にエルダーグリードに吹き飛ばされて手傷を負ってしまう。そしてエルダーグリードが吾郎目掛けて爪を振り下ろしたその時、双葉が吾郎を庇ってその爪を受けてしまった。その瞬間、吾郎は激情に駆り立てられると同時に適格者として覚醒し、自分の手に現れた長銃型のソウルデヴァイス「アークトリニティ」を振るってエルダーグリードを打ち倒した。しかしその直後、吾郎が無事だったことに双葉は安堵し、吾郎の腕の中でゆっくりと静かに息を引き取ってしまった。それから二ヶ月後、吾郎は入ったばかりの大学を辞め、一方で自分を勧誘してきた「国防大学」と呼ばれる、国防軍専門の養成学校の門を叩き、軍人としての道を歩み始めたのだという。死んでいった双葉のためにも、もう二度と東亰冥災のような悲劇は繰り返さないという誓いを立てて。そうした吾郎の過去と誓いに、洸たちも胸を打たれ、奮い立たされ、迫り来る凶悪かつ強力な怪異たちを打ち倒しながら、ついに最奥で夕闇ノ落し子と対峙する。吾郎の言うとおり、夕闇ノ落し子はこれまでの洸たちが戦ってきた相手とは桁が違う威圧感と、咆哮ひとつで虚空震を引き起こすなど凄まじいパワーを戦いの前で見せつけてくる。しかし、この夕闇ノ落し子を放っておくと、第二の東亰冥災が引き起こされてしまう可能性は否定できなく、洸たちは強い覚悟と決意を持ってそれぞれの武器を構えた。「あんな悪夢は二度と繰り返させねぇ……! 何よりも俺たちの街を、大切なものを守るために! 今こそ全ての元凶を打ち砕いてやるっ!!!」という洸の叫びと、「作戦開始、目標を撃破する! 死力を尽くすぞ……『X.R.C』!!!」という吾郎の号令と共に、夕闇ノ落し子との決戦の火蓋が切って落とされた。
そして死力を尽くした決戦の末、ついに洸たちは夕闇ノ落し子の撃破に成功する。洸たちが気がついた頃には現実世界の杜宮基地に戻ってきており、夕闇ノ落し子は自らの支配していた異界共々完全に消滅していた。これで第二の東亰冥災の危機は免れた。誰もがそう喜び、安堵したその時、洸のサイフォンに電話がかかってくる。「洸、ちゃん……」と、苦しげに呼びかけてくる電話の相手は、栞だった。この日、栞は体調を崩して学校を休んでおり、家で寝ているはずだったが、電話の向こうからは「こちらは地上300mの展望フロアとなります。日が沈む光景をどうかお楽しみ下さい……」という、アクロスタワーの館内放送が合間に流れていた。それを聞いて、洸は栞がアクロスタワーにいると気づき、訝しげになった。「おい、栞。お前、ひょっとして……アクロスタワーにいるのか?」と、洸がそう呼びかけてみた途端、「洸、ちゃん……お願い……。早くっ……街から、逃げてぇっ……!!!」と、栞の悲鳴に似た叫びが聞こえた。その瞬間、かつてないほど大きい虚空震が、洸たちを襲う。「彼女だったとは……!?」と、白装束の人物が焦った声でそう叫んだ同じ頃、虚空震で激しく震え、大勢の人々が逃げ惑うアクロスタワーの展望台に、栞の姿があった。まるで何かに取り憑かれたのように両目を瞑った栞は、窓際まで歩いていく。そして、窓際に立った時、栞は両手をゆっくりと広げて目を見開いた。その時、彼女の瞳は赤く輝きだし、手足に赤い光の紋様がくっきりと現れていく。さらに栞のいるアクロスタワーを中心とする形で、杜宮市の空と大地に赤い光の紋様が現れ、広がり始めた。こうした思わぬ事態の急変に驚きを隠せない洸たちだったが、その場の空間が突然歪んで、ひとり、またひとりとその場にいる者たちを次々と呑み込んでいった。そして最後に呑み込まれそうになった洸と明日香は、互いに手を伸ばし、名前を叫びあったところで、意識は途切れてしまった。

