東亰ザナドゥ(Tokyo Xanadu)のネタバレ解説まとめ

「東亰ザナドゥ(Tokyo Xanadu)」とは、日本ファルコムより発売されたPlayStation Vita専用のアクションRPGである。主人公の高校生・時坂洸が、ヒロインの同級生・柊明日香と出会い、謎の世界「異界」に挑んでいく物語を描いている。日本ファルコムを代表とする人気ファンタジーRPG「イース」「空の軌跡」とは一風変わって、現代の日本を舞台にしたストーリーと世界観が大きな特徴となっており、ファルコムの新たな時代展開を象徴する一作として注目を集めている。

彰宏が囚われている異界の最奥に辿りついた志緒と洸たちを出迎えるように、異界ドラッグの材料の大元とされる植物型エルダーグリード「ダークデルフィニウム」が現れる。今までの怪異を上回るその巨大な体躯に秘められたパワーは見掛け倒しではない。

しかしそれでも志緒の闘志と覚悟は揺らぐことはなく、彰宏を救うためにダークデルフィニウムへと挑みかかった。

それから志緒の案内で、BLAZEが隠れ家に使っている町外れの廃工場に向かうと、彰宏がBLAZEメンバーを全員呼び集めて恫喝混じりの決起を促していた。廃工場に辿り着くや否や、それを見た志緒が「どうやら本当に見失っちまったようだな」と呼びかけると、彰宏は一瞬驚きに目を見開いたが「オイオイオイ……あれだけ完膚なきまでに俺に叩きのめされたくせに、まさかこれ以上無様な真似を晒そうってんじゃねえだろうなあぁ!?」と、耳障りな大声で恫喝する。対する志緒が動じずに「そのまさかだ」と言い切ると、洸たちがその場に乱入してきた。それを見た彰宏は不気味に笑った後、ケースを取り出して中にある異界ドラッグを全部手の上にぶちまけた。それを見た洸と明日香が危険を察知し、「やめろっ、アキ!!」と志緒も制止を叫ぶが、「その名で俺を呼ぶんじゃねェ!!! いいだろう……だったら最初に血祭りにあげてやらァっ!!!」と、吠えた後、彰宏は大量のドラッグを飲み干す。直後、今までとは比べ物にならない大きなオーラが湧き上がり、その中で彰宏は狂気の笑いを挙げ続ける。しかし、その狂気の笑いは長くは続かなかった。彰宏の背後に門が現れ、彼を引きずり込み始めたからだ。彰宏はおぞましい絶叫と共に、一瞬にして門の向こうに引きずり込まれ、姿を消した。それを見たBLAZEメンバーがパニックになって我先にと逃げ出す中、洸たちは門に飛び込み、異界へと突入する。だがその直後、志緒が門の向こうから現れた。洸たちが消えたあたりにそのまま飛び込んだらここへ来たと志緒は言った後、この異界の奥に彰宏がいると即座に理解し、同行を申し出る。明日香からこれ以上はさすがに無理だと止められるが、志緒はそれでも一人で苦しみ足掻き、歪んでしまった彰宏を見捨てることはできないと引き下がらない。何より、死んでいった一馬のためにも、自分の想いを、BLAZEのリーダーとしての在り方を、自分の言葉で何としても届けてやりたい、とも訴えた志緒は、洸たちに向かって「だから、この通りだ……!」と、頭を下げようとした。すると、志緒の体から金色の光が溢れ始める。それを見た洸たちが驚くと共に、志緒は右手をかざし、大きく振るうと共に雄々しくこう叫んだ。「吼えろ……『ヴォーパル・ウェポン』!!!」その瞬間、志緒の手の中に巨大な重剣型のソウルデヴァイスが出現し、志緒もついに適格者としての能力を手に入れたのだった。
こうして志緒を仲間に迎え入れた洸たちは、これまでと同じように並み居る怪異たちを蹴散らしながら異界の最奥に辿り着く。その最奥では、下から伸びている巨大な黒い蔦に巻きつけられた彰宏が、苦悶の叫びを挙げ続けていた。志緒が洸たちと共にやってきたのを見て、「た……助けて……志緒さっ……」と、彰宏は死にそうな声で乞うた直後、絶叫と共に下へと一気に引き込まれていった。その直後、入れ替わるようにして、不気味な唸り声と共に巨大な花の魔物を思わせるエルダーグリード「ダークデルフィニウム」が姿を現した。その巨大さに洸が息を呑む中、志緒は「助けて、だと……? アキ、てめえ……何を当たり前のことを言ってやがる、馬鹿野郎ぉっ!!!」と、雄叫びを挙げると共に、ダークデルフィニウムに挑みかかった。そして、激闘の末に志緒は洸たちと共にダークデルフィニウムを打ち倒し、彰宏を助け出すことに成功した。

