片倉優樹(ダブルブリッド)とは【徹底解説・考察まとめ】

第6回電撃ゲーム小説大賞僅金賞受賞作品である、電撃文庫の名作、ダブルブリッド。その主人公である片倉優樹は人間と「怪(アヤカシ)」と呼ばれる生き物のハーフだった。超常的な能力を持ちながら、その出生ゆえ人間たちに疎まれていた彼女。刑事としての職務についていたが、なんの変化もない単調な生活を何年も続けていた。しかし、一人の人間の青年が彼女の生活に変化をもたらした。それと同時に彼女の平穏な日々が終わりを告げる事件が起きる。数奇な人生を生き抜いた片倉優樹という人物とそれと取り巻く人々の解説。

EATの隊長を務める人物。小説1巻から登場。太一朗の上司に当たる。太一朗を六課への出向へ推薦したのも赤川である。以前は太一朗以上にアヤカシを嫌っていたが、オナガという乙種を自分の手で捕殺してしまってから、赤川の中で心境の変化が見られた。オナガは人の住む住宅地に出没はしていたものの、今では優樹にとって数少ない人間の友人の一人となっている。優樹の他にも、元捜査六課のアヤカシたちとはそれなりの友好関係を築いている。妻と娘がいる既婚者。

大田真章(おおたさねあき)

元六課所属のアヤカシで、小説2巻から登場。現在は目黒区に一人で住んでいる。猛禽のような鋭い目つきをしており、それを和らげるために銀縁の伊達眼鏡をかけている。2700年という年月を生きており、膨大な知識を持っている。その正体は古代ペルシャの霊長「シームルグ」であり、本来の姿は暗褐色の鷲の姿をしている。非常に話が長く、本題から外れて喋ることは当たり前。大田の話だけで数ページを費やしたこともある。質問を質問で返したり、初対面の人間にも否応なしに長ったらしい話をするため、敬遠されがちであるが本人はそれを良しとする。「傍観者」を自称しており、仲間がどれだけピンチだろうが頼まれない限り助けは出さない。優樹は大田のことを「先生」と呼んでいる。豆類が好きで、よく落花生を殻ごと食べている。

相川虎司(あいかわとらじ)

元六課所属のアヤカシ。現在は委員会登録のため、アヤカシであることを隠して高校に通っている。年齢は18歳。正体は虎の姿であるが、黄色と黒の縞模様ではなく、黒と薄い黒の縞模様をしている。六課の面々からは虎くんと呼ばれている。性格は自由奔放そのもので、大雑把。だが、夏休みに学校に来て宿題をしたり、外出時に制服を着ていたりと律儀に校則を守っている。元が虎のためか、肉類が好きで野菜などは嫌い。ヤスリを齧って牙を研ぐのを日課としている。出身は日本ではなく大陸生まれとされており、海を泳いで渡って日本にやってきた。かつて一度だけ人間を食べたことがある。

帆村夏純(ほむらかすみ)

元六課所属のアヤカシ。初登場は5巻。現在は国分寺市に住んでいる。外見は二十代の長身の美女だが、実年齢は11歳と六課のアヤカシの中では一番若い。そのため、外見の割に言動が幼稚でギャップが激しい。ギャンブルで生計を立てており、競馬、競艇、競輪など一通りの賭け事は経験している。また野球観戦も好きで、贔屓の球団の野球帽を被っていることもある。
その正体は火蜥蜴であり、人の皮を脱いだ姿は炎に包まれている。人間の姿の状態でも感情の起伏によって体温が上がり、温度によっては鉄など一瞬で溶かしてしまう。煙草を常に携帯しており、好きな銘柄はジタン。水に弱く、身体に水が触れると火傷をして水ぶくれのようになってしまう。そのため、雨の日や水が多い場所では神経質になる。人間と同じ食事もできるが、基本的には火と煙があれば生きていける。

八牧巌(やまきいわお)

