片倉優樹(ダブルブリッド)とは【徹底解説・考察まとめ】

第6回電撃ゲーム小説大賞僅金賞受賞作品である、電撃文庫の名作、ダブルブリッド。その主人公である片倉優樹は人間と「怪(アヤカシ)」と呼ばれる生き物のハーフだった。超常的な能力を持ちながら、その出生ゆえ人間たちに疎まれていた彼女。刑事としての職務についていたが、なんの変化もない単調な生活を何年も続けていた。しかし、一人の人間の青年が彼女の生活に変化をもたらした。それと同時に彼女の平穏な日々が終わりを告げる事件が起きる。数奇な人生を生き抜いた片倉優樹という人物とそれと取り巻く人々の解説。

高橋幸児(たかはしこうじ)

本編開始3年前に、実母を含め23人を殺め日本を震撼させた殺人鬼。1巻から登場。2人しか確認されていないダブルブリッドの内のもう一人。優樹がダブルブリッドファーストと呼ばれるのに対して、高橋はセカンドと呼ばれる。かつて起こした殺人事件で当時の六課の面々に捕縛された。その後は研究所をたらい回しにされ、研究材料として生かされ続けてきた。
自分と同じダブルブリッドでありながら、全く境遇の違う優樹を憎んでいる。性格は極めて残虐で自己中心的。
優樹を捕獲するために暗躍する研究機関の目論見によって、再び世に放たれた。優樹をおびき出すために一般人を襲い、その現場に高橋の痕跡を探しに来た優樹を研究機関の人間たちと襲撃し重傷を負わせるが逃げられる。再度優樹をおびき出すことに成功するが、優樹と太一朗の共闘によって敗北する。隙を見て一旦仲間の元へ戻るが、役立たずと裏切られ銃で撃たれてしまう。高橋を追ってきた優樹と太一朗によって研究機関の人間たちも倒され、高橋は警察に捕まってしまい、現場処理をしている間パトカー内に放置されていた。そこに突然浦木が現れ、心臓の動きを止められて息絶える。

未知(みち)

ある日、八牧が道端で拾った人間の少女。年齢は5歳前後と見られる。親に虐待を受けていたような形跡があり、体中傷だらけで痩せ細っていて、初めは言葉もうまく話せなかった。なぜか八牧に懐いており、離れようとしない。未知という名前は本名ではなく、八牧が「道で拾ったから、みち」という言葉に、優樹が名前を未だ知らないという意味で漢字を当てはめたもの。本当の名前は未知本人が言いたがらず、作中でも明かされることはない。六課で過ごすうちに優樹にも懐くようになる。

片倉晃(かたくらこう)

Ωサーキットの計画内で作られたキマイラの一人。年齢は10歳前後であるが、言動は非常に大人びている。自分たちキマイラを造り出した”主”を憎んでおり、仲間のキマイラたちと反旗を翻して逃げ出す。その後、クロスブリードを結成し、リーダー格である三角の一人として”主”や特高の計画を阻止すべく活動している。キマイラの中では非常に優秀な存在で、荒れている仲間のキマイラたちをなだめながら、残りの三角である上村鈴香や千堂昭子との仲介役も担っている。そのため日々心労が激しく、年齢に似つかわしくない眉間の皺をよく作っている。
戦闘力も高く、鬼斬りの第伍世代拾六号を所持しており、特高のアヤカシたちからは警戒されている。
元々キマイラに姓はないが、自らを片倉と名付けた。
その理由は、彼が優樹の母親の卵子から造られたキマイラであり、優樹とは姉弟のような関係にあたるから。”主”に復讐するという大きな目的の傍ら、心の底ではずっと優樹との邂逅を望んでいた。
10巻では自らの寿命が近いことを悟り、”主”への復讐ではなく、優樹に会うために行動する。探し出した優樹のそばにいた”主”を鬼斬りで切りつけ、復讐を果たすが自身も重傷を負ってしまう。その後ようやく優樹と言葉を交わすことができ、自身の出生と優樹への2つの願いを伝えた。1つ目の自分の名前を優樹に呼んでほしいという願いを叶えた後、2つ目の願いを言いかけたまま、優樹の腕の中で静かに息を引き取った。

上村鈴香(うえむらすずか)

クロスブリードの三角の内、一角を担うアヤカシ。千年以上生きているアヤカシであるが、外見は二十代の女性である。ボブカットに
彼女がクロスブリードに身を置いている理由は、”主”によって自分が愛した人間を殺され、その復讐を果たすためである。

千堂昭子(せんどうあきこ)

クロスブリードの三角の内の一角を担う人間の女性。70歳を超えた老婆である。

″主″(″あるじ″)

優樹の父であり、鬼の中の鬼と呼ばれるアヤカシ。周囲の者には自分のことを”主”と呼ばせ、正式な名前は作中では出てこない。素顔を描写されたこともなく、鬼の面を被っている。イラストも一切出てこない。死をも超越した存在であり、仮に死んでも長い時間をかければ生き返ることができる。本編開始前に一度死んだことがあるらしいが、そのエピソードが詳しく語られることはない。散見する情報を総合すると、昔人間を殺していた"主"に対し、人間を好きな空木が人間たちに対して童子斬りを与えたことによって一度殺されているようだ。現在は人間を掌握するために行動しており、普段は人間に姿を変え内閣総理大臣として動いている。

ダブルブリッドに出てくる用語の解説

警視庁刑事部捜査第六課

優樹が所属している部署で、渋谷にあるが住所や電話番号は非公開。建物も警察署らしいものではなく、一世代前の古いビルで表札すらない。内部もおよそ警察組織とは思えないものとなっており、優樹が飲む酒が冷蔵庫に入っていたり、ボードゲームやかつて内閣公認のアヤカシのみで構成されていた部署で、3年前の高橋幸児を捕縛した事件をきっかけに優樹以外のアヤカシは公認証を返却し、六課を去った。

EAT(緊急捕縛部隊)

Emergency Arrest Teamの略であり、日本語で緊急捕縛部隊と呼ばれる。世界的に見て日本は国土面積が狭い割にアヤカシの出現数が多く、乙種が市街地に現れたり一般人を襲う事件が多い。それに対応するために警察が組織したのがEATであり、アヤカシの捕縛・補殺を専門とする特殊部隊である。対アヤカシ用に散弾銃やスタングレネード、対NBC用の防護服などおよそ警察組織とは思えないような装備を持っている。EATに入隊するには、志願者が仮入隊をしてから一年間厳しい訓練を受ける必要がある。この訓練が非常に厳しく、志願者の10分の1しか残らない。それ故にEATのメンバーはエリート意識が強い。

特異生物管理委員会

内閣府内に存在する委員会の一つ。アヤカシに関する管理業務を行っている。アヤカシの内閣公認や委員会登録はこの部署を通して行う。優樹の所属する捜査六課に出動要請があった場合、ここの許可がないと出動ができない。浦木良隆というアヤカシが、人間の土屋伸夫という仮の姿で常駐している。

特別高等治安維持局

内閣総理大臣直属の秘密組織。略称は特高。構成員は全員アヤカシであり、その局長たるのは人間の姿で内閣総理大臣を務めている"主"というアヤカシで優樹の実の父親。Ωサーキットという計画を実行するために動いている。慢性的な人材不足が悩み。

クロスブリード

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