現実世界に戻るや否や、全てを失ったことに愕然となるあまり、志緒に八つ当たりをする彰宏。

これに対し、志緒は口上として怒号と共に彰宏に拳を振るった。

志緒の優しく力強い諭しを受け入れ、彰宏はこの後子供のように大きな声で泣きじゃくったのだった。

現実世界に戻ってくると、彰宏は自分の体から異界ドラッグの力が完全に失われており、さらにBLAZEメンバーにも全員逃げられ、全てを失ったことに茫然自失となるが、すぐに志緒に掴みかかった。「アンタのせいだ! アンタのせいで、俺は道を見失っちまったんだ……! せめて、アンタさえいてくれればっ!」と、自分が異界ドラッグの力に溺れ、こんなざまになった責任を志緒に押し付けるようにして叫ぶ彰宏。すると志緒は「甘ったれるんじゃねえっ!!!」という怒号と共に彰宏に拳を振るった。それから志緒は、再び茫然となる彰宏に諭すようにこう語り出す。「BLAZEはただ仲間同士で仲良くつるんでた場じゃない。一人一人が世の中の不条理や理不尽な暴力に屈しない『焔』の如き魂を宿して真っ向から向き合う場で、少なくとも一馬と俺はそんな魂を掲げていたつもりだ」と。そして彰宏も、他のメンバーたちも、そんな魂を持っていたから、仲間としてBLAZEを一つのチームを成立させることができたのだとも言い、志緒はこう問うた。「お前は、そんな『魂』をあいつらと交わし合えていたのか? 手に入れた力に振り回され、恐怖で繋ぎとめてただけじゃない……そう、カズマに胸を張れんのか?」そう問われた彰宏は返す言葉がなく項垂れる。そんな彰宏に、自分はBLAZEから逃げたが、逃げずに抗った彰宏ならやり直すことができ、彰宏が自分の過ちを認めてもう一度立ち上がるなら一馬の弔いになるとも志緒は再び諭すように言った。「……信じている、アキ。お前がまた『魂』を見せてくれると」その志緒の言葉に胸を打たれた彰宏は、声を大きくして泣きじゃくったのだった。

ミツキ・アスカ編(第5話・幕間)

霧の事件の調査中、いきなり洸を足止めする明日香。

そして明日香が去ってしまった後、言葉にできない焦燥感に駆り立てられる洸の前に、謎の少女(レム)が再び現れる。

そして追いついた先の異界で、今までの敵とは別格の強さを誇るエルダーグリード「マリスクロウ」と、明日香は互角以上の戦いを繰り広げていた。

続けて現れたもう1体のマリスクロウを苦戦しながらも撃破し、洸たちが追いついた頃には、明日香の姿はなく、エクセリオンハーツが墓標のように突き立てられているだけだった。

