Chance The Rapperの気になる収入源とは!?

第59回グラミー賞にて7部門ノミネート、3部門を受賞したシカゴのラッパーChance The Rapper。彼が今までのアーティストと異なっていた点は、すべての楽曲をフリーでリリースしたということ。また、レーベルには所属せずインデペンデントで活動してきたという点です。楽曲をフリーでリリースするということは純粋にCDやダウンロードによる売り上げはないということです。では彼の収入はいったいどこからきているのでしょうか。今回はそんな彼の気になる収入源について徹底解明していきたいと思います。

Chance The Rapperとは何者なのか

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『Coloring Book』

まずChance The Rapperの名前を初めて聞いたという方のために、簡単に彼のキャリアを追ってみましょう。彼のデビューは高校3年生の時、10日の停学処分を受けていた彼は、その間にミックステープを制作しました。それが彼の1枚目のアルバム『10 Day』になります。この時点で彼はすでに楽曲をフリーダウンロードという形でリリースしていました。ミックステープ『10 Day』は大きな反響を呼びました。翌年には2作目となる『Acid Rap』をやはりフリーダウンロードでリリース。各メディアから高い評価を得ます。その後も彼はレーベルには所属せずインデペンデントという形をとり活動を続けます。2016年に『Coloring Book』をリリースし、ストリーミング配信のみの作品として初のビルボードベスト10入りを果たします。そしてその勢いのまま、Chance The Rapperは第59回グラミー賞にて「最優秀新人賞」「最優秀ラップ・パフォーマンス賞」「最優秀ラップアルバム」の3部門を受賞するに至ります。

Chance The Rapperの一筋縄ではいかない音楽性

その名の通りChance The Rapper はヒップホップのラッパーです。しかしながら彼の音楽性はただ一言に「ヒップホップ」でまとめることはできません。彼は幼い頃からジャズやゴスペルを好んで聴いていました。初めて聞いたヒップホップのアルバムはKanye Westの『The College Dropout』であるとインタビューで語っているので、恐らく彼が11、12歳の頃、初めてヒップホップという音楽に触れたということでしょう。確かに彼のアルバムを通して聴くと、彼の音楽はヒップホップでありながら、ジャズやゴスペルをに匂わせるリズムやハーモニーがふんだんに使われています。Chance The Rapperの音楽が幅広い層の人々から支持を得ているのは、そういった彼の音楽的教養の深さが関係しているのです。

Chance The Rapper彼の収入源は?

楽曲をフリーでリリースするということは純粋に楽曲販売での収入はほぼゼロということです。では、彼はいったいどのように収入を得ているのでしょうか。楽曲をフリーダウンロードでリリースとなると、基本的にはネット上でのストリーミング配信という形になります。もちろん他のアーティスト同様YouTubeにPVも上げています。YouTubeでの彼のアルバムの再生回数は1000万回を超えています。確かにそこでの広告収入があるかと思いますが、毎日楽曲を作って新しいアルバムやPVを配信するわけにはいきませんし、それだけの収入では大規模なツアーなどを行うための十分な収入になるとは思えません。YouTubeなどの広告収入だけで活動するのには限度があります。

精力的なライブ活動

音源のリリースだけに限らずChance The Rapperは国内外問わず精力的にライブを行っています。新しい音源をひっさげツアーに回る。ツアーは今も昔も変わらないアーティストの貴重な収入源です。Chance The Rapper本人も過去にインタビューの中で「金がないときはツアーで稼ぐ」と発言しています。2018年のサマーソニックでは初来日を果たし、一番大きなマリンステージに立ち日本のファンたちを熱狂させました。その楽曲のクオリティーもさることながら彼のライブパフォーマンスのクオリティーも定評があり、世界中のファンが彼のライブに足を運びます。彼のライブでの収入は、大きな収入源の1つであることは間違いないでしょう。