元六課のアヤカシ。非常に大柄で毛深い大男。その剛毛は顔までも覆い隠すため、表情を読み取れない。身長は2メートル40センチある。季節を問わずタンクトップと短パンで過ごす。非常に寡黙で必要以上のことは語らない。意外にも料理が上手く、六課のメンバーに振る舞っている。食へのこだわりが強く、自分が作ったものを残すと怒る。中でも鍋に関してのこだわりは特別に強く、煮る時の具材の位置などは非常に細かい。その正体は巨大な熊であり、人間に山の神と崇められるほどの長命なアヤカシ。戦闘力は作中屈指であり、巨体に見合ったパワーと、その巨体からは想像もつかないスピードを持っている。人間を信用しておらず、人間を殺すことも食べることも何とも思っていない。非常に頑固で冷たい性格ではあるが、優樹や虎司、夏純など若いアヤカシたちをいつも心配している。
太一朗が童子斬りに憑かれたことを知り、仲間の安全を守るために単身童子斬りに挑もうと日々画策する。その途中、道端で人間の幼女である未知を拾う。普段なら人間の子供など気にもとめない八牧だが、童子斬りが人間を殺せないことを知っていたため、妙に自分に懐いてくる未知を童子斬りへの盾として使うために六課へ連れて帰った。その後、夜の競艇場に太一朗を呼び出し、未知を連れて立ち向かうが敗北。最後の力を振り絞って水の中に自身ごと太一朗を引きずり込むが、生き残ったのは太一朗の方だった。
死の間際、初めて未知に対して愛情にも似たような言葉をかける。そして、事前に自分が負けた時の保険のために浦木に頼んで、内閣公認証を発行してもらっていた。公認証があれば、例えアヤカシでも殺した相手には殺人罪が適用される。八牧は自分が負けたとしても、警察が太一朗を追うように計算していた。

浦木良隆(うらきよしたか)

優樹の父の側近のアヤカシ。1巻から登場している。鬼と呼ばれる種類のアヤカシで、優樹が幼い頃から交流があり、優樹やその母親の世話を長くしてきた。そのため、優樹には全幅の信頼を置かれている。長身痩躯で非常に物腰が柔らかく、常に笑みを浮かべ誰にでも丁寧語で話す。見た目は30代半ばの男性。左目は白く濁っており、視力を失っている。容姿を自在に変える力を持っており、普段は土屋伸夫という名の人間として、内閣府の特異遺伝子保持生物管理委員会委員長を務めている。だが本来は、日本国内閣総理大臣直属、特別高等治安維持局(通称:特高)所属のアヤカシで、内閣総理大臣(優樹の父親でアヤカシ)の下についている。また、空渡りという空間を自由に行き来できる能力も持っており、神出鬼没。その他にも他人の呼吸を止めたり、記憶を操作するなどの力も持つ。戦闘力なら八牧と並ぶほどの実力者。優樹のためには何事も厭わないが、一方で優樹の1つ目の心臓を眺めて笑うなど不気味な部分も多い。浦木は優樹への歪んだ愛情を持っており、優樹が悲しむ姿や生きようともがく姿を見ることが彼の心を満たす。

飯田敦彦(いいだあつひこ)

特高に所属している鬼のアヤカシ。浦木と共に”主”の側近的な役割を担っている。

ネジ

鵺(ぬえ)と呼ばれるアヤカシで、外見上は と乙種に分類されるが、人間の言葉を話し知性もかなり高い。性別は女性。
特高に所属している。

空木(うつろぎ)

3巻にて初登場。内閣公認も委員会登録も受けていないアヤカシ。女性とも男性とも見分けがつかない中世的な顔立ちをしており、髪の毛は地面に垂れるほど長い。全くと言っていいほど生気がなく、大田からは生ける屍と呼ばれている。普段は木の根元に腰かけており、死んだようにうなだれている。その両足首から下は地面に埋もれている。時間の感覚が普通の生き物とはずれており、会話をするにも反応が非常に遅くほとんどがうめき声のため、とても時間がかかる。ほとんど動くことはないが、空渡りという能力でいつの間にか移動している。また、意思のある者を一定の範囲内から遠ざけることができる隔離という能力も持っており、発動範囲や遠ざける人間は空木が自由に決めることができる。大田より長い時間を生きているアヤカシであり、かつて人間に自分の半身を削ってアヤカシを殺すことのできる武器を与えたがために現在のような姿になってしまった。実力なら浦木や八牧を上回る。

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