BLAZEの事件から数日が経った後、杜宮市には霧が深く立ち籠めるようになった。さらに時を同じくして、杜宮市の各所で行方不明事件が勃発し、洸たちも気を揉む日が長く続いた。そこで志緒を新たな仲間に加えた洸たちは、例にならって霧の事件の調査をすることになった。そんな中、明日香はいつになく険しい表情をすると共にひとり考え込むことが多くなり、さらに洸たちが関わるのを妙に避けるようになった。それに洸がやきもきさせられる中、杜宮商店街の金物屋の一人娘で、明日香の協力者のひとりである少女・マユから助けを求める電話が明日香にかかってくる。さらに突然、その電話は途中で切れてしまった。そこで明日香が洸と共に急いで商店街へと向かうと、巨大な影の手の形をしたエルダーグリードがマユをさらっていく姿を目撃する。現実世界にグリードが現れたことに驚きを隠せない洸は、すぐさま後を追おうとしたが、突然明日香が「貴方は必要ないわ」とだけ言って、サイフォンをかざした。すると、赤く輝く結界のようなものが洸をその場に縛り付けてしまう。突然の妨害に驚きを隠せない洸だが、「……今回ばかりは、貴方たちには荷が重過ぎる。後で事情は説明するから、ここで大人しくしていて」と、突き放すように明日香は言って、霧の向こうへと走り去ってしまった。その時、洸の脳裏に、10年前にこの杜宮で起きた大災害「東亰震災」の光景がフラッシュバックしてきた。その光景がフラッシュバックしてくると共に、まるで明日香を失ってしまうことを極度に恐れているかのように「ちくしょう……動けっ……!! 頼むから、動いてくれぇっ……!!」と、洸は焦りと怒りと苛立ちを表情に浮かべて叫び続ける。すると、「助けが必要かい?」と、覚えのある澄んだ少女の声が聞こえてきた。洸が顔を上げると、目の前にあの銀色の長髪の幼女の姿があった。「彼女を追いかけたいかい……? たとえ霧の向こうに、『何』が待ち受けていたとしても……」そう静かに問いかけてくる少女に、洸は「当たり前だ!!」と吠えた。すると少女は「だったら先に進むといい」と言って楽しそうな薄ら笑いを浮かべて手をかざし、洸を縛っていた結界をあっさりと解除し、そのまま姿を消した。その後、異変を察して駆けつけてきた空、祐騎、志緒と合流して、霧の奥にある門を発見して異界に飛び込み、明日香の後を追う。そして、異界の奥でマユを始めとした行方不明者たちが倒れているのと、あの影の手の形をしたエルダーグリード「マリスクロウ」と戦っている明日香を発見した。さらに明日香は、今までのときに比べて全く無駄のない動きでマリスクロウの攻撃をかわし、的確かつ強烈な反撃を浴びせている。それを見て洸たちは、明日香の今までの戦いぶりは自分たちに合わせていただけで、全然本気で戦ってはいなかったと理解させられる。さらに明日香も戦いながら「下がりなさいっ!! 今回は貴方たちの手に余る……マユちゃんたちを連れてこのまま脱出しなさい!!」と、容赦のない叫びで洸たちの助勢を拒み、痛手を負って異界の奥へと逃げるマリスクロウを追い、姿を消してしまった。洸たちが呆気にとられていると、突如として空間に禍々しい光が迸り、その中からもう1体のマリスクロウが現れ、襲いかかってきた。
そして、洸たちは今までのエルダーグリードとは別格と言っていいほどのマリスクロウの強さに苦戦させられながらも、なんとか撃破することに成功する。息を切らしながら奥へと辿り着くと、そこには明日香の姿はなく、エクセリオンハーツが墓標のように突き立っているだけだった。