グッズの売り上げ

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「カレッジツアー」でのグッズ

ツアーに出るとそれに関連したグッズも出ます。意外かもしれませんが、実はこれが彼の収入源の中で一番大きいと言われている部分なのです。そして、彼の音楽ビジネススタイルにおいて、特徴的な部分の1つでもあるのです。Chance The Rapper以外のアーティストでもツアーに出ればグッズを売り出します。定番のグッズもあれば、ツアー限定のTシャツやタオルなども販売されますね。しかしChance The Rapperの場合、定番グッズ、ツアー限定グッズの他に「地域限定」のグッズを販売することがあるのです。「地域限定」とはどういう意味かというと、ツアーで回る各都市にまつわるデザインを施したTシャツやタオルをその都市ごとに販売するのです。これは他のアーティストではあまり見慣れない試みです。ファンとしても自分の住んでいる町のデザインのツアーグッズがあったら嬉しいですよね。ヒップホップの世界においてhood(フッド)つまり「地元」は特別な場所です。Chance The Rapperはアルバムの客演でも地元であるシカゴのラッパーを多く起用しています。音楽だけにとどまらず、その「地元」を尊重するスタイルを彼はグッズを通しても表しているのです。確かに地域限定のグッズを作れば、製作コスト面での負担も大きいし、その都市で限定グッズを売り切らなければ商品が売れ残り、在庫を抱えてしまうなどマイナスの面もありますが、過去に行った「カレッジツアー」においてはChance The Rapperらしいポップでクールなデザインの地域限定グッズは各都市で大反響を呼びました。

企業とのコラボレーション

彼のもう1つの大きな収入源。それは企業とのコラボレーションです。2016年、Chance The Rapperはアルバム『Coloring Book』のリリース前にNEW ERAとコラボレートし、地元の大リーグチーム、シカゴ・ホワイトソックスのキャップのプロデュースを行いました。それは新しいアルバムのコマーシャルにもつながりますし、同時にキャップの売り上げのインカムも入ってきます。それだけに留まらず、NIKEの作成したオリンピック関連動画への楽曲提供をしたり、『Coloring Book』リリースの際は、Chance The RapperはApple Musicが『Coloring Book』の先行独占配信をするという契約を50万ドルで結びました。また、自身の楽曲の客演も豪華なChance The Rapperですが、彼もまたJustin Bieber、Kanye West、Skrillex、Madonnaなど名だたるアーティストの楽曲に客演参加をして注目を集めてきました。このように彼はそのデザイン力やコマーシャル力を巧みに使いセルフプロデュースし、自身のブランド力を上げては、また大きな企業とのコラボレーションを実現させていくというサイクルを作り上げ、今のビジネススタイルを築いてきました。これは彼がインデペンデントだから成しえたことなのでしょう。

音楽だけにとどまらず、今絶大な影響力を持つラッパー

出典: pitchfork.com

ビルボードに出した意見広告

そのポップで愛らしい人柄、ジャズ、ゴスペルをベースにしたクオリティーの高い楽曲。それだけでも十分に人を惹きつける大きな魅力になりますが、彼が多くの人から注目されているのにはもう1つ大きな理由があります。それは「今の音楽業界へ対するスタンス」です。楽曲をフリーで販売すること自体が今の音楽業界へ対する大きな問題提起になっていますが、自身も音楽業界について多く発言しています。例えばストリーミング配信のみという形で初めてビルボード入りを果たしたChance The Rapperですが、ビルボードのストリーミング配信作品の計算の仕方(約1700回の再生でアルバム1枚が売れたという計算方法)について「1枚のアルバムを買っても1700回も再生する奴なんていないだろ」と発言しています。また、見事グラミー賞3部門を受賞した彼ですが、本来であればグラミー賞は「一般的な形態」で「有料で販売」された楽曲しか受賞の対象にしていないので、当初Chance The Rapperにはグラミー賞受賞の資格はありませんでした。そこで彼はビルボード誌に意見広告を出し、グラミーのシステムを見直すべきと社会に発信しました。そのような彼の活動の甲斐もあり、グラミー側はその制度を見直しChance The Rapperを評価し、7部門ノミネート、3部門受賞まで至ったのです。注目したいのは、彼のこれらの行動は音楽ビジネスやグラミー賞受賞のためでけでなく、すべて音楽のために行われている点でしょう。彼のこうした音楽に対する真摯な姿勢が大きな支持を生み、彼自身のブランドを上げる大きなきっかけの1つにもなっています。もちろん彼のビジネススタイルは先に挙げた通り彼の先見の明、セルフプロデュース力とそのセンスに依るところがほぼ全てです。しかし、真摯に音楽の未来を見据えているその姿が共感を呼び、ファンだけでなく音楽業界からも大きな理解を得ているのでしょう。多くの音楽ファンがこれからの彼の動向に注目しています。

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