洸が目を覚ました頃、杜宮市も異界に変貌していた。

そして、パンドラを守る3つの柱には「守護者」と呼ばれる強力なグリムグリードがそれぞれ待ち構えており、これらも凄まじいパワーで洸たちに襲いかかり、苦しめてくる。

学校を守るため、竹刀を手に襲い来る怪異に立ち向かう遼太。一度は敵わず吹っ飛ばされてしまうが、諦めずに歯を食いしばって立ち上がる。

そんな遼太たちの窮地を救いに現れた白装束の人物の正体は、なんと純だった。

目を覚ました時、洸は宗介と永遠の家の客間に寝かされていた。そのそばには、心配そうな表情をした永遠と、明日香がいた。杜宮基地にいたはずの自分が、いつの間にか宗介と永遠の家にいたことに混乱しながらも、洸は状況を確かめるために外へ飛び出す。そこで彼が目にしたのは、まるで異界にでもいるかのように凶々しい光の紋様に覆われた空と、その紋様の花つ光に照らされた杜宮市、そしてアクロスタワーの代わりにそびえ立つ白い異形の巨塔だった。そんな目を疑いたくなる光景に明日香や永遠共々洸が途方に暮れていると、宗介、そしてレムが現れた。宗介の話によると、アクロスタワーを中心に大規模な異界化が起き、杜宮市は異界に取り込まれてしまったということで、さらにレムはあの巨塔は「災厄の匣『パンドラ』」と呼ぶものだと語り、時が経てば杜宮市だけでなく世界に災厄を振りまき、東亰冥災以上の大惨事を各地で引き起こすとも語った。二人の話を聞いて、今や滅びの巨塔と化したアクロスタワーに栞がいたことを思い出し、戸惑いながらも、洸はどうすればこの災厄を止められるとレムに尋ねた。レムは薄ら笑いを浮かべながら、あっさりと洸にこう告げた。「簡単なことさ……かの匣にいる元凶を滅ぼせばいい。今までの迷宮と同じくね」その言葉を聞いて、その元凶とは何なのか想像がついたのか、洸は表情を重苦しくしながらも、「……いずれにせよ、『X.R.C』の延長ってわけだ。だったら確かにやることは同じだな」と、呟いた後、明日香と共に異界化した杜宮市の探索へと動き出すのだった。
探索へ向かう前、宗介は洸と明日香にこう教えた。パンドラは巨大な結界で守られているため中へ入るどころか近づくことができず、その結界の力の出所は、駅前広場、蓬莱町、杜宮記念公園の3ヶ所にそれぞれ立っている巨大な柱のような構造物にあるという。つまり、その3ヶ所の柱を何とかすればパンドラに近づくことができるかもしれないという結論に至った洸と明日香は、まずは散らばった仲間たちを探し、集めながら柱を攻略していく方針に定める。杜宮市の各所に現れた怪異を駆逐し、仲間たちを集めながら3つの柱を攻略していき、ついにパンドラへの道を切り開くことに成功するのだった。その道中、洸と明日香、結集していく「X.R.C」の仲間たちの奮戦を見て、永遠、遼太、千秋、彰宏をはじめとする杜宮市の住人たちが次々と武器を手にとって立ち上がる。そして、同じく道中で怪異に襲われていた学校を助けに白装束の人物が現れ、洸たちに加勢するが、隙を突かれて怪異の攻撃を受け手傷を負い、窮地に陥る。しかしその時、「嘗めるなぁっ……!!!」と、白装束の人物の声が、洸たちも聞き覚えのある少年のものに変わったかと思うと、彼は渾身の力で剣を振るって怪異たちを一気に斬り伏せた。その一幕の後、白装束の人物の変わった声を聞いて、洸、そして遼太は正体が誰かをすぐに理解できたようだった。「一人で何やってんだよ、このアホたれ……」「姿が見えないと思ったら、あんまりな格好じゃねえか?」洸と遼太がそれぞれそう声をかけながら手を差し伸べると、白装束の人物は「……さすがにバレたみたいだね」と、苦笑しながら、被っていたフードを脱ぎ捨てた。そのフードの下から現れた素顔はなんと純で、純の正体は、聖霊教会の刻印騎士団の一員だったのだ。正体を知って驚く永遠と明日香たちに、純は自らの素性を淡々とこう語った。
純は今から1年半前に国防軍からの要請を受け、第二の東亰冥災を起こすとされる夕闇ノ落し子の存在を突き止め、これを封印するために杜宮市に派遣された。そして、杜宮市がどういう場所かを見極めるために、御厨と密かに連絡を取り合い、聖霊教会がもともと「禁書」として封印していたあの童話を彼に渡したのも自分であり、彼があのようなことに使うとは思わなかったが、結果的に洸たちに酷いことをしてしまったとも告白した。本来は刻印騎士の一員として、冷酷無比となって与えられた任務に忠実であるべきだった純だったが、学校生活も含めて洸たちと共に杜宮での日々を過ごしているうちに人間らしい感情を芽生えさせ、いつしか洸たちを守りたいと強く思うようになった。そうして純は刻印騎士としての任務を遂行する中で洸たちに密かに協力するようになっていった。そして素性を洸たちに明かした今、オルデンの騎士として……何より友人として、杜宮を救うために洸たちに協力することを純は決意したのだった。

ついにパンドラ内部に辿り着いた洸たち。そこで彼らを待ち受けていたのは、今までの異界よりも遥かに広大で、強力かつ凶悪な怪異たちが待ち受ける悪魔の迷宮だった。

パンドラを攻略する最中、徐々に蘇ってくる洸の残酷な過去の記憶。これがきっかけで、この先に待ち受ける元凶の正体について感づいていくようになる。

そして、パンドラの最奥で洸たちとの再会を果たす栞。しかし彼女は人間ではなく、グリムグリード「冥禍の神姫」に変貌してしまっていた。

そんな栞にグリムグリードの力を与えたのが、他ならぬ10年前の東亰冥災の元凶である「夕闇ノ使徒」だった。

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