杜宮総合病院にて洸たちの前に現れた美月は、初めて自分の素性を明らかにする。

そして学園に戻ってから、美月は今回の事件の元凶である「グリムグリード」の脅威について洸たちに説いた。

しかし、今回の事件の元凶がかつてない危険な強敵であるとしても、洸の思いは揺らがなかった。

そんな洸の思いに心を動かされた美月は、自ら進んで協力することを決意する。

洸たちが現実世界へ戻ると、いつの間にか霧は晴れていた。そこで洸たちはマユたち行方不明者を無事保護し、救急車を呼んで杜宮市の郊外にある病院「杜宮総合病院」へと搬送してもらった。その後、総合病院で行方不明者たちの無事が確認できたことに洸たちは安堵したが、明日香が戻ってこなかったのが気が気でならないでいた。そんな中、美月が再びスーツ姿の女性を連れて現れる。そこで美月は、自分もネメシスとは立ち位置が違うが、異界に関わる組織の一員であり、その組織の名を「企業連合ゾディアック」だと明かした。その後、学校の生徒会室に場を移し、美月は洸たちにネメシスとゾディアックについての説明をする。ネメシスは異界の監視と管理、ゾディアックは異界の利用をそれぞれ目的としており、目的が異なることで対立してはいるが、どちらも異界絡みの危険があった場合は率先して解決に動き、技術交流や情報交換などで協力して問題にあたることも多いという。そして一方で、明日香については無事だと美月は言い、その証拠に、現実世界へ戻る際に洸のサイフォンに吸収される形で回収されたエクセリオンハーツのデータが消えていないことを挙げ、明日香が死んだらそのデータも消滅するとも言った。それに安堵した洸たちは、明日香の行方について尋ねようとしたが、美月は表情を変えて「掴めていたとしても、お教えするつもりはありません」と言い放った。
驚きを隠せない洸たちに、美月はその理由をこう語った。今回の霧の事件に関与している怪異は「グリムグリード」と呼ばれる最上級の怪異で、現実世界に直接干渉して環境を変化させ、さらに自らの「眷属」として強力なエルダーグリードを異界の外へ送り出せることから、その危険度は今までとは比べ物にならない。さらに過去には、そのグリムグリードによって街ひとつが全滅させられた事例もあり、適格者ではあるが一般人の洸たちの参加はこれ以上認可することはできない。だからこそ明日香もそう考えて、洸たちを遠ざけたのだろう、と、美月は言った。それに続いて、スーツの女性こと美月の秘書である雪村京香も、今回の件についてはゾディアックからも専門の実働部隊を派遣する予定でいて、ネメシスについても明日香の手に負えない場合は、ネメシスの誇る精鋭揃いのエージェントである「執行者」が新しく派遣されると説明し、後のことは自分たちに任せてほしいと言った。だがその時、洸が「ふざけんな」と噛み付いた。明日香や美月の立場、そしてネメシスやゾディアックのそれぞれの異界への思惑や考え方こそわかったし、明日香が自分たちを足手まといだと思うのは仕方がない、と、洸は言ったが、次に美月に向かってこう啖呵を切った。「ネメシスだとかゾディアックだとか『裏の事情』を話すよりも前に、生徒会長として『行方不明の学園生』をなんとかすると言ってくれよ」その啖呵に美月がたじろいだ後、続けて洸は明日香への思いをこう叫んだ。「俺たちは今まで間違いなく『仲間』だったはずだ! 空手部の件、神様アプリ、BLAZE……幾つもの事件を一緒に解決してきたのに、最低限の事情も話さないで勝手に消えるなんざ、いくらなんでも不義理が過ぎるってモンだろっ!!」その洸の熱い叫びに、美月だけでなく、空、祐騎、志緒も心を打たれた。そして洸はせめて明日香に一言くらい文句を言わなければ気が済まないから、勝手に動かせてもらうとさらに啖呵を切った。この洸の言葉に京香が難色を示す中、美月が不意に洸たちにこう申し出た。「でしたら、時坂君。ここから先は、北都の人間でも『ゾディアック』としてでもなく……北都美月個人として皆さんに協力させて頂けませんか?」

この章から初披露となる美月のソウルデヴァイス「ミスティックノード」。適格者である美月の能力に加え、ゾディアックによる調整が施されており、強力な性能を発揮できるらしい。

マリスクロウと同じく元凶の「眷属」であるエルダーグリード「アビスハウンド」。こちらも異界だけでなく現実世界にも姿を現せる上に、強さも別格だ。

さらに明日香が囚われている異界で姿を表す、同じ眷属のエルダーグリード「カオスレイヴン」。明日香曰く脅威度Aランクで、マリスクロウやアビスハウンドを凌ぐほどのパワーで洸たちに襲いかかる。

現実世界に戻った後、ネメシスの人間としての使命と責任感で開き直り続ける明日香に、ついに洸が怒りの言葉を爆発させた。

翌日、美月も仲間に加えた洸たちは、明日香の捜索を開始する。すると道中で黒い魔犬の姿をしたエルダーグリード「アビスハウンド」と遭遇し、どこかへ逃げるアビスハウンドを追って杜宮記念公園の雑木林に出現した異界へと入り込む。その異界の奥でアビスハウンドと、鳥籠のような檻に囚われた明日香を発見した。明日香を助けようとしたが、直後に黒い魔鳥の姿をしたエルダーグリード「カオスレイヴン」が現れ、アビスハウンドを踏み潰してしまう。マリスクロウやアビスハウンドよりさらに別格の強さを持っていることをその威圧感で感じ取った洸たちに「逃げなさいっ!! 貴方たちの敵う相手じゃないっ!! 私は自分で何とかするから……!」と、明日香が叫ぶが、その時洸が「黙ってろ!!!」と、火を吐くような怒号でその叫びをかき消した。それに明日香がたじろいだ瞬間、「いいから目を見開いてそこで見ていやがれっ! 俺たちが、ただお前に護られるだけの存在かどうかを……!!」と、叫んでから、洸はそれぞれの決意を胸に秘めた仲間たちと共にカオスレイヴンに挑みかかる。それから激闘が始まり、洸たちはカオスレイヴンに一度膝をつかせることができたが、カオスレイヴンの強さは圧倒的で、逆に洸たちが追い込まれてしまう。万事休すかと思った瞬間、明日香が洸の名前を叫んだ。名前を叫んだだけだが、明日香の言いたいことを即座に理解した洸は、エクセリオンハーツを取り出して明日香に投げて返す。そして、エクセリオンハーツを受け取った明日香は檻を破壊し、渾身の力を込めてカオスレイヴンに一撃を叩き込み、撃破することに成功したのだった。
それから現実世界に戻ったが、明日香の口から出たのは感謝の言葉ではなく、「どうしてきたのっ!? 何度も言ったでしょう、貴方たちは素人だって! 何かあったらどうするつもりだったの!?」という噛み付きの言葉だった。さらに美月に対しても、異界のことに一般人は巻き込まないのがゾディアックのルールのはずなのにどうして一般人の洸たちを案内している、と明日香は噛み付く。それに業を煮やした洸が「それはこっちの台詞だ……お前、どれだけ周りに心配かけたかわかってんのか?」と、剣幕をきかせた低い声で明日香に噛み付き返す。そして洸は、自分たちだけでなく、マユを始めとしたこの杜宮に住む協力者たちも心配していたし、挙句に一人で突っ走って鳥籠に閉じ込められる羽目になったことを突きつけ、それがプロの仕事だというのかと明日香に迫る。それに明日香は言葉に詰まらされたが、「……私がいなくなっても代わりはいくらでもいるわ。《ネメシス》の人間として、いつでも果てる覚悟はできている」と、開き直った。それに美月や空たちが困惑するが、明日香は構わずにこう開き直り続ける。既に自分のサイフォンを通じてこの状況は本部に伝わっており、自分が命を落としたらグリムグリードの脅威すら容易く退けられるほどの上位の執行者が派遣されるだろう、と。そして、その方が洸たちにとってもいい選択になるだろうと言いかけた時、洸が「いいわけねえだろっ!!!」と、再び火を吐くような怒号を明日香に浴びせる。それに明日香が再びたじろいだ時、洸は掴みかからんばかりの勢いで思いを明日香にこうぶつけた。ここにいる自分たちは訳のわからない異界の異変に巻き込まれてきたが、明日香に導かれ、皆で力を合わせることで無事に日常に戻ってこれた。しかし、明日香を失ったら、たとえその上位の執行者が代わりに来たとしても自分たちはもう日常には戻れない、と。それに困惑する明日香だが、洸は反論すら許さない勢いでこう締めくくった。「決まってんだろうが!! お前がとっくに仲間として……俺たちの日常の一部になっているからだろうが……!」その言葉に明日香が胸を打たれ、そして洸の言葉に続いて空、祐騎、志緒、さらに美月までもが洸の言葉を肯定し、仲間と絆の重みと大切さをそれぞれ明日香に伝える。これについに折れた明日香は、自分の負けだ、と自嘲気味に笑いながらも、「……貴方たちには今まで、手伝ってもらった借りもある。それを踏み倒して消えようなんて、不義理もいい所だったわね」と、ついに洸たちを一緒に戦う仲間として心から受け入れたのだった。

異変を察した洸たちが大急ぎで戻ってきた頃には、杜宮学園はグリムグリードの侵食により、凶々しい霧をまとった「城」へと変貌していた。

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